詭弁ですよ!ヤオヨロちゃん! 作:名は体を表す
んですのでまあ……適当に。
あ、特に本編には関係ないですが、作者は朝一にハンバーガーでも大丈夫です。
クラクラする頭を抱えながら起床。ああ、そう言えば俺はヴィランに拉致されたんだった……。ヴィランに拉致されることが人生に二回も起こるとは思いもしなかった。
ジャラッ……と冷たい手錠の感覚が手首に感じられる。まあそりゃぁ拘束の一つはしてるよなぁ……。他に身体の何処かが拘束されてないか、身をよじりながら確認してると
「ん……くぅ……」
布団の中で何者かの寝息が聞こえた。恐る恐る布団を剥ぐと、なんとそこには半裸の金髪美少女が。
えっ、嘘過ぎない?
ほのかに香る鉄の匂いが頭を刺激し、再び夢の世界に誘おうとするが気合で起き上がり、ベッドから転げ出る。
ドタドタ暴れてるのに気がついてか、布団の中の美少女が起き上がる。
「ん、ふぁぁ……おはよ、きべんくん……」
にへっ、とふにゃふにゃした顔で笑いかけられ混乱してると、その声に聞き覚えがあるような気もした。
「……トガヒミコ……?」
「はぁい……」
ぐしぐしと目元を擦って、ふわぁ……と両腕をあげて大きく伸びをするトガヒミコ。ヤオヨロちゃん程ではないがそれなりに主張している山二つが更に大きく主張していた。……よく見れば透けてますねこれは。
「……んぁー……トガちゃんや、寝る時はブラ外して髪降ろすタイプなのね」
「んん、まぁ……昔からの癖なので……」
「だからって着るのが白い薄手のタンクトップとパンツだけなのはどうかと思うよ?うん、ましてや知り合ったばかりの異性に見せるもんじゃないね?」
「んへぇ……?」
頭を軽く振って、自分の身体を見下ろすトガちゃん。そしてゆっくりこっちに顔を向ける。
「……ジロジロ見ないでください、エッチ」
「見るなって言うのは、見ても良いって言ってるのと同義ですよ」
「嘘ですよそんなの……」
片腕でうっすら見えてた突起を隠し、ベッドの横に腰掛けるように座る。どうすればいいのか分からないがとりあえずトガちゃんの横に座る事にした。
「……逃げないんですね」
「はっはっは、可愛い女の子から逃げるなんてそんなそんな」
「嘘ですね」
射貫く様な視線が俺の瞳を突き刺す。
「分かるんです、気持ち。特に詭弁くんのは。今すぐここから逃げたいと思ってます。でも、それはヴィランから逃げたいって気持ちじゃなくて、ただ何処かに
「……んだよ、それ」
「
心臓が矢で貫かれたかのような苦しさが俺を襲う。思わず顔を歪めてしまった。そんな俺の顔を見て、トガヒミコは俺の手を掴む。
「詭弁くんから、古くて黒く変色したような血の匂いがします。昨日の傷とは違う匂いです」
「……だから、なんだってんだよ。そんな事聞いて、何がしたいんだよ」
「好きな人の事を知りたいって思うのは、変な事ですか?」
「詭弁くんを刺したいです。刺して、チウチウしたいです。でも、詭弁くんの事をもっともっと知りたいです。教えてくれなきゃ、分からないです……」
トガヒミコが、両手で俺の手を掴む。
「私がヴィランだから何も言ってくれないんですか?」
今にも泣きそうな声で、微笑まれる。
止めてくれ、そんな顔しないでくれよ……。
トガヒミコの顔を、手錠のついた手で押さえつつベッドから立ち上がる。
「わっ」
「腹が減った、流石に朝食くらい用意してくれるだろうな?」
「わっ、分かんないです!」
「……あそ。じゃあ……まぁー手男に聞けばいいか、トガちゃんはちゃんと服着てから来るんだぞ」
「……はーい」
自分の服を見れば、昨日戦ってズタズタボロボロのジャージのままだった。……臭うし、替えの服とかも貰えないかなぁ……。
そうして寝ていた場所から退室する。……
◆
「……朝からハンバーガーって舐めてんの……?」
「文句あるなら食わなくていいぞ」
「ハンバーガー美味いだろ!クソ不味いなコレ!」
「……」
「分かった、お前等ヴィランしてるのって朝一からハンバーガー食う事が当たり前な生活してっからか。オイ、ここキッチンねえのか?」
「BARなので簡単なモノですが……」
「食材は?」
「ある訳無いでしょう。普段から料理しないんですから」
「………………はぁぁぁぁぁぁぁ……分かった、俺が食う分は俺が作る。食材買ってくるから近くのスーパーの場所教えろ」
「バカ言え、お前はオキャクサマなんだ。そう簡単に外に出す訳ねえだろ」
「じゃぁ適当に食材買って来いよォ!!朝一からジャンクフード食うやつの気が知れんわ!!」
「まーまー、偶にはジャンクフードもいいじゃない。お味噌汁も有るわよ?インスタントだけど」
「お前等が勝手に食うなら良いけど俺は育ちが良いから朝一インスタントはヤなんだよ!!」
「(コイツ一々鼻につくな……)黒霧、朝から騒がれても迷惑だ、なんか適当に買ってきてやれ」
「し、しかし……いえ、分かりました」
「……買ってきましたよ」
「ワープゲートの個性便利だな。さて何買ってきたのか………………いや、適当ってか本当にテキトーな……まぁええわ。キッチン借りるぞ」
「……マグネ、一応逃げないように監視しておけ」
「はいはい」
◆
狭いキッチンに俺と大男の二人きり、なにも起きない訳無く……キッチンの片づけから始めてた。
「んもー本当に何なんココ!酒の空き瓶とか片付けとけや!!マグネっていったなアンタ、コレ捨てに行ってくれ!」
「アタシあんたの監視任されてるんだけど……」
「じゃあコレ捨てに行くか俺が捨てに行ってる間キッチン片付けやるかどっちがいい!!?」
「分かったわよ、捨てに行くわよ……もぅ、人使いが粗過ぎるわねぇ……」
「……早く誰か助けに来てくれー……こんな生活三日も続けたら俺ストレスで死にそう……」
そうして何とかキッチンの片づけを終えてようやく朝食を作った。
「お前そんな見た目で料理出来んのかよ!?男らしいな!」
「……旨そうだな」
「さっきハンバーガー食べたけどオジサンこれならまだ食べられそうだ」
「お前等コレ俺の朝食だからな!?」
「わぁー!詭弁くんお料理上手なんですね!!一口ください!!」
「……一口だけやぞ!!」
「あ、じゃあオレも」
「オレにもくれよ!要らねえけどな!」
「アタシにも頂戴?」
「お前等はハンバーガー食っただろ!?」
結局半分以上食われた。おいぃ、これでも育ち盛りやぞ俺……。
「……これ食材買って来るのは私だけですか」
「当たり前だろ。大勢でゾロゾロ歩き回る訳にいくか」
「……はぁ……」
どうしてこうなった!どうしてこうなった!
筆がノったからとしか……。
クズ「卵、豚肉、トマト、ニンジン、青ネギ、豆腐……米はァ!?」
黒霧「なんであんな重い物買わなきゃいけないですか」
クズ「いやお前200gくらいで小分けされてるモンあるだろ……ってか買って来た食材もこれまた統一感の無い……調味料も無い……まあ……何とかなるか……?」
クズ「ヘルシー豚バラ卵とじ丼~フレッシュ野菜に刻みネギを添えて~。ご飯の代わりに豆腐を使いました」
ヴィラン's「うまそう」
クズ「俺の朝食に手を出すんじゃなぁぁい!!!」
詭弁くん、手錠したまま料理するという無駄に器用なマネをするの巻。
こんな時期でも仕事がある。これは良い事なのか悪い事なのか……
唯一つ言える事は、明日早いのになんで俺はまた懲りも無く小説書いてるのか。