休暇パートです。
今回は少し短めです。
今回は2話同時投稿です。
「エリス。ベレス。大聖堂を回ってみませんか?」
「いきなり呼び出されたと思ったらデートのお誘いって喜んでいいのやら戸惑っていいのやら」
「まぁ…デートだなんてそんな、私達にはまだ早いです」
明らかに喜んでるじゃないかい…。
休暇が来たからその辺ぶらぶらしようと思ってたら呼び出されて、緊急かと思ったらデートのお誘い…。
いくら大司教の仕事が少ない日だからって、速攻で誘うとか相当の気に入りようですねレアはん。
さてと、今日のベレス不機嫌度は…
「…兄さんをデートに誘っていいのは私だけ」
「あ、あらあらベレス。そんなに不機嫌にならないで下さい。何も私は貴方からエリスを奪う訳ではありませんよ? ただ、親睦を深めるも兼ねて3人で出掛けたいだけなのです」
大修道院内ですけどね。
「…そもそも、セテスがそれを許すと思わない」
「…セテスは知りません」
あーら、そんな乙女のように頬を膨らませて明後日の方を向いてもねぇ。あんまりトキメキもしないから…ってあれ、睨まれると思ってたけど涙目ですか。待って悪かった。俺が悪かったからそんなウルウルした目でこっちを見ないで。
「おと…エリスは私の仕草はお嫌いですか?」
「いや、別にそういう訳じゃ」
「余りいい印象はないから極力やめて欲しいな」
いや食い気味ぃ。俺喋ってんのに何故そうしてまで拒否する。
「やめ…」
あーあー、重い。重いよ空気が。なんかレアの頭上が淀んで見えるぞこれ。あれだな、ベレスに拒否られたのとベレスが代弁したのが俺の本心だと勘違いしてるので沈んでんな。
「…あぁ、これが私の罪と言うならば受け入れましょう」
なんか一人でブツブツ言ってるぅ…。
ちょっとベレスさん? 嫌いなのはわかるけどもう少し物腰柔らかくしてあげましょうね? ここにセテスとかが居ないのが唯一の救いだけど。多分喧嘩になるのが目に見えてるから内緒で抜け出してきたんだろうけど。
「ベレス。俺は気にしてないから、少しだけでもいいからレアに対して優しくしてやれよ。この前の夜の誘い的なやつが気に食わなかったのはわかるけどさ」
「…ん、分かった」
俺がベレスを宥めたら明らかにレアの機嫌が良くなった。「まぁ…! まぁ…!」なんて口ずさんで微笑ましげにこちらを見つめている。正直いって胡散…いや止めておこう。
「素晴らしい兄妹愛です…! あぁ、眼福眼福…!」
あの、人を見て拝まないでもらっていいですかね。そんな有り難いものみたいに。
なんだろ、レアって俺達のことを気に入っているようだけど、どちらもなんだよなぁ。しかもなんかそう言う感じの気に入り方でも無さそうだし、なんか崇めるようにこちらを見る時があるんだよなぁ…。
『これだけで普通は何かしらあるんだってわかるよね』
まぁ、知らんけど。
『あ、そうだったコイツ馬鹿だった』
「でも、大聖堂へ行くって言ったって何をするんだ? 俺あそこに行ったことないから具体的な事知らないぞ?」
「あそこは主に祈りを捧げたり、大修道院に滞在している人達からの相談を受けたり、合唱したりと言ったことが出来る所だな。私も何回か訪れたが、毎回気持ちのいい歌が聞こえてきてとても安らぐ」
あー俺祈りを捧げる感じしかしなかったから意外だわ。
にしても、歌か。絶対俺聞いたら眠気が来るような…。
「丁度私も大聖堂に立ち寄る用事があったので、折角ですから一緒に回らないかと思いまして。どうでしょう?」
「あぁ、いいぞ。ただセテスに見つかりそうなら逃げるけどいいな?」
「安心してくれ兄さん。もしそうなった場合はワカメにする」
「どういう処罰!?」
「べ、ベレス。一応セテスは私の古くからの知人です。余り手荒な真似は止めてあげてくださいね」
渋々頷いてる…。そんなに嫌か。
一応計画が一通り立てられた俺達は早速その大聖堂へと足を運ばせた。途中でセテス達に見つかるかと思ったが、何故かセテスもカトリーヌも姿を見せることはなく、すんなりと到着する事が出来た。
皆は物珍しそうな様子でこちらを眺めてはいたが、さすがに恐縮しているのか話しかけてくる事は無かった。
「では、早速主に祈りを捧げましょうか」
「いきなりだな…まぁいいけど」
辿り着いて直ぐに手を胸の前で組み、3人同時に主に対して祈りを捧げるが、この時ばかりは2人とも変な気は起こさず、ただ集中して祈りを捧げていた。
おっといけない。俺も祈るとするか。
『…』
お前もなんで祈り捧げてんの?
『悪いかい? 僕だって思い入れがあるんだ。しようがしまいが自由だろう』
あ、そーですか。
祈りを終えると、レアは後はそこら辺の施設を回ってみましょうといいだし、手始めにお悩み相談の目安箱? のような所へ連れてこられた。
なんでも、ここでは普段の生活においての悩みなどを解決する為に手紙を書いてもらい、それを教師が見る事で悩みを解決へと導く施設だという。
「試しにやってみませんか?」
と言われ、俺とベレスはそれぞれ紙を取りだし、それぞれの悩みに向き合った。
せっかく2人もいる事だし、最初は2人で協力して答えを導くことにした。
「なになに… 武器を振るう際、かなり力を抑えてはいるんだが、度々、加減を誤って武器を壊してしまうことがある。どうしたものだろうか。だってよ。どんな握力の持ち主だこいつ…」
「なんだ、そんな事か。それなら簡単だ。こまめにその武器を修理してもらえばいい。壊れれば直せばいいんだからな」
「完璧な回答だな。流石はベレス先生だ」
まだ数ヶ月しかたってないが、元々の指導力が高いこともあってなかなか筋がいいな。やっぱこいつ1人だけでも良かったんじゃないか?
「兄さんが教師じゃなかったらここまでの成果は出せなかった。そんな卑下はしないで」
うん。もう怖いから何も思わないわ。さて、次は…。
「他の女に手を出しても笑って許してくれるような、心の広いお嬢さんは、どこかに転がってないもんですかねぇ…。あ、女の魅力溢れる男でも大歓迎なんすけどね!」
これ絶っっっっ対アイツだろ。しかもなんだ女の魅力溢れる男って。遠回しに俺の事言ってんのか? シバキ回すぞ。
「んー、でも質問だからなぁ…ここはまずは自分が広い心を持つようにしようとか」
「ちょっと此方では分かりかねないから特別指導としてイングリットとフェリクスを送り込むからきっちり教えて貰え。よし」
「素晴らしい回答ですね! ベレス!」
「…」
「ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「何だ兄さん。今の回答になにか不満でもあったか?」
「ねぇよ!! 素晴らしい回答だとは思いますけども! 質問の返答としては余りにも酷くないか!? 」
「何を言うのですかエリス。女性を物としか思っていないような発言。堂々の不倫発言。これだけの不埒な質問にふさわしい回答など、これしかありません」
「絶対わかって言ってるよね!? というか、違うでしょ! 最後の文で判断しただろお前ら!! 俺知ってるかんな! 女の魅力溢れるの所で苦虫潰したような顔になったの知ってんかんな!!」
「捻りとります」
「捻り潰す」
「応答になってねぇ!! 私怨たっぷりじゃねぇか!!」
あーもう、無茶苦茶だ。取り敢えず自分の見方を変えることから始めてみれば…ってあれ? 紙は?
「もうベレスが出しましたよ」
おぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!
何やってんだよ!!シルヴァンボッコボコになっちゃうじゃん!! 可哀想じゃん!! ちなみになんて書いたの!?
「その通りに」
ダメだ終わったわ。てかいいの? シルヴァンボッコボコよ? タコ殴りよ? 構わないの?
「いっつも制裁加えている貴方が言える言葉では無いと思います…」
あ、そっか。変態が制裁されるなら別に構わないか。
『可哀想なシルヴァン君』
では次のお便りに参りましょう。
「えっと? 最近エリス先生の事が頭から全く離れません。食事の時もお花の時もお風呂の時も就寝の時もずっと頭の中に先生の顔が浮かび上がります。でもそれが全然嫌じゃなくて、むしろ心地よくて、胸が暖かくなるんです。これは一体なんなんですか?
2つ目3つ目の理由はいらないと思うが…こんなに純粋な手紙をみるとなんか照れるな…/// 」
「兄さんが照れてる…。これは」
「エリスの照れ顔…。これは」
「「メシウマですわ」」
「俺の顔で飯を食うな。因みにどのくらい行けんの?」
「「愛の胃袋は限界なんてないですの」」
「あ、もう何も突っ込みません。因みに質問の答えはどうする?」
「「胸焼けで良いのでは」」
「絶対違うよな!?!? しかも適当!! 」
んー、相手が誰だか見当はつかないが、これは明らかに普段の感情ではないと思うからなぁ。何気なく励ます感じがいいか…?
『君もひっどい奴だよねほんっと』
「えっと、貴方が抱いているそれは何も不思議なことではありません。人の事を思い浮かべて、とても胸が暖かくなるのは、その浮かべた人の事をとても信頼していて、今1番安心出来る存在ということなのです。どうかその気持ちを大切に持っておいて下さい。きっと、辛い時にとても助けてくれる気持ちとなりますよ。
…自分で言ってて恥ずかしいな」
『珍しいね。そう言う色物には疎いと思ってたけど』
え? 何が? これって親とかに抱く気持ちと一緒じゃないの?
『前言撤回。やっぱクソ野郎だな君は』
何で!?
「兄さん…」
ん? どうしたんだベレスは。何故俺の肩に抱きついてきてる? 寂しくなったのか?
「どうした? ベレス」
「…ん、分からない。 けど、兄さんの返答を見てたら、私も頭に1番浮かぶのは兄さんだなって思って…。
…だから兄さんが一番安心できる存在なんだなって再確認出来たと思ったら…何かとても嬉しいんだ」
ぐぅ…!! 可愛い…! 表情は余り変わってないのに凄く目が和らいでて、少し口がはにかんでるのがとてもいい…!! 何か抱き締め返したくなっちまうじゃねぇかよ。まぁ、抱きつくんですけど。
「…っ。兄さん…」
ちらほら人もいるけど関係ないわ。こんな天然メティオだけどこんなに可愛い妹を愛でない兄は居ないよほんと。
「ぁぁ、尊い…。この2人は本当に尊いです…。あ、やば、鼻血が…。いけませんレア…! 大聖堂でその様なものを出しては…。でも、くぅ…! 堪らないです…! あぁ素晴らしい…!!」
「…ベレス。これ以上は危険だから離れようか」
「…あ…。…しょうがないな…」
そんな寂しそうな顔しないでくれ。だって横にとんでもない変態が居るんだもん。やっぱり両方の判断は正しかったのかもしれない…。
「あ、もう終わってしまったのですか。残念です」
お前は絶対にそんな顔してはいけない。てか原因お前だからな?
あれからまた少し相談を済ませ、それが済んだ俺達は合唱の場まで訪れた。そこでは昼頃だと言うのに合唱の真っ盛りであり、大聖堂に入った時から聞こえてたのを考えると、かなりの時間歌っていると考える。
中には知っている顔も少し居り、俺達を見つけると少しだけ頭を下げて直ぐに歌へと戻った。
「休憩も無く歌ってるのか? ここの人達は」
「いえ、常に交代しながら続けているのですよ。ほら、あそことか」
あ、ホントだ。新しく来た人が交代してしれっと混ざってる。
「どうですか? 折角ですから混ざってみますか?」
「え? いや、いきなり何の練習もしてない2人が混ざったら可笑しくならないか?」
「でしたらあそこに混ざっている生徒達も練習は特にしていませんよ? 自由参加ってことになっていますので。余りにも酷い場合は残念ながら控えてもらいますが」
やりたくないんですが。え? 全くやりたくないんですが。
「兄さん。1回だけ混ざってみよう。多分大丈夫だよ。私達が傭兵の時に少し歌った時も皆拍手してくれたでしょ」
「いや、あれはお世辞かもしれないっておい」
ベレスめ…。ただ俺と思い出を作りたいだけだろ…。
引っ張られて合唱団の中に連れ込まれ、許可を取ってから入りやすい位置へと移動してしまう。
俺達に気付いていた人達は密かに耳を傾けており、今か今かとソワソワしていた。
…はぁ…。朝からこの曲を聴いてたから頭には入ってるけど、あんまり期待するなよ…?
入りやすい所まで伴奏が来たら、俺達は息を整えて腹の底から声を出していく。
『〜♪』
瞬間、周りの音が止まったような気がした。が、俺達2人はそれを気にせずに歌を紡いでいく。
特に大きな盛り上がりはなく、ただただ美しい、柔らかな音色を出すイメージで、1音1音の音を奏でていく。
やがて一通り歌い終え、そそくさと立ち去ろうと目を開けると…。
「あぁ、至高です…!! これこそ美声…!! 大聖堂に相応しい歌声です…!!」
レアが、生徒達が、更には合唱団の方達が俺達に向かって手の叩く音の合唱を奏でていた。
あれ、もしかしなくても大成功?
『っあぁ…。本当…聞き惚れる程の最高のものを聞かせてもらったよ…!』
アレェ!? なんでお前も泣いてるの!?
「ね? 兄さん。大丈夫だったでしょ?」
「なんでお前はそんなに落ち着いてるんだよ…。そんなに自信あったっけ?」
「いや、兄さんの歌声を信頼してたからね。いつも合わせやすいし、2人なら絶対に大丈夫って思ってたから」
お前の中での俺の信頼度は一体…。
「先生! もう1回お願いします! 今度は大勢の方々と一緒に! お願いします!」
何故いるリシテア!? まさかこの音色を聞きつけて飛んできたんじゃないだろうな!?
『あながち間違ってないよ』
はぁ…。すんません、皆さん。今度は一緒に良いですか? あ、喜んで? 分かりました…。
「兄さん。もう一曲、頑張ろう?」
「…はぁ。分かったよ。さ、行くぞ?」
こうして結局1曲では済まされず、喉が潰れるまで歌い続けさせられましたとさ。
後日、王子は鍛冶屋に入り浸っているところを発見され、色男は壁に突き刺さっており、乙女は軽やかなステップで大修道院内を駆け回っているところを目撃された。
ベレス達が歌っているのは、大聖堂で流れているBGMに歌が付いたような物です。想像してご覧下さい。
今回はこれと同時に生徒達の心境を投稿致しますので、同時上映のようにお楽しみ下さい。
今の所、主人公視点で書いていますが、最終的には普通の小説形式になり、たまに○○sideでキャラの心情を書くようになります。今から変えた方が良いでしょうか。
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今は現状維持
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変えてくれ
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そんなのどうでもいい
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それよりもベレス視点を増やせ