また、同じ景色が広がる。
ジョーカーはあのマレーのショーを思い出した。パトカーの上から見下ろせば、暴徒たちの燃えるような喝采と火の海だ。ゴッサムから出てきたジョーカーを暴徒たちが取り囲み道を作っている。
「さ~て、ここからは銃撃戦ということか?ああ、大事な一般市民を巻き込むことになるぞ?」
ジョーカーが吐き散らした、と、一味の前に、大勢のパトカーが走ってくる。
“全車両に次ぐ、ジョーカーを止めろ。アーカムに収容されているジョーカーの確保にも全力を注ぐ…”
「了解、ジョーカー一味がこちらに向かっている。なんとしても食い止める。」
パトカーに乗っている一人が無線で会話をし、いざ銃を構えた時
「俺は混乱の使者…」
ジョーカーは初めにそう言い放ち、バズーカ砲で食い止めているパトカーを次々と爆破させていった。手下が向かってくるSWAT隊に対して、銃やマシンガンで応戦する。
「ジョーカーだ!!」
「ジョーカー、この街をクソどもから救ってくれ!」
住民が叫んでいる。ジョーカーは、住民や警察、パトカー、SWAT隊、手下たちの銃弾や罵声が飛び交う中をただ歩き前を遮るものがあれば容赦なく、バズーカ砲を放つのだった。
「…喝采などいらない、そんなものなど遠い昔にこの“笑顔”とともに捨てた。」
そういうと、ピエロマスクを被った大勢の手下に囲まれた“ジョーカー”がいるのに気づきジョーカーは口角を上げ、彼の元へと足を走らせた。
「SWAT隊や警官が銃撃戦を行っているようです、一般市民も巻き込まれています…」
テレビ中継された、銃撃戦の様子はまさに地獄絵図であった。
ソフィは茫然とテレビ画面を指揮官室から見るのだった。倒れている一般市民の中には、子供を抱えた女性までもがいる。拳を、ぎゅっと握るのであった。
「ソフィ君、SWAT隊から、“マークを見つけた”との情報が…」
シリウスが、電話をソフィへ渡す。ソフィは驚いた表情で、すかさず電話を取った。
「…マークが?本当にいるのですか?生きていたと…分かりました、シセロストリートの角の、はい、音楽店の横のトラックですね!すぐ向かいます。」
「ソフィ君!」
上着と、銃を持って部屋から出ようとしているソフィにシリウスが声をかけた。
「君まで巻き込まれてしまうぞ!…それに、それにもしかしたらジョーカーの罠かもしれないのに…」
「いいえ!私は、私は彼を信じています!」
ソフィはそう言い放つと、歯をくいしばり、階段を下りて行った…螺旋階段を下りていく彼女の姿をシリウスはただ茫然と見ることしかできなかった。
ソフィが外に出ると、ゴッサムの中心部ともいえるシセロストリートでは住民や警官、SWAT隊やジョーカーの手下たちが殴り合ったり発砲しあっていた。
「これが…ジョーカーの罠?混乱の…使者だというの?」
ソフィがそう言うと、一人の警察官が手下に対して発砲した銃弾がソフィの腹を撃ちぬいてしまった。
「ああっ…!!!ぐっ、」
流れ出る血を必死に、ハンカチで抑え痛みをこらえながら目的のトラックの中へと入った。
「SWAT隊…?いる…の?」
奥へと進むと、衝撃的な光景が広がっていた。
「ああ…来てくれたんだね、ソフィさん。」
SWAT隊の一人が頭に銃をつきつけられ、電話の受話器を持っていた。10数人いたSWAT隊は頭を撃ちぬかれ、人質以外は全員死んでいる。
「そんな…嘘よ!マーク!」
銃を突き付けていたのは、マークだった。腹に、ナイフで刺され血を流している。
「ご苦労様。」
マークがそういうと、銃を突き付けられていた人質は殺された。
「マーク…こんな、こんなひどいことを!」
「酷いのは…僕をきづつけるすべてだ!」
マークは、右手に巻き付けてある爆弾をソフィに見せた。
「自分を…自分を抑えるのに疲れた。どうせ死ぬなら、最後に君に居てほしかった。」
ソフィは、唖然とマークを見つめ、その場に腹の傷に苦しみながら倒れた。
「あっ…ぐっ、」
「ソフィ…さん?血が…」
朦朧とする意識の中、ソフィは自分を助けようと必死で止血しているマークが以前銃の使い方を教えた時のマークに戻っていることに気づき微笑んだ。
「…マーク、もう隠れなくていいの。」
マークは、ソフィの声とともにあの日、両親が銃で殺された日がフラッシュバックし、クローゼットの扉を開け、彼を抱き上げる光景が目に映った。
「クローゼットの中から、出ておいで。」
そういい、彼女は意識を失った。マークは冷たくなっていく彼女の頬を触り、トラックを下りて、彼女を抱きかかえた。彼はただ、混乱の渦の中を歩いた…遮ろうとするものがいれば、彼は銃で撃ち殺していった。