詭弁ですよ!ヤオヨロちゃん!   作:名は体を表す

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コロナが流行ってますが、私の中でエロナ熱が再発してます。全て某カオスシェイプが悪いんや……

血生臭いとがちゃんルートも良いけど、純愛(意味深)ルートもええなぁ……


ここはどこですか!

 はっ、と気がつけば、硬いなにかに覆われたような空間に閉じ込められていた。やぁー……なぁにここ。

 づっ……あぁ、そう言えば鉛玉二発撃たれて、腹にナイフがブッ刺さってたんだ……。

 小さい声で『大丈夫』『治る』『痛くない』と自己暗示をする。痛みは収まり、傷も閉じた……気がする。

 

「あーあー、こちら『コンプレス』。目標の一人を回収した」

 

 外の声が聞こえる。この声は、俺が意識を失う直前に聞こえた声の主だ。こいつが俺をここに閉じ込めているのだろうか。

 ……今、目標の()()っつったか?

 あー……くそ、傷を塞ぐための自己暗示は身体に相当負荷がかかる。何より精神的につらい。思い出したくもない地獄を思い出してしまうから。

 何もやる気が起きない。ヴィランに捕まっている現状は最悪だが、今は何かやる体力もない。

 硬い地面に横になり、少しでも体力を回復させる。外の声が聞こえるってことは、内側からの声も届く可能性があるのだから。

 

 機会を、待つ。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「八百万!大丈夫か!?」

 

「はぁっ!はぁっ!まだまだ行けますわっ!!」

 

「ネホヒャン!!」

 

「くそっ……凍らせてもすぐに戻る、コイツも再生個性持ちか……!」

 

「くっ……致死性のある攻撃はしたくはなかったのですが……轟さん!あの脳無の脚をガチガチに凍らせて下さい!!」

 

「っ、何か策があるんだな!」

 

 パキパキパキッ

 脳無の下半身を完全に氷で閉じ込める轟。

 

「ネホヒャン!」

 

 バキッ、バキッ、とすぐに氷が剥がれていくが、その隙に八百万が創造した大砲で氷ごと脳無の足を粉砕した。

 

「……容赦ねえな」

 

「あのままでは私たちだけでなく、他の誰かにも危険がありましたわ。……それに、怪物とはいえ誰かを殺める結果にならなさそうですわ!」

 

 ボゴッ、ごぽっ、異音を立てながら粉々に粉砕した脳無の下半身が復活する。

 

「まだ倒れねぇのか!」

 

「ですが先程よりも脚が貧弱になってますわ!轟さん、もう一度!今度は上半身ごとお願いしますわ!!」

 

「マジか、人使いの荒い……ふっ!」

 

「ネ、ホヒャ」

 

 先程よりも大きな氷に包まれた脳無は、暴れるように氷を破壊しようとする、が、二発目の大砲によって上半身も粉々に粉砕した。

 それでもごぼっ、ボゴゴッ、と異音を立てて復活する脳無だが、先程よりも遥かに細い身体に変化していた。

 

「ホ、ヒャ」

 

「しぶてぇな……」

 

「ですが明らかに弱体化してますわ!今なら……!」

 

 八百万が創造した大砲から、対ヴィラン用捕獲網が発射される。それは脳無に絡み付き、脳無を引き倒す。畳み掛けるように鋼糸と鉄杭を創造し、倒れた脳無を地面に固定する。

 

「轟さん!地面ごと脳無を凍らせて完全に固定させてください!」

 

「……容赦ねえ……」

 

 そうして脳無を完全に拘束した直後、少し離れた場所で木々が薙ぎ倒される音が鳴り響いた。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 あれから、どれくらい時間が経ったか。自分の身体が見える程度の薄闇に包まれ、どれだけ時間が経過したかはよくわからない。心臓の鼓動による時間測定方法も、今の暴れ狂う心臓じゃ無理だ。たぶんもう9時過ぎてるんだろうが、身体が辛すぎて眠気なんて欠片も無い。

 

 がさがさ、ごそごそ、外側で何かが鳴る。何かが鳴っていたが、急に全ての音が止まった。

 しん、と自分の血が流れる音しか聞こえない。

 俺を捕らえた奴は、そういえば音もなく近付いてきてたな。何かを狙ってるのだろうか。何を?決まってる。俺以外の()()って奴だろう。それが誰かは分からないが、それはきっと生徒の誰かなんだろう。

 

「ははは……」

 

 あー、俺は静かな空間ってのは嫌いなんだ。図書室も嫌いだし、映画館で映画が始まる直前も嫌いだし、中学の時に連れてかれたどっかのチェーン店ラーメン屋も嫌いだ。黙ってる、静かにしてるなんて、俺の性に合わない。

 

「ははは!!」

 

 そう。俺は元々ワガママなんだ。どうせなら賑やか、華やかに騒いだ方が良いだろう?お前らみたいな隠れて、こそこそして、静かに暗躍してる日陰者のヴィランとは反りが合わないかもなぁ?

 

「ははははは!!!!」

 

 俺はここだ。ここにいる。黙らせたけりゃ個性を解除してみやがれ。テメェの鼻っ面ブチ折ってやるよ。

 

「あははははははは!!!!ははははははははははは!!!!

 

 

「っ!今の声は詭弁……誰だ!」

 

「なっ、嘘だろコイツ!?俺の奇襲作戦台無しにしやがって!?」

 

「ヴィランっ!?」

 

「チィッ!ここは一旦退くか……」

 

「待てやクソヴィラン!!!」

 

「ダメだかっちゃん!深追いしたら……」

 

「オレに指図すんなクソデク!!!」

 

 

 ああ、痛みがぶり返して来やがった。無理矢理閉じた傷口が熱くて狂いそうだ。頭がガンガンと騒いでうるさくて仕方ない。外で誰かが話しているのは分かるが、それが誰なのか、何を話してるのかが分からない。

 

 あー……くそ、結局俺はまともに喋ることも出来やしねえのか……。

 

 あぁ……、くそ…………ねむ…………ぃ…………。

 

 

 

 

 

 

「起きろやクソ口!!!」

 

 カッちゃんの呼ぶ声で、深く沈んでいた意識が浮上する。だが目蓋は鉛のように重く、目を開けることが難しい。

 

「詭弁くん!!」

 

 いずくちゃんの呼ぶ声で、今俺が首を掴まれて立たされている事を自覚した。腹の刺し傷から、じくじくと血が漏れ出る。

 

「詭弁!!」

 

 しょーちゃんの呼ぶ声で、目に力が入る。俺の所に三人、ヴィランが合宿場所に襲撃しに来たんだ。ならもっとヴィランが居る可能性の方が高い。んな中でモモちゃんに怪我負わせてたら許さねえぞ。

 ……なんて、肝心な時に何の役にたてない俺がどうこう言う権利なんてある訳無いのにな。

 

「詭弁さん!!!」

 

 モモちゃんの呼ぶ声で、ようやく目蓋が開く。モモちゃんは個性を使い過ぎたのか、直前に見た時よりもかなりやせ細っていた。だが怪我らしい怪我は無く、しょーちゃん()ちゃんと守れたって事なのだろう。

 

モ、ちゃ……無事で……良……」

 

「詭弁さんッ!!!」

 

 視界の隅から黒い霧が覆ってくる。モモちゃんが手を伸ばしてくるが、俺に届く前に俺の身体全てを黒が覆った。

 

 

 

 やっぱり俺じゃあ、守れないんだな。

 様々な()が混ざって黒くなった心ごと、身体は何処かへと引っ張られていった。

 

 

 




と言う訳で詭弁くんだけがヴィラン連合に連れ去られました。
詭弁くん闇堕ちルートが解禁されたゾ(書くとは言ってない)

さて、ヤオモモがネホヒャン倒したせいで発信機無しでヴィラン連合のアジトをつきとめなければなりません。どぉ~したもんかなぁ~~~~~!

ほんとはマスタードくんボコボコにするB組書きたかったけど、ンなん書いてると投稿いつになるか分からんから断念。んぇ。

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