詭弁ですよ!ヤオヨロちゃん!   作:名は体を表す

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本日二度目の投稿。
セクハラ……セクハラどこ……ここ……?
オールマイトVS.AFOはカット。詭弁くんの応援有りでも原作とほぼ同じって事で。


伝説が終わりを迎えましたよ!

「『エッジショットの直進50メートル先に複数人!虎さん!オールマイトの後方に……たぶん一人!』

 

 瓦礫の山を駆ける様に移動しながら、ミルコさんから受け取った無線機を使ってプロヒーローに指示を出す。

 まだ仮免も取ってない、言うなれば一般人に過ぎない俺の言葉に最初は文句に近い言葉を言われていたが、いざ其処を確認すれば要救助者が本当に居た。

 そこで俺は暫定的にプロヒーローによる『個性使用許可』を受け、探知系ヒーローと共に要救助者を探し回る。

 

「皆さん怪我はありませんか!?歩ける人はこのまま南東方向に向かって避難を!歩けない人に手を貸して!今、動けない人を救えるのは貴方達だけなんです!皆で助かりましょう!!」

 

 五感が異常な程に強化されてるのがわかる。耳は僅かな呼吸音を聞き逃さない。肌は僅かな振動を探知できる。脳は異常な程の情報量でパンクしそうだが、まだ倒れる訳にはいかない。

 また瓦礫の山にのぼり、更に聴覚と触覚を研ぎ澄ます。

 オールマイトと化け物の居る方角から絶えず爆音のような物が轟くが、それに惑わされるな。

 

 肌がピリつく感覚。意識的に聴覚を向ければ、僅かな呼吸音が聞こえた。

 

「『こちらトーキー!子供が瓦礫の下に居る!一人!』」

 

『了解、オレが向かう!』

 

 頭が割れそうなほどに痛むが、我慢しろ。一人でも多く助ける。オールマイトが戦闘に専念できるように、誰も零さないように!!

 

「トーキー!何処だ!?」

 

「ココです!ここから約5メートル!この方向に!」

 

「よし、一気に掘り進む!山が崩れ始めたらすぐに声だせ!」

 

「はい!」

 

 そうして程なくして女の子を救助した。

 両腕がかなり悲惨な事になっている……だが、すぐに治療すれば命は助かりそうだ。

 

「トーキー、オレはこの子を連れていくから次に向かえ!」

 

「待ってください!キミ、お父さんやお母さんは?」

 

「ぅ、ぅぅ……おか……さ……」

 

「……トーキー、お前は早く次に向かえ」

 

「ですが、恐らく近くにこの子の親が居るかもっ」

 

「いいから向かえッ!!!」

 

「っ」

 

 一人でも多く助けなければならない現場で、居るかも分からない人間を探すのと、確実にそこで生きている人間を探すのとどちらに時間を割くべきかは、頭では分かっている。居るかもわからない、居ても、生きているかどうか……ッ!!クソっ!考えるな!()はその時じゃない!!

 そうだ、余計な事を考えていられるほど俺の脳に余裕はない!切り捨てろ。無駄な事を切り捨てるんだっ!

 切り替えろ、スグに!一人でも多く助ける為にッ!!

 

「皆さん!大丈夫です!!ヒーローが来ました!さあ落ち着いて避難しましょう!ここから真っすぐ進んで、避難場所があります!動ける人は協力して助けを必要としている人に手を貸してください!皆さん全員で生き残るんです!」

 

 無力な自分への怒りを表に出さない。見ている人が不安になるから。

 歪みそうになる表情の上から、笑顔を張り付ける。皆を安心させるように。

 

「皆さん避難を!大丈夫です!ヒーローが守ってくれる安全な場所に向かいましょう!」

 

「安心してください!ヒーローが来ました!さあ避難しましょう!」

 

「大丈夫です!」

 

「さあ此方に!」

 

 『そこに自分は要るのか?』

 死柄木の言葉が、ふと頭をよぎった。

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

『ヴィランは……倒れたまま動かず!!勝利!!オールマイト!勝利のスタンディングです!!!』

 

 遠くで、報道記者が叫ぶ声が聞こえる。そして歓声の声も。

 

「そうか……オールマイト……勝ったかぁ……」

 

 脚が千切れんばかりに駆けずり回り、耳や鼻、目からも血を流しながらぶっ倒れている俺が一人。

 一人では、何も出来ない。きっとこの瓦礫の下には、俺が探知しきれなかった死体(誰か)がいるのだろうか。

 

「……よう、無事かァ?」

 

「無事に見えます?」

 

「死にかけに見えるなァ」

 

 ぐったりとただ空を眺めていると、ミルコさんがひょこっと顔を出して覗き込んできた。あー良いアングル……。

 

「……ミルコさん、俺、役に立ちましたかね」

 

「あァ?」

 

「笑顔ぉ頭に張り付けて、避難誘導しながら瓦礫の下に埋まった人探し回りました。……ですけど、誰も俺一人じゃぁ救えないんですよ……。全力以上だして探し回って、でも出来る事は要救助者の居場所を知らせる事だけ。地面を掘り抜くチカラも、瓦礫を持ち上げるチカラも、んなぁんも持ってねぇから……サイレンみたいにただ五月蠅く鳴り響くだけで、俺は結局誰も―――」

 

「ふん」

 

 ぶにゅっとミルコさんに踏みつけられる。なんかこれも懐かしく思えるなオイ。

 

「バカ野郎が。まだ高校生(ガキ)の癖に何でもかんでも一人でこなせるワケがねェだろうが。クソ生意気な事言いたけりゃプロになってから言えボケ」

 

「キレそう」

 

 おいミルコさん。ただでさえ俺の頭は今いろいろ疲れでブチブチなんだからこれ以上ブチ切れさせないで?

 

「テメェがバカな事言ってるからだろうが。要救助者を探し出して、救助して、避難場所まで連れていく。確かに一人で出来りゃァ良いなァ。だが現実にそんな事出来る奴なんて居ねェんだよボケ。良いか、先輩からの有り難い言葉だ、よーく聞け。ヒーローは神サマじゃねえ、人間なんだ。全てを救う事も、死んだヤツ蘇らせる事も出来やしねえ。だけどな、テメェ一人で何でもやる必要もねェ。脚の速い奴、力自慢の奴、頭の良い奴、人間には各々『個性』がある。『得意分野』がある。それぞれの『得意分野』で人間は戦うんだ。『戦うのが得意な奴』が敵を抑えている間に、『人を見つけるのが得意な奴』が『力自慢な奴』に場所を伝えて、『治療が得意な奴』の場所まで運ぶ。分業だ要するに。テメェはテメェの得意な事、出来る事を必死にやりゃぁいいんだよ。わかったかボケ」

 

「……ですが、俺はある子供の親を見つけられなかった。救えなかった……」

 

「確かにヒーローは守れなかった物、救えなかった物を数える事も大事だ。……だが、()()()()()()()()に目を向ける事もまた大事だ。瓦礫の下で声も出せないヤツの代わりに、テメェがサイレンみたいに五月蠅く鳴り響いたお陰で救えた命がある。テメェが騒いでいたお陰で迅速で無事に避難場所に来れたヤツが居る。つーか、あんなド派手に暴れ回ってる中で救助活動が進んでたのがオカシイからな?テメェはそれを自覚しろバカ野郎」

 

「……ミルコさん。いい加減足退けてくれません?」

 

「バカ野郎には丁度いい薬だ。オラありがたがれ」

 

「舐め回しますよ」

 

「やめろ」

 

 ようやくミルコさんが足をどけた。

 

「空、青いっすねぇ……」

 

「……そうだな」

 

 プロヒーローの増援が駆けつけ、辺りの探知や救助活動が本格的に進行した。あの化け物が暴れ回っている時から全力全開で救助活動に当たっていた俺は案の定息切れしてダウン。腕脚の筋肉がブチ切れて動けなくなった。耳もキンキンする。痒い所も掻けないぜ……。

 

「……詭弁、よく頑張ったな」

 

「んぇ?なんか言いましたミルコさん?」

 

「なんでもねえよボケ。おし、お前も避難所でいったん治療受けろ、運んでやる」

 

「……あー、運ぶ前にちょっと痒い所掻いてほしいんですけど……」

 

「あァ?……ったく、しょーがねーな。何処だ?」

 

「チンチン……」

 

「シバくぞテメェ!」

 

「いや本当にマジで痒いんですけど……ミルコさん、脚を振り上げて何をする気ですか?ねえ、ちょっと?私怪我人、おーけー?」

 

「ふんっ!」

 

「お°っ」

 

 

 

 そして気が付いたら雄英の保健室に寝ていた。そして気絶する少し前の記憶も無い。不思議!!

 

 

 ……あっ、スマホ無い……。





後日ヴィラン連合の拠点にしていたBAR(跡地)から詭弁くんのスマホがサルベージされました。

さあ、いよいよ待ちに待った全寮制!どうにかして詭弁くんを女子棟に入れさせる案を御待ちしております!!!!!!!!
やりたい放題かよ。

『痒み』というのは、もの凄く弱い『痛み』だという説があるそうです。カリカリ引っ掻く事で、より強い『痛み』で上書きするのだとか。なら詭弁くんの股間の痒みを蹴り飛ばすミルコ姐さんの行動は何らおかしくないですね!!!
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