詭弁ですよ!ヤオヨロちゃん! 作:名は体を表す
「……詭弁さん。ここが食堂で、周りに多くの方が居ると承知の上での発言でしょうか?」
「気になったことは何でも聞いてください!……って言ってたモモちゃんはどこにいったのでしょうね」
「それは勉強の話です!!決して私の身体についての質問に答えると言う意味ではありませんわ!!」
ヤオヨロちゃんと一緒に食堂で昼飯を食べながら、前から気になっていた胸の大きさについて質問したらこれだよ。
「……あのなあモモちゃん。例えばここでリッちゃんが筋肉晒して『最近筋肉の付きが悪くなってきてよー』って言っても別に違和感ないだろ?あっリッちゃんってのは砂糖の事な」
「それは分かってますが……男性の筋肉のお話と女性の胸のお話は全く違いますわ!」
「男女差別は良くないぞモモちゃん!!」
「こういうことは男女差別とは言いませんわ!」
「分かってないなぁ。公共の場で、男は良いけど女はダメ……なんて男女差別そのものじゃないか」
「うっ……い、いえ、今日という今日は騙されませんわ!」
「騙すもなにも、例えば『ヤオモモちゃん髪キレー!シャンプー何使ってんの?』って聞いてきても普通にこたえるだろ?」
「それは勿論ですわ」
「『あーそのミサンガかぁいいー!』って話も普通にするだろる」
「え、ええ……まあ、しますわね」
「『爪キレーだね!』とか大きい声で話してる奴だって居るだろ?」
「確かに居ますが……」
「なら『おっぱい何センチ?』だけがダメな理由を教えてくれよ!」
「それはっ……!と、とにかくダメですわ!!」
「……ほー。『とにかくダメ』と。なるほどなるほど。まるでそれが一般常識かのように言うんだね?」
「かのようにって、普通に一般常識ですわ!!」
「ん、言いたいことは分かった。ならここで俺が『おっぱい何センチ?』に類する言葉をモモちゃん以外に聞いて、怒られなければそれは普通の一般常識ではないと認めてくれるね?」
「っ……いいでしょう!詭弁さんが他の方におっ……その、胸部の大きさを聞いて、怒られたのなら一般常識とお認め頂けますわね!?」
「あい分かった。じゃあ早速聞いてこようじゃないか。じゃとりあえずお先にー」
「って、いつの間にお食事を終えられてましたの詭弁さん!?」
食堂の中は混雑しているというのに不思議と周りに誰もいなかった席から少し離れ、お目当ての人物に早速聞いてみる。
「リッちゃん!大胸筋何センチ?」
「はっ?え、90くらい……だと思うぞ?」
「それはあまりにも卑怯ではありませんか詭弁さん!!!」
ヤオヨロちゃんがわざわざメガホンを使って声を届けにきたので、しぶしぶヤオヨロちゃんの席まで戻る。
「ちゃんとモモちゃんの言う通りに『胸部の大きさ』を聞いてるだけじゃん!」
「ズルいですわ!それはズルいですわ!!」
「何がズルいのか言ってみろ!俺はちゃーんとモモちゃんの言う通り『胸部の大きさ』を聞いてきただけじゃん!言わないと分からないよ!ちゃんと『おっぱい』の大きさを聞いてこいって言わないと、ちゃんと『
「そ、そんなはしたない事を言えるわけがないですわ!?」
「何がはしたないって?」
「そ、その……おっぱい……などと……」
「きーこーえーまーせーんー!!」
「君たちイチャつくなら余所でやろうね」
「「はい先生!すみませんでしたッ!!」」
食堂からダッシュで(歩いて)出る俺とヤオヨロちゃん。教室に戻る道すがらもヤオヨロちゃんをからかうのを止めない。
「俺達が怒られたのは食堂という公共の場で大声を出していた所為であるからして、『おっぱいの大きさを聞くこと』なんかよりも遥かに普遍的な一般常識であると認めてくれるね?」
「それとこれとはまた違う話ですわ!」
「違わないさ!公共の場で大声を出すのは周りの人に迷惑なだけだけど、おっぱいの大きさを聞くことなんてありきたりな話題の一つだからね!」
「おっ、ぱい……の話題がありきたりな話題な訳ありませんわ!」
「なんでもかんでも否定するのは良くないぜモモちゃん!胸の内をさらけ出すのはこみゅぬけーしょんの真髄だぜ?セレブリティなお嬢様にそんな経験なんてなくても、自分の身体的特徴を笑いに変えられる奴はいつだってクラスの人気者さー!オールマイトも言ってるだろ?『ユーモアは力だ』って。デカイおっぱいの一つや二つで相手が笑ってくれるんなら、ヒーロー冥利に尽きるってもんだろ?」
「えっ、えっ?そ、そういうものなのでしょうか……?」
「そういうもんだ!恥ずかしいとか、みっともないとか全部捨て置け!おっぱいのサイズくらい大声で言えるくらいの気概を持とうぜ!」
「えっ、その……わ、分かりましたわ……?」
そんなこんな話してたらA組のドアの前に着いていた。
「さあ、善は急げ!セレブリティなモモちゃんに庶民ユーモアってのを実際にみてもらおうか!じゃあモモちゃん、一旦教壇の前に立ってておくれ!」
「えっ、あ、はい」
素直なヤオヨロちゃんは、言う通りに教壇の前に立って不安げにこちらを見ている。教室の空気は『またあいつらか……』と冷え気味。ヒーローは挫けない。
バン、と教室の扉を開けて高速ステップでヤオヨロちゃんに近づく。誰かが「ヒェッ」と短い悲鳴をあげるが気にしない。
ガッ!と足が縺れてヤオヨロちゃんの前で激しく転倒……する直前にヤオヨロちゃんが「危ないですわっ!」と豊満な胸で受け止めてくれる。優しい、好き。
「……あの、詭弁さ「歩行者用エアバッグ!!!」……えっ?」
「万が一の時でも安全、
「……えぇ……」
教室の空気が氷点下だがヒーローは挫けない!(涙目)
ヤオヨロちゃんを支点に飛び、背中側から回ってヤオヨロちゃんの股下を潜り持ち上げる。所謂肩車状態になる。
「ちょ!?詭弁さん!!?」
「八百万モモ肉!!」
肩車しながらヤオヨロちゃんの太ももを強調するように屈んで立つ。腰がヤバイが重いなどとは死んでも言わない。教室の空気は死んでいるが。
「……詭弁さん?」
ビキッ、ビキッ、と上から謎の音が聞こえる。ヤオヨロちゃんの顔が見れないぜ……。ヒーローは挫けない(震え声)
「八百万バラ肉!」
「えっ、ひゃん!!」
肩車したままヤオヨロちゃんのお腹回りの肉を掴む。……嘘だろ毎日あれだけ食って贅肉の類がほぼ無い……だと……?
しかし教室の空気は相変わらずマイナスケルビン。これはもう最終手段を切るしかない!
「八百万むねに”っ」
長い舌のような物がポグッと俺の
「(アカン、思わず吹き出してまう所やったっ……!あの空気で
「お茶子ちゃん?」
「ん”っ!何でもない!何でもあらへんよ!!」
こいつらコレでまだ付き合ってないんだぜ?
ナード系主人公「口八百万丁の個性は、主に相手の精神に作用させてバフ・デバフを掛ける事が出来る個性だよ。相手を挑発して単調な攻撃を誘ったり、味方を鼓舞して場を有利にしたり、災害現場でも一斉に多くの人を安全な場所に誘導したり、専門的な知識の無い一般人に指示出しして救助現場のサポートに役立てたりと幅広く活躍できる凄い万能個性なんだ。更に例え周りに誰も居なくても発声による自己暗示で能動的に火事場の馬鹿力を発揮できるんだ。その上八百万さんが言うにはフルマラソンしながら寿限無を噺せるほどの肺活量お化けなんだって。弱点としてはあんまり格闘術が得意じゃないみたいで、一対一の接近戦になると凄く苦しいみたい。だからヒーローコスチュームには短距離用の捕獲網が仕込まれてるんだ」
セクハラの呼吸「何で俺より俺の個性に詳しいんキミ」