綺麗な君に恋をした   作:(TADA)

3 / 19
おいおい! 三日連続投稿だよ!!

あ、狼谷さんが若干キャラ崩壊します


クリスマス

クリスマスである。カップルであればイチャこらして、子供だったらサンタさんにプレゼントをお願いして胸をドキドキさせる一年のうちでもビッグイベントである。

そんな特別な日に俺は何をしているかと言うと……

 「「ありがとうございました〜」」

犬束と一緒にサンタの格好をしてケーキを売っていた。

いや、確かにせっかくの日に何やってんだと思わなくもない。なにせ幼馴染の式守は恋人とデート(朝にこちらをクソ煽ってくるLINEが来た)をしていると言うのに俺はサンタのコスプレをしてケーキを売っている。

だが、意外とこれはこれで楽しいのだ。

家族連れで来て子供が『おっきぃのがいい』と言って親が『食べきれないだろ?』と言うと子供が『明日も食べるからいいの』と言っている姿には犬束と一緒に心が温まった。

カップルでイチャつきながら買って行った奴には見えない位置で中指を立てたが。

 「いやぁ、これで時給ウン千円とかマジ楽すぎだろ」

 「その代わりに大切な何かを切り売りしている気になるけどな」

休憩に入った俺と犬束はジュースを飲みながら会話をする。

 「むしろ普通にパーティをしている連中がバカに見えるレベルだよな」

 「ドライな負け惜しみにしか聞こえないぞ」

犬束はそう言ってからジュースをチューっと飲んでいる。

 「……俺はクリスマスに一体何を……?」

 「やめろ!! 正気に戻るな!! 空気に当てられるぞ!?」

先輩の声も俺には聞こえない。世間はクリスマスなのに俺は一体何をやっているんだ? しかもここに女性がいればまだしも先輩も含めてみんな野郎。花が…花がない…

 「マズい、このままでは塩見くんがクリスマスに食われてしまう……! 憎しみを体現してしまったらバイト失格だぞ……!!」

先輩の言葉に流石の犬束も焦る。

 「一体どうすればクリスマスに抗う力が……は!? 先輩!! あれなら!!」

 「!! 塩見くん!! レジを見るんだ!! モデル見たいな美人なお客様が来たぞ!!」

先輩の言葉にテンションが爆上がりする俺。

 「いらっしゃいませぇ!!」

 「すげぇ…一瞬で満面の笑みになりやがった……」

犬束のツッコミは聞こえないことにする。と言うか美人見てテンション上がらないとか犬束はEDではなかろうか。

 「って、狼谷さん……?」

 「その声は塩見くんかい?」

そしてその美人のお客様は狼谷さんだった。美人のお客様の上にそのお客様が狼谷さんとか俺にスーパーラッキータイムが来たとしか思えない。

 「バイトかい?」

 「そ。犬束に誘われてな。あ? 犬束のこと知ってる?」

 「猫崎に紹介されて会ったことはあるよ」

そして犬束にも軽く挨拶する狼谷さん。犬束も軽く狼谷さんに挨拶を返している。

 「っ!? 何故蹴る!?」

 「腹が立ったからだ」

文句を言って来た犬束を無視する。それを見て狼谷さんは笑っている。

 「和泉くんは一緒じゃないのかい?」

何気なく言った狼谷さんの言葉に胸がチクリと痛む。

やっぱり和泉なのか? 俺じゃダメなのか?

心はそれに支配されるが、表情には出さない。

 「和泉の奴は式守とデートだってよ」

俺の言葉に狼谷さんの表情が一瞬だけ強張る。

やっぱり、和泉の奴が好きなのか……

 「和泉はいい奴だからなぁ」

 「? 何か言ったかい?」

狼谷さんの言葉になんでもないと首を振る。

 「狼谷さんは友達とパーティか何か?」

これで恋人と一緒にと言われたらバイト帰りに電車に飛び込まなきゃいけなくなる。

狼谷さんは苦笑しながら首を振った。

 「家族用さ」

その言葉に安堵する俺は割と最低かもしれない。

 「オススメはなんだい?」

 「このショートケーキとか売れ行きいいな」

 「じゃあそれをもらえるかい?」

 「毎度あり」

ケーキの箱を袋に入れて狼谷さんに手渡す。

 「「っ」」

その時に軽く手と手が触れ合う。表面上は平静を装いつつ俺は笑顔を作る。

 「ありがとうございました」

 「うん、塩見くん『また』ね」

狼谷さんの『また』と言う言葉に喜んでしまう俺はチョロいのかもしれない。

 

 

 

 

狼谷は塩見からケーキを受け取って手を振りながら帰る。

いいことがあったな。

ケーキを片手に持ちながら狼谷は歩き出す。塩見と触れ合ったところが暖かく感じる。

 「我ながらチョロいな」

狼谷は呟いて苦笑する。

狼谷が塩見達のアルバイトするケーキ屋に行ったのは本当に偶然だ。両親からケーキを買ってくるように頼まれ、露店でやっているところがあったから近寄ったら塩見がいた。

 「写真も撮りたかったな」

サンタの格好なんてレアだ。狼谷が友人から買った『夕日をバックに真剣な表情でサックスを吹く塩見』の写真以上にレアだ。

 「あの子だったら私のために手に入れている可能性もあるかな?」

狼谷の友人は狼谷が塩見に惚れているのを知っていて、秘密裏に塩見の写真を入手して来て狼谷に売り捌くのだ。

 「式守さんは和泉くんとデートか……」

そのことを言った時の塩見の表情を思い出して狼谷の胸がずきりと痛む。

私じゃダメなのかい……?

何回その言葉を心の中で呟いただろうか。自分なら絶対に彼にあんな表情はさせない。彼が望むなら私はなんでもしよう。どんなことでもしよう。

 「あれ……? これってだいぶやばい思考回路なのかな……?」

ちょいちょい友人から『狼谷って病むタイプだよねぇ』と笑って言われた時は笑顔で否定したが、ひょっとしたら否定できないのでは……?

 「いやいや……全ては彼が魅力的なのがいけない……私は病んでない」

とりあえず家に帰ったら彼と触れ合った部分に熱い口づけをしてから友人に写真がないか聞くとしよう。

そう思った狼谷は久しぶりに塩見と会話できたせいか笑顔であった。

 




塩見くん
サンタコスでケーキ販売。男がサンタコスとか誰得だ

狼谷さん
サンタコスの塩見くんを見てテンションアップ。あと写真は買った。

犬束くん
「塩見と狼谷って仲良いな」。恋愛感情に全く気付かないお子様

和泉くん&式守さん
クリスマスデート




作者は多分にカワカミンがインストールされています(突然の暴露
そのためにこの作品にもカワカミンが漏れ出てきてしまいます。そして書いているうちに少々病んだ狼谷さん。病み谷さんも可愛いよ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。