神獄塔メアリスケルター 獄中童話炎日譚   作:謎のコーラX

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(´・ω・`)何だかんだ流れはできてるから執筆は早い


2話

「マッチ売りの少女?」

 

赤ずきん、現在いる黎明の一人目の血式少女は十島博士から技術者のハルと共に黎明の研究室にて一人の少女について話し合っていた。

 

黎明解放戦線、通称黎明はスナークの襲撃において唯一生き残った十島博士を長とした組織で、様々な治安維持から生活環境の向上などの事柄を行っており。研究室は博士の部屋と言っていい場所でもある。

 

ハルは赤ずきんの疑問に答えるために、その少女のことについて説明を始める。

 

「そうだ。まぁそのままの意味だが。なんでもある村では略奪、ある村では崇拝されていたり、ある村じゃ何もしなかったり。そのどれでもマッチ箱を売っていたらしいぜ」

 

「なにそれこわ~い。で!、その子って血式少女なのぉ?!」

 

赤ずきんはその噂には興味ないが本人が血式少女かに目を輝かせ、興味がある様子だ、やれやれと頭を振るハルをよそに、博士はこれからやることを話す。

 

「そうだね、そのマッチ売りの少女が童話のマッチ売りの少女の場合、是非黎明に引き入れたいと考えている、ハルくん、彼女の所在はわかっているかね」

 

「あぁ、わかっている感じだと」ハルは一枚のこの辺り一帯の地図を机に広げる。

「まず、最初にわかったのはここ、で、次はここだ」

 

地図のマッチ売りの少女が現れた村々に丸を描いていき、そして最近マッチ売りの少女が現れた村と、向かった方向から最も可能性の高い場所を割り出した。

 

「ふむ、この公園跡の森の近くか、普通なら危険だと考えるべきだが」

 

「もし、マッチ売りの少女がいるならそこにいるメルヒェン達の動きにも変化があるはずだろうな」

 

「ならするべきは――」

 

「ここはこう――」

 

「――ふわぁ」

 

2人の話し合いに、赤ずきんは大きく欠伸をかく、しばしの時間が経過すると、マッチ売りの少女との接触の決行日は決まった。

 

そして最後の確認として、博士が質問する。

 

「ハルくん、それでだ、そのマッチ売りの少女の名前はわかっているのかね」

 

「あぁ、なんでもマチ、というらしいぜ」

 

安直だなと赤ずきんは思うが、博士は思考を回している、本来マッチ売りの少女という童話において、名前は存在しない、赤ずきんも名前とは呼べないが、自身をマッチ売りの少女と名乗らず、オリジナルの名前を付けている。

 

例が少ないため、無駄な思考だと断じ、博士は一人、奥の部屋に向かう。

 

「私は少し休むとしよう、赤ずきん、今日はもう遅いから寝なさい」

 

「はーい」

 

そう言って博士は扉の向こうに消えた。

 

 

マッチ売りの少女と会うのは夜が良いと決めた、その時間なら休んでいると思い、幾らかの兵士と赤ずきん、そしてハルを連れて、公園跡の森の前まで博士はたどり着く。

 

「ここかね」

 

「はい、この先の村では目撃情報がないため、その可能性は高いかと」

 

兵士が博士に告げる、皆、いやワクワクしている赤ずきんを除いて緊張しており、兵士の銃の手は震え、ハルも未知の血式少女の勧誘に緊張から冷や汗をかいている。

 

話ではマッチ売りの少女、マチは今の赤ずきんでも単独での倒すのが難しいとされる大型のメルヒェンを5体まとめて相手して倒している。

 

そのような血式少女がもしこちらに敵意を向けてきたから赤ずきんがいても殺されるしかない、それほどの危険なはずだが、博士は一人で行くと宣言している、相手に警戒を抱かせないためにだ。赤ずきんが行っても交渉ができるとは思えず、ハルや他の黎明の者でも心もとない。

 

なら、黎明の長たる博士が適任だという結論に、ハルは何も言い返せない、だがもしものとき用に照明弾を博士に持たせている、できる限り近くに赤ずきんらを配置しているため、もしものときの盾にはなるだろう。

 

「さて、行ってくるよ」

 

「お、おとうさん」

 

赤ずきんはそう博士に白衣を掴みながら、心配そうに言う。

 

「大丈夫だよ赤ずきん、きっとマチくんは良い人だよ」

 

「……わかった、気をつけてね」

 

いくばくか間をおいて、赤ずきんは博士の白衣から手を離し、博士は一人、森の中に入っていった。

 

森の中は不自然なほどに静寂に包まれていた、理由はメルヒェンの血の匂いが教えてくれている。

 

この森にいたメルヒェンは一匹もいないことを博士は確信できた、きっとこの先の濃厚な、目視ができるかもしれないほどの気配がメルヒェン達を追い返していることが肌が寒くないのに鳥肌が立っていることが伝えてくれているからだ。

 

木の陰に隠れていたメルヒェンの死体の大きさはかなりのもので、その死体は何か強力な力で身体を吹き飛ばされ、一撃で殺しているのだとわかる。

 

博士は火の光が見えてくると、脚が勝手に止まってしまう。

 

「これは……」

 

あそこにいると、気配が告げている、しかし生物としての本能が退けとも告げている。

 

足が進まない、しかし後ろには動く奇妙な感覚に博士は好奇心でそれを上回る。

 

歩を進めると、不意に声がかかる。

 

「誰だ、姿を見せないならこっちからぶっ倒しに向かうが」

 

ドスの利いた少女の声だ、明らかに警戒を抱いていることがわかる、もしこのまま逃げれば自分を殺すに来る、それが博士には理解できた。

 

「――おやおや、これは驚かせてしまったようだね」

 

優しげな笑みと声で、博士は少女の前に姿を見せた

 

「あんたは……」

 

その姿は野性味があった、服はところどころ破け、紅い髪は汚れまみれであり、風呂はしばらく、いや何ヶ月も入ってないことがわかる、黄色の瞳孔は鋭く博士を見る様は肉食動物、武器らしき大きなマッチを両手に構える姿は歴戦の戦士だ。

 

博士は物怖じせずになんとか言葉を紡ぐ。

 

「……マチくん、だったかな、私は十島だ、黎明解放戦線の長を務めている」

 

「……それで?」

 

「単刀直入に言おうか、私の黎明に来てくれないかね」

 

 

赤ずきんは待機場所でぐるぐるも同じ場所を周りながら、博士の無事を願っている、ハルが止めずにいるのは不安をわかっているためでもあり、自分の不安で手一杯なのもある。

 

長いようで短い時間で過ぎ、博士が森から出てくる――マチを背後に連れて。

 

「待たせたね、無事勧誘は成功したよ」

 

「おとうさん!」

 

赤ずきんは走ってくるが、安堵と喜びからマチに話しかけに行くか、博士に抱きつくかで迷って器用に走るポーズで立ち往生している。

 

数分後、結果として、止まった動画が再生されたかのように博士のほうに抱きついた。

 

「……ふーん、なんかおもろそうなやつじゃん」

 

マチは赤ずきんを面白いやつ認定したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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