エリス・アイスナーのフォドラ奮闘記   作:ゴアゴマ

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ゴアゴマです。

今回少しだけR15以上、ギリR17.9要素が含まれます。まぁ、あくまで要素ってだけで、ガッツリではありませんのでご安心ください。聞こえ方によってはど健全ですので。おそらく。

あと、カトリーヌファンとシャミアファンの方々、この2人のキャラ崩壊未遂があります。先に謝罪します。申し訳ございません。


兄は苦労人

あれから少し経ったが、ロナートがどうなるかが決まった様だ。

 

本来であれば反逆罪として、罪は重く最悪は死刑とされていたが、俺や金鹿の奴ら、そしてアッシュが事情を説明し、全てとは言えずとも、少しばかりでも罪を軽くして欲しいと訴えたところ、俺の顔をじっと30秒くらい見続けで微笑んだ後に、踵を返したように意見を変えて、半年の拘束、武器の没収によって解放することを約束された。

 

アッシュの安堵の様子や、涙を流す様子は本当にこちらも安心出来たし、何やらフレンまでもが少しだけ何時もよりもにこやかにしていた。

 

が、セテスは相変わらず俺に対して睨みをきかせていて、何が狙いだとばかりに俺を監視している。その隣にはカトリーヌもおり、俺が変な真似をしたら直ぐに斬れる様に、片手に剣の鞘を持ち構えていた。

 

そんな警戒すんならさっさとやればいいのになぁ…。そうなったとは思いたくないが…。

 

「おいリシテア君、落ち着くんだ。此処で君が暴れれば先生の品格が疑われる」

 

「離してくださいローレンツ! あんた、先生が殺されそうになってるのにモガモガ!!」

 

「はーい先生ラブな子はすこーしお口閉じてようねー」

 

「むー! ヒルふぁ、ひゃべへむー!むー! (んー!ヒルダ、喋れないんー!)」

 

あー、お疲れ様です。その子中々暴れたら止まらなくて。

幸い彼らが気付くことは無かったが。まぁ俺に集中してますものね。

 

「2人とも、おやめなさい。此処は争いを起こす場ではありません。それにこれは私の判断です。睨む相手は私であると思うのですが、違いますか?」

 

「レア!? 何を…」

 

「レア様…お言葉ですが、流石にそれはご判断が甘いのでは無いでしょうか。今までのご決断も、死刑とは言わずともかなりの刑だったはず…」

 

「今は状況が違います。それに、この事件は思ったよりも根が深そうな予感がするのです。下手に動けば状況が悪化する場合もあります。それを考えても、彼らの処罰は妥当かと」

 

「いやしかし、レア」

「セテス」

 

「…分かった。君の判断なら従おう…」

 

へぇ。何かとしっかりしてんのなレアって。いや、踵を返した時点でチョロいだけの奴って分かるわな。前言撤回だわ。

 

「リシテア。この通りです。今回は此方の非という事で、怒りを鎮めていただけませんか?」

 

「謝るのであれば先生にして下さい。先生がこの2人からどれだけ命を狙われたと思ってるんですかっ」

 

いやなんでレアを手中に収めてるわけだよお前。止めて、なんか俺が罪悪感エグいから止めて。そしてレアもそんなすっごい泣きそうな目でこっちを見ないでくれ!それこっちのしたい事!!

 

「あー、別に俺は気にしてないから気にしないでくれ。それよりも、バックにいる存在って方が気になって仕方ねぇ。この世の中にはそんな危ない主犯みたいな奴がいるのか?」

 

「そんな事…。! こほん。えぇ、その通りです。詳しくはあまり話せないのですが、この世界には貴方が思っているよりも、闇で蠢き暗躍する者が多いのです。

そして今回、ロナート宛の私を暗殺する様示唆する書が見つかった…。これにより、元々の怨念に付け込まれて事を起こされたと言うことが証明できます」

 

闇で蠢く何か…ねえ。なんだろ、何かそのワードに体全体がゾワゾワと拒否してる感じがある…。

なぁイージス。これってまさか、俺とこの団体が何か関係してるってことなのか?

 

…。

 

おーい。イージス?

 

おっかしいな。この前の級長との会話からやはり口を聞いてくれねぇな…。風邪でも引いてんのか? いやないない。なんで精神体が風邪引くんだよ。え、じゃなんで喋らねぇんだコイツ。

 

「エリス? どうかいたしましたか?」

 

「いや?なんでもねぇよ」

 

危ねぇ。また思い詰めた顔してたか。気をつけないとな。

 

「そうですか。なら良かったです。…アッシュ」

 

「は、はい」

 

「面会の時間は幾らでもとりましょう。会いたくなったり、話したくなった際には遠慮せずに行ってあげなさい。

私が言える事ではありませんが、今の彼らには貴方の存在が不可欠です」

 

「は、はい! ありがとうございます!」

 

アッシュは心の底から安心したのだろう。何度も声が上擦って、揺らいで目からは雫が零れていたが、とても穏やかな表情でレアに向かって満面の笑みを浮かべていた。

 

俺もこれにはつられてしまったさ。何であれ、親子は隣に居るべきだからな。ま、険悪な奴らは例外だが。

 

「さて、今朝伝えたい事は全て終わりました。それぞれ、自分がすべき行動に移していただいて構いませんよ」

 

終わったか。さーて、じゃあ早速講義の準備に取り掛からないとな…。今回はどれだけの仕事が手伝いされるんだろうか。

 

「エリス。伝え忘れた事がありました。本日の夜、近々行われる課題についての話があるので、再び来ていただいてもよろしいでしょうか?」

 

「? まぁ、食後でもいいなら…」

 

「はい。それで構いませんよ」

 

なんで夜? なんで1人? んー、喋りにくいことでもあんのかな。夜行けばわかるだろうし、いいか。

 

「先生! その案件、私も同行させてください!」

 

「え、いやだって俺一人のご指名だからそれはいかんだろ」

 

「いけません! 夜の呼び出しなんて、絶対になにかよからぬ事を企んでるに違いありません! 私も同行します!」

 

何とち狂ったこと言ってんの!? 流石にレアもそこまでの事しないだろというか、度胸あんねお前!

 

「まぁ、そんな事致しませんよリシテア。私はただ、健全に今後のお話がしたいだけの事。そこまで心配なさらなくても危害など加えません」

 

「いいえ! 世の中そんな甘くないんです! スイーツのようには決して! あの妹でさえ健全を装いながら先生にベタベタベタベタと何時までもくっついて…!

どうせ先生の何かを狙ってるんでしょう!? だから態々夜にむぐぅ!?」

 

「いい加減にしたまえリシテア君!! 先生を心配する気持ちはわかるが、毎度毎度君はやり過ぎなのだよ!」

 

「てか何だよ先生の何かって! お前最近本当にどうした!? あたしから見てもいつものお前と違うんだが!? 感情の起伏激しすぎだろ!」

 

「ねーちょっとリシテアちゃん落ち着いてってぁぁぁぁ!? 力強っっ! ねぇ、あたし結構力に自信あったんだけど!? これも愛の力ってやつなのー!?」

 

「…先生、苦労してますのね」

 

すんません。ウチの即戦力かつ問題児が、本当に!!

 

「えーっと、レア。これ以上は収拾がつかなくなるから、一旦出直していいか? すまんな」

 

「えぇ。構いませんよ。講義の時間を減らす訳には行きませんからね。そんな気になさらないで下さい。

生徒に愛されるということはそれだけ貴方が適応出来ている証なのですから」

 

やっべ、大人やわ。惚れかけもしないけど。さ、これ以上訳が分からなくなる前にとっととズラかろう。

 

「むーー! おふぉへー!!!!! へんへいああーひうぁまおうー! はーへー! (うー! おのれー! 先生は私が守るー!! 離せー!)」

 

はいそこの3人。しっかり抑えててなー。回収していきましょうねー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、何度暴走したら気が済むんだお前は…」

 

レアから離れ、講義の準備をして開始時間を待つ間に金鹿の連中と集まると、リシテアが綺麗に円を描かれて同級生からお叱りを受けていた。勿論本人は納得はいかず、ぷくーっと頬を膨らませている。

 

「いや、わかるけどもさ。愛しの先生に矛先を向けられたり、癇に障ることを言われて我慢効かなくなったのは分かるけども。なんで本当にお前先生が絡むとポンコツになるわけ?」

 

「先生がレア様に汚されると思ったからですが何か?」

 

「よご…?」

 

あ、なんかマリアンヌに変なスイッチ入ってる気がするわ。頭の上に変なイメージが見えるんだが?

なになに、レアが俺に馬乗りになって? えっとー…。

 

『れ、レア…/// そこは…くぅ!?///』

 

『あらあら、女の子の様な声を出すのですね。本当に可愛い……/// ほら、ここはどうですか?』

 

『ひぃ!?/// や、やめ……』

 

『いいえ、止めません。あなたは既に2人にも狙われているのですから。早めに済ませておきましょう、と思いまして。という事で、いきますね?///』

 

『レ、レア…///』

 

『エリス…///』

 

ヤメルルォォォォォォォォォォ!!!!!

 

え、なんで!? なんでこんなおっそろしい妄想が俺にまで届いてる訳!? 干渉!? 干渉ですかそーですかー! あっしまった! 気になって覗こうとしてたの俺だったわ…。うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 

あるぇ!? なんか影響受けないはずのリシテアも白目剥いてるんですけど!?

 

「じ、じ、自分で言って気持ち悪くなりました…。あぁ、先生…」

 

「リシテアァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

「というか、これ不味くない!? 下な奴は此方ではあまりウケないって言うのにこんだけ攻めて大丈夫なのかよ!?」

 

「止めてレオニーちゃんそれ以上は言っちゃダメ! 色々不味くなるから!!」

 

「あ、そんな、怖いイメージの先生があんなにも容易くレア様に…/// あ、でも、意外といいかもしれない…///」

 

『なんで少し思い詰めてた時にこんな混沌としてるんだい…? 』

 

あー…もう、そっとしておいてくれ…。

ちょっとカロリーが高すぎて俺には何も…。

 

「あー、とりあえず、講義を始めるから、席に着こう、な?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…」

 

やっっと講義が終わった…。今回は地獄に相応しい講義だったな…。雰囲気がマジでピクリとも明るくならねぇのなんの…。特にリシテアを中心にな…。

 

『すまないね。少し席を外してた際にとても面白い事があったようだね』

 

お も し ろ く な い 。

 

ただの地獄絵図でしか無かったわ。セテス達にころされかけるわ、リシテアは暴走しかしないわ、マリアンヌの頭の中で汚されたわ、講義は重いわ…。変わってみるか? ん?

 

『いや、すまない…っくくっ。随分と愉快だったようだね…フッハッ…』

 

もう嫌だコイツ…。ベレス助けてくれ…。

 

「勿論だ」

 

「いゃぁぁぁ!?」

 

いつからそこに!? というか、なんで毎度毎度お前らは人の心(略

 

「兄さんの心の叫びを聞きつけ、私が来たぞ。何か用か兄さん。膝枕か?」

 

「いや膝枕の為に心で叫ばないだろ」

 

「私は何時でも兄さんに抱きつきたいが為に叫んでるぞ? 1回も叶った事はないがな…」

そんなしゅんとされてもなぁ…。てか、お前が心の中で叫んでるのなんて想像もつかなかったわ。ちょっとそれは見てみたいかも実際に。

 

「兄さんに抱きしめられたーい」

 

「いやそういう事じゃなくて、というかこうなる事自体もおかしくて! ね!?」

 

「で、どうした兄さん。添い寝か?」

 

「あーお前が不完全燃焼なのは分かった。後でたっぷり構ってやるから」

 

「…っ」

 

おーい、そんなあからさまにガッツポーズすんな。お前が今どんな心境なのか丸分かりだぞー。

 

「いや、実はかくかくしかじかのうまうまジェラルトで」

「なるほど、それは災難だったな。暫く私が一緒に居よう」

 

通じたよ…。適当に言って伝えようとしたらまさかの即解決だよ…。もう凄い通り越して不思議だわ…。

そして何事もなく自分を俺の近くに置くことに成功してるのもある意味小狡いと言うか…。

 

「…ただ兄さん」

 

「ん?」

 

「そのセテスとカトリーヌに命を狙われそうになったというのはどういう事だ?」

あ。

 

『あー』

 

「…ほう。そうかそうか。この前から、いや大分前から兄さんに何か良からぬ視線を感じていたがそういう事だったのか…」

 

「あのー、ベレスさん?」

 

「よし、今晩はワカメとバナナジュースだな」

 

「うぇーお!! 待つんだヘイ!! 髪の毛の色で調理しないで勝手に! というか人間で調理とか頭のネジ外れてんか!? 頭冷やせ妹よ!」

 

『いや実際ワカメとバナナとか栄養偏りすぎじゃないか…』

 

「兄さんに牙を向けたことを後悔させよう」

 

あー、稀に見るベレス激怒体が姿を現したな…。

 

『何だいそれは?』

 

言葉通りだけどな。親父と一緒にあんな感じのベレスをそう言う事にしたんだ。

1回俺が変な奴らに悪く言われたことがあってな。それでそいつらの性根そのものを紛失させる程いたぶり尽くしたことがあって…。その時の顔が普段見せない恐ろしいものだったからな。

 

『なんか、想像したくないね』

 

嫌でもビジョンがお前に行ってると思うからゆっくり堪能してくれ。俺だって目のやり場が分かんなかったし。

 

『…おおう…。これは中々に…。でも見るからに、対処法はあるんだろう?』

 

まぁな。恥ずかしいからあんまりやりたくはないけど。

 

「ベレス。止めるんだ」

 

「兄さん。流石に兄さんの頼みでも、それは聞けな」

「お兄ちゃんのお願い、聞いてくれないのか…?」

 

『…うわ…策士だね君』

 

俺がやってるのは、ベレスの顔が上にある状態で、顔をじっと見つめるこの行動…。上目遣いだったか? これだ。

 

『んー、でも流石にこれで止まるとは…』

「仕方ないなお兄ちゃんの頼みだものな。やる気などすぐ失せたそしてそんなお兄ちゃんをぎゅー」

 

ほらね?

 

『…なんか君の頭の速さの理由がベレスにも感じてきたよ』

 

言うな。だってこの子これをしないと止まってくれないんだもん。恥も捨ててやるしかないだろうだって。犠牲が出たなんて言われるくらいならさ…。

 

そんで結局抱きしめてるじゃん。あれはなんだったんだ。

 

「兄さんからは余りやってくれないから言っているんだ。これでも不満なんだぞ」

 

「だからそれを含めて後でめいっばい構ってやるって…。そうだベレス。書庫に行かないか? 一緒に調べ物してくれると嬉しいんだが」

「行く」

 

即答かよ…。まぁいいや。心強い味方ではあるしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ、書庫へ。探しものですか先生方?」

 

書庫へ着くと、トマシュが待っていたように対応してくれる。調べたい本の特徴を話すと大体の位置を指示され、俺達はその場所まで行って目的の書物を探し始める。

 

「ところで兄さん、何を探してるんだ? 童話か?」

 

「なわけないだろ…。ちょくちょく出入りしてこの世界の現状の勉強はしてるが、少し昔の出来事とかも調べる必要があるからな…。何か良さそうな書物がないかと思って…」

 

「成程。そういう事なら手を貸そう。図書室デートという物もありらしいからな」

 

「はいはい。は? デート? お前そんな事よく知ってんな?」

 

「ソ…見知らぬ女の子が言ってたんだ。2人で何処かにお出かけする事をデートって言うんだって」

 

「見知らぬ女の子すげぇな。その歳で知ってんのか。なら今のうちに堪能しとけ」

 

「言われずとも満喫してる」

 

お前レベルになると捜し物しながらそんなウキウキしてられるのね。何かを俺とするのがそんなに嬉しいのか…。兄離れは一体いつになるのやらでででででで。

 

「…何時までもしない」

 

だからなんで分かるんだよ…。

 

「ダダ漏れだけど?」

 

嘘だろ…。これから喋る時に気をつければ大丈夫か。そうしたら。

 

なになに、英雄の遺産、十傑…どれも一緒のようなものばっかりだな。特に多いのがこの神祖を崇める書物か。ん?隣から本が引き出された音が…。

 

「兄さん、こんなものがあったんだが…」

 

「おー、ありがとうベレス…。これは?」

 

「ん? 昔の人を書いた本らしいけど、なんか片方を崇めてて、もう片方を酷く蔑んでるのが少し引っかかって…な」

 

「なになに…我々を守り導いた神祖と、反逆の神祖…?」

 

なんだこりゃ、全くの正反対じゃねぇか。どんな内容なんだ…?

 

「我々に力を授けて下さり、我々を見守り続けている神祖様。その一方で、我々の命を脅かし、あろう事か邪悪なるものに手を貸した反逆の神祖。この書物にこの話を記そう。

 

反逆の神祖は持つ力で辺りを焼け野原にし、我々の拠点となる地の全てを倒壊させ、付き従えた邪悪なるものと共にこのフォドラの半分近くを占領する暴挙に出た。

 

我々が信仰する神祖に近い存在でありながら、その力を暴虐と殺戮の為に奮ったことにより、世界に仇なす敵とみなされ、フォドラの民総力を上げて討ち滅ぼた恐るべき存在。

かつてネメシスが起こした惨劇以上の被害を出したことから、別名、暴虐神とも名付けられている…はえー、すげぇのもいるもんだな」

 

「暴虐神…、反逆の神祖…。どうやら昔にも恐ろしい力で世界を破滅させかけた存在がいるんだな…。今も居るけど…」

 

「あー、壊刃こと俺らの親父ね…。少し思い出したくないわそれ方面は…」

 

反逆ねぇ…。詳しい内容が書かれていないのに何故またそんな物騒な名前が…? ただ神祖と言うだけで虐殺を繰り返して反逆はおかしくねぇか…?

 

『…反逆…』

 

おいおい、また音信不通になるのだけは止めてくれよ?

なんで最近そんなに引っかかってばっかりなんだよ。

 

『いや、何でもないさ。気にするんじゃない』

 

「んー…。夜レア辺りに尋ねてみるか…? 」

 

「夜…? 夜とはどういうことだ?」

 

あ…。

 

『君、学習能力無いね?』

 

「いや、夜課題について話したいって言うから、どっちみち行くんだよ」

 

「…」

 

うわ、リシテアの再臨だわコレ…。

 

「私も行く」

 

「いや、俺一人だから。同行するほど心配要らないよ」

 

「レアと2人きりにしたら行けない感じがする」

 

「何だよ行けない感じって…」

 

「分からない…けど、何かこう、胸の奥がモヤモヤする…。行かせたらこのモヤモヤが溢れ出て自分でも止められなくなる気がするから…」

 

いやそんな事言われても…って可愛ヨ。何だうちの妹、めっちゃ健気やん。可愛ええやん。そんな少し眉を下げて手を可愛く当てちゃって…って馬鹿か俺は。親父と同じじゃねぇか。

 

「兄さん…」

 

「うっ、そんな顔されてもダメです。約束した以上行かないとねぇ…」

 

「…行っちゃヤダ」

 

ぐはぁ!?

 

『エリスゥ!?』

 

やっば…。上目遣い返しと腕くいとか反則だろ…。

流石無自覚メティオ…。遠慮がない分破壊力も抜群だな…。

だが、ここは心を鬼にして…。

 

「…駄目」

 

「…」

 

「…だ」

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

「…添い寝と膝枕してあげるから」

 

「…一日コース」

 

長っ…。まぁ、仕方ねぇか。足が残ってるか分からないけど。

 

「分かった。じゃあ、少しこのまま情報収集続けるか」

 

「わかった。ついでに妹を愛でたくなる秘訣本も探してくるね」

 

「そんなもんねぇよ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーっ…。疲れたなぁ…」

 

「兄さんずっと姿勢が前のめりになってた。無理して腰を維持してるからだよ」

 

姿勢よくしろと言ってる側からしたら俺がだらしない格好してるのは如何なものかと思うから、しゃんとしないとと思ってるんだけどなぁ…。あんたは無理すんなって言われればどれだけ楽か…。

 

(皆が楽すればいいのにと思ってるのに気付けばどれだけ楽になるだろうか)

 

『どうやらお互いがお互いに損してるようだね』

 

は? それはどういう意味…

「まだこんな所で道草食ってたのかい」

 

「は? 何がって…お前…」

 

おいおい、忠犬さんまた来やがったのかよカトリーヌ。今度は何用ですか?殺し合いなら他所でやってくれ。

 

「何ってあんた、もう夕食の時間じゃないのかい? 早く食ってレア様の所に行ってくれよ。じゃないと、レア様が泣き喚くって聞かないからさ…」

 

「いや、そんな明らかに近付いたら殺すみたいな眼光で言われても説得力もないんだが…そしてお前も近づいても殺すみたいな目で見るな」

 

「…」

 

「なんだいあんた。あたしに何かようか?」

 

「…っ(ギリッ)」

 

あーもー、だから合わせたくなかったのに…。大事になる方が嫌だから、とりあえず先に行かせるか…。

 

「ベレス。俺は少しこいつと話してく。から、先に行って席を確保しててくれ」

 

「それだと兄さんが…」

 

「俺は大丈夫だ。それに、ストッパーも居るらしいからな…」

 

「?」

 

「とりあえず行け。こっちは兄ちゃんだけで大丈夫だから。な?」

 

うわー、雰囲気でしか分からないけど凄くいやそーにしてるなぁ…。

 

「…分かった。けれど、何かあったら直ぐに駆けつけるから」

 

よし、これで爆発寸前の方は行ったな。残りは…。

 

「まるで人を危険物のように扱うんだな。少し想定通りだよアンタは」

 

「お前の中でどんな扱いなってんのか知らないけど、俺もお前の事は周りが見えない猪みたいなやつだとは思ってるわ」

 

分かりやすそうに青筋立てたな…。膝に力が入って、片手に携えてる剣が苦しそうにプルプルと震えてるわ。

 

「猪とは言ってくれるじゃないか。この前も生徒達を囮にしてあたしを出し抜こうとした腰抜けなのにさ? それでよく教師を名乗れるね?」

 

「あー、それはすまなかったね。仮にもレアというフォドラの顔ともなってる人の部下ともあろう人が、何やら人に恨みを買うような失態をして、殺すことで尻拭いをしようとするどころか、今のところ何も仕出かしてない俺を私情だけで殺そうとする、上司の事を何も考えてない猪さんには理解が出来ない行動だったな」

 

「…っっっ!!! アンタ…!! ほんっっとうに腹正しいやつだね…!! レア様に気に入られて無ければ速攻でねじ切ってた所だよ…!!」

 

いやこの程度の煽りにも耐えられないとは…。というか、一応上の顔もあるよってこと伝えたのに、何も伝わって無いのかな? んー、そんな所が猪だって言いたいんだが…。

 

『いいぞ。もっとやれ』

 

ウチの脳内のマトモさんもそう言ってますし…。

 

「…一体何が目的だい…? それだけの魔力を持って、何を白々とレア様の前に現れたんだ?」

 

「やっぱりお前程の歴戦になってくると、持ち前の魔力とかも感じるようになるのか。これは一つ参考になったな。ありがとうありがとう」

 

「巫山戯るのもいい加減にしてくれないかい? …大体、怪しすぎるんだよ。

壊刃の息子娘だか知らないけど、クスリともしなくて武器の扱いと成長速度が尋常じゃない妹と、体力が皆無な癖に魔力だけは村1つを容易く消し去るほどの濃度の兄…。こんな虫のいい話、何かあって当然じゃないか」

 

…へぇ。中々頭は切れるようだな。能力持ちということを確証はせずとも違和感で察知したか…。

少し疑問はあったが、これくらい洞察力があれば、側近に選ばれても何もおかしくはないな…。向いてはないけど。

 

「で? お前は何が望みなんだ? セテスといい、俺を目の敵にしやがって。殺りたいなら一思いにやればいいのにネチネチと後をつけやがって…」

 

「ふん。あんたの人となりの再確認をしてただけだ。想定通り、だったけどね。

…アンタはやっぱ危険だ。レア様にこれ以上近づける訳にはいかない」

 

「危険? 別にそんな目立ったことはして無いけどね?」

 

「あたしぐらいになると見てわかるんだよ。アンタは、一見しちゃ口が悪いが気前の良い青年に見える。…が、あたしの勘が言ってるんだ。アンタは恐ろしいって」

 

…話にならねぇな。帰っていいか?

 

『待ちなって。もう少しだけ聞いていこうよ。コイツの言い分がどれだけ廃れてるのか気になってきた』

 

「なぁ、お前早く飯を食べさせるために来たんだろ? 何かあるとは思って話は聞いたけどさ、そんな内容なら行っていいか? レア様の意見を尊重したいんだが」

 

「最早必要も無いよ。アンタには此処で出てってもらう。レア様に近づける訳には行かないからね」

 

ダメだ…。話が通じない…。でもどうするかね。ガチになったら真面目に血祭りにされるんだよな…。

見栄張ったはいいけど、戦闘になったらのこと考えてなかった…。まぁ大丈夫とは思うけど。

 

「にしても、アンタの妹も随分と表情もつくらずに残酷な行動が取れるよな。兄が恐ろしいと妹にも影響するのかね。確か、灰色の悪魔、だっけ? 2つ名。その通りだとは思うけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余り調子に乗るなよ。小娘

 

「!?」

 

「私は、それなりの会話が窘める者は好きだ。だが、中身のない暴力とだけ化す無能な発言は…

 

 

嫌いなんだよ

 

「ヒィ!? て、なんでいきなり目の前に…!? ギャ!?」

 

「よりにもよって、忠告を無視し続け、挙句の果てには我が妹にまでその口を貫くか…。

 

 

 

愚者が

 

「ヒァ!? …っ………」

 

…ん? なんで俺こんなカトリーヌに近づいてるんだ? てか、顔近って白目むいて泡吹いてる!?なんでこんなことになってんの!? イージスなんかした!?

 

『いや? 僕は何も。でも、君は本当に面白いね』

 

何が!?

 

「…はぁ。こうなると薄々分かっていたさ。私の相棒はやはり抜けているところがあるようだな」

 

低音な女性の声が俺の耳へと届き、視線を向けるとそこにはカトリーヌとは正反対のクールな女性がこちらを見据えていた。

 

「相棒が失礼した。私はシャミア。これでもレアさんに世話になってる1人だ。あぁ安心してくれ。

私はそこのバカほど話が通じない訳では無い。あんたが危害も何も与えない事くらいよく分かってるからな。此方から何もしなければ」

 

「あ? あー、なんかとりあえずアンタを見る限り俺が何かしたのは分かったわ。なんかごめん。あ、エリスだよろしく」

 

一見凛としているが、足がとてつもなくブルブルと面白い程に震えているので、どうやら初対面は最悪のようだ。話は通じるけど。

 

「気にするな。これは武者震いと言うやつだ。だからほっといて欲しい。それよりもそいつを渡してくれないか? レアさんには事情もあんたがすぐ来る事も伝えておく」

 

「あ、あー。分かった」

 

すっかり骨を抜かれたように抜け殻になっている廃人を震える手で必死に背負い、そそくさと逃げるように去っていった。

すげぇなそんなになってんのに少しも顔色だけは変えてなかった。ポーカーフェイスだな。これこそが。

 

あー、にしても、なんか体がどっと疲れたな…。やべ、立ってられねぇかも。

 

『あー、ま、そうなるのが普通だろうね』

 

「先生!? どうしたんですか!?」

 

ん? この声は、リシテアか?

 

「あー、すまんちょっと立ちくらみがしてな」

 

「また無理をしたんですか? 余りなさらないで下さいといつも言ってますのに」

 

「いやー、何だかな。ちょっと食堂まで行けなさそうだわ。マジどうしよう」

 

「でしたら私がおぶって連れて行きます!! いつもお世話になっていますし、その間に何かあったら危険ですから!」

 

「いや、でも…と言いたい所だが、今のところ頼めるのお前しかいないよな…」

 

そうでしょう、そうでしょうと言わんばかりに俺に眼を輝かせながら近づいてくるが、頭と腰に犬の部位が見えたのは錯覚か?

 

「じゃあ、頼むわ」

 

「!! 勿論です! さぁ、早く背中にどうぞ! さぁ!」

 

押しが強い…。うわぁ、めっちゃ尻尾がブンブンしてる気がする…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後、食堂にてまたベレスとリシテアの修羅場が待っていて俺の胃が休まらなかったのは別の話とする。いやもうしてくれ。

 

 




アンチは一切ございません。 ただ、こういった感じで絡ませてもいいかなっと言う想像で書いてるだけなので。カトリーヌは初期は油断とかしてて煽った結果、痛い目を見て、って感じの想像が思いついたので…。
あと今回に関しては相当頭にきてたのとかもありますしね…。

今の所、主人公視点で書いていますが、最終的には普通の小説形式になり、たまに○○sideでキャラの心情を書くようになります。今から変えた方が良いでしょうか。

  • 今は現状維持
  • 変えてくれ
  • そんなのどうでもいい
  • それよりもベレス視点を増やせ
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