詭弁ですよ!ヤオヨロちゃん!   作:名は体を表す

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前回のあらすじ

 おっす、オラ詭弁!
 なんか知んねえけど、目が覚めたら全くちげぇ世界に来ちまったみてぇだ!
 最初は噂に名高けェ『外の世界』かと思ったけど、どうやら此処は幻想郷以上に『個性的な人間』が居る世界みてぇだな!オラなんかワァクワクすっぞぉ!
 しかもオラと同年代の可愛い女の子達がいっぺぇ居るってんだから、オラぶったまげたぞぉ!

 ま、不満な点としては皆()()()()()()にゾッコンな事とあんまり度が過ぎたセクハラはケーサツに通報される事かな。NTRモノは趣味じゃないし、パンツひん剥いてぶん殴られてたあの頃が懐かしいぜHAHAHA!


 八雲紫ィ~!!!早く来てくれェ~!!!


お正月特別編・異世界からコンニチワ!君の名は?『詭弁答弁です!』私達、入れ替わってぇ~ないッ!

「しっかしマジでこの辺とか人里周辺ソックリだな……本当に別の世界なのか?」

 

 小さな村から離れた位置の森の中を軽く散策している、幻想くん(幻想郷からやってきた詭弁)。呑気なモノだが、彼はヒーロー科A組を舐めている訳でも自信過剰になっている訳でも無い。

 ただ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だけで、それが正当な評価だからだ。

 確かに彼らは皆強いだろう。自ら進んで荒事に対峙する事を選びヒーロー科に入り、キツイと評判の雄英の授業で今日まで脱落者無しで生き残ってきた猛者達。弱い訳が無い。

 ()()()()()()()。命のやり取りを日常とし、週に一度死にかけるくらいに『死』と隣り合わせの生活を長年続けてきた幻想くんにとっては20人を超えるとは言え()()()()に負ける程弱くは無い。

 

 ……ただ幻想くんにとって唯一の誤算は、この世界には『個性』と呼ばれる超常の力があった事だ。

 

 突如、森がざわめきだした。

 

「……んぃ?なんか騒がし―――」

 

 彼の言葉が終わるより早く、空から鳥の大群が押し寄せてきた。

 

 

どういうことだってばよ(WTF)!!?」

 

 

 奇しくも今朝、この世界の詭弁が叫んだことと同じような事が口から飛び出す幻想くん。

 奇声を上げながら鳥の大群に襲われ、隙だらけな身体を晒す。其処に高速で半透明の何かが飛んできて、幻想くんの身体に巻きついた。

 

「今ッ!」

 

「食らえ!導電接触100万V(どうでんせっしょく100まんボルト)ッ!!」

 

 瀬呂の『テープ』によって捕捉された幻想くんに向けて、上鳴の『帯電』による逃れられない電撃が流れ込む。幻想くんを襲ってた鳥の大群は既に退却していた。

 

「はっはぁー!幾ら皮膚が硬かろうとも電撃まで通さないって訳にも行かねえだろ!!!」

 

 ……彼等の誤算は、幻想くんが()()()()()()()()()()()()()()()()()()から来たという事だった。

 

「ん”んんんんッ!!!」

 

「へっ?―――のわぁッ!!?」

 

 幻想くんは身体に流れる電撃を意に介さず、身体に巻き付いたテープを掴み引っ張り上げる事で反対側を掴んでいた上鳴を一本釣り。飛んでくる上鳴をそのまま片手で掴み上げてしまう。

 

「ッッッ!?(コイツ、どんなパワーしてやがる!?)」

 

「刃物も通さない皮膚が、弱い電撃程度弾かねえ訳ねえだろ!!」

 

「いやその理屈はおかしい!!!!」

 

 そして『本物の電撃を見せてやる』と、()()を練り上げる幻想くん。

 

「『電撃破(エクスプラズマ)』!!!」

 

 バヂィン!!と電気災害が起きた様な異音が森の中に鳴り響き、その直後上鳴は地面に倒れ込んだ。

 

「「 上鳴(くん)!! 」」

 

「うぇ……うぇ~い……」

 

 地面に倒れながら握り拳を作り、親指を天に向けて突き出している。俗に言う『脳がショートしアホになっている』状態だ。誰がどう見ても継戦不可能。その光景を見ていた全員が衝撃を受けていた。

 

「な、何だコイツ……急に顔がスゲェアホっぽくなった……」

 

 その状態を初めて見る幻想くんも衝撃を受けていた。

 

「(上鳴くんの『個性』は()()()()()()()()()()()()()()()()()()のに……それを越えてきた!?)」

 

「どうした?作戦はもう終わりなのか?……じゃあ今度はコッチから行くぞー」

 

「ッチ!」

 

 地面に倒れている上鳴を跨ぐように一歩踏み出した幻想くんを警戒し、轟が『個性』の氷を使って足止め&上鳴の救出を狙う。詭弁の『応援』によって細やかな操作も可能となり、それらを同時に行えるだけの器用さを得ていた。

 そして地面ごと脚を凍らす事で幻想くんの拘束と上鳴の救出を見事に両立させた。

 

 させたのだが。

 

「うへぇ……ほぼノータイムで氷出すとか実質チルノじゃねえか」

 

 バキバキッ!!と脚に纏わりつく氷を砕きつつ、意に介さずに進む幻想くんを見て生半可な拘束は無意味と判断。今度はその全身を氷漬けにする……どころか、周囲の森ごと凍らせる様な大規模氷結によって完全に拘束する。

 

「と、轟!?流石にやり過ぎだろお前!?」

 

「……脚が凍ってるのに無理矢理動かしゃ、()()()脚ごと砕ける……なのにアイツは一切そんな素振りを見せなかった!」

 

「って事は、轟の氷まで実質無効してんのか!?」

 

「ああ……だが流石に全身凍らせれば―――ッ!!?」

 

 周囲の森ごと凍らせる様な大規模氷結によって一時的に拘束されていた幻想くん。だが、それは本当に()()()でしか無かった。

 氷を()()()()()此方へ向かって来るのを、透明な氷越しに見ているという光景。それは一体どれだけの『絶望』が押し寄せてくるのだろうか。

 

「まじかよ……まじかよぉ……あんなんに勝てる訳ねえじゃねえかぁ……」

 

 クラス一身長の低い男は震えながら掠れた声を上げる。それはヒーローの卵としては情けないようにも思えるが、その実この場に居る殆どの人間の心情を代弁している言葉だった。

 

 ピシッ!パキバキ……

 

「『熱人拳(ヒートハンド)』!!!」

 

 バァン!!

 

 そうして、山と見間違えんばかりに巨大な氷を真っ二つに割り裂いた男は、両手から蒸気を噴出しながらA組の前に立った。

 

「チッ、炎のエレメンタルさえあればもっと早く脱出出来たんだがな……」

 

 彼は未だに全力ではない。本気ですらない。全力も、本気も、それを引き出す為の()()を全て自分の家(幻想郷)に置いてきてしまった為に、()()()()()の力しか振るえない。

 だが、彼の身体に蓄積された力、経験、意思。それらは例え身一つで異世界に放り出されても消える事は無い。

 ()()

 

「さあどうした勇者達(ヒーロー)!!!()()()()()()()()ぐらい踏み越えてみせろォ!!!」

 

 此方の世界の詭弁では到底出来ない様な()()()()()()を前に。

 

 ()()()()()()を前に。

 

 一体どれだけの人間が膝を屈さずに居られるだろうか。

 

 

 

 直後、爆発音が森の中に鳴り響く。

 

「ッッッらあああああ!!!!」

 

 ()()()()()。爆発力を推進力に変えて繰り出される一撃は、学友にとって割と見慣れた一撃。だが対峙する幻想くんにとっては初めての一撃。その一撃が幻想くんの胴体に直撃―――

 

 スカッ

 

 する寸前に避けられ、カウンター気味に鋭い一撃が爆豪の胴体に入る。

 

「中々腰の入った良い攻撃だ。速さも申し分ない。そうだなぁ……今の不意打ちなら大抵の妖怪をノックアウト出来るんじゃないか?」

 

 まあ俺には当たらんけど。という意味を言外に伝える。

 

 もにもに

 

「揉むなボケカス死ねァ!!!」

 

「いやこんなピチピチスーツ+爆乳とか逆に揉まない方が失礼ゥぼはッ!!

 

 ワキワキと爆豪*1の胸を弄り、ピッチリヒーローコスチュームの上から遺伝的爆乳を揉んでいた幻想くんに超至近距離爆撃が顔面に炸裂。そのコスチュームの籠手に溜まった汗も全開放する徹底具合。

 普通の人間相手なら顔面の皮が吹き飛ぶどころか首ごと粉々になっていてもおかしくない筈の一撃なのだが、幻想くんが着けていた仮面が吹き飛び鼻から血を流す程度のダメージしか負っていない。

 

「ぐっ……顔面に容赦なく叩き込んでくる一撃……懐かしいぜ、幻想郷じゃ顔陥没くらいまでは茶飯事だしな……」

 

「いやどんな修羅の国ィ!!?」

 

 『前がみえねェ』くらいならよくある事という幻想郷こわ……と戦慄するが、訓練が始まって以来の初大ダメージである。足元がふらついている所を全員で囲んで叩く。

 

「麗日さん!!」

 

「おっしゃ!」

 

「援護するぜ麗日!」

 

「応援は任せろー!」

 

「ナイフが刺さらないなら銃撃ですわ!」

 

「モモちゃんのその思い切りの良さが怖いッ!」

 

 麗日に続いて切島、尾白、飯田が幻想くんを囲むように移動しながら各々攻撃を繰り出し、彼等の隙間を縫うように拳銃をぶっ放す八百万。更に声を張り上げる事で味方全体の強化を図る詭弁。

 人一人に対して過剰と言える程の戦力で襲い掛かる。

 

「まず一人目ッ!」

 

 正面に立った切島は、最も危険な位置に居ると言えよう。現に幻想くんの容赦ない一撃がその顔面に高速で迫りくる。

 

「『砕けるなッ!折れるなッ!お前は最強の盾で、最硬の壁だ!!!』」

 

「『安無嶺過武瑠(あんぶれいかぶる)』!!!」

 

 詭弁の応援により最硬を超えた最強の『盾』。それは鋼鉄のナイフすら砕く幻想くんの皮膚を優に超えていた。

 突き出された拳を砕くように突き返す()の拳は、幻想くんの皮膚を貫き拳を砕いた。

 

「ッッッ()ぇぇぇぇぇ!!!?」

 

「『レシプロ―――

 

 拳を返され、大きく仰け反った幻想くんの頭部に向けて超速の()()脚が振りかぶられる。

 

「『速さは重さ!重さは威力!クラス最速にして最強の力を解き放て!!!』」

 

―――エクステンド!!!』」

 

「ッガああッ!!!?」

 

 鍛え上げられた筋力に加算する形で与えられた『個性』による超加速の一撃は辛うじて反応して防がれたものの、防御に使った左腕ごと幻想くんの頭部を蹴り抜いて大きく体勢を崩した。

 そして崩れた体勢は……武闘家にとってはカモ同然だ。

 

「『鍛え上げた時間はクラス随一!筋力=破壊力を見せてみろ!!!』」

 

『尾拳・"沼田打破撃"』

 

 人間の身体を余裕で支えられる程の筋力から放たれる一点集中の突き技が無防備に倒れ込む幻想くんの身体に突き刺さり、確かな手ごたえと共に幻想くんの身体が吹き飛ぶ。

 だが、まだ幻想くんの目は死んではいない。吹き飛んだ先に着地した瞬間にA組を狩りに行くだろう。

 

G・M・A(ガンヘッド・マーシャル・アーツ)

 

 ここで、確実に仕留める。

 言葉に出さないまでも、その身に携える()()でもって宣言する。

 

 

 女の敵はブッ○す

 

 

『断頭崩拳』ッ!!!

 

 飛んでくる幻想くんの頭部を拳と地面で挟むように抉り込んで撃ち込む。まるで頭部が粉々に砕けたかと錯覚する程に地面が抉れ飛び、その中心に沈む幻想くん。

 

「……はっ!?や、やりすぎてもーた!?ちょ、詭弁くんがめっちゃ応援するからぁ!!!」

 

「ヘイ待って麗かガール。俺ちゃこちゃんには『応援』してねェんすけど」

 

「俺麗日だけはキレさせないようにしよ……」

 

「同感……」

 

「というかアレを直撃して生きているのか幻想くんは!?」

 

 一応辛うじて生きているらしい幻想くんを、八百万が『創造』して作ったタングステン合金製のワイヤーロープでもって雁字搦めにして拘束。更にその上から瀬呂のテープと轟の氷で厳重に拘束した。

 

「ふぅ~……マジで一時はどうなるかと思ったぜ……」

 

「結局オレら全然活躍してねえなぁ……」

 

「しゃーないしゃーない。そもそも21対1ってのが無理あったんだ。取り合えず後はコイツをオールマイト先生ん所の檻にぶち込んで……それとカッちゃんの胸の感触を聞くか」

 

「聞くなボケェ!!!」

 

 

 

 

 

「そうだよなぁ、確かに21対1ってのは無理があったわ。だから……今度は21対3ってのはどうだ?」

 

 

 

 

 

 その声がクラス全員の耳に届いた直後、幻想くんを運んでいた砂糖、芦戸、蛙吹、葉隠の四人が吹っ飛んだ。

 

「ぐはぁッ!?」

 

「いたーッ!!」

 

「ケロッ!?」

 

「きゃぁぁ!?あっ、詭弁っ!?ごめっ……いや、ちょ!?」

 

 吹っ飛んだ葉隠の下敷きになった詭弁が実質全裸の感触をモチモチしてると、気絶した筈の幻想くんが宙に浮きあがって雁字搦めの拘束を一つ一つ砕いていった。

 

「う、う、嘘だろ……!!?」

 

「ああ、正直悪かったと思ってるよ。ぶっちゃけここまでやるなんて思いもしなかった。褒めてやる」

 

 物理的にも上から目線の言葉に対し、返答を出来るだけの()()はA組の誰も持たなかった。

 何故なら……幻想くんの身体から、()()()()()()が更に二人現れたからだ。

 

「ハローハローこんにちわー!俺の名前は《陽》!」

 

「そして俺の名は《陰》。以後良しなに」

 

「そして俺が本体の詭弁さん……って、あー、俺のそっくりさんがこの場に4人か。ややこしいことこの上ねえなぁ」

 

 『回復術(ヒール)』と一言唱えると、あれだけ頭からドクドク流れていた血が止まり元の姿に戻った。

 

「ンな……ゲームみたいな回復とかアリかよ……!」

 

「言っただろ?()()()()()()()()()()()()()。この世界的に言ったら、俺はまあ非常識な人間だろう。()()()()()()?この世界にも薄くだが『魔力』がある。呼吸すれば『気力』を得られる。魂を燃やして『霊力』を扱える。それらを扱える『技術』が俺にはある。さあ第二ラウンドだ、楽しく行こうぜ!!」

 

 《陽》と名乗った『騒霊』は空高く飛びあがり、()()()()()()()()()()を大量に放ってくる。

 《陰》と名乗った『亡霊』は片手に()()()()()()()()()()()()()()()を、反対の手には無双ゲームの武将が持ってそうな程の()()()()()()()を持って暴れ始める。

 そして本体を名乗った『人間』は……

 

「ははははは!授業の時間はまだまだ長いんだ。()()()()()()()()を教えてやるよ!!!」

 

 懐から一枚のカードを取り出し、見せつけるように掲げた。

 

「さあ、手加減してやるから全力で掛かってきなァ!!!」

 

戯曲『捻くれ詐欺師の舞台演目』

 

 『人間』の指先から大量の魔法糸が飛び出し、その辺に落ちている石、枝葉、岩、樹木をぶっこ抜いて振り回す。

 

「うわあああああ!!!?」

 

 楽園式の遊びには()()が付き物である。

 ヒーローの卵達は脱落者無しに乗り切る事が出来るだろうか。

 

 

 授業の時間は、まだまだ長い。

 

 

*1
ずっと性転換しっぱなし





森の方角< ウワァァァ! キャァァァ!

オールマイト「皆楽しそうで何より!ヨシッ!」


もうちょっとだけつづく!!!


詭弁ですよ!霊夢ちゃん未読の方向け

詭弁くん(幻想郷の姿)のスペック
・霊力、魔力、気力といったいわゆる不思議パワーを持ち、自在に扱える。
・仙果と呼ばれる果物を大量に食べ、肉体スペックが人外染みている。
・それでも一応人間にカテゴライズされてます。
・なんか増える(ヤバイ) → 自身の魂を三分割し、一つに《陽》、一つに《陰》と名付けた。それぞれの魂で得意分野が若干違う。
・超強くなれる(ヤバイ)


詭弁ですよ!霊夢ちゃん既読の方向け

・陽輝棒無しでも分身する事が出来る詭弁だが、陽輝棒がある時程《陰》も《陽》も強くない。

特に深い意味は無いのですが、直感で選んでください。深い意味は無いです、本当に。

  • ヤオヨロちゃん
  • A組女子
  • B組女子も
  • サポート科、教師、プロ、ヴィラン、全員!
  • ……男子も(TSするかは知らん)
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