詭弁ですよ!ヤオヨロちゃん! 作:名は体を表す
誰か助けてくれ。ラッキースケベで助けてくれ。
エロい心が地球を救うと信じて!
「ゴホッゲホッ!くっさ!なんなんだ!?」
黒い水から引きずり出され、辺りを見回すとさっきまでいたバーとは違う場所に居た。
俺の第六感が、ここはヤバいと告げる。辺りを見回すと、辺りは瓦礫の山。そして何もない所からバシャバシャと黒い水が湧き出し、ヴィラン連合の面々が出現した。
「な、んなんだココ……」
背中から心臓にかけて冷たい針が突き刺さっている様な感覚に襲われる。
固まった身体を無理矢理動かそうとした、その時。凍えるほどに冷たい声が後ろから投げかけられる。
「やあ、詭弁くん。久しぶりだね……いや、
声色自体は、何処か喜色を感じられる声だ。だが俺はその声を聞いて、心臓を掴まれたかのような錯覚に陥った。
「ふふ……その臆病な所は変わっていないみたいだね」
眩暈がする。身体からあらゆる熱が奪われたかのように寒気がする。俺は、この声を
倒れるように転がりながら声の主から離れ、その
そこには、顔の潰れた大男が立っていた。
「そうか、もうあれから8年になるのか。随分大きくなったなあ、あの時の傷は……残ってないようだね」
まるで親戚のおじさんの挨拶のような気軽さで俺に声を掛ける。その
「……おや、まだ気が付かないのか?それとも忘れたいほどのトラウマになっているのかな?ふふ……なら教えてあげようか。今から8年前、君が小学1年生の頃にとあるヴィランに攫われた事を覚えているかな?」
その喋り方は、まるであの時の……
「その時に、君達の目の前で何人も叩き潰して殺した男の、まあ中身と言うか、本体とでも言えばいいか。
呼吸が浅く、早くなる。
「おっと、昔話が長くなってしまうのは年寄りの悪い癖だった」
視界が暗く淀んでいく。目の前で何人も死んでいった光景がフラッシュバックする。吐き気がする。血の匂いがする。頭が揺れる。
「さて……やあ弔、また失敗したね」
あの
あの
「全て返してもらうぞ!オール・フォー・ワン!!」
上空からオールマイトが現れ、化け物に向かって殴りかかる。
「また僕を殺すか、オールマイト!」
化け物はそれを受け止めて、二人の足元がその衝撃で弾け跳んだ。
クレーターが出来るほどの衝撃波によって俺とヴィラン連合の面々は吹き飛ばされる。吹き飛んで行く視界の端に金色の何かが見え、咄嗟に手を伸ばして守るように抱えた。
「きゃっ!」
「ぐへぇっ……」
人二人分の衝撃を背中に受け、一瞬意識が飛びかける。ぐわんぐわん揺れる頭を抑え、目を開けると視界の大半に白と肌色が映っていた。
なんかほんのり甘味と酸味のある匂いが……
「……あの、詭弁くん、守ってくれてありがとうございます。ですがあまりジロジロ見られるのはちょっと……」
「……あ~、そういう……」
吹っ飛びながら咄嗟に抱えた所為で不自然な形で抱える事になり、着地の衝撃によって大変な『トラブル』に見舞われた。捲れたトガちゃんのスカートを戻しながら立ち上がる。
ありがとうトガちゃん。トガちゃんのお陰でトラウマモードから抜け出せました。言葉には出さないけど。
目の前で化け物の左腕が歪に膨れ上がり、オールマイトに向けられた。その直後、空気の塊が発射され、オールマイトは吹き飛ばされた。
「オールマイト!?」
オールマイトは数百メートルほど吹き飛んでいき、その間にあるビル群を破壊していく。
「ふふ……心配しなくてもあの程度じゃ死なないよ」
化け物は俺に向けて冷静に言い放つ。そしてその後死柄木に向けて「ここは逃げろ」と言いながら右手指から赤黒い枝のような物が伸び、地面に倒れている黒霧の身体に刺さる。
「『個性』強制発動。さあ、その子を連れて行け」
「先生は……」
死柄木の縋るような声が聞こえた直後、オールマイトが瓦礫を砕きながら化け物のすぐ傍に降り立った。
「逃がさん!!」
「常に考えろ、弔。君はまだまだ成長出来るんだ」
化け物はそう言いながら、オールマイトの拳を受け止める。
その様子を唖然と眺める死柄木。
「行こう死柄木!あのパイプ仮面がオールマイトを食い止めている間に!」
そして、俺に目を向けた。
背中がゾワゾワと粟立つ感覚が走る。これはアレだ。所謂窮地って奴。
……だが、オールマイトに救けてもらうことは出来なさそうだ。オールマイトも、あの化け物で手一杯。だけどオールマイトは
……んなら、やる事は一つ。俺が
さあ、腹から声を出せ。今、叫ばずに何時叫ぶ。
「オールマイトォ!俺は俺で勝手に助かってる!!だからその
我ながらヒーローの大先輩になんて言い草だと思う。だが、オールマイトを頼ってしまえば、あの化け物にオールマイトがやられてしまう。自分を救う。オールマイトを助ける。両方出来ないで何がヒーローか。
「さぁヴィラン連合諸君!楽しい楽しい鬼ごっこを始めようかぁ!!」
コンプレスが、スピナーが、トゥワイスが、俺に向かって攻撃を仕掛けてくる。特にコンプレスに気を付けながら攻撃を回避する。
荼毘、マグネは動きが鈍い。トガちゃんに至ってはずっと俺を見てるが、棒立ちに等しい。あいつ等はあいつ等で何を狙っているのか、何か思う事があるのか。それらに思考を割いている余裕はない。
「クソ!チクショウ!詭弁テメェオレ等と一緒に来やがれってんだ!!」
「詭弁!お前もステインを継ぐ者となれ!」
「行かないし継がない!!俺には俺なりの『ヒーロー像』があるんだよ!無理に押し付けんな!」
瓦礫の山々の中で攻撃を回避し続けながら、逃走経路を探す。オールマイトがあの化け物を抑えているが、安全に逃げられる場所は見当たらない。これジリープアーって奴?
……すると見覚えのある影が見えたかと思えば、「あっ」と言う間にヴィラン連合の面々に蹴りを入れて俺の傍に降り立った。特徴的な白い耳に褐色肌、そしてムキムチの太もも。そのヒーローは……
「るみみん先輩!!」
「お前も蹴っ飛ばされたいのかァ!!?」
スパァン!!と尻を蹴られる。ちょっとしたジョークじゃないっすかミルコさん……。
そしてそのままミルコさんに担がれて戦線を離脱。離れていく光景には、次々ワープゲートに飛びこんでいくヴィラン連合が見えた。
「詭弁、怪我は……大したことなさそォだな。私はこの辺りにいる一般人達を避難させる。お前も手ェ貸せ!」
「……他にも、プロヒーローは居るんですか?」
「あァ!?元々この辺りに居たプロや、近場に居た奴等全員引っ張って来た!とにかく急いで避難させろ!瓦礫の下に埋まってる奴が残ってるかもしれねェから、そっちに多くヒーローを割きたい!!」
「……分かりました!」
なら、悠長にしていられる時間は無い。ヴィラン連合は何処かに消えた。俺は助かって、オールマイトはあの化け物を倒してくれる。
……本当に?個性無しに、ヒーロー達を叩き潰していったあの化け物の本体だぞ?
オールマイトは、勝つ。勝つはずだ。勝って……くれる……筈だ。
迷うな俺!俺は俺で出来る事をするんだ!オールマイトが心置きなく戦えるように!時間が無いんだ!こんな大災害の後みたいな場所で、一人でも多く救うんだ!
だから、短く、簡潔に纏めるんだ!!
「オールマイトォ!!!!後は全部
俺の『個性の力』を、圧縮して、圧縮して、ほぼ全てをその言葉に注ぎ込むイメージで。
オールマイトに
無駄かもしれない。
無意味かもしれない。
オールマイトの邪魔になるかもしれない。
それでも、
相対する
「その変なマスク野郎は
「ああ!!任せろ!!!」
「フフ……
「詭弁少年は、やると言ったならやる男の子だ!」
「そうか……なら、キミの矜持ごと叩き潰してあげよう」
オール・フォー・ワンの左腕が膨れ上がり再び破壊を撒き散らそうとした直前。
『ミルコさん!オールマイトの右奥瓦礫の下!』
「任せろォ!!」
ダァン!!と踏み込む音と共にミルコが飛びこんで瓦礫ごと蹴り飛ばし、下でうずくまってた一般人を抱えて再び離れていく。
「オールマイトォ!コッチは気にすんな!」
「っ!ありがとう!!」
「……ほう」
戦闘は、更に激しくなっていく……
うん、やっぱりこの辺の描写は原作手元にないと分かんないよね!(諦め顔)
オールマイトとAFOの戦闘シーンは大幅カット予定。
詭弁とヤオモモを攫ったヴィランは実は複数犯でした。たしか直接描写はしてないと思いますが、まああの拳銃ヴィラン一人だけで子供二人を見張り続けるのは無理がありますからね。
黒幕がこっそり同じヴィラングループだったって方が無理有る?それな。
ヴィラン連合の面々は、ヒーローになるという夢を持った『友』を相手に、『それでも一緒に居たい派』と『夢は応援したいけど……派』と『最後にこのヒミコの横におればよい派』に分かれてました。死柄木は……まあ、先生に気を取られてたんじゃないんですかね。
詭弁くん、トガちゃんのパンツで覚醒。実際にはトラウマの克服とか死線を超えた為に個性とか感覚とかが爆発的に成長したとかあるんですが、場面だけ見るとトガちゃんパンツで覚醒しました。パンツって偉大ですね。いいぞ。