暫く、全ての物語を更新できない日が続いてしまいました。申し訳ございません。
現実が忙しくなり、書こうとしても夢へと…。
という事が多発しまして…。
少しリラックス出来るようにはなってきているので、
少しずつ更新していこうと思います。
では、久しぶりの風花雪月、どうぞ。
「突然すみません、エリス。ですがまた、貴方にお願いしたい事があるのです」
「…あぁ。まぁ良いけど、今日は俺だけか?」
節も変わったすぐ序盤に、俺はまたレアに呼び出しを食らったので、会いに行くと当然の様に課題だった。
毎度毎度思うが、体持つかな?
一つだけ違うのは、前は一緒にこの場に来ていたベレスがいないということだ。という事は…。
「そうだ。黒鷲の学級には別の課題を出している。君は今回金鹿の学級に加入し、ロナート卿の反乱を鎮圧して欲しいのだ」
「おぉ…漸くクロードの学級か…って反乱?」
これはまた物騒な物の鎮圧を任されたな…。
ロナート卿ってのはまっっったく知らないが。
「…少し難しい話になりますが、ロナート卿は王国の小領主なのです。ある時から教団に敵意を持ち、現在に至ったという訳です」
本当に難しい話だな。ただ、要するに何かしらで恨みを買ったか、邪魔に思われたかって事か。前者の可能性の方が高そうだけどな。後者でこんな苦悶な表情はしないだろうし。
「既にセイロス騎士団の先遣隊が、彼の本拠であるガスパール城へと向かっている。兵力は僅かであるため、鎮圧は難しくは無いとは思うが…」
セテスの声が止まる。此方も苦虫を潰した様な顔をしている。成程、兵力は僅かでも、少し倒しにくい事情があるとか、そんなものか?
「失礼します。レア様、アタシをお呼びだとか?」
後ろからツカツカと此方に近づいてきた、既に戦闘準備万全な格好の女性がレアに語りかける。
「よく来ましたねカトリーヌ。早くからすみませんね」
「いえ、レア様に呼び出し頂いて嫌な筈がありませんよ。それで、隣の奴が今回の…」
「えぇ、エリス。彼女が同行する騎士団を率いるカトリーヌです」
ほぉ、この人が…。中々強そうだな。親父とどっちが…。いや、止めておこう。引き合いに出した所悪いが、親父がそこら辺の騎士に負ける程の男ではないけどな。桁外れの戦闘力を持ち合わせてるし、あのジジイ。
『口が悪くないかい?完全な嫌味でないのがまた面白いけどさ』
(毎度毎度ツッコまないと居られないのかお前?最近そんな事しか聞いてない気がするけどさ)
「…へぇ、アンタが…。ふぅん…」
カトリーヌと呼ばれた女性は、ジロジロと俺を事細かく
見定める様に観察し始めた。いや、何も怪しい事は無いはずだが…。
「…何か用か?」
「いや?別に。噂通りの人物か確かめただけ。ま、何かあったらアタシらを頼りな。少なくとも、足を引っ張る様な真似はしないさ」
それだけを言い述べると、彼女は興味を無くしたのか、
レアの方へと顔を向けて指示を待つ。なんか、随分とあっさりしてるな…。
「カトリーヌはセイロス騎士団の勇士ですが、彼女以外の騎士達も精鋭が揃っています。…この課題で、主に刃を向ける事の愚かしさを、生徒たちも学ぶ事になるでしょう…」
『…愚か、ねぇ…』
(…?)
いつもの様に出ていくが、イージスの呟きが、やけにいつものおどけた様には感じられなかった事が、何か頭から離れないまま俺はその場をあとにしようとした。
「少しお待ちなさい。エリス」
が、会話を終えたはずのレアが思い出したように声をかけてきたため、その場で立ち止まってレアを見る。
「ひとつ言い忘れていました。金鹿の学級に任せた、と言えどもこれは生徒への課題、という事を覚えておいてくださいね」
まるで何かを察知しているかのような様子で、比較的冷静に俺へとそう告げる。これは、何か行動をおこせ、という事なのか?
呟き、意味深な発言に少し頭を抱えながら、今度こそ俺は扉を開け、出ていった。
「…エリス・アイスナー、ねぇ…。」
戻ってきた俺は、朝食を摂るために、またいつもの食堂へと向かう。今日は肉料理がメイン、と聞いた為、魚の時よりは薄いが少しだけウキウキと心を弾ませながら歩いて行った。いざ辿り着くと、金鹿の何人かが此方に集まり、俺に話しかけてきた。
「いやぁ、今回でやっとアンタの力を借りる事が出来そうだな。頼りにしてるよ。先生」
「模擬戦の時とことん振り回されましたからねー。この学級に来たら今度はこっちが振り回しますからねー。主に戦闘を引き受けたりとかー、なんて」
「先生はすぐ倒れるんだろ?だったらあまり無理させない方がいいと思うけどなぁ。先生はまず肉体改造から始めた方がいいぞ!」
「結局無理させに行ってるような物じゃないですか…。でも、わたしも先生が加入してくれる事、凄く心強いです」
「…あんまり頼ったりしすぎないでくれよ?すぐ疲労しちまうからな…。」
まぁ頼られるのは嬉しいけど、俺の場合だと過ぎるとオーバーヒートしてしまう欠陥な体力ありなんでね…。ヒルダに至っては俺を完全にパシリにしようとしてるし…。パシリのパも出来ねぇぞ俺は。
にしてもさぁ。
「…あのなぁ、仕方ないだろうが。言ってたろセテスも。何処に配属されるのかは此方が決めるって」
「…言った。言ったけど、実際になると凄く嫌」
「嫌ってお前…子供じゃねぇんだから…」
俺の横には当然の様にベレスが隣へ座り、共に行動出来ないと、やたら不機嫌そうに俺の手にしがみついて離さなくなってしまった。心配なのも離れるのが嫌なのも分かるけど、これは皆の前ではやり過ぎです。天然妹よ。
「おーおー、やっぱり兄妹の絆は堅く結ばれてるようだな。俺達が入る隙間も無い、と」
「隙間というかクロードくん。これあたし達お邪魔じゃなーい?」
「見てるだけなら構わないと思うぞ?オデも良く妹とこうやって接してる時、周りが静かに見守ってたりする事あったもんなぁ。」
「相変わらず兄弟系の話になると食いついてくんのなラファエルは。てかリシテア、そんな顔すんなって。明らかに不自然すぎるだろ」
「…」
今のベレスは不機嫌な甘えん坊(無表情)になっており、そのうち2人は苦笑い、ラファエルは我が子を見守る様な優しい目で、リシテアは肉を頬張りながら、じっと此方を少したりともずらさずに見てきていた。
2人の反応は分かるし、ラファエルはとても有難い反応だが、リシテアに至っては普通に怖すぎるわ…。段々と眉がつり上がって来ているし、とても機嫌が良い、とは言えないな。
「私も別の課題さえ無ければすぐ様兄さんの近くで闘うのに…。どうにかして早めに終わらせて兄さんの所へ行けないかな」
「頼むから今回ばかりは諦めてくれ…。講義とかの時はいつも離れてるだろうが」
過保護すぎなのやら、独占欲が強いのやら…。これじゃあただの束縛が強いラブコメ見たいじゃねぇか。
『メタ発言はご法度だよエリス君』
こんな時ばかり真面目になりやがって…。
にしても、これまさか、離れる度にこうなる、とかならないよな…。そしたら大分手のかかる子じゃねぇか。傭兵の時はこんな事無かったんだけどなぁ。あ、いつも一緒だったからか。
「先生、エリス先生なら心配いらないさ。俺達だって、ただの荷物になるつもりは無い。先生が危なくなった時のフォローくらい入れますとも」
「クロードくんのフォロー程悪どいものはないと思うけどね。てゆーか、君も女心分かってないのねー。安全とかの問題じゃないんだってー」
「…手厚い助言どーも」
完全に勢いを失ってんじゃねぇかクロード。金鹿の男は皆尻に敷かれるタイプ…なのか?ローレンツもこの前こんな感じで言いくるめられてた時があった様な…。
「安心しろ…と完全に言いきれないのが辛いが、必ず帰ってくるから。だから我慢してくれ、な?」
「…」
取り敢えず帰還を保証してみたが、どうだ…?これで上手くいけるとは思わないが…。
「…帰ったら添い寝」
行けたわ。そしてまたかよ。どんだけ添い寝を所望したら気が済むんだこの甘々。
「…ッ…」
「…おいおい、イチャつくのもその辺にしてくれよ…。我等が主戦力様がどんどん不機嫌になってんぞ…」
「んー、余程気にいってるみたいだねー。自覚はしてないみたいだけどー」
「ん?何でリシテアさんはあんな怒ってるんだ?飯が口に合わなかったのか?」
《ラファエル(君)…それは鈍感すぎ…》
少しばかり気が楽になった様で、腕から離れてはくれたが、椅子をこれでもかと近付けて密着しているので、結局はすごく気まずいんだが…。
「あれ?」
「どうしたヒルダ?」
俺達を見つめていたヒルダが、ふと扉から垣間見える外に目を移すと、何か目に止まるものがあったのか、疑問を口にする。
なんだなんだと俺たちも視線を向けると、灰色の髪の人物が、なにか思い詰めたように立ちつくす姿があり、たまたま目があったのだが、直ぐにそらされ立ち去るといった光景が目に入った。
「あれ、アッシュじゃなかった?朝食も食べないで何やってるのかなー」
「珍しいな。アイツがディミトリや先生の所に来ないだ なんて。何時もならどっちかの所へ混ざるのに」
確かにな。アッシュは生徒の中でもかなりの人懐っこさだったからな…。何時もなら
「先生、ご一緒してもいいでしょうか?」
とか言いながらこっちに来るのに。
「…もしかして、今節の課題で何かあったのかな」
「ロナート卿の反乱でか?」
「…情報が少ないから、様子が急変した理由を考えるに はまずそれが一番に上がると思う」
成程、つまりは反乱の中の誰かしらと敵対している、という事になるか。
となると、今回の課題は結構、難題な物になってくるんじゃねぇか?
「アッシュがああなるのも仕方ないと思いますよ。先生」
「うわ、出た女漁り」
「ちょ、顔合わせて早々それは酷くないっすか?」
知らん。普段のお前の行いの結果だろ。
「あ、女にだらしない男」
「ちょ、ベレス先生まで毒舌っすね!?」
「あ、女の敵だ」
「あ、女の敵さんだ」
「俺泣いていいよね。何この塩対応」
仕方ないね、事実だもん。特にこの間の朝食の件についてと初対面について。
ほら見た事か、青獅子組からも冷徹な視線で見られてるじゃねぇかお前。特にイングリットとフェリクス。
そしてリシテア。今にも灰にしてやろうかみたいな目で見ないの。あーあー、そんなにフォーク握りしめたら折れるって。なんでお前がさっきから不機嫌になるのか分からないが、とりあえず落ち着け。
「…エリス先生に色目を使う危険人物」
「…それに関しては同感だ」
「アンタ達から見た俺は一体何なんだ!? 化け物か何か か!?」
「性欲の化け物だな」
「性欲の具現化だな」
「性欲モンスターだね」
「シルヴァン へやにかえる」
気力を完全に消滅させてしまったようだ。可哀想に。普段のチャラさが何処へやら。いじける可愛い生物が出来上がった。俺からしたら可愛くもないが。
『ホント、君彼には手厳しいよね』
根本的に性別強制ねじ伏せて接してくるやつの何処を信用して接しろと?嫌なものは嫌なんだよ。
「で? シルヴァン君は何を言いたかったんだ?先生は情報を欲してるみたいだから、ぜひ教えて欲しいんだぞ」
「…ラファエル。今度いい店紹介してやるわ」
「? 店がなんだか知らねぇが、美味い飯を食わせてくれ るなら何でもいいぞ?」
今のシルヴァンには彼が唯一の癒しの様だな。癒しは必要だからな。うんうん。
『ほぼほぼ君達のせいだけどね。彼の行動とも言えるけど』
「…あー、本題に戻りますが、ロナート卿は、アッシュの義父、みたいなもんなんですよ。何でも、自分を実の息子のように育ててくれた恩師の様で」
やはり関係のある人物だったのか。ん?でも、普通義父程の近しい人物なら、もっと早くに挙兵に気付けたんじゃねぇのか?
「ただ、何故かアッシュの所には何も連絡が無かったら しく、いきなりのロナート卿の暴挙に、彼はあんなに憔悴しきってるんですよ」
まさかの事前すらなし、か。
…息子を巻き込みたくなかったのか、心配させたくなかったのか、あるいは既に…。
「正直俺は、この件は青獅子の学級が担当すると思って ました。でも、そうはならなかった。レア様達が何かを考えての事だとは思いますが、個人的には当事者であるアッシュはこの課題に関与すべきだったのではないか、と思いますね」
「でも、流石に考えたんじゃないのかなー。親とも言える存在に手をかけることがどれ程辛いかって」
どちらの意見も賛同できるものだ。知人を手にかける、というのは当事者には苦すぎる難題。ただ、真実を知る為やアッシュの意志的にも、ここで立ち向かうというのも。
ただ、ヒルダの意見には少しだけ引っかかる部分があった。
「人を殺す事を課題として出している者が、情けを考慮して、なんて事があるのか?」
「先生、納得は出来るがその言い方は…」
「勿論自分でも分かってる。だが、どうも引っかかるん だよ。そもそもの問題、人殺しにも躊躇や覚悟を決める必要がある。それを態々、知人 と対象が変わっただけでケアを施す、ってのは余りにも理不尽すぎる気がするんだよな…。それに…」
あのレアの発言からすると…これは…。
「先生? どうかしたのか?」
「…少し予定が出来た。さっさと平らげて、それぞれの やる事を進めるとしようか」
「え、ちょっと急すぎないですかせんせーってはや!!どんなスピードで食べてるんですか先生!?」
「ちなみに兄さんは早食いにおいても頂点に立つ男だ。ほぼほぼ魔力と食欲に能力を持っていかれている状態だな」
「先生…言いたい事はわかる。わかるが、何故かその表現を聞いて謎のサソリ姿の騎士が出てきたのは何でだ?」
「止めなさいクロード。それ以上は言ってはいけません。先生は変な粒子を纏って速くなったりしません」
「いやリシテア。それ充分にお前もダメなやつだからな」
…人の食べ方で何訳の分からない事を言ってんだコイツらは。良いだろうが、急いでんだからこのぐらい。
『異常すぎるからに決まってるでしょ』
すぐ様食事を終わらせると、俺はすぐ様目的の場所へと足を運ばせた。ついでにベレス付きで。
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side アッシュ
やってしまった。
いくら取り乱しているとはいえ、先生達を無視して立ち去ってしまうだなんて…。既に混乱している頭に、後悔の念が押し寄せてきて、更に頭が破裂しそうになる。
けれど、それでも理解出来ない。何故、あんなにも優しかったロナート様が、急にこんな…。
今回の課題は僕達の学級ではなく、金鹿の学級の皆が担当する事になったらしい。
…僕は…。
「悩める青年の背中を押すというのは難しいものだな」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァァァァァァァ!」
「おいベレス…驚かすなって言っただろ」
「やってない。普通に近づいただけ」
突然の後ろからの襲来に僕は普段出さない様な絶叫をしてしまった。まさかそれが先生だったとは思わないから、後ろを向いて怒りをぶつけようとする。
「い、いきなり何を…って先生!?」
「おう、アッシュ。元気が無さそうだったから、ちょっと追いかけてみたんだが、マズかったか?」
「やぁアッシュ。兄さんから大切な話があるみたいだよ」
「待て、何か語弊が感じられるなその言い方は」
「え、そ、それって…」
「お前も真に受けんな!!」
普通に反応しただけなのに叩かれた。解せない。
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sideエリス
「そ、それで何か様でしょうか。」
「…一応事情は聞いた。今節の課題の事でな。余り踏み込まない方が良いのは承知だが、少々それで話があってな」
「…あぁ、ロナート卿の事ですね。まぁ、そんな所だろうとは思ってました」
その話を切り出すと、アッシュは先程の暗い表情へと戻り、ポツポツとロナートとの関係等を語り出す。そこから話されるのは、彼が本当にロナート卿を敬愛していたと、反乱をおこすなんて考えられない、といった感情が痛いほどよく伝わってくるものだった。
「…ロナート様は、僕が大修道院に行く、となった時も優しく見送って下さいました。その姿は、寛大な父親そのものでしたから…。どうしてもその姿を見ていると、今回の事は嘘なんじゃないか、見間違いなんじゃないかって…」
成程、アッシュの前では小領主とか、武器を振るう騎士とかではなく、1人の優しい父親であったのか…。
「あの方は、何時だって僕を気にかけてくれた…。罪を犯した僕を受け入れてくれて、それなのに…」
「…?」
「あ、いえ、なんでもないんです。忘れて下さい」
…罪?いや、掘り返すのはよそう。説明しなかったのだから。
「…アッシュはどうしたいんだ?」
俺は彼にそう質問したが、分からないと答えた。
「…出来ることなら、ロナート様と会って、何をしたいのか問いただしたいです。でも、果たして今の僕に何が出来るんだろうって…」
やはり、自分と関わりの深い者の騒動は心に傷をつけたか。普段の彼ならば、後半部分の言葉は吐かないはずなのに。
ふむ、ここは、少し指導した方がいい感じか?
「何を悩む必要があるんだ?」
「…え?」
「お前がやりてぇ思う事があんなら、それはやるべき事 なんだ。寧ろ、お前が一番その人に会ってやるべきなんじゃないのか?」
彼の目を見ながら答えるが、未だその目に光は灯らず、迷いの中を駆け巡っていることが見てわかる。
「もしかしてさ、ここで刃を向ける事が、仇を返す事に なる、とか考えてねぇだろうな」
「そ、それは…」
「俺は、意味もなく戦闘を強要なんて事はしねぇ。だから、無理に殺しにいけとか、そんなことを言うつもりはない。けど、お前の心に後悔を残す様な選択はして欲しくねぇ」
「…でも…今の状態のロナート様に、僕が対等に話せる か自信がありません…」
…まぁ、普段そんな事しない様な奴だと、余計だろうな。俺だって、ベレスがいきなり正反対な事を始めたら腰抜かすどころの騒ぎではないだろうし…。
…もう少し押してみるか。
「…俺の親父はな、知ってると思うが物凄く強いんだ よ。俺の魔法は容易く避けるし、ベレスの剣技でさえ赤子扱いをうける程に」
「え…?」
「親父は、完璧な人間ではねぇからよ。偶に馬鹿みてぇ な事を仕出かす事があるんだわ。特に酒が入ったりしたら、な?」
「あぁ、元々猛者だった人が理性を失うという程、手のつけられない物はないな」
「あ、あの、何の話を…」
「でも、手が出せない、と言って放っておくと思うか?」
俺の言葉にまだしっくり来ていないようで、眉を下げて、考え込む動作をとる。
「だってよ、そこで止めなかったら、辺り一面が廃墟の 様に悲惨な事になるんだぜ?文句垂れてる暇なんてねぇだろ」
「…それで、どうなったんですか?」
「ん?まぁ、何とか暴走は止められたよ。代わりにベレスも俺も、しばらく身体が動かなくなったけどな。…俺の場合はもれなく全身激痛でな…」
思い出しただけで身体の悲鳴が思い出される。あぁ、こんな事鮮明に思い出さなくていいのに何でこんなのに限ってめっちゃ出てくるんだ…。
「…何と言うか、苦労してたんですね…」
「まーな。…お前は自分に何が出来るのかって凄く悩んでると思うけどよ。結果なんて、実際にやって見なきゃどうなるかなんて分からねぇんだよ。あんだけ温厚なロナート様がここまでの事をしたから、僕なんかの言葉が届くとは思えない?だったら、俺らなんてとっくに地面と同化してるわ。此処で刃を向けるのが恩を仇で返す?恩師を止めるために刃を向ける事の何が仇なんだよ?そしたら俺達なんざとっくに団長様の裏切り者だろうが」
「…っ」
アッシュが何かに気付いたかのように目を見開く。…少しはいつもの気持ちを取り戻したか?
「いいか?もう一度言うからな。やる前から自分の嫌な結果ばかりを思い浮かべてんじゃねぇよ。それで後悔して後から気が重くなるんぐらいなら、今本当にすべきだと思う事をやれ。自分の本心を伝える事が、今のお前のやりたいことなんじゃねぇのか?」
「…!」
俺が言いたい事を述べ終えると、漸くアッシュの目に光が灯るのを確信した。
「何時だって、恩人を止められるのは恩を受けた側だ」
「!…そうだ。僕は…」
《金鹿の学級に任せた、と言えどもこれは生徒への課題、という事を覚えておいてくださいね》
全く、ただのお偉いさんなのか、先まで見据えた偉大なお方なのか…。アンタが何を思って俺にこんな事を言ったかなんて知らないが、それが罠だろうがなんだろうが、今回は利用させてもらおうじゃねぇか。
「大司教には俺から言っておこう。準備は予めしておけよ」
それを言い終えると、俺はアッシュに背を向け、行動を開始した。
『全く、大した演説だね。普段の怠がってばかりの君とは全く別人の様だ』
(うるせぇな、たまにはいいだろ。たまには)
にしても、慣れないことを言うと少し疲れるな…。まぁ、アッシュが少しでもいつもの気力を取り戻せたのなら、結果おーらいってやつか。にしても、頑張りすぎたからか、左肩が物凄く重いな…。
ん?
「…」
「何で俺の肩に抱きついてんのお前…」
「…今のうちに兄さんを補給しておく」
「どんだけ離れるのが嫌なんだお前は!? 兄さんを補給ってなんだよそんで!!」
結局そのままレアの所へ行き、セテスからは白い目で、フレンは口を抑えて素晴らしい愛ですわね、とか呟き、レアからは何故か鼻を抑えながら目を血走らせながらサムズアップをされた。
…最後くらい上手く終わらせてくれよ…。
如何でしたでしょうか。
…ベレスのクールキャラが少しずつ違う事に…。
このまま行くと1部完結までにもすごい時間がかかりそうだな…。
もしかしたら、飛ばす課題が出てくるかもしれません。(飛ばさない事もあるかも)
では、また次の話で。
今の所、主人公視点で書いていますが、最終的には普通の小説形式になり、たまに○○sideでキャラの心情を書くようになります。今から変えた方が良いでしょうか。
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今は現状維持
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変えてくれ
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そんなのどうでもいい
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それよりもベレス視点を増やせ