「お誕生日おめでとう!」
20になった日、マチは自室にて黎明皆に祝われた。
ピンク色じゃない貴重な白いケーキが用意され、マチのマッチの棒も刺さっている。
「ほら、吹き消しなさいな」
「そうだな……ふっ」
赤ずきんに進められ、マチは火を一息で吹き消した。
そして、ケーキを食べ終えると、赤ずきんが何かの瓶を持ってきた、ジュース……にしては、入れ物の色が明らかにそんな雰囲気じゃないし、まさか。
「ふっふっふ、まずあたしからプレゼントよ、酒!」
酒……20になったときに始めて飲めるやつか、そんなモノを用意してるとは、先に20になったのは赤ずきんだし、まぁ買えるっちゃ買えるか。
「ハル、あなたも付き添ったのかな」
「ん?、あぁ、赤ずきんがこれが良いとか言っていたからな、あぁそれと、俺からはこれだ」
ハルが渡してきたのは、小さな、手のひらくらいの犬のぬいぐるみだった、なかなか可愛いなおい。
「これこの前マチが見ていたやつか、意外と見ているんだな」
「まぁな」
「マチ姉!、わたくしからは――」
「私からも――」
「白雪からは――」
「僕から――」
血式少女の皆から、様々なプレゼントを貰った、皆大切に選んでくれたのがわかるものばかりだ。
「それにしても、マチ、あんた意外と少女趣味よね」
「失礼だな赤ずきん、マチだって女だぞ」
「あはは!、そうね」
「まったく……さて、酒ねぇ、今からでもいいか?、フユ」
マチは一度フユに確認をとる、うつらうつらとしながら、目を擦った後、手で丸をつくった。
「いいよいいよ、どうぞご勝手にぃ――すぅ」
すぐにまたフユは立ったまま眠りにつく、寝不足なのだろうか。
「あぁ、ここ最近忙しそうだったからな、今は寝させてやれ」
ハルはそう言ってフユを抱えると、部屋から出ていった。
「まぁ起こす理由はもう無いしそうするか、さて」
マチは酒のコルクを人力で抜き取ると、コップに注いでいく、不思議な臭いが鼻につく、これが酒か。
「なぁ、赤ずきんも飲んだことあるのか」
「えぇ、一度ね、意外と酒に強いことがわかったわ」
「ふむ、ならマチだって……ごくごく」
マチは喉を鳴らして、酒を飲み干す、喉にくる痛み、味は苦い、が、悪くない。
「ふぅ……なるほど、これはいけりゅ――」
――そこからの記憶は無かった。
○
「……うーん、頭が……痛い」
頭のズキズキとした痛みから、マチは目を覚ます、すると目に入ったのは、赤ずきんの横顔、次に自身の状態に気づいた……
「……は、え?、ん?、お?」
そしてマチは赤ずきんを抱いて寝ていた、うん、わけわからん、理解が追いつかない、何がどうなっているんだ!?。
「うぅん……あ、起きたみたい……ね」
赤ずきんは顔を赤らめて、しかしすぐにニンマリとした顔になる、な、なんだ、何があったというのだ。
マチは赤ずきんから離れ、床に落ちていた服を拾い上げてすぐに着た。
「あの、えっと……赤ずきんさん?、何があったんです?」
「うふふふ、まさかあんたがあんなにもねぇ」
「マジで何があったって言うんだ!?」
「そうねぇ、とりあえず他の人に聞いて回ったらいいんじゃないかしら、あたしからまず聞いてもよくわからないとは思うわよ」
え、なに、いろんなところ言ってんのマチ――駄目だ、まるで思い出せない、酒って本当に記憶とぶんだな。
「とりあえずまずはシンデレラから当たってみると良いわよ」
「そ、そうか……まぁいい、後でじっくり聞くからな」
「はーい、待ってるわー」
マチは急いでシンデレラのところに向かって走った、この無くなった記憶の間に何があったのか、聞き出さないとな。