東方小説番外編集   作:Lan9393

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番外編、スランプ脱却目的過去話、最初は風夜。

さあ、どうぞご覧ください。


キャラクター過去話
風夜編~夜中の歌声はきみを思い出させる愛の歌~1


 

 病室の真ん中にきみはいた。

薄桃色の髪は、外の月の明かりに照らされ光り、俺にその美しさを教えてくれた。

もう開かないであろう瞳。

何色だったか。

きみはあんなにもまぶしく笑っていたのに。

 

「・・・ユウコ」

 

彼女の名前を呼んで、そっと手を握った。

死んだ彼女の体温は冷たくて、まるで・・・氷のようだ。

しかし、そんな氷のような冷たさは彼女にはなく、いつも明るく陽気な彼女は、俺を明るくしてくれた。

くそ生意気なガキの面倒を見ることになってしまった俺は、彼女によって癒やされたと言っても過言ではない。

『もう一度』、歌ってあげよう。

聞こえなくても、せめて心は込めて。

 

「――――♪」

 

歌詞も曖昧なこの声は彼女に届いているだろうか。

彼女はこの歌で喜んでいるだろうか。

そんなことを思いながら歌い、そして。

俺はそのまま眠りについた。

 

 

 と、ここで意識がはっきりしてきた。

さっきのは夢だったのかな?

俺は、頭を押さえ、その頭に響くような痛みを押し込めた。

痛い。

何が原因かは知らない。けど、ただ痛い。

 

「・・・幽々子は、起きているかな。なんか、無性に会いたい」

 

俺はのそりと動き出す。

部屋を出て、真っ先に向かうのは西行妖のある庭。

少し広いその庭を、妖夢ちゃんは一人で世話してるのだという。

すばらしい限りだ。

なんて、前にも言ったようなきがする事を思いながら、西行妖・・・枯れたような巨木の前にたたずむ『薄桃色の髪の女性』に話しかけた。

 

「や、幽々子」

「あら、風夜」

 

軽く挨拶を交わし、俺は幽々子の腰に手を回す。

また小さく、「あら」と声をこぼした幽々子のあごをつかんで、引き寄せる。

重ねた唇の暖かさが、なんだかとても嬉しかったり。

まあ最も、幽々子は亡霊だから暖かさなんてないけど・・・そう、思えるんだ。

 

「んっ・・・急になぁに?」

「・・・したかったから、じゃだめかな?」

「あらもう、風夜ってば♪」

 

上機嫌になった幽々子が、俺の肩を軽くたたき、照れる。

かわいい。だけれど、このやりとり、どこかでしたような・・・?

まあいいかとそんな思考を飛ばし、再び口づける。

赤い唇をついばむように、数回。

『俺も』、亡霊なのだ。

ここ、白玉楼は俺ら亡霊の集う場所。

何となく、此所こそが俺の居るべき場所なんだと確認する。

 

「・・・なあ」

「なぁに?」

「・・・愛してる」

「ええ、私もよ♪」

 

これも軽く行う。

俺らにとっては共通認識。

本来なら言葉なんていらない。ただ、俺らは確認したいだけなんだ。

それだけだから、問題は無い。

木の幹に幽々子を寄りかからせて、一息つかせてあげる。

・・・いや、俺が疲れた。

こういう感覚はだいぶ俺に残ってきているようで、なんだかんだ強がりはするが、久しぶりの疲労感だったりすると、俺は翌日起きれなくなる。

疲労すると、眠りが深くなるのは、変わらないようだ。

起きれなかったりする日の翌日は、決まって理桜に怒られる。

『自己管理をちゃんとしろ』と。

あのときは、くそ生意気なガキだとは思ってが、此所まで考えてくれるとなると、感動で涙が出るよ。

普段のつんけんした態度も、好意の現れだとすれば、かわいいものである。

 

「もー、風夜?また理桜のこと考えてる」

「おっと。すまないな」

「いいのよ♪」

 

すねた幽々子にキスをして謝ると、すぐ機嫌をよくする。

どうやら、俺は理桜のことを考えると、すぐ顔がにやけるらしい。

それを当人に聞かれたときは、「気持ち悪いんだけど」と真顔で言われてしまったが。

あはは、さすがに傷ついたね。

 

「・・・風夜、変な夢見た?」

「ん?・・・ううん、見てない」

「そう、ならいいのだけれど」

 

幽々子の表情が曇る。

そんな顔してほしくないなぁ・・・。

俺は、幽々子の頬を撫で、ほほえんでみせた。

幽々子は一言、「そう」といって、木の幹を離れ、屋内へ入っていってしまった。

 

「・・・お休み、幽々子」

 

その声は聞こえないだろう。

西行妖を見上げれば、夜の空気が澄んで、景色はとても綺麗だと言うことを認識できた。

なんで、こんな当たり前のこと。

この世界はそもそもが、死ぬ前の世界とは明らかに違っている。

比べる事なんて、この世界に失礼だ。

 

「・・・」

 

ふと、西行妖のその向こうから、妖気がある気がした。

 

「・・・きみかい?」

「ばれてしまったわね、西岡風夜」

「八雲紫、だったよね。何か用かい?」

 

笑んでいた紫さんは、ふと俺の言葉に表情を消した。

・・・地雷というわけではなさそうだった。

それでは、何なのか?

 

「・・・あなたは、幽々子をなんだと思っているの?」

「・・・?亡霊で、愛する人」

「争う。・・・じゃあ、ユウコは?」

 

「!!」

 

 紫さんから告げられた名前は、夢に出ていた名前で。

何で知っているのか問おうとしても、口は動かない。

ゴクリ、と俺は息をのんだ。

 

 

 

 

「――――――あなた、なんで思い出さないの?

 




え?初っぱなからいちゃつかせんなって?
これが本来の幻想招待録なんだよ!

風夜さんのお話、まだ続きますが、お楽しみに。
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