「詩季、ですか?」
「はい」
「・・・少し、お待ちください」
アリスさんはやや間があって、家の中に入っていった。
ふむ、理桜みたいに何かしてるわけではないんだな。
よかったよかった。関心だな。
・・・彼の場合、手を出せないっていう心配が・・・いや、琴羽くんでもあるまいに。
「なんですか?」
俺が思案していると、寝ぼけ眼の詩季が降りてきていた。
「やっ」とてをあげながら挨拶すると、彼も同様に挨拶を返してくれた。
「朝早く済まないね」
「いや、いいですよ。風夜さんには助けられたし・・・」
・・・理桜!聞いたか!きみの弟はとてもいい子だぞ!
俺この子はクソガキなんて言わないよ!
「んで、何か用っすか?」
「ん、っとね。様子を見たくてさ」
「逃げてきたんじゃないんですか?」
「いや、今回は違うよ」
前、ここには妖夢ちゃんから逃げるためにお世話になりました。
いやはや、あのときはお菓子もいただいて、本当に助かったよ。
おおっと、お礼を持ってこなかったなぁ・・・。
こ、今度でいいよね・・・。
「?」
「うん、まあそうなんだけど・・・」
「ユウコさん?」
図星。
俺は何の意味もなしにここには来ない。
いくらアリスさんがかわいくってもさ。
まあ詩季が心配なのもあるけど・・・。
「・・・ユウコさんと仲がよかっただろ、きみ」
「・・・まあ、ね。あっちが覚えてるかは知らないけどさ」
空を仰ぐように上を見上げ、詩季はそうつぶやいた。
どこか悲しげな言い方に、俺の声のトーンも落ちる。
「・・・やっぱ此所の人かい?」
「言っていいかわかんないから言わないでおく。いい加減思い出しなよ」
にっこりと笑った詩季がそういった。
思い出すために来たんだけど・・・。いいか、たいした収穫はなかったし。
俺が踵を返し、「ありがとう」とつぶやく前に、詩季が口を開いた。
「・・・灯台もと暗し」
そういった。
つまりは、もっと近くのことを見ろってことなんだろ?
これは、・・・・うん。ここまで言われちゃあ、もう思い出さないといけないかな。
俺は、あの人の髪色、話し方、雰囲気を思い出す。
該当する人は一人しか居ない。
歌に頼るのはいやだけど・・・せめて、これだけでも思い出し『てほしい』。
「・・・ありがと、詩季」
「いえいえ」
「じゃあ、アリスさんによろしくね」
「そっちの意味もあったろ!」
「あっはっは!」
詩季から怒られるように、そう言われ、俺は笑うしかなかった。
紫さんに怒られ、理桜に怒られ、詩季に怒られ・・・。
うん、さすがに考えなきゃね。
俺の想い人は、合っているのだろうか。
「・・・・・・・・・だと、いいな」
ふわりと浮き上がって、冥界へ戻るべく、俺はとんだ。
詩季Side
やっといったかと窓越しに彼の姿を確認した。
「・・・詩季」
「ん?」
「・・・ユウコさんって」
「今も昔も、風夜さんの恋人の人だよ」
アリスさんの不安げな顔を見て、俺は困ったように言ってあげる。
どことなく、俺の言葉にほっとしたようなアリスさんは首をかしげた。
「・・・え?」
「ん?」
「今も、昔も?」
復唱したアリスさんに俺はもっと詳しく言った。
「―――――幽々子さんだよ、ユウコさんは」
五話くらいで過去話やるって決めた。
今。俺が。
風夜「そんな殺生な!もっと出番あるかと思ったのに!本編と々くらいじゃないですかやだ!」
おまえな!俺の頭ん中ではかの神狼くんもやろうって思ってるんだぞ!
風夜「え、だから?」
アッハイ。
そんじゃあ今日はここまでかな。
では~