いいえそこまでではないはず・・・。
狂っているので注意。はい。
暗い部屋に、じゃりじゃりした音が聞こえる。
そう。私の腕や足に絡みつくそれがそうだ。
恋人。
その肩書きに、安心感を得ていたあの時はもうない。
「やぁ、珱」
私は乾いた唇を閉じ、目を逸らす。
唯一の光。希望。
彼の能力はそれを遮った。
緋乃さんの胸を潰し、琴羽さんの頭を潰し。
爽華さんは跡形もなく消え、黄華さんは四肢を順番に潰されたあと狂ってしまった彼女にキスをしてすべてを終わらせた。
それをすべて目の前で行われた。
そして、その次の日からここに幽閉されている。
外では断末魔の叫びが響いていた。自分がしゃべらない、動かない空間の中では、それがBGMとなったのだ。
鮮血に身を染めた彼が私を抱きしめ、犯す。
私は体を洗わせてくれることもなく、水をかけられるだけ。
そんな生活が。そんな彼が嫌いだった。
それだけなのだ。
でも、でも・・・。
「珱・・・?やっぱりしゃべってくれないんだね」
彼がたまにつぶやいた後悔の念がこもった言葉は。
まだ彼がここにいるんだと。教えてくれるから好きだ。
彼・・・が、理桜さんが教えてくれる世界の話も好きだ。
もう、彼らがいた時から十年も立つ。
世界はもう静まり返っていた。
「ねえ、好い加減呼んでよ。理桜さんって。ねぇ」
私を抱きしめる。
耳元でつぶやかれるそれは、まるで呪文のようにふわふわ浮く。
呼べない。あんな声しか聞いてないから。
呼びたくない。こんな彼が、あの優しい理桜さんなわけないから。
「んでだよ・・・」
私を突き飛ばす。
鎖がじゃりじゃりと鳴り、耳を痛ませる。
私が壁に寄りかかっていると、その上に乗る。
「なんで、お前は優しい言葉をかけてくれないんだよ!!!」
ああ、またこのパターンですか?
そしてあなたはむしゃくしゃして、私を抱き上げて犯すのでしょう?
もう同じパターンはやめてください。
とても・・・とても。光への希望を見捨てたくなっちゃいますから。
しかしパターンは続けさせない。
私はしばし考えた後で、口を開いた。
「・・・・あなたこそ、優しい言葉はどうしたのです?」
「珱・・・!しゃべってくれるんだね!」
「あなたは、人一倍優しくしてくれました。なのに・・・なんで人を殺すのです?」
「・・・僕のこと考えてる?」
「ええ。あなたのことです。あなたは人を殺すような人じゃない」
そう言い放つと、理桜さんは硬直する。
ほら。やっぱり。
殺すなんて戯言を・・・。
「こうなるってわかってたんです」
「ねえ・・・珱?」
「だって、あなたは友達を大切にしていた」
「なんで・・・どうしてそれを?」
「この刀も、あなたが置いて行ってたのですよ?」
私は笑って刀を持ち上げる。
やっぱり重い。
抜いて、構えて。
「このことはすでに皆さんに伝えています」
「は・・・え・・・」
「ありがとうございました、理桜さん。お達者で」
スッと横へと刀身を動かす。
すると、ストン、と彼の首は落ちた。
罪悪感。
彼は私のためにこうしてくれたのに。
達成感。
彼を殺すことで私も、世界も救われた。
ぐちゃぐちゃになった部屋。
汚物の匂いが充満する部屋。
白い液体や血が壁や私の肌にこびりつき、異臭を放つ。
天井に手をかざす。ああ、重いのは鎖か。
私は刀で鎖を断ち切る。
すると自然と涙が溢れ出る。
そして聞こえてくる懐かしい声。
「おい、開いてるぞ?!」
「珱さん!珱さんは無事ですか?!」
「いるわよ、ほら」
夢さんらしい女性が私を指差す。
こんな見にくい私を黒宮珱として認識してくださるのですか?
本当に・・・お優しい方ばかりだ。
「珱ちゃん・・・君のしたことは理解してるね?」
「人殺しです」
「世界では、君を英雄と奉る人もいれば異端者として扱う人がいる。そこで提案だ」
「?」
「名前を変えてくれ。服を変えてくれ。髪を染めてくれ。これは君に生きて欲しい僕らの提案なんだ」
風夜さんは、私に手を差しのべて、私に笑いかけてくださる。答えなんて、言うまでもないでしょう?
察してくださった彼は私の頬にこびりついた血をこする。
「少々汚れているね。これをかぶって、車に乗るんだ。緋乃くんの風呂を借りよう」
「・・・はい」
「じゃあその間に俺らは名前考えてるよ」
緋乃さんが白衣を翻し、そう言う。
願いがかなったようですね。お目出度いです。
「ああ。緋乃くんにはカウンセリングもしてもらわなければいけないからな」
「マジでか」
「医者だろ?万病を治す」
「まだそこまでじゃねーっての」
ガシガシと頭を掻き、照れ臭そうにそっぽを向いている彼に笑う。
その左薬指には指輪がはまっている。
そっか・・・。結婚したんですか。もっとお目出度いです。はい。
「ふふ。すごいですね」
「そ、そうかぁ?」
「はい」
「・・・まあいいや。チャチャっと連れてくから乗ってけ」
「はい、了解しました」
私を抱き上げた緋乃さんは、私に布をかけて走り出す。
その他のみなさんはその場で現場を検証している。
「おかえり、だな、珱!」
「はい・・・。って何で今なんですか。あとでみなさんに言いたいですよ」
「あっはっは!!そうだな!それがいい!」
緋乃さん・・・結婚してるくせに・・・。
私は忘れたくない。
あんなに笑った日々を。孤独で汚らわしかった日々を。
そして新しく覚えたいのです。
今から始まる、笑っていた日々の続きを!
俺はシメ方が上手くない。
緋乃「そう思うならささっと説明しろ」
あ、はい。
この作品は、もし理桜が珱のこと好きすぎて殺される前に殺しちゃえ!という考えから、理桜くんは、「君のお友達、死んじゃったねぇ?」って言って珱を幽閉します。
自分のせいでと苦しむ珱を縛って犯して放置。珱のために、理桜は全国民を襲い始めました。
がぁ。
緋乃「・・・理桜は友情、愛情にうるさいからな。まあ、殺しきれなかった」
はい!それでなんとか生き延びた皆さんが助けに入ると
ちなみに、これの前に梨沙はしんでます。
緋乃「んで、夢はいた。結婚もした。・・・か」
さーいえす!
緋乃「お前理桜を外道にしすぎ」
そうじゃないです。
愛故に、です!
緋乃「お前の愛は重すぎる」
あっははっは!!
ではでは!
緋乃「久しぶりの番外編がこれって・・・」