詭弁ですよ!ヤオヨロちゃん! 作:名は体を表す
予選とかセクハラ出来そうにないんだもーん!
「……やー、なんだかんだでここまで来たぜ」
「……詭弁さん。幾つか質問をしても宜しいでしょうか?」
「んぉーう、俺といっちゃんの仲じゃん。遠慮すんな!」
雄英体育祭、決勝トーナメントの選手用控え室の中。そこに俺といっちゃんことB組の塩崎茨が居た。同じ椅子に並ぶように座って、互いの距離は拳一つ分だけ開いていた。
「詭弁さん、貴方は……少し前まであまり体育祭に乗り気ではなかったように思えました。ですが実際にはこうして決勝トーナメントまで勝ち残る程に全力を尽くして、貴方のお体もボロボロでしょう?何故……そこまでして頑張るのですか?」
「ははは、言うほどボロボロでもないさ。俺ってずる賢いからうまーく人を使って楽してたし」
「騎馬戦中、ほぼ常に貴方のお声が響いていましたが?」
「それしか取り柄ないしねー」
「そんなことはありません!!」
突然、いっちゃんが大きな声を出して面食らう。キミそんな大声出るんか。
「詭弁さんは……常に周りを見渡して状況を把握し、そこから最善を狙う戦術眼に長けています。少しの間でしたが、貴方と一緒に訓練しただけでも分かる貴方の長所です。直接戦うのが苦手と仰ってますが、相手の意表を突いて戦ったり、時間を稼ぐような戦い方も優れています」
「……はは、まー良く見てるね」
「当たり前です。優れた人を観察し、自分の糧とするのも優秀なヒーローになる為ですから」
「照れるぜ」
「……その軽薄な口は治した方が良いと思いますが」
「そりゃ無理だわ。なんせ詭弁家は口から産まれたような奴ばかりだからな!」
HAHAHA
「……それで、何故貴方は突然本気を出してこられたのでしょうか」
「ん、まあ大したことじゃねえ…………好きな女の子に良いところ見せたくなっただけさ」
「っ……。……やはり……そう……ですか…………」
「ん、後その子より順位が高かったら
「んなっ……!!ま、まさか不埒なことではありませんか!?」
「はっはっはー」
「笑ってごまかさないでください!!」
いっちゃんの顔が少し赤くなり、プンプンと怒る。可愛い。
あまりの可愛さにニコニコと見ていると、ふっ、と顔を反らし、無表情を作って会話を再開しようとしてた。それもまた良し。
「……では次の試合、私が勝利したら……私に、何かご、ご褒美をいただけますか……?」
「……ん、良いよ。ハグで良いかね?」
「っ……はい」
いっちゃんの耳まで赤く染まり、小刻みにふるふると震える。それは武者震いか、それともただの羞恥心からか。それは分からない。
「じゃあ俺が勝ったらハグするね!後ろから!」
「は、はいっ!?」
「その時
「な、な、何故に!?」
「いっちゃんだけ勝ったら何か貰えるとか不公平だろ?なら俺も同じ条件じゃないと!」
「いや、確かにそうかもしれませんが……!!と言うか何故後ろからなのですか!?」
「えっ?そりゃハグした時に回した腕がイロイロ当たる予定だからだけど?」
「ふ、不埒者!不埒者!」
ポコポコと両の拳で叩かれる。地味に痛い。
そのまま気のすむまで叩かれ続けると、不意にピタッと止まる。
「わ、私が勝てば良いのです。私が勝てば……」
「ま、そう言うことだね。ハグハグするのを楽しみにしてるよ」
「余裕綽々でいられるのも今のうちだけです」
ニッと不敵に笑えば、同じようにニッと不敵に笑ういっちゃん。やだ、キュンと来た。そんな表情出来るのね貴方。
「……それで、聞きたい事って幾つか有るんじゃないの?」
「あ……そうでした。……色々と衝撃があってほとんど忘れてしまいました」
「なんだそりゃ」
「あ、一つだけ……」
「んぅ?」
「何故に詭弁さんは控え室Aにいらっしゃったのでしょうか?詭弁さんの控え室は恐らくBの方だと思うのですが……」
「ウッソだろ!?控え室って二つあったの!?」
「気がつかなかったのですか……」
「戦う前の談話時間だと思ってた……い、今から向かって間に合うかな?」
「試合開始予定の1分前ですが……」
「……よし、こうなったら同じ場所から出よう!なんかもうそっちの方がインパクトあるし!」
「……まあ、致し方無いですね」
そうしてグダグダのまま試合場に二人で向かった。
プレゼントマイクにめっちゃ野次られた。
一級フラグ建築士のお手前、お見事でした。
まあ塩崎ちゃん可愛いから許してね!!!
詭弁はなにかとモテるから、そういうフェロモン的な何かが出てんじゃないかって男子達の噂になってるんだ。そして稀に詭弁のことが気になる男も居るんだって。-まっちゃん
もう毎話2000字以下で良いような気がしてきた。良いよね!良いよね!
答えは聞いていない。