詭弁ですよ!ヤオヨロちゃん!   作:名は体を表す

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おらっ!連投!(tntn亭)

ヤオモモちゃんが勝つのは既定路線でした。

だって1話と2話ではモモちゃん呼びだったのに3話以降はヤオヨロちゃん呼びだったからね!伏線ってヤツよぉ!!


祭りは終わりですよ!ヤオヨロちゃん!

「……知らない天井だ」

 

「ハイハイ嘘おっしゃい。一回戦の後でも見たでしょうに」

 

「言われてみれば一回だけ見た天井だ」

 

 ここは多分リカバリーガールの出張保健室だろう。視界が霞んでいてよく分かんないが。

 そして全身が動かない。まるで石で固められているかのように……いや、マジでコレ石で固められてるな?

 

「へぇいリカバーちゃん」

 

「ちゃんとリカバリーガールと呼びな!」

 

「リカバリーガール。何で俺こんな拷問服みたいにガチガチ固められてるん?」

 

「アンタが自分に『嘘』をついて無理矢理動こうとしてるからだよ。全く、一日で二回も全身の筋肉ぶっちぎる奴が何処に居るんだい!」

 

「多分リカバーちゃんの目の前」

 

「トイレくらいなら行かせてあげようと思ったけどその気づかいも不要そうだね」

 

「この若さで尿瓶は辛いっ!?スンマセンッシタァ!!」

 

 背中が痒い。

 

「……リカバリーガール。俺、どんくらい寝てました?」

 

「大体3時間って所だね。もうとっくに体育祭は終わってるよ」

 

「……優勝は」

 

「アンタの彼女さ」

 

「いやぁまだ彼女じゃないんすけどねぇ~!やっぱ周りから彼女に見えますか~!」

 

「なら名実共にさっさとくっつきな」

 

「……ま、俺はそれでもいいんですけどねー。ほら、ヤオヨロちゃんって意外と男らしい所あるのよさ」

 

「知らないよそんな事。まったく……セメントス!四肢の固定だけ残してあと外してやりな!」

 

「おや、もう大丈夫なんですか?」

 

「こんだけベラベラくっちゃべる程元気なら大丈夫だよ!詭弁、分かってるとは思うけど無理に動かそうとするんじゃないよ!関節がバラバラになりたくなきゃね!」

 

「そこまでヤバいの俺!?」

 

「冗談無しに死ぬ一歩手前だったよアンタ。どんだけ元気余ってるんだか……」

 

「ハハハ、人間死ぬ気になれば何でも出来るってね」

 

「……詭弁、アンタはまだ若いんだ。簡単に命を捨てようとするんじゃないよ」

 

「……簡単じゃないよ、命を捨てるのは。俺の代わりに、俺の命を拾おうとしてくれる人が居るんだからさ」

 

「なら、せめてその子に余計な心配かけさせんじゃないよ。全く……さあ、もう帰りな。アンタは明日休みだけど、アタシらは明日も忙しいんだ!」

 

「……あー……なんか、スンマセン」

 

「いいからさっさと帰りな!」

 

「へぃ。治療ありがとうございました」

 

 

 

「……はぁ~。難儀なモンだねぇ」

 

「そうですねぇ」

 

 

 

 

 学校の中から校門に向かう最中、松葉杖を突きながら日が沈んでゆく世界をえっちらおっちら歩いて行く。

 

「いて、て……んぉ、凄いLINE通知」

 

『無事?』

 

『生きてる?』

 

『死ねカス』

 

「名前を見なくても誰か分かるLINE通知。『黄泉の国からこんにちは』っと」

 

『オレがブッ殺すまで勝手に死ぬんじゃねえクソ口野郎』

 

『生きてた』

 

『後遺症とか大丈夫!?』

 

「既読速度マッハかよ。やっぱアイツ面倒なツンデレだわ。『明日休みってマ?』」

 

『マ』

 

『体育祭の打ち上げやるけど来るよな?』

 

『詭弁は安静にさせてやれよ……』

 

『体育祭で唯一死にかけた男』

 

『家族がテレビでみてたけど詭弁の試合だけ放送事故レベルだったみたいね』

 

『寝てたから知らんけどいずくちゃんの試合は?』

 

『お前の試合よりマシ』

 

『比較する時点で……』

 

『今行きます』

 

『んで体育祭の打ち上げって何処でやるん?』

 

『駅近の広いカラオケ』

 

「詭弁さん」

 

「んぅ?おお」

 

 スマホから視線を上げれば、いっちゃんこと塩崎茨が薄い微笑みを浮かべ校門の前に立っていた。

 

「……歩きスマホはいけませんね」

 

 スッと自然な流れで俺のスマホが取られた。まあ確かに歩きスマホしてた俺が悪いな、うん。

 

「怪我は……大丈夫でしょうか?」

 

「んん~……まあ歩ける程に回復してもらったし大丈夫だろう」

 

「そうですか。良かった……。試合後すぐに様子を見に行ったのですが意識不明の面会謝絶と……」

 

「寝てただけで大袈裟だぜ。……ま、心配掛けたね」

 

「ええ本当に」

 

「そこはとんでもないとか言うところよ?……っつ」

 

「詭弁さんっ」

 

 腕の痛みで松葉杖を落としたら、すぐに支えに来てくれるいっちゃん本当に優しい。唯一固定されてない指先でさりげなくぱいたっち。

 

「まったく、無理をしないで下さい」

 

 困ったように眉を下げて笑いかけるいっちゃん。ヤバいなんか罪悪感。

 

「……仕方ありませんね。詭弁さんのお家まで一緒についていきましょう」

 

「ははは、気持ちは嬉しいが駅前まででいいよ。体育祭の打ち上げやってるみたいだし」

 

「貴方そんな身体で参加するつもりですか?」

 

 スン、といきなり無表情にならないで?ムニムニと指で頬を突っつく。

 

「……あの?」

 

「ははは、病は気からと言うだろ!こんな怪我でも笑い飛ばせばなんてこと無いさ!明日しっかり休んで気力を回復して、明後日またリカバリーガールに治療して貰えばいい!」

 

「……はぁ、聞き分けの悪いお方……」

 

「それに約束、忘れてないからな?」

 

「っ……!ほ、本当に行うのですね……」

 

「おー、両手のコレ外せるようになったらすぐにでもハグハグしようずぇ!」

 

「ぅ、す、すぐにはちょっと……せめて1日ほど猶予を……」

 

「ん?……ああ!大丈夫大丈夫!午後に戦闘訓練とかある日を狙って、放課後に汗の匂いむんむんのいっちゃんを抱きしめるから!」

 

「な、何が大丈夫なのですか!!?」

 

「はっはっはっはっ」

 

「ほ、本当にやめてくださいね!?」

 

 駅に向かって歩きだしたら、肩を支えるように隣を歩くいっちゃん。既にいい感じに汗の匂いが漂っていることにはまだ気がついてない。いいねしました。

 

 ふ、と気がつけば、正面に凄いニコニコ笑顔のヤオヨロちゃんが立っていた。

 

「……無事なようで安心しましたわ。ええ、本当に無事なようで」

 

「んぉう、心配かけたね。優勝おめでとう」

 

「……はい、頑張りましたわ!約束、覚えてますでしょうか?」

 

「ん、勿論。強くなったな……モモちゃん」

 

「はい、貴方のお陰ですわ!……それでは塩崎さん?私と詭弁さんは家が同じ方向ですので代わりますわ」

 

「いえいえ、八百万さんも連戦でお疲れでしょう。一回戦で負けて、体力が余っている私にお任せください」

 

「大丈夫ですわ、既に近くまで執事が迎えに来てますもの。車で詭弁さんの家まで送り届けますわ」

 

「車でしたら私も一緒に乗れそうですね。私が詭弁さんの看護を致します。こう見えて何度もボランティアで経験していますから慣れたものですよ」

 

「うふふ、それこそ大丈夫ですわ。家の執事はそういった事のプロフェッショナル揃いですから、素人よりも質の良い看護が出来ますわ」

 

「えー、折角ならナース服着たいっちゃんとモモちゃん見たいなー!」

 

「「詭弁さんは少し黙っていてください!」」

 

「だぁが断る!病は気からって言っただろ?多分ナース服着た二人見たら一発で治る気がするなー!見たいなー見たいなー!!……っつ」

 

「っ!ああもう急に大声を出すから……仕方ない人ですね本当に」

 

 いっちゃんとは反対側を支えてくれるヤオヨロちゃん。おっきいおっぱいが当ててんのよ状態で俺の詭弁さんが起立しそう。

 

「い"っつつ……はぁ、流石にコレで打ち上げ会に参加は無理か……」

 

「さ、参加するつもりでしたのね……」

 

「おぅ、常に楽しくがモットーなもんで」

 

「初めて聞きましたわ」

 

「今考えたからな」

 

 そのまま二人に支えられ、本当に迎えに来た黒塗りの高級車の中に押し込められる。そのまま両隣を抑えられたまま車は発進する。

 

「……ってか、ノリでそのまま付いてきてるけどいっちゃん、家族に連絡とか大丈夫?仮にも男の家に行くのに連絡無しはまずくない?」

 

「お気遣いありがとうごさいます。それでは少し連絡させていただきますね」

 

 そのまま小さい声で電話し始めたいっちゃん。……なんかしっかり『男性の家に泊まる』だとか『彼氏か』とか『まだそうではない』とか聞こえるんですけどー。

 

「詭弁さん、私のお父様が詭弁さんとお話をしたいようです」

 

「えー」

 

 いや、もう本当にえーだわこの状況。そのままいっちゃんに携帯を支えて貰って電話に代わる。

 

「えーもしもし、お電話代わりました詭弁です」

 

『娘を傷物にした責任は取って貰いますからね』

 

 物凄い丁寧な口調なのに怒り全振りなのが分かる声色でしたとさ。

 

「えーと、傷物も何も、体育祭でも怪我しないように丁重に場外に叩き出しましたし、それ以外でも娘さんに手を出すような事はしてないのですが」

 

 軽いオサワリは手を出すの範囲外です。

 

『なっ……貴様、娘が可愛くないと言うつもりか!!!』

 

 うわーお色んな意味で面倒なタイプのお父様ですね。

 

『ここで決めて貰います。娘を娶るか腹に穴が開くかの二択です』

 

「電話口でまさかのショットガンマリッジ!?」

 

『黙れ小僧!丹精を込めて育て上げ、今まで男に興味を持たなかった娘がいきなり男の話題を出したんです!!これで何もない訳が無いでしょう!!』

 

「いやぁ、高校に上がり周囲の環境の変化で男性に興味を抱く事なんて普通の事では……?むしろ同じ女性に興味を持つより一般的だと思うのですが」

 

『ならば何故いきなり男の家に泊まりに行くことになるのです!!男の家に泊まって、そういうことが起こらない訳が無い!!』

 

「偏見がすごーい」

 

 流石にこの両手脚で間違いは起こらないんだよなぁ……もし完治してたら間違いは起こるかもだが、多分ヤオヨロちゃん以外に家に連れ込んでそういうことを起こそうとしたらヤオヨロちゃん家の執事に消される。多分というか、絶対。

 

『茨も昔はお父様と結婚しますわとそれはもう目に入れても痛くない可愛さでした』

 

「いっちゃんが小さい時でもそんなこと言うとは思えないのですけど」

 

 小さい時から『汝隣人を愛せよ』を体現してたと思います。偏見だけど。

 

『反抗期らしい反抗期も無く、小学校でも自ら進んで学級委員に立候補したり、生徒会長となり学内の不正を正したり、学校で行われてた不祥事を摘発したりとそれはもう立派な人間でした』

 

「小学生で!?」

 

 俺が小学生の頃はヤオヨロちゃんのおっぱいを触ることしか頭になかったぞ。いや、それもどうかと思うけど。

 

『ともかく!貴様のような何処の馬の骨とも知れぬヤカラに大事な娘はやれん!!』

 

 電話の声が聞こえてたのか、携帯を支えていたいっちゃんがまた代わって話す。

 

「何処の馬の骨ではなく、詭弁答弁さんはかの有名な弁護士の一人息子ですよ、お父様」

 

『ええい茨!男の大事な話に割って入るんじゃ……何、詭弁と言いましたか?』

 

「はい。叩き上げの弁護士、詭弁勉号先生の一人息子です」

 

『……さっきの男に代わってください』

 

「……えー、代わりました、詭弁です」

 

『娘をよろしくお願いします』

 

「いや待って」

 

 素晴らしい手のひらクルーに感心するがそれはそれでまた話がややこしくなる。

 

『家の娘は何処に出しても恥ずかしくない娘です!詭弁先生の一人息子なら、これ以上のお相手も居ない!どうか、娘を幸せにしてやってください……!おい、茨についに彼氏が出来たぞ!本当ですか!?あぁ……あの茨に彼氏が出来るなんて……!

 

「凄い勢いで外堀が埋められていく!だからいっちゃん……茨さんとはまだそういった関係ではなくてですね!?」

 

『娘も本気でプロヒーローを目指している身!高校を卒業したら、すぐにでも貴方に相応しい立派なレディになるでしょう!』

 

「いや、あの、俺もプロヒーロー目指してますんで……」

 

『お電話代わりました、茨の母です。茨にはもしもの時のためにゴム製のお守りを持たせております。……万が一の時は、家で育てる準備も出来ていますので遠慮無くご相談ください』

 

「信頼度凄いなっ!!親父は塩崎家に何した!!?や、だから茨さんとはそういった関係ではなくて……マジか切れやがった!」

 

「ふふ、お父様もお母様も大はしゃぎでしたね」

 

「なんと言うか、話の聞かなさが娘に遺伝しなくて良かったな……ところで、ゴム製のお守りがどうのとか言ってたけど……」

 

 するとその言葉でいっちゃんがピタッと停止し、見る見るうちに顔が真っ赤に染まる。耳も首もとも赤く染まった。

 

「使ったことはありませんが、使用方法は勉強しましたので大丈夫です……」

 

「使わねえよ!!?」

 

「つ、使わないんですか!?」

 

「ごめんそういう意味じゃない!!」

 

「そ、その……今日は危険な日ですので使用して頂けると……でも詭弁さんがどうしてもと仰るなら……」

 

「ん”ん”~~遺伝してるじゃぁ~ん!」

 

 頭を抱えて悶絶してると、横からふぅー、と風船が膨らむような音が聞こえた。

 思わずそっちを確認すると、バナナ型の細長いゴム風船を膨らませているヤオヨロちゃんがニコニコ笑顔でこっちを見ていた。

 

「私が居る限り物資不足はあり得ませんわ」

 

「うん、分かったからソレしまってくれない?使わないから。使うような状況にならないから」

 

「うふふ。ところで詭弁さん、勝負のお話覚えてますか?」

 

「いや、まあ覚えてるけど……」

 

「その時詭弁さんは、『俺が勝ったらヤオヨロちゃんとおせっせ』って言ってましたね」

 

「ん、ん~?そんな事言ったかなぁ~?」

 

「私、調べたんですよ。『おせっせ』の意味を」

 

 はい死んだー。俺は今日死にましたー。HDDは全消去しておいてください。

 

「詭弁さん。溜まっているというやつでしたら、素直にそう仰っていただければ良いのに」

 

「い、いやぁその、ね……いわゆるジョークって奴でしてぇ……」

 

「そんな事を冗談でも言ってしまう方の家に、女性が寝泊まりする?うふふ……それで本当に何も起きなかったら、それこそ冗談というものでしょう?」

 

「……助けて運転手の方!」

 

「責任とってお嬢様と結ばれてください」

 

「四面楚歌ァ!!」

 

「そ、その。こういう事は初めてですが色々ご指導お願いします……」

 

「詭弁さん。私たちが直々に看護してあげますからね?」

 

「待って!マジで待って!ウッソだろこういうのって俺のキャラじゃなくない!!?」

 

 

 暴走する女子二人に囲まれながら四苦八苦していたが、俺の家に到着した後一悶着あり、親父の言葉によって何とか事態は沈静化した。

 その後、普通に三人でお泊り会した。俺の純潔と二人の純潔は守られた。

 




清楚系「……ん」パルパル

はい、これで塩崎ちゃんも親公認になりました。素晴らしい手の速さだ素晴らしい。
ついでに投稿速度も素晴らしい。自画自賛。

さて、次はヒーローネーム、及び職場体験ですがぁ……なんも考えてねえ!

詭弁ってめっちゃくちゃ歌上手いんだぜ。音感も中々良いらしい。天はアイツに色々与えすぎだろ!不公平だ!-でんちゃん


なんと私初めて評価0を頂きました!評価ばっか気にしてんのはむしろ匿名投稿だからなんだよなぁ。
と言う訳で私の好きな色は赤です。言いたい事、分かりますよね?
という感じで感想もお待ちしてますんで!よろぴく。
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