今更じゃないよっ!!
HAPPYEND前提
ぷいっと顔を背けた霊夢に、相変わらずだなぁと笑ってやる。
そして、すっと霊夢の指にはまった指輪を撫でてやる。
びっくりしたように顔をこちらに向けた霊夢の後頭部を掴んで引き寄せ、抱きすくめる。
自分の左手を霊夢の左手に絡ませて、何となく喜びを得る。
呆れたような目を向けられる。恥ずかしいことをやるなと言うように。
「何だその目は」
「別に・・・」
再び俺の胸の中にぽすりと埋まった霊夢は、そっと俺のパーカーを握った。
震えている。
親指と人差し指、中指しかない右手で霊夢の腰を掴んでもっとと密着する。
俺はここにいる。もうあんなことはない。
子供が入っているその体を傷つけさせはしない。
「あんたが生きてる・・・」
「勝手に殺すな。ったく・・・そんなに怖かったか?」
「それなりに。でもまあ杞憂で良かったわ」
はふぅ、と霊夢が息を吐く。その後、起き上がった霊夢を見て、苦笑する。
「あーもう、家に居ちゃ勿体無い!ほら散歩するわよ!」
「えぇ・・・俺はお前と・・・。ってかお前妊婦!」
「さっさと行く!」
「うぃ。・・・あーあ」
俺は仕方ないとばかりに勢いをつけて起き上がった。
きっと今日は吸血鬼と天使共は帰ってきているだろう。まったくあいつらは急に出かけやがって・・・咲夜と秋兎が可哀想だろ。
「どっから行くんだい」
「そうね・・・魔理沙のとこにでも行きますか」
「りょーかい。この時間帯はアリスらもいるだろ」
「この頃多いわね、四人が揃うの」
「まあ、元より琴羽と詩季は仲いいしな」
桜の花びらを掴む。もう、俺らがきてから二年は立ったのかな・・・。短いような。
おいていかれないように、俺が霊夢が飛んだ下を走る。
すると、霊夢が俺の後頭部にキック。
・・・上向くほど俺はバカじゃない。
――――――――――――――――――
霧雨魔理沙店。
ぎゃーわーと中から聞こえる。
うわか・・・明らかに面倒事が起きてるよーやだよー。
「・・・よし帰ろう帰って寝ようそれがいい絶対巻き込まれたくない」
「なに言ってんのよ。私が帰るまで帰らせないわよ」
「・・・それエ・・・怖い」
「何を言いかけたのかしら?」
「あ、いえ。なんでもないです」
諦めよう・・・。霊夢に逆らったら指輪返されて妖怪の餌にされる・・・。いや指輪はそのままかもだけど下手に激怒させたら・・・怖い。
「まーりさー」
「おう!ちょっと待ってるのぜ!」
中から快活な声。そして、ドアが開き、少しボロボロな魔理沙が出てきた。
服が所々破れ、煤けていて・・・殺気?!
それは家の中と俺の隣から感じる。
琴羽さんまさか怖いよー。
「よし、今少し失敗して汚いけど、な!」
「あ、いや俺はいいや」
「はぁ?」
「やあ緋乃。ゆっくりしていったら?」
黒い顔で琴羽が魔理沙の後ろから顔を出す。
その近さに魔理沙は顔を染めてそそくさと奥に逃げた。
「相変わらずだなー・・・」
「君たちや理桜くんのようにべったりくっつけるほど僕の心臓は強くないんだよ」
額に手を当ててドアにもたれかかりため息をついた。
何を失礼な。
「ふぅん。緋乃は女にくっつかれると異様に興奮しちゃうらしいから」
「え・・・。まさか・・・」
「いやいやいや!?誤解招いてる!間違っても俺は婚約者以外とはない!そんなのない!」
「でも前魔理沙がこけて・・・」
「あれはちがぁあああああう!!!」
琴羽の視線がいたいだろバカヤロー!!なんでそんな自分がへこむようなこといってんだお前はー!!
「そうかー。じゃあもちろん魔理沙さんのために部屋の掃除手伝ってくれるよねー」
「いや、ちが・・・」
「ほらほら、きなよきなよ」
「だから、琴羽?!」
「えいっ」
「ぐはぁ!?」
後ろから何者かに襲撃される。
そこには、理桜がいた。にしし、と笑ったそいつは、俺の首を木刀で刺していた。
刺さってはいないけどいてぇじゃねぇか。
目だけで思考を伝える。すると理桜は「すいません」と木刀を持ったまま笑った。
・・・そいつの、足元は見ない。顔色の悪い顔だけを凝視する。
琴羽も、理桜を見るときは必ずそこを見ず、首から上を見る。と言っても、何も見えないんだけどな。
「それにしても・・・理桜、なんのようだ」
「いやぁ、バカみたいに掃除についてうーにゃら言ってたから、ね!」
「だからって首に指すな!」
霊夢がため息をついた。
なんだよ。
「ああ、理桜。冥界まで連れてって」
「おう了解です!緋乃さんはここでいいよね?」
「は・・・」
「霊夢さんは俺が責任とって届けます・・・!届けますから少しの間だけでも美人さんを拝ませて!!!」
「てめぇ・・・霊夢に手ェ出したら超音波でぶっ壊す」
「ほほぅ。ぶっ壊したら恨んで出て潰す」
「何で脅し合ってるの・・・」
だってこいつが霊夢取ろうとしたから・・・。
と意味ありげに琴羽を見ると琴羽がため息をついた。
「じゃあ、お先に失礼するわ。魔理沙によろしく言っといて、琴羽」
「あ、はい」
「おい理桜、手を出すな。出すなよ」
「出すなと言われたら出したくなるよね。あはは、大丈夫出したら死ぬから。多分」
「ああそう」
――――――――――――――――――
理桜Sido
俺は霊夢さんを抱え・・・もといお姫様抱っこで重力操作する。
浮いて、ふよふよと動く。
「・・・遅い」
「いやはや、後ろから重力でやるのもありなんすが、それは霊夢さんの体に負担をかけますからねぇ」
「どうでもいい。早く」
「まったく、困ったお方だ。ああそうだ・・・次期博麗の巫女の見通しは?」
「それって子供のことよね」
緋乃さんがいなくなった瞬間にしゃべらなくなった霊夢さんが不機嫌そうにため息をついた。俺は苦笑して返す。「そうに決まっている」、と。
霊夢さんは遠くを見て、むすっとする。
やはり、博麗の巫女も女の子なんだなぁ・・・どうせ、あの人のことだ。
手を出さずにあーだこーだ言って、「まだ早いっ」って逃げてるんだろうなぁ。
一応俺だって手ェ出してるのに・・・避妊はしてなi・・・おっと、これは品がなかった。
「緋乃さんのことだから、なぁ・・・まあ手を出すなんてことはしないでしょうが」
「一回出されたけど・・・・今度夜這いでもかけようかしら・・・」
「出したんだー。でも、またってのは、彼の準備が整うまで待ってあげてください」
「でも、整うまでの間に、あいつが死んじゃったら・・・」
「・・・」
あの事件の後気付いた真実。
俺らにはもう時間はない。常に、体が削れているのだ。一時間に一ミリくらい。
能力を使えば、それは促進される。俺はもう満足してるから使っていられるけど。
実際、俺の足はもう無い。
もう死んでる俺らが今更命という綱に縋ってもなぁ・・・。
「あんたはそろそろ、白玉楼にこもる時期でしょ」
「そうっすね。・・・そろそろ本格的に、妖夢さんを一人にしないよう策を練ることになりそうです」
「簡単に子供残したげるだけでいいんじゃないの」
「あなたはそれでいいんですか?」
「・・・まあ、それだけじゃいやだけれど」
でしょう、と笑う。この瞬間にも、肩が減りつつある。
霊夢が俺を抱きしめる。
「ちょ?!」
「掴まりなさい。消え切ったら私が怒られる」
「・・・そう・・・っすか」
俺はぶらつく両手で能力を切り、霊夢さんにしがみつく。
情けねえ・・・。俺はもう、満足に動けねえのか。
一方、琴羽くんは消え切った部分はないのである。なぜなら、魔理沙さんから能力を制限される魔法を使われたからだ。でも、『中身』は無くなったが。彼はもう食べる必要はないのだ・・・。
そして詩季はもう頭しかない。あいつの能力は感情の左右されるものだった。・・・もう、俺らがあいつと話すことは出来ない。能力を使えないように、魔女三人によって封じられたのだ。封印によって能力が使用されることはなくなったのだけれど・・・。封印されている中でも、消去は続いている。つい最近、頬が消えたらしい。
緋乃さんはまだ・・・秋兎くんがいるって思ってるのかな・・・。
「・・・もう、時間はないんすよね。でもそれは、緋乃さんだって承知の上だ・・・絶対、彼はあなたにだけのものを作ってあげれる。俺はもう、無理だけど」
「そう。まあ・・・。あんたはもう動かないことね」
「・・・」
俺は黙りこくるしかできない。もう、もう・・・俺は妖夢さんのそばにいるしかできないのだ。
彼女のためになにかをしてあげられることはない。
どちらにしろ、『知って』しまえば消える定めだったのかもしれない・・・。
元はもう、俺らは消えていた筈。神がいるなら・・・なぜ、こんなことにさせたのか。
幸せながらも、不幸を味わわなければならなかったのか。
「あ、そろそろですよ。今は、桜も咲いてますし。わかりますね?」
「ええ・・・まあ」
霊夢さんは通路へと飛び込む。
――――――――――――――――――
緋乃Sido
俺は、魔理沙の家で掃除を終え、近くの森の奥に祀られている祠の中へ入る。
そこには頭がある。
懐かしい顔。詩季のものだった。
「おっす、詩季。もう、あの春雪異変から大体二年たったんだぜ。お前が悪夢から逃げられた、記念すべき異変だ。・・・なあ、詩季」
俺はたった一人でしゃべりだす。
俺ら五人は仲が良かったからこうできるんだけどな・・・。
「秋兎は、死んだんだよな・・・」
目覚めない詩季に問う。
俺は猟銃を置いて、右手で目元を覆う。
「もう・・・前みてぇに過ごすのは無理なんだな・・・」
詩季の隣には、ネクタイが捧げられている。
咲夜に渡したものがこれと・・・あともう一つ、あったらしい。
それがなんなのかは知らない。
「あっはは。・・・俺もそろそろ霊夢に残してやらねぇとな。子供と・・・アレか」
俺の能力の集大成。
準備が出来たら、もう終わらす。俺は必要以上にあいつに依存してたのかもしれない。
子供は二人欲しいとかつぶやいていたな。その通りにしなければ。
「さて。俺はそろそろ行くな。じゃあまた・・・。アリスも来るから、寂しくねーぞ」
「・・・霊夢を追いかけるのもあれだ。神社に帰って準備進めるか」
俺は祠を後にする。
ガタリ、と何かが動いた気がした。
もう、詩季は生きてないんだ。そう、思った。
――――――――――――――――――
妖真Sido
この頃妖夢の様子がおかしい。
いや、あの幼想異変が終わってから、ずっと。
きっと彼の消えた足に関わるんだろうけど・・・僕にはわからない。
僕はみんなと違って消えないでも、僕は大馬鹿者だから・・・。
「あのー?妖真さんー?」
「・・・早苗さん。幸せですか」
「ふぁ?あ、ええ。幸せですよ。だって、あなたへの気持ちに気づけたから」
こうやって早苗さんは笑ってくれる。
僕の左手に右手を重ね、恥ずかしそうにうつむいて。
「っ早苗、さ」
「周りの人は、・・・あの人たちは今、大切な人を失う悲しみを背負ってるのに、こんな日常を送れているっていうのは、やっぱり・・・奇跡、ですよね」
「・・・」
「でも、私は・・・!皆さんが幸せじゃないと・・・」
「早苗さん」
僕は早苗さんを抱きしめる。
半狂乱になりそうだった早苗さんは落ち着いて、僕の腕をぎゅっと握る。
早苗さんは優しい。
妖夢のように抱え込み、霊夢さんのようにお節介。
魔理沙さんのように無鉄砲なところもあって・・・咲夜さんのように冷静。
全員、人を失う悲しみを負う人。
自身はわかってないでしょうが、だからこそ自分のことのように悲しむ。
吸血鬼の人々はきっと消えない方法を探しているのだろう。自らが誇る執事を失ってしまったのだから・・・。
「妖真さんは消えませんよね」
不安そうに早苗さんの瞳が動く。
僕はそれに頷く。
「僕はまだ消えるわけにはいかない。妖夢のこともあるし・・・見守らなければいけない人がいる」
「え・・・」
「人のために幸せを願える・・・優しい人が抱え込みすぎないようにしなければならないから」
早苗さんの目を見据えて、しっかりという。
あなたは、次期博麗の巫女の育成を霊夢さんとやらないといけない。
紫様の期待を、その博麗の巫女と背負わなければならない。
守矢の巫女として役目は果たさねばならない・・・。
だから放っておけない。
いつか、詰め込みすぎて突っ込んで、いなくなってしまうのではないかと。
「妖真、さ・・・」
「おっと。そろそろ理桜さんが帰ってくる」
「ちょ、ま!?」
「・・・まだ僕はあなたに付き従うには釣り合わない」
あなたはもっと高い位置にいる・・・。こうやって抱きしめられているのでさえ、奇跡に等しいのに。
従者如きに、神を想うなんて、下劣すぎる。
でも・・・それでも、彼らの未来をこの手で支える。それが達成されたなら・・・。
「何度だって言います。あれから、約二十回言いました・・・」
「・・・そう、ですね」
「私は、貴方が好きなんです。もうこれは間違いじゃない、本当に・・・」
早苗さんの必死な目に負けてしまいそうになる。
ついうつむいて、口を覆う。
「ああ、もう・・・。僕だって好きなんですよ・・・」
「妖真・・さん?」
「いえ。なんでもないです。では・・・」
「ええぇ?!今の言葉は?!妖真さん?!もう一回お願いします!」
「『なんでもないです』」
「それじゃなくてぇ!もう一個前!」
「聞きたければ、言わせて見たらどうでしょうかー」
言いたくないのでまあ聞かれても言わないけど。
僕はそのまま去った。
お二人が、微笑みながら見ていた気がした。
――――――――――――――――――
ヴェルディSido
「お帰りなさいませ」
「ああ、疲れたわ。咲夜。ベッド」
「その前にご入浴を・・・」
「いいの。ベッドに行きたいわ」
「は・・・」
「あ、僕が連れていくよ。ほら、レミィ」
「は、離しなさいっ!紅魔の王を担ぐなんてあなた度胸あるわね!いいわ風呂でじっっっっっくりと教えてあげる!」
風呂でじっくり・・・ふむ。薄い本が厚くなるな。射命丸にでも張り込みさせるか。
などと考えていると、ぽてり、とフランが俺の胸の中へと落ちてきた。
もう長旅の疲れで限界だったんだろう、熟睡している。
「・・・じゃあ俺はこれで」
「ええ。かしこまりましたわ」
「あと、ノアが不埒な真似をしたら火を放て」
「・・・あなたは本当にあの人が好きだったの?」
「昔の話だ」
俺はフランをお姫様抱っこして歩く。
もう、あれから何ヶ月。
あいつらは消えかけ、真意を知ることもなく神居は消えた。
なんで、あいつらが。
つい、フランを抱き上げ、離さんとする力に、余計な力が加わり、ぎゅうっとフランを抱きしめる。すると、つい起こしてしまったらしい。
「ふみゅ・・・ゔぇるちー?」
「どうした、フラン?久しぶりのふかふかだぞ?」
「ふかふか・・・やったぁ・・・むにゅう」
寝言のように呟いて、そのままくたっと寝付いた。
フランは寝付きだけは良いんだよなぁ・・・。
「・・・俺はお前を一人にはしないよ。絶対に」
ポツリとつぶやいて、神居を思い出す。
あいつらは俺が止める中で、美鈴とともに侵入した龍を討伐するとかいうバカなことをやった。あんなん、俺が制御する中でフランがやれば早いのに・・・。
思いっきり傷つけられ、能力によって力は強くなって行く。
あいつも、また詩季のように傷つけられただけで能力が発動してしまう。
その戦闘が終わると同時に、神居は消えた。
俺の言葉が耳に入ったか、フランの目から大粒の涙が流れる。
「ふえぇええ、ふぇええええん・・・」
「フラン?」
「ひぐっ。カムイぃ・・・・」
「・・・フランドール。落ち着け。もう、きっと・・・誰もいなくない。絶対に止める方法を・・・」
「そんなのないよぉお!!」
フランは俺の肩を掴んでぐちゃぐちゃの顔を首元に押し付ける。
『ない』の言葉が、俺の胸に刺さる。
「なく・・・ても・・・。封印以外にも抑制できる方法があるかもだろう?!それを神居に使えなかったのは悔しいさ!でも・・・でも、ないなんて絶対にない!」
「きゅぅっ・・・」
つい叫んでしまい、フランが怯える。
・・・ごめん。
すると、後ろに咲夜が出てくる。
「あったとしても・・・神居は」
「戻らねえよ。未練として生きてこれたのがすげえんだ・・・。もう、消えた瞬間から魂ごと消え去るだろうな」
「・・・そうですか。じゃあ。もう」
咲夜は言い切る前にまた何処かへ行った。
紅魔館を空けることが、多いのは・・・咲夜はどうするんだろう。
「とりあえず、寝ようか」
「えっ」
「ダメだよ」
それを言ったら俺がノアに殺される。
フランの唇に重ね合わせ、キスをする。
目を見開いて顔を染めるフランに、相変わらず慣れてないんだなぁと笑う。
「寝ろ?」
「うん・・・」
部屋へ入って寝かせてやり、俺もベッドに倒れこむ。
フランが俺の腕に絡みつき、そのまま寝ている。
「・・・・無事で居てくれよ」
――――――――――――――――――
フェアSido
ルーちゃんは無邪気に笑って、こつんと額を合わせる。
神社の一部屋で二人で並んで寝転がる。
「フェア、緋乃みたいにならないのかー?」
「なってほしい・・・の?・・・・・・っ!?」
首元を掴まれ、殺気立った目でじぃっと見られる。
「・・・冗談。苦しい、くるしいよー」
「ご、ごめん・・・。なってほしくないよ。不安なの」
あの時から、ルーちゃんが頻繁に素を見せる。
そんなルーちゃんを抱き寄せ、ぎゅううと力を入れる。
「大丈夫。俺はずっと此処にいる。ルーちゃんの隣に」
「じゃあお風呂一緒?」
「それは無理!」
「トイ・・・」
「だから無理!」
「・・・ケチ」
ルーちゃんが首元に噛み付いた。
吸血鬼みたいに噛んだ跡をちうちうと吸い出す。
甘噛みだから血は出てないけど・・・ルーちゃん。
俺、どうすればいいんだろうね。
「ルーちゃん、くすぐったい」
「うー」
「・・・」
「絶対に、離さないわ。もうあんな思いしたくない」
ルーちゃんの表情に陰が差す。
俺は額に口付けてやる。
嬉しそうに、悲しそうに笑ったルーちゃんが綺麗だった。
幼い体に、似合わぬような妖艶さ。
「ルーちゃんきれい」
「なに・・・?」
「大好きだ」
「ふぇ、フェア?」
「俺ね、神狼にならないといけなくなったんだ」
「え」
ルーちゃんが固まる。
前の神狼も元人狼だったらしく、ならば俺だろうと至狼たちから推薦されたのだ。
なぜ人狼から決めたし。
「神狼になると、体が狼に成り下がって、記憶が消えるらしい」
「それは・・・っ!ダメだよ!!」
「大丈夫。忘れない・・・からね?」
ルーちゃんは頷いた。
「だから、せめて君を想い出すきっかけを残させて」
「ふぇあ・・・」
押し倒して、ルーちゃんは笑った。
ごめん、ごめんよ。
俺がこんなんで・・・・ごめん。
――――――――――――――――――
神狩Sido
このごろ神社からいい音が聞こえる。
そして・・・いや、これは気にしない方がいい。見てしまう。
「神狩ぃ・・・」
「・・・どうした」
「どうして緋乃らは死ぬんだい?」
「それは、だなぁ・・・」
いいたくはない。
萃香に嘘はつけないけど・・・。
「教えることはできないよ」
「そう、か。まあいいけどな!さぁってと、なにをする?」
「緋乃の部屋に突入する」
「するな!!」
緋乃に怒られたか・・・。
まあいい。
萃香は苦笑して、私の指を握ってにへらぁ。
幼い頃の約束を本気にとってくれた彼女・・・か。
「萃香」
「なんだい?」
「私は神狼になるフェアの礎・・・彼の能力になろうと思っている」
「えっ」
「神狼になったら喰われる役割だ。魂は彼の中にいるが、もう出てくることはない。寄生虫も憑かせて誤ちを侵さない、不老不死の神狼を新しく作るんだ」
「・・・そうか。がんばれ」
「反対するものと思っていたが」
案外素直に聞いてくれた萃香は、先ほどと同じような笑みを浮かべていた。
「まあまあ。それより、その話はいつ頃から?」
「八雲紫が秘密裏に計画していたようだ。まあ、フェアが了承したから私もしたが」
「ふぅん。寂しくなるなぁ」
「そうか?いつも通りだと思うが」
「いいや。私にとっちゃお前は大切な存在だ。神狩、ありがとう。教えてくれて・・・」
「・・・ああ」
胸のあたりにひっかかるブツがある。
今この場で抱きしめればきっと、きっと・・・!
「神狩?」
不安げに彼女は見上げてくる。
私はそろそろいなくなるんだ。だから、ならば・・・・!
私は萃香を抱いた。
――――――――――――――――――
ノアSido
浴槽の中で俺に背中を向けて座るレミィの頭を撫でる。
先ほどシャワーを浴びせたからしっとりと湿った髪が指に絡む。
「・・・なんで、助けられなかったのかしら」
この旅行は、他の面々の症状を抑えるための方法を探しに行くのが半分、もう半分が紅魔館にいると神居くんを助けられなかった悔しさに俺らが駆られるためだ。
レミィが口まですっぽりと浸かると、ぶくぶくぶくと聞こえる。
溺れないでよ、と笑いながら言うと、ザパリと立ち上がった。
直視してしまったレミィの裸体に顔を熱くして俺は顔を背けた。
「こうしちゃいられない。もうあの子達の大切な人を助けなくちゃ・・・!」
「無理だよ、レミィ。気づいてるだろ」
助けられないんだって。受け入れるしかないんだって。
レミィは口を引き結んで噛んだ。
俺はその後ろから近づいてバスタオルをかけ、結んだ口に指を這わす。
噛むな、と伝えるために。
「知ってるわよ・・・だからなによ!」
「!」
「やらないことには意味は無いわ!ねえ、そうでしょう?!なんでも悲観する必要はないのよ?!」
「そうだな。でもな、できないことはやらない方がいい。いつか体を壊す」
「でも、咲夜が・・・!咲夜が、」
「かわいそうだって?そう感じる方がかわいそうだ。彼女だっていつだって後を追うことはできるんだよ。なんでそうしないかって、君を大切に思ってるからじゃないの」
俺はそうだと信じてる。
だって、そうじゃないか?
咲夜は好きでここにいる。神居くんを大切な人として想っているのに。
「そこらへんは君のカリスマだよ」
「・・・そう」
「無理して探さなくていいだろう。ね、もう此処にとどまろう?平和に過ごそうよ」
「いや」と短く呟かれた。
いやじゃないだろうとため息を吐く。
「さて、咲夜!服!」
「は」
「うおぅ!?」
咲夜が服をきせると、レミィはさっさといってしまった。
「咲夜・・・」
「ありがとうございました、ノア様。私はいつまでもレミリア様に仕える所存であります」
「ああ。そっか。じゃあレミィを任せたよ」
「・・・は」
咲夜は目を丸くした。
俺は白い羽を伸ばして、伸びをする。
「ヴェルディと一緒に、天界へ招集されたの」
「そう、なのですか」
「うん。だから会えなくなるよ。今夜からなんだ。じゃあ、レミィによろしくね」
俺は風呂の窓から逃走。するとヴェルディと出会った。
「君のことだからバックレるかと思った」
「お前に迷惑はかけられないさ」
「いつまでも見習い気分?」
「うるせぇ」
ヴェルディが率先して上へと向かった。俺も追いかける。
「さよなら、レミィ・・・元気でね」
――――――――――――――――――
理桜Sido
白玉楼についた。すると、仁王立ちして待ってる妖夢がいた。
「おや、お熱いようですが」
「まあまあ、妖夢落ち着いて」
「こいつに能力使わせるわけにもいかなかったのよ」
「それはどうも、では理桜さんはこちらへ」
半霊に連行される。
霊夢さんはキョロキョロと見渡して、何をするつもりか、札を取り出す。
「?」
「悪いけど、そいつも封印するわよ」
「いやです!」
「・・・俺も嫌だな。俺は死にたいほうだ」
「ああそう・・・じゃあ私は帰るわ」
急にやる気をなくした霊夢さんは落ちていく。
俺はある和室へ行き、そこで寝転がる。
近くには妖夢もいる。
「なあ、妖夢さん」
「なんですか」
「怒ってるよね」
「まあ、一応」
ずぅっとそういう態度だ。
「なんで記憶が戻ったのか知らないですし」
「・・・それはですねぇ」
つい顔を引きつらせる。
なんでなんて、簡単じゃないか。
妖夢さんの写真ファイルなんて作ってたんだよ?!それがきっかけなんて言えないじゃないかぁああああ!!!
適当にごまかすとばれる。から真実を話した。
写真ファイル見たらシーンが鮮明に蘇ってきた。って。
「・・・・はぁ。理桜さんらしいというか、なんというか」
「でしょー」
ため息を吐いた妖夢さんに手を伸ばす。
妖夢さんは笑ってその手を握ってくれる
足がないから、肩がないからいじれない。
もう、俺は終わりかもしれない。
みんなより症状の進行が早いんだ。
それは、伝えてはいないけれど・・・・。
もう、左腕は消えかけている。
「いつもより早いですね」
「早くなって行くのかなぁ・・・」
しらばっくれる。
ああ、ごめんよ妖夢さん。
なぜか意識が遠のいた。
体が消えていく。どこかで、すべてが軽くなった。
「ご・・・め」
「理桜さん?!理桜、さ・・・・理桜さぁああああああん!!」
――――――――――――――――――
緋乃Sido
霊夢が帰ってくる。
気だるげに、また悲しげに。
「よぉ。ちょうどいい」
「なによ」
「お前にプレゼント。ほれ」
箱を手渡す。
それはまだ空かないようにしてる。
だから中身を知ることはない。
「世界に一つだけのもんだ。大切にな。あとーーー」
俺は息を呑む。
そして、黙りこくる霊夢を押し倒した。
――――――――
霊夢を別の部屋へ移すと、俺は箱・・・オルゴールを開く。
まだ俺の力をいれてないもの。
俺は少しの切なさを残して、すべての能力を入れ込む。
『愛情ゆえに君愛し、切に願う幸せ。君を一人にする悔しさに紛れた幸福感。僕はなにも後悔はしてないんだよねえいつか・・・』
歌った。
すると、オルゴールがそれを録音して行く。俺の能力だ。
霊夢、ごめんな。
俺は・・・俺は。
新しい子供の名前すら決められずに、死ぬんだなぁ・・・・。
――――――――――――――――――
第三者Sido
お母様が朝餉を用意してくれる。
私はそれを食べて、弟と笑う。
「お母様は幸せ?」
「そうね・・・幸せよ、霊乃。あなたたちがいるから」
寂しげに笑ったお母様に、弟が聞いた。
「ねえ、お母様。なんで僕を見てなくの?」
「緋葉・・・。だって、あなたは緋乃に似てるのだもの」
「お父様に?」
「ええ。・・・だから、せめて幸せに生きてね」
お母様はまた笑う。緋葉は「うん!」と元気に頷いた。
たまに聞こえる、詩は・・・お母様の宝物。
私たちと同じくらい大切な、お父さんの残したものだから。
これ書いた理由はちゃんとあります。
緋乃「んぁ?」
いやあのですね。転生録はいわばBADEND前提のような感じじゃったっしょ。
緋乃「んー・・・そうだな」
もしHAPYYENDしか見てない人がいたらどうしよう?!
やべぇえ繋がんねえよマジやべぇよよしHAPYY前提で後日談書こう!!
・・・後転生録の後日談も書いてたんでついで、って。
緋乃「・・・ああ、そうか」
バカなのかなんて思わないで!!
ではでは五人の現象をば・・・。
ちなみにコレ、結構後付け多しです。
能力使ったら体が消えていく。
能力は彼らの死を招いたきっかけだからです。
能力があったから彼らは忌子扱いされたり捨てられたり、親近感を覚えたりしたからです。
まず、彼らの死因は己の能力のせいです。直接的な関係は無いといっても、元はといえば能力を持って生まれてしまったから、いじめられてしまった。
そして、その能力と神様やなにかのイタズラで彼らの未練は具現化され、彼らはここにいる。記憶の違いがあっても、それでも彼らはなに不自由なく過ごせていたのです。
そして、そこに幼想異変。後付け設定としても、これは後日談に深く関わる異変、そして設定でした。
彼らはすでに死んでいることに気づき、そして幼い彼らの言う理想郷——幻想郷を壊されないために、必死になって戦いました。
そのせいか、彼らの呪いのようなものを受けていたのでしょう。本人たちは気づかぬまま、体を摩耗する症状になりました。
能力を使った回数は、彼らの命のカウントダウンとなります。強力なものを使えば、その分だけごっそりと減ります。
先ほども言ったように、能力と神様がたらのイタズラですから、神様がたらが関わらなければ、能力=命、のようになります。まあ意味はわからないですが。
もう死んだと気づいた未練の塊は、能力が命綱となります。今、彼らが能力を使えば、命綱は真ん中をじょりじょりと切られている状態になります。
そして、使い過ぎればハサミできられる。そして彼らは消えます。
いやまあ、琴羽くんだけ死んでなかったし、詩季くん封印されてますが。
というかきっと転生録に詩季くんいなかった理由永久保存されてたでいいと思う。いやまあゴリゴリ減ってたけど。
という感じです。まったくためにならない長文ですた。
まあ、骨舞録に彼らが出るかわからないから知りたいことあればメールでお願いします。
ではでは~。
・・・コラボのやつもがんばろ。