流石にそろそろ連続投稿は止まります
「犬束、今、俺とお前は通じ合えると思う」
「塩見、俺もそう思う」
俺と犬束はお互いに頷きあって両手を挙げる。
「「和泉の不幸から解放されたぁ!!」」
俺たちは校外学習でスキー合宿に来ていた。当然のようにクラスメイト達に和泉への生贄に捧げられそうになった俺達であったが、残念ながら俺達はスキー上級者。初心者の和泉とは同じグループには入れられなかった。和泉と同じグループに入れられた連中の絶望した表情は忘れることにする。
「まぁ、一応対処法は教えたから大丈夫だろ?」
「まず最初に覚悟を決めるっていうのは対処法っていうのか?」
「じゃあ犬束。和泉と同じグループやチームになった時に最初にすることはなんだ」
「覚悟を決めること」
「そういうことだ」
俺の完全な論理的説明に納得する犬束。
「しかしうちの学校も適当だよな。上級者は適当に滑って遊んでろってさ」
「まぁ、そのせいでナンパにせいを出しているバカもいっぱいいるわけだがな」
良くも悪くも自由な生徒が多いうちの学校は『自由』という時間を設けられたらバカなことをする奴もいっぱいいる。
ナンパする奴される奴。雪の上にカタパルトを作って『MS行きます!!』ごっこをしている連中。
「おぉ……スッゲェ勢いで射出されてるな」
「塩見、俺あれやってみたい」
犬束の言葉に俺も力強く頷く。
「あれは男の子の夢だ」
「だよな」
とりあえず二人でカタパルトの方に行って仕切っている生徒に声をかけてやってみる。
カタパルトは2個あるので犬束と一緒にスキーをセットする。
「よぉし、それじゃあ行くぞ」
「「いきま〜す!!」」
仕切っていた生徒の声に犬束と一緒に返すと仕切っていた生徒はカタパルトのスイッチを入れる。
「「お! おぉぉぉぉぉぉ!!!!」」
そして凄まじい勢いでカタパルトを滑る俺と犬束。
「「おぉぉぉぉぉぉぉ!?」」
そして空中へと飛び出した。
「やっば!! これやっば!!」
「やばいやばい!! 塩見!! 態勢整えろ!!」
犬束の言葉にすぐに着地態勢に入る。
だがまぁ、素人が簡単に着地できるわけもないので……
「「うぉぉぉぉぉぉぉ!?」」
勢いよく着地失敗したので俺達のスキー板が外れる。そして雪の中をゴロゴロと転がる俺と犬束。
雪山の途中で転がるのが止まる俺と犬束。そして勢いよく起き上がって顔を見合わせて大きく笑った。
「スッゲェ!! 超飛んだぞ!!」
「おもしれぇ!! もう一回やろうぜ!!」
「よっしゃ!!」
犬束と一緒にスキー担いでカタパルトに行こうとすると教師達がやって来てカタパルトを破壊し始めた。
俺と犬束は関係ありませんという表情で雪山を滑り始めた。
「しっかし、軽い坂だなぁ……ってぇ!?」
俺が丘を越えたくらいでちょうどボーダーが二人座り込んでいるのを慌てて避ける。
そしてなんとかボーダーを避け切ったが俺は転んでしまう。俺は文句を言ってやろうと思って起き上がって二人組みをみる。
「その時俺に電流走る……!」
「何言ってんだ?」
俺に近寄って来た犬束に突っ込みを入れられる。だが俺の反応は仕方ない。
だって目の前にはウェアを着た狼谷さんがいる。ちょっと驚いた表情が愛らしい。
「こんなど真ん中で座りこむなよ。あぶねぇだろ」
「何言ってんだ犬束!! 今のは避けきれなかった俺のせいだ!! 狼谷さんは何も悪くない!!」
「いや、どう考えても狼谷が悪いだろ」
「はぁぁぁぁぁぁ!? お前ちょっと伸身土下座しろよ!!」
「それってただ単に寝そべってるだけじゃね?」
とりあえず俺と犬束の漫才に狼谷さん達にも笑みがでる。
「悪かったね。こっち方にはあまり滑っている人がいないからつい休んでしまったよ」
「いやいや、むしろありがとうございます……!!」
「お前何言ってんだ?」
狼谷さんのウェア姿という超レア装備を見てしまった俺はちょっとおかしな頭になっているが、俺が頭おかしいのはいつものことだからいいか。
「狼谷、そろそろ行こっか」
「ああ、わかったよ成瀬」
狼谷さんは友人の言葉に頷くと、起き上がって滑ろうとする。
「あ、そうだ。ちょっと提案があるんだけど塩見くん」
「? なんだ……というかすまん、俺、君のこと知らない」
「私は成瀬。よろしく塩見くんに犬束くん!!」
成瀬の言葉に俺と犬束も挨拶を返す。
「んで? 提案ってなんだ?」
犬束の言葉に成瀬さんは悪そうな表情を浮かべる。
「いやね、これから下まで競争して一番遅かった人が早かった人にお昼奢りってどうかと思って」
「成瀬!?」
狼谷さんが驚いているが、俺は成瀬さんの提案で頭がいっぱいになる。
成瀬の提案を受け入れたら狼谷さんと昼飯一緒に食べれるんじゃね?
そして成瀬さんは狼谷さんの肩に手を回して何事か言い始めた。
(いいかい、狼谷。勝つにせよ負けるにせよ。これは塩見くんと一緒にご飯を食べれるいい機会だよ?)
(それはわかるけど奢りはダメじゃないのかい?)
(いいんだよ!! どうせ学生値段になっているから600円くらいさ!! そして何より塩見くんの食事風景を間近で見れるチャンスだよ?)
「塩見くん、やってもいいかい?」
「俺に否はないぞ」
「あ、俺は」
「犬束に拒否権はない」
「ひどくね?」
レースの結果、一位は狼谷さん。ビリは犬束と熾烈な転ばせあいを発生させた俺であった。
いいんだ……! 狼谷さんと一緒に食事を取れるなら10000円払ってもいい……!!
「すまないね、塩見くん」
「全然だよ、狼谷さん」
というか真正面から狼谷さんの食事風景を見れるだけで幸せ。大丈夫? 料金発生しない?
「お、あれ」
犬束が箸を示した先にいたのは周囲を護衛で固められた和泉がいた。
「賢い選択だな」
「あれならどこにもいかないしな」
俺と犬束の会話である。確かに周囲を固めておけば少なくとも行方不明になることはないだろう。
え? スキー板やリフトのトラブル? それは知らん。
チラリと狼谷さんを見ると優しそうな表情で和泉を見ていた。
それを見て俺の心がチクリと痛む。
(和泉を見たらそんな優しい表情を見せるんだな)
とりあえず注文したラーメンをすすったら少ししょっぱい味がした。
狼谷は犬束とじゃれあっている(狼谷視点。実際には食べ盛りの高校生の命をかけたおかずの奪い合いである)塩見を見つめる。
楽しそうだな……私の前ではあんな表情を見せないのに……
一瞬だけ犬束にも嫉妬していることに気づいた狼谷は『あれ? これってやばい思考?』と考えたが、考えないことにした。
「ふふふ、狼谷」
「……なんだい?」
狼谷と友人である成瀬であるがその性格は鬼畜クソ外道を絵に描いたような人物だ。いい友人であるが悪人なのは間違いない。なので必然的に狼谷の声にも警戒が篭る。
「どうだい? この写真?」
そう言って見せてきたのはスキーで華麗に滑っている塩見の写真であった。それを見て狼谷は難しい表情をする。
「友人としてなんども忠告したろう? 盗撮はやめたまえ」
「じゃあいらないんだね?」
「言い値で買おう」
狼谷が成瀬に500円玉を渡すと写真が狼谷のスマホに送られてきた。それを壁紙に設定して再びスマホを仕舞う。
「それで、なんだい?」
「塩見くんに告白しないのかい?」
その言葉に小競り合いがヒートアップして胸ぐらを掴みあっている塩見と犬束を眺めながら呟く。
「彼には式守さんしか見えていないからね」
狼谷の言葉に成瀬が可哀想な目を見るような目で狼谷を見る。
「彼の心には式守さんしかいないよ……」
成瀬がこいつマジで言ってんのか表情をしているが、狼谷はそれを気にすることはできない。
そう……彼の心には式守さんしかいない……だからこの心は捨てないといけないんだ……
塩見くん
狼谷さんのウェア姿を見てテンションアップ。そして狼谷さんが和泉くんのことが好きだと思って心が折れかける
狼谷さん
塩見くんがスキーをしている姿を見て胸がキュンキュン。そして塩見くんが式守さんのことを好きだと思って心が病みかける
犬束くん
最近は塩見くんと仲良し
成瀬さん
鬼畜クソ外道な狼谷さんの友人
感想が来ていたのが嬉しくなったので更新です。
やっとラブコメチックになってきましたかねぇ。でも塩見くんと狼谷さんはすれ違う。
そして地味に出番が多い犬束くん。和泉くんも出したいけどそれだと式守さんとのイチャイチャが発生して塩見くんと狼谷さんが凹むんですよねぇ