マチはそのまま赤ずきんとハル達と一時間ほど歩いていき、黎明に訪れた、最初に大柄のどこか負の感情が見え隠れするにこやかな男性が立っていた
「こ、こんにちは」
「うむ!、こんにちは!」
挨拶すると優しい声音で返した、男の名前は永遠というらしい。
その後も様々な人と挨拶と交わしていき、いくつかの検査をした。
そして今マチは黎明の最奥、研究室にて右目に傷を負う、長い白髪の老人が椅子に座り、こちらを鋭い眼で見ていた。赤ずきんが言うにはお父さん、博士とも呼ばれているらしい、お父さんは赤ずきんだけだが。
「ほう、ハルくん、この子はもしや」
「あぁ、紛れもなく血式少女だ」
「マチだ、おじさんが博士で間違いないな」
その名前を聞いて、博士は少し目を見開いた、そしてうわ言のようにマチの名を反復しだした、やだ何この人こわ。
「マチ、マチ、そうか、やはり……マチ、マチくん」
「はい、マチに何か質問でもあるのか?」
「あぁ、3つ質問するから答えてほしい、年齢はわかるかい?」
「あぁわかるよ、5歳だ」
「赤ずきんと同い年か、では次に、マチという名前は自ら名乗ったのか?」
「……うーん、それは違うな、マチはマッチを売っていたから他者からそう呼ばれるようになったからそう名乗っているだけだよ」
「そうか、つまり君は
おや、もう一人いたのか、赤ずきんからはそんなこと一言も聞かなかったが、あ、赤ずきんめっちゃ驚いているな、本当に知らなかった感じか。
「三人?、おかしいね、マチは二人目だと赤ずきんに言われたんだが」
「お父さん、もしかしているの!」
赤ずきんは目を輝かせ質問した。
「あぁ、接触を避けていたがこの際だ、会わせてあげよう、フユ」
博士は近くにいた白衣を着た15歳ほどの銀髪の少女に声をかける、少女はあくびをしながら老人のもとまで歩いてくる。
「なんですかーい?、わたし寝不足ですのに」
「フユ、シンデレラを呼んできてくれ」
「呼ぶだけでいいんです?」
「…連れてきてくれ」
「はいはーい、呼んで、連れてきますよ」
そう言って軽快な足取りでフユは研究室から出ていった。
「あの子はなんだ?」
マチは博士に質問する、なんか知らんが見慣れたような、いや、初めて会ったんだが、どうにもね、既視感、デジャヴ?そんな感じがするな。
「あぁ、フユだよ、10年前に捨て子だったところを拾って今は私の助手をしてもらっているよ、なかなかあれでも頭がよくてね、よく研究について話し合っているよ」
「ほうほう、でだ、最後の質問は?」
「あぁ、忘れるところだった、最後の質問だ、噂で聞いたがメルヒェンを20近くを圧倒したと聞く、君は限界でどれだけの数を相手にできるのかね」
「そうだね……30…いや、40をいけると思っているよ」
メルヒェンの血を浴びれば更に伸びるが、まぁ言わなくてもいいか。
「なるほど、これで質問は以上だ。さて、そろそろフユが戻ってくる頃だろう」
そう言うと、二人分の足音が聞こえだし、フユが姿を見せる、その右手には青髪の幼い少女の手が握られていた。
「さぁ、自己紹介しようか、シンデレラ」
フユはそう言って手を離し、シンデレラと呼ばれた少女の背中を押す、赤ずきんとマチの前までくる、マチ達はシンデレラの言葉を待っている、それにしても結構かわいいな、レズではないが、ときめきというものが湧く。
「シ……シンデレラともうしますわ」
「お父さん!、この子も……」
赤ずきんは博士の返答を待っている、十中八九わかりきってることだが。
「そうだよ赤ずきん。お前と同じ、二人目の血式少女だ」
それを聞いた赤ずきんは満面の笑顔になる、なんだよジェラシーってわけではないけどマチのときより反応でかいな。
「やっぱり! 初めましてシンデレラ、あたしは赤ずきんだよ!」
赤ずきんはシンデレラに飛びついて、おもいっきり抱きついた、シンデレラはかなり嫌そうな顔をしている。
「な、なんなんですのもう!、ほっぺ!ほっぺた熱いですわよ!」
うわ煙でそうなくらいシンデレラのほっぺた、自分のほっぺたすりすりしてる、やっぱ反応すごいな、年下好きか?
「はぁ……赤ずきん」
マチは無理やりシンデレラから赤ずきんを引き離した。
「あー!」
赤ずきんはおもちゃをとられた時のような声をあげる。
「あーではない。マチから見てもスキンシップが過ぎるぞ?」
「あ、ありがとうございますわ、えっと」
「ん?、あぁ」
マチは屈んでシンデレラに目線を合わせる。
「マチだよ、黎明に初めてきたという点で言えば後輩なのかな、シンデレラ、よろしく」
マチは右手を伸ばし、シンデレラの左手をとる。
「よ、よろしくお願いいたしますわ……マチお姉様」
シンデレラら顔を赤らめて照れながらそう言った、
「ははは、年上だからってそれはむず痒いぞ、普通にマチさんでいい」
「じゃあ……マチ姉ではダメですか?」
うーむ、上目遣いでくるとは卑怯な・・・。
「うーん、まぁ良いだろう」
これは・・・なんか好かれたかもしれん。そしてマチも赤ずきんみたいな感情湧いてるやもしれん。
「はい、それではよろしくですわ、マチ姉、赤ずきんさん」
「えー!、あたしも赤姉って呼ばないの?」
「当たり前ですわ、あなたなんか赤ずきんさんで十分ですわ!」
「あははは!、マチ爆笑」
「ちょっと!、なに笑ってるのよマチ!」
マチと赤ずきんの追いかけっこを優しい眼差しでフユとハル、博士は見守っていた。
○
実験ケージの中、動きやすい格好に着替えたマチは大きなマッチを2本両手に持って、待機中だ、欠伸をするくらいにはリラックスしている、いやほんと眠い、いろいろとあって疲れているのにさ。そんなことをよそに外のガラスの向こうの博士が声をかける。
「本当にいいんだね?」
「さっき言った通りだよ、いいから大型3体放り込んでよ」
それくらいしないと眠気覚ましにもならんしな、まぁ限界が3体らしいけど別に10いても変わらん。
「あぁ、だがその前に用意されたそれを飲んでくれ」
「はいはい」
マチは用意されたピンク色の液体、メルヒェンの血液が入った試験管を全て飲み干す、眼はピンク色に、髪は白く染まり、ピンク色のマントが具現化した。
「なるほど、きみの覚醒状態はそうなるのか、ではお望み通り、5ヶ月ほどかかってやっと捕獲したLサイズメルヒェン3体だ」
目の前には鎖に繋がれていた3体の普通より大きなメルヒェンがいる、その鎖今ちぎれ、雄叫びをあげながらマチに襲いかかる。
「ギギィィィ!!」
「うるさ」
マチはその2本のマッチを床に擦り付けて着火、メルヒェンの攻撃を跳躍して避けて、後ろに回り込み、そのまま燃えた大きなマッチをメルヒェンの胸に深々と突き、前のめりに倒れるメルヒェンの身体を足場に再び跳躍、回転を加えながらもう一体のメルヒェンの頭部をそのマッチで叩き潰した。
「さて、最後の一体だ」
うん、そこそこの耐久力、でもめっちゃ足りない。
「ギ!?……ギギギギィィ!!」
一瞬メルヒェンのやつ、たじろんだが、すぐにその大きな腕をマチに振り下ろすが、それをマッチ2本で防ぎ、そのまま弾き飛ばした。
「はぁ……捕らえられる程度なんてこの程度か、残念だよ」
床にヒビが入るほど力を込めて跳び、その勢いで最後のメルヒェンの頭部をマッチで貫いた。
「……おっそろしいほどに強いですね、最低でも17人屠ってきたメルヒェン相手にですよ、赤ずきんでもこうもいかない」
その様子をフユと博士が見ていたが、ここまで圧倒されるとは考えていなかったためか博士の額に汗が滴っている、ここまではできないのか赤ずきん、残念。
「あの年齢でここまで強いか……これは黎明にとって最高の戦力だろう」
「でしょうね、ほんと、なんて少女をつれてきたんだか」