綺麗な君に恋をした   作:(TADA)

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隠されていた塩見くんの家族を公開


ところで狼谷さんの下の名前はいつ発表されますか?


塩見くん家の秘密

学校最終日。今日で1年生は終わり、短い春休みの後、新学年となる。そんな学年最終日、俺、和泉、犬束が何をやっているかと言うと。

 「4」

 「ダウト」

 「塩見のそのダウト的中率はなんなの?」

負け犬(犬束)がぶつくさ文句を言いながら山になっているトランプを回収している。

 「いいか、人間というものは嘘をつく時に必ず微弱な変化が起こる。それを見逃さなければダウトで負けることはない」

 「お前は探偵なの?」

おかしい、ダウトっていかに相手の嘘を見破るかのはずだ。少なくとも式守とやった時は嘘発見機をつけてやるから機械まで騙す必要があるんだぞ。

 「そう言えば和泉は春休み、式守とデート三昧」

 「三昧、ではないけど、する予定だよ5」

 「デート当日にあいつからクソ煽りがくるのがうざくて仕方ないんだよなぁ、6」

 「ダウト」

 「持ってけ犬束」

 「クソが!」

俺のフェイントに引っかかったバカにカードを押し付ける。

 「ヤベェ、山になってやがる。デートはどこに行くんだ? 7」

 「映画を観に行くことになっているよ。8」

 「何の映画だ? 9で上がり」

 「ダウト」

 「プレゼントだ」

俺の上がりに一縷の望みをかけてダウトをかけてくる犬束。当然のように計算している俺は出したカードは9であるので犬束に少ない山をプレゼントである。

 「お〜い、勝負終わった?」

 「猫崎」

不運な和泉にすら負けて完全敗北者である犬束を煽っていたら猫崎がやってきた。

 「用事終わったの?」

 「終わったよ〜。和泉もみっちょん借りていて悪かったね」

 「そ、そそそそんな! 式守さんは別に僕のものなわけじゃないし……確かにぼ、僕のか、か彼女だけど……」

顔を真っ赤にして恥ずかしがる和泉。それを見て「は〜、暑い暑い」アピールをする俺と犬束。可愛い和泉を見れてご満悦な式守。式守の後ろで砂糖を吐くアピールをしている猫崎と八満。

 「それで何の映画を観に行くんだ?」

 「ああ、『男はつらいよ 帰ってきた寅さん』を観に行こうと思ってます」

 「ああ、あれは良かったな。面白かったよ」

 「満男視点になってからの男はつらいよはいい作品多いですからね」

俺と式守は二人で頷きあう。俺は一人で観に行ったが普通に名作だった。

すると猫崎が思い出したように口を開いた。

 「そう言えばあたし男はつらいよって観たことないなぁ」

 「私らが生まれる前からの作品だからな」

猫崎の言葉に八満が続く。

 「俺は何本か見たことあるよ」

 「へぇ、どうだったの?」

犬束の言葉に和泉がポヤポヤとした雰囲気で尋ねる。そして犬束は思い出すように口を開く。

 「寅さんって国民的人情映画って言っときながら、実際は割とクズだよな」

 「「……は?」」

 「え? そうなの?」

 「そうだよ。妹の縁談駄目にしたり逆ギレしたり」

 「きついなそれ」

犬束と猫崎と八満が何やら会話をしているが俺と式守の耳には入らない。

 「? 塩見くんと式守さんどうかした? ギャグ漫画日和のうさみちゃんみたいな目になっているけど?」

 「「「うお!? こわ!?」」」

犬束達に何やら失礼なことを言われた気がするが気にならない。

 「犬束!」

 「おう、な、なんだよ」

 「「数本しか見ていないくせに寅の悪口を言うな!!」」

 「「「「えぇ!?」」」」

俺と式守の言葉に驚く和泉達。怒っている俺と式守を見て取りなすように口を開く和泉。

 「そ、そうだよね。寅さんだって良いところあるものね」

 「「良いところ……?」」

そして和泉の言葉に首を捻る俺と式守。

 「葬式の時に妙に生き生きする……?」

 「それは良いところか?」

 「字がクソ下手とか……?」

 「それも良いところか?」

俺と式守の言葉を否定してくる犬束。そして俺と式守は力強く頷く。

 「「ないな」」

 「「「「ないのか!?」」」」

 「俺達が寅を悪く語るのはいいんだ」

 「そうですね。毎年48作品リレーで見てますから」

 「お前ら頭おかしいんじゃねぇの?」

俺と式守の言葉に即座にツッコミを入れてくる失礼な犬束。

 「やれやれ……わかってない、お前らは男はつらいよの魅力をわかっていない。なぁ、式守」

 「そうね、塩見。和泉さん、お願いがあるんですが」

 「! うん! いいよ!!」

 「いえ、まだお願い言ってませんけど」

 「式守さんが滅多に言わないお願いだからいいよ!!」

突如飛んできた惚気に俺と犬束、猫崎、八満は「は〜、暑い暑い」ジェスチャーをする。

 「と、とりあえず和泉さんから許可がでたので大丈夫ですよ」

 「よし、犬束、猫崎、八満。明日、俺の家に集合だ。泊まり込みの荷物を忘れるな」

 「待て、何をやらされるんだ」

犬束の言葉に俺と式守はガイナ立ちをしながら口を開く。

 「「『男はつらいよ』マラソンだ」」

 

 

 

 

翌日、俺は部屋を片付けていた。家までの案内は来たことのある犬束や和泉に任せている。

そしてインターホンが鳴った。俺は玄関まで行って扉を開く。

そして一瞬だけ心臓が止まった。

 「お〜っす。みんな連れて来たぞ」

いつもの顔の連中ではない。俺はただ一人の存在に心が奪われていた。

 「か、狼谷さん」

俺の言葉に狼谷さんはニコリと微笑む。

 「猫崎に誘われてね」

 「猫崎ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 「え? なに? まずかった?」

 「ガム食うか?」

 「いらない」

俺の心からのお礼は拒否されたが、俺は気にしない。狼谷さんが来てくれただけでテンションがうなぎのぼりである。

 「まぁ、上がってくれ」

 「おっじゃましま〜す」

 「でかい家だな」

 「お前らはちょっと遠慮を知った方がいい」

速攻で上がりこむ猫崎と八満にツッコミを入れる俺。

 「犬束と和泉はみんなを俺の部屋に案内しておいてくれ。俺、リビングからコップとか持ってくから」

 「あいよ」

 「わかったよ。あ! 飲み物は買って来たよ!」

 「サンキュー、和泉」

家探しをしようとしている猫崎と八満の襟首を掴んで連行する犬束に頼り甲斐がありすぎる。流石はうちのクラスの不幸担当。

 「私は塩見くんを手伝うよ」

狼谷さんの優しさに俺の心臓が一瞬止まるが、目の前に狼谷さんの美顔があって即座に蘇生する。

 (待て、狼谷さんがいれば人は永遠に生きていけるのでは……?)

「それは頭のおかしい塩見だけよ」と突っ込んでくれる式守はここにいなかった。

とりあえず粗相のないように狼谷さんをリビングの台所に案内する。

狼谷さんは家をキョロキョロしながら見ている。

 「大きい家だね」

 「ああ、うちの家母親の友人’sの溜まり場にもなっているから大きいんだ」

 「キッチンも随分と立派だね」

 「料理人の父親が『キッチンに拘らないでどこに拘るんだ』って言った結果だよ」

 「そう言えば塩見くんのご両親は何をやっている人なんだい?」

 「あ〜」

狼谷さんの言葉にちょっと俺は詰まってしまう。それを見て狼谷さんの表情が曇る。

 「すまない、不躾だったかな?」

 「あ、いや。まぁ、狼谷さんだったらいいか」

とりあえず狼谷さんの表情を曇らせるとか完全に切腹案件なので素直にゲロる。

 「狼谷さんって三船美優って芸能人知ってる?」

 「うん? ああ、知っているよ。素敵な人だよね。私もあんなふうに年を取りたいって思うよ」

 「うん、あれ、俺の母親」

 「……え?」

すごく驚いた表情になる狼谷さん。まぁ、驚くよな。

 「芸名・三船美優。本名は塩見美優。俺の母親なんだよ」

 「そ、そうだったのかい……それで家のあちこちに三船美優のグッズがあるんだね」

 「あ、それは父親の私物」

 「奥さんのグッズが!?」

割とドン引きの事実だが、母さんのファンの中で父さんの立ち位置は『三船美優ファンのヤベェ奴』である。

 「まぁ、母親が芸能人の関係で家によくやってくるんだ。その人たちが『はい、新作のCD(映画)』とか言って俺にくれるんだよね。その影響で音楽とか映画はよく見るんだ」

 「映画鑑賞が趣味っていうのは聞いたことがあったけど、そんな裏話があったんだね」

毎回、『今回は名作やで!』って言ってクソ映画を持ってくる周子叔母さんのことは省いておく。あの人も父親の妹だけあって頭がおかしい。

お盆に人数分のグラスとお菓子(山盛り)を持ってリビングを出る。

 「でも秘密にしていたんだろう? 私に言って良かったのかい?」

 「あ〜、うん。狼谷さんには知っておいて欲しかったからさ」

照れてそっぽを向いた俺は嬉しそうな表情になった狼谷さんに気づくことはなかった。

 

 

嬉しい。

狼谷の素直な気持ちだ。猫崎に誘われてやって来た塩見の家。そこで塩見から家族の秘密を打ち明けられた。

 (落ち着くんだ、私。彼は私に知っておいて欲しかったと言った……)

 「それは実質プロポーズでは……?」

 「? 狼谷さん、何か言った?」

 「いや、なんでもないよ」

危ないところだった。自分の希望がつい口から溢れてしまった。

 「コホン……他に塩見くんの家庭環境を知っている人はいるのかい?」

 「式守くらいかなぁ」

その言葉に狼谷の心がズキリと痛む。

 (君の口から彼女の名前を出さないでくれ……)

そう思いながらも狼谷は口に出さない。いや、出せない。塩見に嫌われることを恐れているからだ。

そして塩見が自室の扉を開く。

そこにはベッドの下を漁る猫崎と八満。格ゲーをやっている犬束と和泉。本棚にあった小説を勝手に読んでいる式守がいた。

 「猫崎と八満はなにやってんだ?」

 「いや、男子の部屋に来たらエロ本を探さないといけないって八満が」

 「フェイクでもいいからベッドの下に隠しておけよ」

 「こいつら死ねばいいのに」

塩見の痛烈なツッコミは狼谷には届いていない。それはそうである。

 (あ! 私の肺の中が塩見くんのスメルでいっぱいになってる!)

狼谷さんはトリップ中であった。

 




塩見くん
家族の秘密を狼谷さんに打ち明ける。

狼谷さん
塩見くんの家に来れた上に秘密もしれてテンションげき上がり

男はつらいよマラソン
全作品見終わって全員で寅次郎ロスになった

塩見家
元アイドルの母親、料理人(個人営業の店あり)の父親。その子供が塩見くん。頻繁に母親の友人達が遊びにくる。叔母はほぼ毎日来る。




そんな感じで塩見くんの家庭環境を狼谷さんが知る回でした。ぶっちゃけ家に来るならネタはなんでも良かったので銀河英雄伝説でも良かったのですが、ビリー先生のシネマこんぷれっくすの男はつらいよ回が好きだったので男はつらいよで。おかえり寅さんは良かったで……

ちなみに塩見くんの家族は作者の別作品である『俺が美優にプロポーズするまで』の主人公達であります。家族を考えるのが面倒になったので作者の別作品をブッコム所業。後でクロスオーバーとアイドルマスターのタグを入れてきます。
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