神獄塔メアリスケルター 獄中童話炎日譚   作:謎のコーラX

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(´・ω・`)自分の身についた(真似て得た)文章力で昔のやつを書いたらどうなるかってやつ。

一応ほぼ新しいやつです。


旧 獄中童話炎日譚
1話


ある年の瀬が押し迫る大晦日の夜、ある街の道の端で、寒空の下で小さな少女がマッチを売りに来ていました。

 

マッチを売らなければ父親から叱られるため、全てを売らなければ家には帰れない。

 

「マッチは……マッチはいかがですか。誰かマッチを買ってください」

 

そのようなことを言っても、年の瀬のため慌ただししく道行く人達は彼女に目もくれず、目の前を通り過ぎていきます。

 

夜も更け、より寒さが増していくと、少女は少しでも暖まろうと売り物のマッチに手を付け、火をつけました。マッチの炎はストーブや七面鳥に飾られたクリスマスツリーの幻影が一つ一つと現れて、マッチの炎はそれらと共に消えました。

 

不思議な体験だった、天を向くと流れ星が流れていき、少女は可愛がってくれた祖母が言っていた言葉を思い出す。「流れ星は誰かの命の消えようとしている象徴なのだ」。

 

少女は再びマッチをすった、その祖母が幻影として現れる、また消えてはならないと恐れから少女は慌ててマッチを全て使い、火をつける。

 

新しい年の朝、少女はマッチの燃えカスを抱えて幸せそうに微笑みながら息絶えていた、祖母と共に天国へ言ったことを誰一人知らずに。

 

――ここまでが本来の物語です。しかしある国では悲惨な結末に書き加えた、蛇足とも言える続きがある。

 

少女は息を吹き返し、裕福な家庭に引き取られ、幸せに暮らしました。

 

これを少女が救われて安心したと思うか、完成された物語に余計な続きを付けたと怒るか、人それぞれだろう。

 

しかし、彼女の物語の結末は、複数存在していたというのは事実だ。

 

これより語られるのはその()()()()()()()()()()だ。

 

 

ジェイル――生命のある監獄

 

それは十数年前に空から飛来して世界を侵食し、大地を腐らせ、建物は歪み、生き物は異形へと変貌していった。

 

そうして地下深く沈んだ、太陽さえも奪われ、人々はジェイルから生まれた化け物、通称《メルヒェン》に怯えて生きることとなった。

 

そんなジェイルに対抗する組織《黎明解放戦線》、そこに所属するメルヒェン用の決戦部隊、童話の転生体である《血式少女隊》の手によってジェイルから脱出するために彼女達の手をピンク色の血液で濡らしながら、監獄塔を登り、太陽を取り戻す。

 

そのはずだった。

 

――この物語は()()()()()()()、しかし一部のキャストが変更された物語である。

 

 

ある村、そこは元は活気があったことは伺える建物の変異して腐った残骸がところどころに残され、仮の物と思えるお粗末な木の建物が並んでいる。

 

このジェイル(地下世界)には当たり前の村だ、今なお減り続ける人達はこのような村からまず先に消えていく運命にある。

 

メルヒェンは人を攫い、監獄塔、あるいは独房エリアで血を流し、叫ばせ、肉の壁を舐めさせられる。

 

そんな村に襲撃し、攫おうとしていたメルヒェン達は、今最後の1体の頭が一人の少女の華奢そうに見える手によって握り潰された。

 

「……ま、こんなところか」

 

年齢は5歳ほどだろうか、少女は身体をメルヒェンの血で汚し、ため息を漏らしながら巨大なマッチを背中の袋に収める、紅い髪をなびかせ、黄色の瞳孔を村の家屋に隠れている人々に聞こえるように声を張り詰める。

 

「お前ら!、メルヒェン全部倒してやったぞ!」

 

その勇ましい声に反応し、家屋に閉じこもっていた人々が顔を出す、少女の後ろに重ねられ、山となったメルヒェンの大群を見ると安心して外に出てくる。

 

「いやぁ、ありがとうございました……えっと」

 

村長らしき老齢の男は少女の名前を言おうとするがどうやら忘れている様子で、再び少女はため息を漏らし、その名を告げる。

 

「マチ。マチはマチだよ」

 

「あぁそうでしたそうでした、それで報酬なんですが」

 

マチは村長の話を手を前に出して止める。村長が呆気にとられてると、マチは一泊おいて話し出す。

 

「別に報酬は求めてない、交換、あるいはマチのマッチを買うという形なら良いよ」

 

マチは懐からマッチの箱を取り出す、なんの変哲もなく見えるが、その中のマッチを取り出してすり、村長に渡す。

 

「え、これは……。おぉこれは、何故か癒やされますね、この火を見ていると何故か」

 

村長の顔から何処か緊張の糸がほぐれたような笑みが見え、火が消えると村長は残念そうに顔を下げる。

 

「これを一箱45本入ってるやつを渡す、その分そうだな、お金か食べ物、どちらかをくれ、金額も量も問わない、そちらが自由に決めてくれ。ま、皆に配るとして、1人1つだけだがな」

 

先程の安らぎが得られると思い、村長は年甲斐もなく、全速力で走って家までいき、数分後、保存しておいた食料の入った袋をを結構な量を持って帰ってきた。

 

「これくらいでどうでしょうか?」

 

マチは大きな袋に入っている食料を見て、頷き笑みをこぼす

 

「ふむ、だいたい一ヶ月は持つかな。節約するならな。よしいいだろう、交渉成立だ」

 

マチは再び懐からとても入っていたと思えない量のマッチ箱を村長に渡した、数えてみるとその数は村人全員分きっちりだった。

 

「あ、ありがとうございます!、村人達は少し訝しげですが、一度使えば納得するでしょう。あのような高揚感は救いでしょうしね」

 

「……村長、あんたらはマチがメルヒェンを倒していても恐れることも無駄に崇めもしないんだな」

 

村長はマチの言葉に首を傾げ、マッチの影響で精神が回復して余裕が生まれたのか豪快に笑った。

 

「はははは!、そのようなことをしても何もならんでしょうに」

 

「……なるほど、当たりかな」

 

マチはそう小さく呟き、踵を返して村から去っていく。

その際に食料の袋を置いて、メルヒェンを何体か持って。

村長が止めに入ろうとするが、マチは笑顔で手を振りながら逃げるように走った。

 

マチは赤子の頃、このジェイルでも裕福な大人に拾われて3歳まではそこで育ったが、4歳の誕生日の頃に書き置きを残し、1人旅に出ていった。

 

5歳までの1年間、マチは多数の人種――内面的な意味での――を知った。

 

一番多かったのは畏怖などの感情をぶつけてくる人種、この世界ではまず当然な反応だ、メルヒェンを単独で倒すのは人間とは言えないだろう、それも怪しい術や、素手で倒すのだから。

 

次に多いのは崇める人種、自分で考える、行動しない、諦観してる無能達。血式少女、あるいは新興宗教にその身を委ねた人種。

 

交渉して前者からはもし事前に約束しておいて裏切った場合は無理矢理にでも奪った、後者は勝手に与えてくるが。

 

そして今回の希少のケースが、純粋な善意を持った人種。

 

どちらもせずにただいつものように、対等な人のように話し、報酬をくれる、マチはこの人種からは搾取はしないと決めている、この世界においては希少で、救われるべきだから。

 

マチはその場合の選択肢としての食料、それがメルヒェンの死体だった。

 

「……うーん、無駄に甘い匂い」

 

マチからしたらそういう匂いのするメルヒェンを、今簡易的な肉焼きセットで焼いている、パチパチと木が鳴り、ジュージューという肉――なのか怪しいメルヒェンを焼く音だけが辺りに響く。

 

空はより薄暗く、今が夜なのだということを告げる。

 

「このくらいかな」

 

マチはメルヒェンの肉を取り、それにかぶりついた、肉のはずなのにどこか甘いような、それでいて最悪な食感が口の中で混ざり、ようするに不味い。

 

「吐きそう……」

 

本来ならメルヒェンの肉、それに付随した作物は毒だ、思考を奪う、下手したら死ぬかもしれない代物だ、しかしどういうわけかマチは1週間に1日だけならデメリットがなく食せる、あのような村は稀なので1日だけこのような食事でも旅は問題なく遂行できる。

 

全て食べきり、腹も膨れ、マチはシートを敷き、そこに寝転がる。

 

「おやす……み?」

 

そのまま寝ようと瞼を閉じようとしたとき、ふと足音が耳に入り、飛び起き、臨戦態勢をとる。

 

「誰だ、姿を見せないならこっちからぶっ倒しに向かうが」

 

「――おやおや、これは驚かせてしまったようだね」

 

物陰から音の正体が姿を見せる。

 

「あんたは……」

 

初めて見る顔だ、顔には傷と皺があり、黒の服装に白衣を着た、まず見ない下駄を履き、杖を持った老齢の男だ、目には決意がこもった鋭さがあり、優しげな笑みはどこか不釣り合いな物を感じる。

 

男はその場から動かずに手を差し伸べる。

 

「マチくん、だったかな、私は十島だ、黎明解放戦線の長を務めている」

 

「……それで?」

 

「単刀直入に言おうか、私の黎明に来てくれないかね」

 

これはある物語の()()の1つ、それでも、彼女達はそれを知ることなく生きている。

 

マチもまた、その一人。

 

 

 

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