詭弁ですよ!ヤオヨロちゃん!   作:名は体を表す

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書きたいところだけを書く幸せ♥️
少しシリアスも書きたいところ。


だってたまにはカッコいいとこ見せたいじゃん!

 いやーもー参ったねーこりゃ。どうやって銃撃を回避しようか。

 ……と、今度こそ自分の控え室に座って、ヤオヨロちゃん対策を練る。勝ったらヤオヨロちゃんとおせっせという煩悩に満ちた頭で勝てるかいな。

 

 と、突然控え室の扉がノックされる。誰か応援に来てくれたかな?と思って扉を開けるとニコニコ笑顔のヤオヨロちゃんが立っていた。

 閉めた。

 

 

 トン、トン、トン。

 

 

 待って待って待って!今これ下手なホラーゲームより怖い状況なんですけどぉ!?誰か助けて!

 

 

 トン、トン、トン。

 

 

 出ますからノックやめぇ!

 がちゃりと扉を開けると、やっぱりニコニコ笑顔のヤオヨロちゃんが立っていた。

 

「どしたんヤオヨロちゃん」

 

「私を名前で呼ぶ心の準備は出来ましたか?」

 

「んおぅ、もう勝った気でいやがるんですかね」

 

「はい」

 

 なんていい笑顔で言い切りよるん?あーたそんな性格でしたっけ?

 控室の長椅子に拳一つ分空けて座る。ニコニコ笑顔のままのヤオヨロちゃんが俺の頭を押さえ、いっそ強引なまでに自身の太ももに押し付ける。

 

「……ヤオヨロちゃんや」

 

「蛙水さんとのやりとり、見えてないと思ってましたか?」

 

 怖い。いや、嬉しいんだけどね?肝心なのは何で皆の前でも同じような態度を取らないのって事。

 強引な膝枕と、頭ナデナデのコンボにK.O.寸前。あ~ダメになるんじゃぁ~。

 

「……ここに来る時に、塩崎さんに会いましたわ」

 

「んー……」

 

「『負けません』と、一言。……さて、何のことでしょうね?」

 

「……おー」

 

 いっちゃんは一回戦で俺が倒した。それでもヤオヨロちゃんに『負けません』ってのは……まあ、そういう事なんだろう。俺としては色んな女の子にちょっかい掛けるのはライフワークというか因果というか業というか、そういうアレなんだが。

 

「『また泣かせることになるなぁ』ですか?」

 

「ははは、面白い冗談だ。今更もうそんな事思わんさね」

 

 まあロクな死に方しないだろうとは思ってるが。

 

「……詭弁さん。私は、強くなりましたか?」

 

「んぅ。(つよ)く、そして(したた)かになったな」

 

 昔に比べりゃ、本当に成長した。……いや、別人のように変わった。俺が変えてしまった。

 

「後悔しないでください。私は貴方に救われ、自分の意志で此処に居るのですから」

 

「んな大げさな。俺が居なくてもヤオヨロちゃんは此処に居ただろうよ。ヤオヨロちゃんは優しいし、正しいと思った事に全力を尽くすのは前からだったんだから」

 

「……今日、貴方を超えていきますわ」

 

「俺の前を歩かせるんにゃぁまだ早いなぁ」

 

 悪い方向に変えてしまったのなら、最後まで責任を取らなきゃぁ……()()()()になっちまうよなぁ。

 

「……さあ、そろそろ時間だ。ヤオヨロちゃんも自分の控室に戻りな。一回戦の二番煎じは観客も飽きちゃうぜ」

 

「はい。……全力で行かせてもらいますわ」

 

 ばたん、と扉を閉めて行った。

 ……さて、俺も()()でいこうか。

 

 

 

 

 

『決勝トーナメント!最初の試合を勝ちあがった二人の登場だ!!一回戦を血だらけになりながらも女の子相手に怪我をさせる事無く場外に叩き出した意外な紳士!詭弁!VS大氷結を受けた上で相手を一撃K.O.!無限の可能性を見せつける!八百万!両者準備は良いかァァ!!?レディィィィ……スタートッ!!!』

 

「左いいいいいい!!!!」ドンッ!!!

 

 銃声の直前に会場全体が震えるほどの大声で叫ぶ詭弁。亜音速で放たれたゴム弾は正確な狙いで詭弁の眉間に直撃……することは無く外れた。

 

「よ、避けた!?」

 

「違う、狙いを外させたんだ……!言葉で……!」

 

 

「……やはり一筋縄では倒れてくれませんか」

 

「んったりめえだろうが」

 

「でしたら催涙ガスは如何でしょうか!」

 

 八百万の両手から大量のガスが散布され、一気にフィールドを覆い尽くす。

 

「ふ、ふぁ、ふぇっくちゅん!!」

 

((( ミッドナイトのくしゃみ可愛い )))

 

 観客の心が一つになった瞬間、再び会場全体が震えるような大声が響く。

 

「俺は怪力!俺の両腕は岩よりも硬い!」

 

 ドガン!と大きく硬い物が砕かれる音が鳴り、フィールドの中心から暴風が巻き起こって催涙ガスが会場全体に散らされる。

 会場のあちこちから大きなくしゃみや咳が響き、観客は試合を見る事が出来なくなるがそれでも状況は移り変わっていく。

 

 

「相変わらず何でも出来ますのね!!」

 

「出来る事しか出来ねえよ!」

 

 詭弁はセメントスが作ったステージを大きく割り、その巨大な破片を担いで振り回して催涙ガスを吹き飛ばした。更に小さい破片を足で蹴り飛ばし、八百万が催涙ガスを散布すると同時に着けてたガスマスクの装着ベルトを的確に撃ち抜いて切り落とした。

 八百万の個性:創造は生物以外なら何でも作ることが出来るが、無尽蔵に作ることは出来ない。初撃とガス散布で既に自身の許容量の半分近くを使っている。だが、逆に言えばまだ半分残っているのだ。

 地面に転がすように閃光弾を創造し、同時に遮光グラスを作ってかける。

 シュボッ!

 閃光弾が炸裂し、強烈な光が放たれる。

 八百万はすぐさま無反動砲を創造し、対ヴィラン用の捕獲ネット弾を装填して詭弁に向けて発射した。

 詭弁は担いでいたステージの破片を盾に閃光弾を回避し、そのまま破片を捕獲ネット弾に投げつける。

 バァンと弾がハジけ、ネットが広がるがその先に既に詭弁はいない。

 詭弁は自身の足からミシミシと骨が悲鳴を上げる音を聞きながら高速歩法で八百万に接近、勢いそのままに腹部に掌底を叩き込む。

 八百万は敢えてその一撃を見逃す。掌底は狙い通り鳩尾に入るが、そこにピンポイントで防ぐように鋼鉄の盾が創造されていた。

 

「一手ッ!」

 

 伸びた八百万の左手から手錠が創造され、ガシャリと詭弁の右手に繋がった。

 

「それは悪手だろぉ!」

 

 怪力そのままに、手錠ごと八百万を振り回して意識を奪おうとする。筋繊維がブチブチと音を立てるが、その音が聞こえないかのように詭弁は振る舞う。

 強力に振り回された八百万は、強いGによって頭から血の気が引いていく。なんとか気を強く保って気絶しないように耐えるが、ミシミシと全身が悲鳴を上げる。何かを創造しようにも、創造のためには思考が必要だ。思考に割くだけの血が圧倒的に足りない。

 筋繊維が断裂していく詭弁と、頭から血が引いていく八百万。我慢比べはギリギリで八百万に軍配が上がった。ほんの僅か、回転速度が緩まった瞬間に繋がっていた手錠を破壊し離脱した。

 ふらふらと足取りがもつれるが、仕切り直しと言わんばかりにもう一度対ヴィラン用捕獲ネットの射出をしようとした瞬間、巨大なステージの破片が飛んで来た。

 

「っ!?」

 

 転ぶ様に避ければ、避けた先にも礫が飛んでくる。自身の身を隠せる程度の大きさの強化プラスチック盾を作り、礫の飛ぶ方向に対して斜めになるように防ぐ。まだ頭に血が戻ってきてないのか、ふらつく身体を抑えた瞬間、車に轢かれた様な衝撃が八百万の身体を走る。

 受け身を取りながら見れば、体重を乗せた前蹴りの姿勢で立っている詭弁の姿が見えた。

 八百万が場外ギリギリのラインで立ち直れば、詭弁は再度ステージの破片を担いで飛びかかる様にして突進してくる。詭弁は既に誰が見ても満身創痍で、立っているのもやっとな筈だというのに一切弱さを見せない。

 

「ハハハハハハハ!!!」

 

 大きな声で嗤いながら大きな破片を投げる。八百万に避ける場所は無く、すぐ後ろは場外。受ければその質量によって後ろに叩き出されるだろう。なら、受けなければ良い。八百万は腕を砲身に見立て、無反動砲を放つ。放たれた砲弾とステージの破片がぶつかり合い、互いに弾かれる。

 今度は八百万の方から詭弁に接近する。詭弁は握り拳で迎え撃とうとしたが、ビクリと身体を震わせて止まった。

 

「っ……すみません!」

 

 八百万は手に創造したスタンガンを持って詭弁に押し当てる。バヂッと電撃が流れ、詭弁はそのまま意識を失った。

 

 

「ふぇっくちゅん!しょ、勝者!八百万さん!!」

 

 くしゃみや咳混じりの歓声が会場を包む。

 

 

 

 

「……次は、次こそは……貴方の優しさにつけこんだ勝利ではなく実力で勝利をもぎ取ってみせますわ」

 

 




セクハラ無いやんけ!
でもたまのシリアスがギャグパートを盛り上げるスパイスになるってばっちゃ(ゴリラ)が言ってた。


詭弁君は必殺技を幾つか持っているんだ。聞いた相手を僅かの間錯乱させる『覇声(ばせい)』。自分、或いは相手に向かって放った言葉によって深くそう思い込ませる『嘘八百万(うそはちミリオン)』。後は能動的に火事場の馬鹿力を引き出す『覚声(かくせい)』。緑谷君みたいに自爆覚悟の切り札だ!近接戦闘は不得意だと言っているが、クラス内でも指折りの実力者だと思うぞ!-てんちゃん

大声で嗤う事で脳内物質ドバドバ、セルフ麻酔状態でバーサーカーモード。でも下手に人を殴るとあっさりと骨折させちゃうので人を殴れない。
ヒーロー足るもの、おもいっきり人を殴れないとですね!

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