詭弁ですよ!ヤオヨロちゃん!   作:名は体を表す

24 / 46
思いつきのオマケ回


「んぅ……じゃぁアレでいこっか」
「アレですか。確かに今回の状況には良いと思いますわ」


もしも詭弁くんヤオヨロちゃんがヴィランだったら

「ようこそ名も無きヒーロー諸君!!我が名は『ナイトメア』!これから君達に楽しいアトラクションを案内してあげよう!!」

 

 ビルの屋上から見下ろし、眼下のヒーロー二人を出迎える。常に()()()()()を気にしながら、手元のコントローラーでカメラドローンを操作し続ける。

 

「さあヒーロー諸君!君達の力、知恵、勇気を見せて貰おうか!おっと、案内には素直に従った方がいいぞ?案内用ドローンに武装を施している!それに、こんな街中で核爆弾を爆発させたくないだろう?お互い時間が限られてる身だ、遠慮無くドローンに着いてきてくれたまえ!!」

 

 ドローンを操作すると、画面には困惑しきっているヒーロー二人の顔がよく写っていた。

 一人は道着のようなコスチュームを纏った、尻尾が特徴的なヒーロー。もう一人は肌の露出が多めの、ピンク肌のヒーロー。

 その2人の前でドローンを揺らすように操作し、意識を目の前のドローンに移させる。

 ドローンはそのままビル内部に移動させ、ヒーロー二人がドローンを追いかけてきているのを確認した。

 

「……よし、作戦続行だ」

 

『了解ですわ』

 

 ドローンを追いかけてきたヒーロー二人が規定のポイントに着いたのを確認して、マイクのスイッチを入れる。

 

「さぁヒーロー!目の前にあるのは挨拶代わりの第一関門だ!張り巡らされたワイヤーをくぐり抜けて二階に上がってこれるかな?ワイヤーに触れたり、壊したりしたら容赦無いオシオキがまってるぞ!せいぜい気を付けて焦って来たまえ!」

 

「た、短時間でよくこんなにも罠を張れるな……」

 

「うわぁ!なんか面白そうだね!」

 

 ヒーロー二人がワイヤートラップ地帯を慎重に、かつ素早くくぐり抜けていく。うーん流石、身のこなしは鍛えてあるのだろう。……だが、それでは()()()()()()()ので、ちょっとした()()()()()()を起こして貰おう。

 

「んってなわけでよろしく」

 

『はい』

 

 パスっ、と小さな音が鳴り、豆鉄砲がワイヤーの一つを弾いた。

 その瞬間、けたたましく大きなブザーが鳴り響き、壁に仕込んだ電撃トラップが作動。ワイヤーが大きく動き、ワイヤーに触れたヒーロー二人にバチバチ電撃が走る。

 

「おおっと!?なんということだ!慎重にワイヤー地帯を進んでいったが、不覚にもワイヤーに触れてしまったぁ!!そんな迂闊なヒーロー達に襲い掛かるのは、ビリビリトラップ!!無慈悲な電流がヒーロー二人を焦げ焦げにしていくぅ!!!」

 

 とは言えまだまだ第一関門なので電撃はこの辺でストップ。

 身体の一部が焦げ焦げになったヒーロー二人をよそに、ドローンは次の階に進んでいく。

 

「さあ第二の関門は立体迷路!ハズレの道にはオシオキがまってるぞ!自分の勘と勇気を信じて進むがいい!!」

 

「くっ……好き勝手して!」

 

「こんな壁なんて簡単に……!?」

 

 男が尻尾を回して壁を破壊しようとすると衝撃を与えた部分の壁が爆発し、破片がヒーロー二人に襲い掛かる。

 

「ははははは!迷路を破壊して進むなんてマナー知らずだな!そんなあんたにはコレ!炸裂壁面!壊した壁の内側から()()()が飛び出る!今回は爆発が飛び出した!さぁー迷え迷え!」

 

 そうしてヒーロー達が必死で迷路を解くのを嘲笑いながらゴールを待つ。

 

「はいハズレー!!トリモチ弾の刑だ!おっとぉそっちじゃないぞ?熱湯風呂の刑!はぁーい残念!チクチク毬栗の刑!そこじゃないんだなぁ!カプサイシンスプレーの刑だ!」

 

 ヒーロー達がへろへろに消耗していくのを眺め、次の関門にご案内。

 

「はぁーいよく来たヒーロー!これが最後の関門……()()()()()()はどれだ!ははははは!本物の核爆弾が上の階と最上階のどちらかに隠れている!探して、()()()()で君達の勝利だ!だがそっくりのレプリカが本物とは別にあり、間違えたほうに触れれば……『サプライズ!!』心臓が止まるほど驚くよ!これが最後のアトラクションだ、当然俺らも妨害させてもらう!さあ、時間はあと3分だ!二手に分かれるか?それとも集中して落とすか?好きにするといい!!」

 

 ハイビジョン映像が、ヒーロー達の眉間に寄ったシワまでくっきり映し出す。さあ、どっちに来るかな?

 

 そうして僅か1分弱、ヒーロー二人は最上階に現れた。

 

「ははは!!コッチに来たか!」

 

「ふざけんのもいい加減にしろ詭弁!」

 

「そうだよ!このドロドロねとねと取れないじゃん!どうしてくれんの!」

 

「ふざけているとは心外な!俺は最近はやりの『劇場型V(ヴィラン)チューバー』を演じているだけだ!みっちゃんの身体に白くべたつく何かをブッカケたのも偶々だよ偶々!!」

 

「トリモチと言ってください詭弁さん……」

 

「っ!?前後挟まれたか!」

 

 最上階に俺、その下の階にヤオヨロちゃんが待機し、もし俺側に来たらこうして挟み撃ち、ヤオヨロちゃん側に来たら仕掛けたトラップを起動して時間稼ぎ、どちらに転んでも優位に立てる位置取りで待ち構えていた。そしてどちらに転んでも、へろへろに疲弊した相手に負ける程俺達はヤワじゃない。

 

「さぁー!決戦を始めようか!!」

 

「行きますわ!お覚悟!」

 

「くっ……芦戸さん、核に触るのを最優先に行こう!」

 

「了解!」

 

 そうして始まった2分弱の攻防の末、みっちゃんの放った強酸を壁に、まっちゃんの尻尾が核を確保した。

 

「ぅわぁ~お!?G・G(グッドゲーム)G・G(グッドゲーム)。お見事!一本取られたぜまったく!」

 

「はぁっ、はぁ、本当に戦いづらい……」

 

「よしゃー!私達の勝ちぃー!」

 

「お見事お見事、よく頑張ったぜヒーロー諸君!ズバリそっちが()()()()()()だ!いやー惜しかったなぁー!ところで勝敗の決まり方、覚えてる?」

 

「えっ……ヴィラン二人の確保、或いは核に触る事……だろ?」

 

「んっん~!正確にはヴィラン二人の確保或いは、『レプリカの核爆弾の確保』だぜ?何度も言っただろ?()()、『本物の核爆弾』だってさ」

 

「……えっ?」

 

「そう!俺の大事なパートナーの紹介がまだだったな!彼女は『マジシャン』!その個性は『創造』!生物以外なら()()()作れるんだ!そう!たとえそれが大量破壊兵器の代名詞、『核爆弾』でさえも!!」

 

「…………えっ?」

 

「そしてこれも言ったな!『間違えたほうに触れば、()()()()()()()驚く』ってな!みんな、ご視聴ありがとう!『劇場型V(ヴィラン)チューバー:ナイトメア』の最期は派手に逝こう!!Everyone、Everybody!Goodbye!!!

 

 そうして手に持った拳銃をまっちゃんが確保した『核爆弾』の弾頭に向けて引き、視界が真っ白に染まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……詭弁さんは趣味が悪いですわ」

 

「そう言うなよぉ!ヤオヨロちゃんだってノリノリで作ってくれたじゃーん!」

 

 拳銃から放たれた銃弾は弾頭を貫き、中に入ってた閃光弾を撃ち抜いた。そうして中身が弾け、閃光が俺達の視界とカメラの向こうにいたクラスメイト、あとオールマイト先生の目を焼いた。

 気絶したみっちゃんとまっちゃんの腕に確保テープを巻いて、試合終了。

 

『……ヴィランチームWIN!だけど君達少しは自重して……』

 

「だ~が断るぅー」

 

 

 




さて、何人失禁したかな?


今回のMVPは詭弁少年だな!ぶっちゃけ引くくらい劇場型ヴィラン役がハマっていたぞ!相手を挑発したり、嘘の残り時間を教えたり、言葉巧みにヒーローチームから選択肢を奪っていく手腕も見事だった!八百万少女も、個性を存分に振るって的確に相手の足止めに貢献していた!素晴らしい!尾白少年と芦戸少女は、個々の能力は良かったがヴィランの口車に乗せられ続けてしまったのは減点だったな!相手が上手だったとはいえ、まんまと策に嵌められてしまった事、途中警戒心を解いてしまった事も反省点だ!これから頑張っていこう!-オールマイト

詭弁さんの個性は機械を通すと効果が半減します。とはいえ個性の影響は有りますので、もし詭弁さんが本気で劇場型ヴィランになり、その動画をインターネット上にアップロードしたら間違いなく固定ファンが増え続けるでしょう。彼の声はとても魅力的ですからね。-ヤオヨロちゃん

んぃ、ヴィランになる気はねーですよ!-クズ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。