詭弁ですよ!ヤオヨロちゃん!   作:名は体を表す

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なんか日間ランキングに乗ったせいか評価がうなぎ上り!
評価も赤一色のままでイイゾ~コレ。

(最近ジャンプも単行本も読んでないって言える雰囲気じゃねえなコレ)


おっすお願いします!んで何で俺を指名したんすか!

「コスチューム持ったな。本来なら公共の場じゃ着用厳禁の身だ。落としたりするな」

 

「はーい!」

 

「わーい!」

 

「返事は伸ばすな、『はい』だ芦戸」

 

 俺は!?

 

「一々反応しない。成程、相澤先生は合理的だな」

 

「どういう意味だめっちゃん」

 

「自分で分かってるだろう」

 

 思わず(´・ω・`)となった。お前、まるで聞き分けの無い子を叱るかのような……。

 

「モモちゃんは何処に行くんだっけ?」

 

「リューキュウ事務所ですわ!色々考えたのですが、やはり受けた指名の中で一番トップに近い方の方が学べることが多いと思いまして!」

 

 職場体験に気合が入ってるのか、さっきからずっとプリプリしてる。皆がヤオヨロちゃんを見る目が心なしか優しい。

 

「……ところで、結局詭弁さんは何処に行くのかを言ってくれませんでしたね……」

 

「ん?ああ。俺も何処に行けばいいのか分かんねえから」

 

「はい?」

 

「だから俺はこの駅から何処に行けばいいのか分かんないって事」

 

「……えー、と。冗談の類ではなくてですか?」

 

「おう。なんせ俺の職場体験先は『居たァーー!!!』声でっか」

 

 改札の内側から特徴的な耳を携えた、小麦色の肌で白髪ロング、赤眼の女性がズンズンと歩み寄って来た。

 

「よォ!お前が詭弁答弁か!テレビで見たよりタッパあるなァ」

 

「どうもミルコさん。テレビで見た時より脚ムッチムチですね。モモちゃんのくびれより太くない?」

 

 そう、彼女こそが俺を指名した中で最も強いヒーロー。『ミルコ』だ。俺と並んでると頭一つ分小さいな。

 

「き、詭弁お前ラビットヒーロー『ミルコ』から指名受けてたのかよ!!!」

 

「ラビットヒーロー『ミルコ』!単独でのヒーロー活動でビルボードチャートTOP10入りしてる、名実ともにNO.1女性ヒーローだ!詭弁君そんなところから指名貰えたなんて凄い!」

 

「(意外とちいせェ)」

 

「……詭弁さんは、()()()褐色肌がお好みですの……?」

 

「ヤオモモがまた闇を噴き出してる!?」

 

「……やはり?」

 

「あ、あ~、ミルコさん。何で俺に指名入れたんですか?」

 

「あァ!?お前が鍛え甲斐のありそうなサンドバッグっぽいからだ!」

 

 ミルコの周囲の時間が止まる。

 

「はい?さんど……?」

 

「テメェのオヤジには前に辛酸舐めさせられてなぁ……!今思い出しても腹が立って来た!」

 

 俺の親父は若きミルコに何をした。……いや、今も十分若いのだが。

 

「……いや、私怨なら親父に直接行けぇい」

 

「もう行った!アイツ枯れ枝みたいにすぐ折れやがるから蹴り甲斐ねえんだ!その点お前は中々に頑丈そうだからなァ……楽しみだ♥」

 

 ニタァと口を歪めるミルコ。俺は何をさせられるのでしょうか。

 

「ヒェ……あの、相澤先生、俺体調不良で休んでいいですか」

 

「腐った性根叩き治されて来い」

 

「教職者が暴力推進するなよぉ!!」

 

「ヒーローになるなら必要な事だ。さっさと行け」

 

 シッシッ、と手を振られMK5(マジでキレる5秒前)

 

「なあに、足腰立たなくなるまで一週間ミッチリ私が鍛えてやる……!さあ行くぞ!!」

 

「職場体験とは!!!?というか何処に行くの!?ねえ!?」

 

 そのままミルコに首根っこひっ捕まえられ、引きずられるように何処かに連れていかれた。

 おい誰だ今ドナドナ歌った奴。でんちゃんか。覚悟しとけよ……

 

 

 

「……嵐みたいな奴が台風に連れてかれた」

 

「一週間後生きてるかなぁ」

 

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

 

「はははっ!結局お前も乗り気じゃねえか」

 

「ミルコさんに引きずられたままでいるより一万倍マシです」

 

 あの後何とか立ち上がって普通に歩きだした。

 歩きだしたはいいけど何処に行くんです?

 

「お前、私の活動体系は知ってるか?」

 

「事務所もサイドキックも持たないフリーランスってヤツですかね」

 

「そうだ。基本的に私は要請が有れば全国何処にでも向かう、要請が無い時も勘で色々なところに向かう」

 

「勘」

 

「勘だ。私らプロヒーローの給料は歩合制でな。まあ雄英ならそこらもしっかり教えてるだろ。私が一から全部教える意味もないな」

 

「はぁ……で、何処に向かってるんですかね」

 

「プロヒーローっつってもヴィラン退治でもないのに街中で個性を使った訓練なんて出来ねえからな。存分に身体を動かせる場所がある」

 

 そうして連れてこられたのは、小さな体育館のような場所だった。

 

「ここはプロヒーロー用の訓練室みたいなもんだ!喜べ今日は貸しきりだぞ!」

 

「……それって一日中ボコボコにするという宣言ですか?」

 

「そうだ!気合い入れないとすぐ死ぬぞ!」

 

「ヒーローに殺されるん俺?」

 

 中に入ると思ったより広く、何より頑強に作られているのが分かった。

 そっかー、そうだよなー。普通この手の施設って有料だよなー。予約制とはいえ、雄英が訓練室やトレーニングルームを無料開放してんのがおかしいよなー。

 

「さあ、さっさとコスチュームに着替えろ!」

 

「え、あっはい。……更衣室は?」

 

「時間がもったいねえ!別に見られて困るような身体してないだろこの場で着替えろ!」

 

「うっそーん」

 

 まあ、普通に鍛えているから見られて困ることは無いと言えば無いですけども。

 渋々その場でサッと着替えた。俺のコスチュームは言うなれば応援団長!!ってな感じで、黒の長ランに白いハチマキ、首から笛を下げて白い手袋をはめれば着替え終了。丈夫な事と見た目以上に動きやすい事、後長い袖に対ヴィラン用捕獲ネットを仕込んでいる以外に機能は無いのだよ。

 

「よし!さあやるぞ!」

 

「うーんミルコも早速病かぁ」

 

 雄英の教師陣を中心に流行している早速病、まさかのプロヒーロー共通だった件。

 んニッ!とミルコが笑ったと思った瞬間、ミルコの姿が消えた。

 

「嘘でしょ?」

 

 と言いきる間もなく、顔を触られたと思った瞬間勢いよく突き飛ばされた。

 

「どうしたオラァ!まだ準備運動にもなっちゃいねえぞ!」

 

 んもー本当に流石トップクラスのヒーロー。全く影も見えやしなかった。これでもし今のが腕の押し出しじゃなくて本気の蹴りだったら今頃この体育館の壁に汚いオブジェが出来上がってたところだ。

 

「ん、痛くない。効かない。俺は強い。俺は速い。俺は、最強だ」

 

「何ブツブツ言ってんだァ!?」

 

 勝ち気なバニーことミルコは、なんと言うか体術特化のカッちゃんレベル90くらいに思っておこう。なにそれ無理ゲー。

 

「オラァ次行くぞ!今度は反応してみろ!!」

 

 っだぁん!と床を蹴り抜くミルコ。さっきの一撃より少し早くなっていたが、今度はしっかり見えている!

 

「ミルコやっぱ乳揺れプッ」

 

「っらぁ!!あぁ!?今なんか言ったか!?」

 

 しっかり見えているけど身体が反応出来るとは言ってない!!勢いよくバルンと揺れる胸は見えた!

 

 その後、何度も何度も突き飛ばされながらも揺れまくる乳や尻を見て、何とか反応しようと思っても俺の身体は思考速度についてこなかった。

 

「ッチ!これじゃあ本当にサンドバッグと変わんねえな。おい!少しは個性を使って反撃でもしてみろ!!」

 

「うっぷ……むちゃくちゃ言いよるで……」

 

 何度も突き飛ばされた影響で絶賛気持ち悪い。胃の中身をリバースしてないのは、単に朝飯を食ってないだけだ。

 

「ヴェ、はぁ、マジでさぁ、酷いわぁ。こちとらまだ高一やぞ、それなのに良い大人が転がしにくるとか、ないわぁー」

 

「あァ!?」

 

「無理ゲーだぜ、あー無理無理、無理無理無理のかたつむり。やぁってらんねぇー」

 

「っチ!体育祭で見たときは多少見所があるって思ったが見込み違いだったぜ!」

 

「そーそー、俺みたいなのがさぁ……何も馬鹿正直に正面から突っ込むのは、それこそキャラじゃないんで!」

 

「っ!?」

 

 例え相手がプロヒーローだとは言え、やられっぱなしは性に合わない。

 

 やる気亡き呟き(ダウナーツイート)

 

 受けた相手は身体中の戦意や気力等、いわゆる『やる気』を奪われる。ダラダラと動き、楽な方楽な方に転げやすい。

 全く酷いデバフだが、このまま良いようにやられっぱなしは男としてあり得ない。少なくとも突き飛ばされた回数分は乳や尻を揉ませてもらう気で攻める。

 

「くっ!?中々生意気な個性だ面白ェ!」

 

「面白い?恐ろしいの間違いだろ!おれの個性はただ聞くだけで効果を発揮する!耳の良いミルコは特に俺の声に過敏に反応するのさ!ほぅら、耳元で囁かれるのはどんな気分だ?」

 

「っ!離れろ!!」

 

 ミルコが両腕を突きだし、空を打つがそこに俺は居ませんよ。

 

「ははは、俺はずっとここに立ってるよ!今、ミルコはどんな音も聞き逃さない程に聴覚が敏感になっている。足が床を蹴る音、建物の外で子供たちが遊んでいる笑い声、おっと!今、遠くで誰かがくしゃみをしたな。衣擦れの音や、呼吸する音、心臓の音がどんどん大きく聞こえる。すると今度は不思議な音が聞こえてくる。小さく、小さく囁くような子供の声。笑っているようで、泣いているようで、怒っているようで、それでいて何の感情も届かない程に暗い声。ミルコ、ミルコ、どうして、どうして。子供の声は一人、また一人と増えていき、終にはミルコを取り囲むほどに大勢の子供がミルコに囁き掛ける。ミルコ、ミルコ、どうして、どうして……」

 

 ミルコの顔色が一気に青ざめていく。俺の言葉を引き金として、今ミルコには本当に子供の声が聞こえている。それがミルコ以外に聞こえない幻聴だとしても、そこに、居る。

 

 嘘八百万(うそはちミリオン)

 

 俺が話した内容を実際に起きていることが如く深く思い込む。無論、あまりにも荒唐無稽な事を思い込ませる事は出来ないが、言葉を重ねればそれに似た事が出来る。

 子供の声をチョイスしたのは、ミルコは小さな子供に人気のヒーローだから。沢山の子供に囲まれるような経験はしたこともあるだろうし、何よりミルコが想像しやすそうだったから。

 

 ジワジワと毒のように効いてくるやる気亡き呟き(ダウナーツイート)嘘八百万(うそはちミリオン)のコンボによってフラりとよろめくミルコ。相手はプロヒーローのランカーなんだ。手段を選んで勝てる程俺は強くなければ、ミルコは弱くない。

 

「耳を塞ぎたいか?塞いでも無駄だ。その声は小さくても、心の底の叫び声なのだから。『ミルコ、ねぇどうして、どうして……』」

 

「くそっ!今まで出会ったことのねェタイプだ!テメェがヒーロー志望で良かったよチクショウが!」

 

 罵声を出すことで必死に気力を絞り出してるようだが……もう、遅い。錯乱して前が見えていないミルコに近づくのは容易かった。

 

 

「『ミルコ、ミルコ、どうして、ねぇどうして……

 

 

 

 

 

 どうしてウサギの尻尾は真ん丸なのぉぉぉぉ!!!!!

 

ぴゃあああああっ!!!?

 

 

 

 

 

「あっ……その……お、思ったより可愛い叫び声でしたね」

 

「死ねェ!!!!!」

 

「お"ぜふ"ん"!?」

 

 ミルコの本気のソバットによって壁までぶっ飛んで行き、俺は勢いそのままに壁のきたねえオブジェになった。

 

 

 仄かに香るアンモニア臭と共に俺は意識を失った。

 




ムチムチミルコは良いですね。ですがガチムチミルコの方が好きよ。
こういう時キャラ崩壊タグはほんと便利ですねぇ。
ミルコよし!(現場猫)


今後の参考にするのでアンケートにご協力ください。

なんやかんやでミルコのお世話になる詭弁くん。さて、今後の展開は?

  • ミルコの動物的勘で保須市
  • ミルコとマンツーマン濃密トレーニング
  • そんな事よりおっぱい揉もうぜ!
  • は?尻以外ありえないだが?
  • ミルコで脱童貞ってのもええなぁ

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