2枚のトランプカード   作:sao.m

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2枚のトランプカード(2)

ゴッサムシティ 中心部犯罪対策本部のテレビには…

「マレー殺害とともに、このゴッサムシティの犯罪率は過去最悪となり今日も大規模なデモが行われています…アーカム州立病院前では現在収容されているあの「ジョーカー」に対し称賛の声をあげる人が多数おり、市民からはゴッサム警察への疑問の声が上がっています。」

本部長、マイケルは嫌なものでも察したかのようにネクタイを緩めながらテレビを消した。

「…報道各社も警察に圧力をかけてきている。しかしあの男、トランプのジョーカーは2枚あると言っていたな。まさしく、その通りだ、」

副本部長、シリウスはマイケルに駆け寄った。

「本部長、これは昨日あの口が裂けていた男もジョーカーであるという宣言であると思われます。つまり、現在アーカムに収容されている「ジョーカー」に感化された一部の暴徒が新たなジョーカーとして組織を作り上げているのだと思います。」

「そうだな、これ以上ゴッサムの街を荒らさせはしない。やつらの巣を、内部から徹底的に駆除するのだ。」

秘書のソフィが新人に関する資料を持ってきた。

「本部長、副部長。この管轄に、新人が入るそうです。それで、昨日のお話を聞いてしまったのですが」

「ソフィ、ありがとう。ほう、新人か。話とは…なんだ?」

「私もやはりおとり捜査を行うべきかと。内部に侵入させ、新たなジョーカーの組織をつぶすのです。危険がかなり伴いますが…

マイケルとシリウスは、お互いに目を合わせた。

「私もそう思います、新人の経歴を見たところ…なかなかの期待です。」

シリウスが、目を輝かせて言った。

「よし、さっそく打ち合わせをしよう。」

マイケルは、ソフィに新人を連れてこさせるよう言った。

 

…真っ白な廊下。

今日もタップダンスの華麗な音が廊下中に響き渡っている。陽気な鼻歌は、彼のお気に入り。

今日も彼は笑っている。

 

一人の職員と思われる男性が、食事を運びにその男の部屋へと入る。

「…アーサーフレックさん。食事を食べてください。」

「ふふっ、あれ?昨日の人と違う… 名前は、トムっていうんだね。それに僕はその名前では返事はしないよ。僕の気が狂う前に、やめた方がいい。。。。 」

アーサーは、真っ白な服に身をつつみただ黙ってトムを見つめていた。

「食事です… 口を開けてください。」

トムは、震えながらスプーンで食べ物をアーサーの口へやろうとする。アーサーは、そのステンドグラスのように透き通った瞳でトムを見つめる。

「震えている…」

アーサーは、そう言いスプーンを口に入れた。

「ねぇ、なんでアーサーって呼ばないの?」

「…」

トムは黙り、アーサーと目を合わせないようにした。

「僕はどうしたらいいと思う?…。昨日もたくさん聞かれたんだ。なぜか、別のジョーカーが街をうろついてるみたいでね、本当にびっくりしたよ モグモグ…」

アーサーの貧乏ゆすりが激しくなっている。

「僕はこれで…」

アーサーは出ようと立ち上がろうとした職員の服をぐいとつかんだ。

「いかないで…もう少しだけここにいてよ。」

職員は、思わずアーサーと目を合わせてしまった。その透き通り、すきこまれるような瞳と目を合わせたら戻れない。それを職員は知っていたのだ。

「髪はこげ茶、とっても似合っているよ。」

職員はなぜかアーサーの手の中に吸い込まれるように、ひざをついて倒れた。

「君だけに、僕のお話を聞かせてあげるね。」

職員はアーサーの瞳を見つめながら泣いていた。

 

ゴッサム中心部

「本部長、彼がマークです。彼は素晴らしい経歴の持ち主ですし、力もある。

今回の捜査にぴったりかと。」

マイケルとシリウスは、マークを見てうなずいた。

「こんにちは、マーク・R・レリーフです。マークと呼んでください。私に、何か要件があるとかないとか、」

「実は、シリウスと話していたのだが」

マイケルは、右手をマークの右肩にぽんぽんと置いた。

「君も、この街がどれだけあれているか知っているだろう。謎の道化師、ジョーカーによってこの街は狂わされてしまったんだ。今、その元凶となったアーサー・フレックはアーカムに収容されているが…」

マイケルは、目をしかめシリウスと目を合わせた。

「先日、警視庁本部が襲われ新たなジョーカーが現れたんだ。口が裂け、紫のコートを着ているよ。」

「ニュースを見ました、僕はこれ以上ゴッサムの街が荒れ果てていくところは見たくない。ぜひ、僕におとり捜査をさせてください。」

「でもね、マーク。」

秘書のソフィが、口を開いた。

「おとり捜査はとても危険よ、私達ゴッサム警察もいまだに経験がないことなの。あなたは、期待の新人だし、気持ちは分かるわ。」

マークは、微笑みながらソフィの目を見つめた。

「…ソフィさん、僕は大丈夫です。ご心配ありがとう。早速、場所のデータをください。」

マイケルとシリウスは、安堵しネクタイを締めなおした。

「決まりだな、マーク君。君は、ゴッサムの期待の星だ。私たちの、希望なんだ。」

マイケルが語り掛けるように、一文字ずつゆっくりと口を開いた。と、同時にマークは満足そうに微笑んでいた。

「マーク君、新たなジョーカーの巣を捜査チームが突き止めたそうだ。早速、情報を調べ上げ近いうちに潜り込むことはできるかね?」

「マーク、私が協力するわ。早速、彼らについて調べ上げるわよ。」

「ソフィさん、ありがとう。今日から調査を始めますね。」

マイケルとシリウスが、マークとソフィを置いて部屋を抜け出した。

「やはり、期待の新人ですな。彼の意欲は素晴らしい。」

マイケルが、声をあげて喝采の意を示した。

「嫌なことが何か起こらなければいいのだが…」

シリウスは顔をしかめた。

 

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