だいぶ変わった感じ、心情描写を増やしてみた。
あれから5年、マチは赤ずきんとは同い年であるのもあり、親友と言える仲になり、赤ずきんのストッパーとしてよく一緒にいる、喧嘩もあったけど。
「おい!、何人のマッチの火消してるんだ!」
「えー!、だってあんたが遊んでくれないからじゃない!」
「さっき思う存分やっただろ!まだ足りんのかこのばかずきん!」
「バカずきんってなによ!、寝たら遊びたくて仕方なかったの!」
「ならシンデレラに――」
と、そんな口喧嘩を見つけたシンデレラが涙目でオロオロしてると、
「・・・はぁ、悪かったわよマチ」
「・・・ま、マチもこんな見つけやすい場所にいたのも悪かったしね」
ため息を吐きつつ、1日で仲直りしてきた。
「マチ姉!、これ読んでくださいまし!」
「んー?、あぁ、これか、まぁいいぞ、漢字使われてないやつだし」
「ありがとうございますわ!」
シンデレラとは本を読み聞かせることが多くマチ姉と呼ばれ慕われている、あと、よくおしゃれについて聞かれるけどマチにはそういうのわからない。
そして赤ずきんの10歳の誕生日がやってくる。
「10歳のお誕生日おめでとう、赤ずきん」
「ありがとうみんな! ふーっ」
誕生日ケーキに立てられた小さなろうそくの火を吹き消すと、周りの大人達とシンデレラ、あとマチもぱちぱちと拍手が送られた。
「ねぇ、これ食べていいの!?」
「もちろん。あなたのために作ったのよ」
「わーい!、ミコ大好き! いただきまーす!」
その桃色のケーキは本来とはかけ離れたものではあるが赤ずきんは美味しそうに食べていく。
滅多に食べることができない甘味に顔をほころばせる赤ずきん。
作ったのは救護班に所属しながら博士の教えを受けている眼鏡をかけた白衣の少女、
「あ!、これもしかしていちご入ってる?」
「えぇ、入ってるよー」
「わーい!、これ甘酸っぱくて好物なんだ、ありがとうフユ!」
ケーキの中に入ってるそのいちごはフユが開発したものだ、残された本来のいちごに
「視子さん、あれ入ってるんでしょ、甘いということは」
マチが小声で視子に問いかける。
その顔は眉をひそめて赤ずきんから顔を背けてる。
「……えぇ、そうよ」
「そっか、うん、害がなくて美味しいならなんでもいいよ」
マチは少し口を手で覆う、一方で博士はケーキを食べる赤ずきんを微笑ましそうに見守りながら、タイミングを見計らって声をかける。
「赤ずきん、今日は他にもプレゼントがあるんだよ」
「ほんと!?、なに?」
「ハルくん」
「へーい」
ハルは大きな包みを渡す、それに「なにこれ?」と疑問を口にしながらそれをばりばりと豪快に破る赤ずきん。その中に入っていた物は。
「わぁ~……おっきなハサミ……」
赤ずきんの身長ほどの大きさのハサミを、赤ずきんはしゃきんしゃきんとその刃を鳴らす。本体は黒く、刃の部分は白い。そういえば赤ずきんには無かったな、武器、マチには自作のマッチ棍棒、[通称は巨大マッチになったけど]とも言うべきやつがあるけど。
「赤ずきん、それはハルくんが作ってくれたお前のための武器だよ、マチく」
「くん付けはやめていったよね」
マチは博士の言葉を遮る、男に使うやつだからね、マチも一応女だ、なんかやだなんだよね、シンデレラほどレディにはなりたくないが。
「すまないね、……話を戻そう、マチの巨大マッチで戦ってることを話して自分もそんな武器がほしいとよく言ってたからね、それにこれで多くのメルヒェンを倒すことができる」
博士の言葉を聞いた赤ずきんは目を見開いた
メルヒェン。人間を捕まえて拷問する、悪いやつら。マチ達が倒すべき敵。正直雑魚だからマチは何の殺意も敵意もわかない、例えるなら、虫に敵意を向けるのかってやつ、極度のやつならまぁいるんだろうけどさ。
「博士! これ 早く使いたい!」
「落ち着きなさい。なにも今日でなくてもいいだろう」
「ううん、今日! すぐに!」
「はぁ……マチ、きみからもなにか言ってくれ」
マチは苦笑しつつ、赤ずきんに近づいて声をかける。なんだいつものか。
「おちつけ赤ずきん、直情的な行動は身を滅ぼすぞ。て、何回目かなこの五年で」
「むー!、あたしはすぐにこれを試したいの!」
「むぅ、今回は頑固だな、そのハサミ試作品でしょハル」
「あぁ、だからとりあえず使ってみてから色々と改良してかなきゃいけねーんたよ」
「ハル、何故より背中を押す発言を……」
「じゃあとりあえず使ってみればいいじゃん!」
「ほら」
まぁ今までより簡単に、多く殺せるんだ、本能的なものが騒いでるんだろ、さてどうしようか。
マチは頭を抱えて考える、そんな様子に博士はこちらも困ったようなため息をつきながら提案した。
「仕方ないな……水族館に行かせてみるか。あそこなら、あまり奥まで行かなければ大丈夫だろう」
あぁ、確かあそこは浅いところなら水の中以外なら自由に動けないやつらだし試し切りにはいいね、ナイス博士、けど止めて欲しかったとは思うけど。
「ハルくん、自警隊から何人か選んで一緒に行ってやってくれ」
「へいへい……」
「お父さん、行っていいの!?」
「ああ」
「じゃあ博士、マチも一緒に行かせてくれないか、何時ものストッパーとして」
「ああ。願ってもないことだ、きみが一緒なら大型メルヒェンが出ても大丈夫だろう、ただし、ナイトメアに出会ったら無理せず逃げる。そして」
「スナークには絶対に手を出さない、だろ、それくらい耳にタコできるくらい聞いたさ」
まぁ実際のところ、ナイトメアやスナークとは一度戦いという欲求はあるけど、よい非現実感が味わえそうだし。
シンデレラにも同意をえようとそちらに向くと、なんか寂しそうな目をしていた。
「それじゃあシンデレラはお留守番か?、まぁ赤ずきんよわがままにお前まで関わる必要ないしな」
「ちょっと、勝手に決めないでくださいまし?、それなら……わ、わたくしも行きますわ!」
そう言うよな、まったく変わらないな、まぁそういう兎的なところが良いんだろうけどね。
「ありがとうな、シンデレラ」
「──!」
マチは笑顔でお礼を言うと、シンデレラは顔を赤らめて笑顔で返答した。
「それでは3人とも、気をつけて行ってらっしゃい。お前達は私たちの大事な娘なのだから」
「うん! 行ってきます!」
「待てやおい、バカずきん、先走るのはお前の悪い癖だぞ」
赤ずきんのそういうところは嫌いだけど好きでもあるな、暇にさせてくれない、そういうところは。
「バカじゃないもん! 離せー!」
「赤ずきんさん、本当にそういうところ治しましょ?」
「はぁ……行くぞ」
走りだそうとした赤ずきんの首根っこを掴んで引きずりながら、マチはシンデレラと共にハルに連れられて隣の部屋に消えていった。ダンジョンに向かうメンバーを選びにいったのだ。
後に残されたフユが、博士に冷たい声で語りかける。
「ずいぶんと、簡単に3人とも向かわせますねー、大事とか言っておきながら」
「……仕方ないんだ、人類をこの監獄から解放されるためには、彼女達の力を借りるしかない」
博士は杖をついて、傷をおった右足を引きずりながら、傷ついた右目に触れる、それは黎明が一度全滅したときに負った傷である。
「本当に、博士は監獄脱出について熱心ですね」
そう言ってフユは自分の研究室に続く扉に目を向けた。