綺麗な君に恋をした   作:(TADA)

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今回は原作のボーリング回

クロスキャラが追加されるので苦手な方はご注意ください


ボーリング

新学期である。教師からの有難いお言葉をいつも通りに聞き流しつつ、俺は窓の外を見る。

 (狼谷さんと同じクラスになりたかったなぁ……)

だって同じクラスになったらふとした拍子に目があってお互い見つめあったり文化祭で遅くまで残ってイチャイチャうふふができたり体育祭で同じ競技に出て放課後一緒に練習してハイパーイチャイチャタイムがあったりしたかもしれないのだ。

 「お〜い、塩見」

 「あの娘のうなじをクンカクンカしたい」

 「和泉、110番の準備だ」

 「え!? う、うん!!」

 「通報はよせ犬束!!」

つい本音が出てしまった俺の言葉に速攻で通報しようとする犬束。慌てて和泉がかけたのは119番だったので化学室の窓から火の手が上がっていたのでちょうどいいので通報しておく。

 「で、どうかしたか?」

 「俺、今日バイトねぇからどっか遊びに行かねぇ? ちなみに和泉は行くってよ」

 「おお、今日は部活ないからいいぞ」

本当は新入生勧誘があるが面倒なのでサボることにする。ユーフォニアム担当で副部長の田中あすか先輩には「塩見はイケメンだから絶対に参加するように」と言われたが、部長である小笠原晴香先輩に苦笑しながら「用事あったら無理して参加しなくていいから」と言われたのでNot参加である。

 「よっしゃ!! じゃあ行くか!!」

 「あ、僕式守さんに伝えてくるね」

犬束の言葉に三人で教室を出ようとすると和泉は小走りで式守に近づいていく。

 「なぁ、犬束」

 「なんだ?」

 「一瞬和泉のケツに犬の尻尾が見えたんだけど」

俺の言葉に犬束は無言で頷いた。

とりあえず俺と犬束は和泉の後についていく。そこには式守と猫崎、八満のいつものメンツがいた。

 「和泉達も遊びに行くんだって?」

 「そうだな」

 「塩見、あなた部活勧誘って言ってなかった?」

 「ちょっと何を言っているかわかりませんね」

猫崎の言葉に犬束が答えると式守が俺に突っ込んでくるがすっとぼける。式守が田中先輩(中学時代からの先輩なので式守も連絡先を知っている)にチクリ、俺のスマホがやかましく振動を始めるが俺は電源を切ることでそれをクリアする。

 「よっし!! じゃあみんなで遊ぼう!!」

猫崎の提案に特に否はない。と言うかこのメンツで遊ぶのもあまり珍しくない(そう言っても俺と猫崎は部活。犬束はバイトがあるので多くもないが)ので問題はない。

むしろ問題なのは

 「楽しみだね」

 「そ……そうですね」

桃色空間テロを起こす和泉式守カップルの方である。俺たちだけでなく教室に残っていたクラスメイト達も砂糖を吐くジェスチャーをしている。

犬束という勇者が二人のイチャイチャ空間の破壊に成功していなかったら俺たちは糖分過多で糖尿病になっていただろう。

教室から出ると俺の狼谷さんセンサーがビンビンに反応したのでそちらを見ると、狼谷さん、成瀬さん、夢月の三人がいた。

 「あ、狼谷達じゃん!! お〜い!!」

そして俺の視線に気づいたのか猫崎が狼谷さん達に声をかける。すると狼谷さん達もこちらにやってきた。

 「やぁ」

 「あ、らめ……声だけで孕んじゃう……」

 「え?」

狼谷さんの声を聞いた瞬間に思わず溢れた自分の呟きに自分で頬に平手。

その反応を見て成瀬さん爆笑、夢月の視線がひどく呆れている。

 「狼谷は今日ヒマ? 私達どっか遊びに行こうって話になっているんだけど行かない?」

 「猫崎ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」

 「え!? なに!?」

 「ガム食うか?」

 「いらない」

猫崎の提案はナイスである。具体的に言うと俺の喜びが有頂天になるくらいナイスである。

そして狼谷さんは微笑みながら口を開いた。

 「いいよ、私達もどこかに行こうって話になっていたんだ」

 「うぉぉぉぉぉぉっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 「グボっはぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

喜びのあまり思わず犬束にヤクザキックを食らわせてしまったが些細な問題である。

狼谷さんと!! 一緒に!! 遊べる!!

この機会を逃すとか個人的に超絶許せない案件なので犬束の攻撃を冷静に捌く。

 「でも周は部活勧誘じゃないんですか?」

 「夢月、今日の吹奏楽部は休みだ」

夢月が見せてきたスマホの画面には『塩見のバカを捕獲せよ』と言う指令が田中先輩から出ていたが俺はその指令を削除する。

 「何もなかったな」

夢月は俺の言葉に呆れたようにため息を吐いた。

 「あぁぁぁぁぁ!!! いたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

その言葉に全員が振り向くと、そこにいたのはリボンが特徴的な吹奏楽部で同学年のトランペットの吉川優子の姿。それを確認した俺は素早かった。速攻で廊下の窓を開けるとそこからジャンプ。

 「いざ!! 自由の空へ!!」

 「塩見くん!?」

狼谷さんの焦った声に落下しながら申し訳ない気持ちになるが、これで脱出に失敗すると部活に強制連行で狼谷さんとのハイパーイチャイチャタイムがなくなるので仕方ない。

地面にスーパーヒーロー着地を決めると同時に校門までダッシュ!!

途中で同学年でチューバ担当の後藤卓也に追われると言う事件も発生したが、俺は通りかかった一年生を後藤に投擲することにより逃亡に成功するのであった。

 

 

 

 

夢月から遊び場所はボーリング場と言う連絡をもらったのでボーリング場で合流する。

 「人数が多いから2レーン借りようか。人数的に塩見くんにこっちに入ってもらおうかな」

と言う成瀬さんのパーフェクトアシストによって俺は1組チームに配属になる。

 「お、そうだ!!」

そしてレーンを借りて靴を履き替えたところで犬束が何かを思いついたような声を上げる。

 「負けた一人がスコア一番高い奴に奢るってどうよ?」

 「受けて立つ」

犬束の提案に猫崎が速攻で乗っかった。ガンのくれあいに発展している犬束と猫崎を俺が呆れながら見ていると隣に狼谷さんが座って話かけてくる。

 「塩見くんはボーリングって結構やるのかい?」

 「はい!! いくら払ったら延長してもらえますか!!」

 「え?」

とりあえず自分の頬を叩いて正気に戻っておく。

 「あ〜、小学生の時にうちの家族と仲野家と一緒に一回来たくらいだなぁ」

 「懐かしいですね。お母さんと周介おじさんがオーバースローでボーリング玉投げていましたね」

 「あったあった。光輝おじさんのボールが速度つきすぎてピン砕いちゃったやつな。あれ以来ボーリング場に『塩見家と仲野家の入店お断り』って看板建てられたんだよなぁ」

 「す、すごい家庭だね」

俺と夢月がボーリングの思い出を語ると狼谷さんの笑顔が引きつっていた。その顔を見て周子叔母さんが『必殺デカボール投げ』とか言ってレーン一杯の円柱を投げたことは話すことはやめることにした。

 「ぼ、ぼくボール選んでくるね!! 行こう犬束くん!! 塩見くん!!」

 「? オウヨ」

 「おお、押すな押すな」

そして何故か顔を真っ赤にした和泉に押される形でボール選びに連れていかれるのであった。

 

 

 

 

さて、ボーリングの結果から言うと俺、式守がフルスコアで同率一位。狼谷さんが241点で三位、犬束が217で四位、猫崎が187で五位、夢月が179で六位、八満が98で七位、和泉が脅威の20でビリであった。

俺と式守が同率一位だとどうなるか?

答えは簡単である。

 「おお!! またストライク!!」

 「こいつらいつまでやるんだよ」

猫崎の言葉に八満が呆れているがメンチを切り合っている俺と式守には届かない。

小さい頃から何かと張り合ってきた俺と式守である。たとえ遊びであろうともこいつにだけは負けることは許されない。

だからこそ延長戦である。ちなみにこれはすでに延長戦3ゲーム目である。ここまで俺と式守がオールストライクなのでいつの間にかギャラリーもできている。

 「やった!! 式守さんかっこいい!!」

 「ちぃ!!」

そして延長戦3ゲームの10投目もきっちりストライクで終えた式守に和泉は歓声を、俺は舌打ちを出す。

式守と中指を立て合いながら俺は最後の投げの準備に入る。

 

 

 

 

 (今日はとてもいい日だ)

狼谷はそう思いながら塩見がボーリングのボールを持っている姿を脳内フォルダに保存する。いつもの姿もかっこいいがボーリングをやっている姿もベストである。と言うか存在自体がベストである。

 「ふふふ、満喫しているようだね狼谷」

 「まぁね」

狼谷は隣に座ってニマニマしながら話しかけてきた成瀬に素直に同意しておく。今回、思い人と一緒に遊べたのは成瀬の提案があったからだ。その働きで狼谷のサイフから500円玉一枚が成瀬のサイフに移籍したが些細な問題である。

 「でも、今でもちょっと信じられないです。狼谷さんが周のことが好きなんて」

 「そうかい? 彼は顔もいいからモテると思うけど?」

夢月の言葉に成瀬が聞くと、夢月がものすごく複雑そうな表情で口を開いた。

 「顔が良くても控えめに言ってもものすごく頭がおかしいので……」

 「……まぁ、否定できないよね」

夢月の言葉に同意する成瀬。すると成瀬は何か思いついたような表情になった。

 「そういえば狼谷は何故彼のことが好きなんだい? 狼谷のことだから顔だけで好きになったわけじゃないだろう?」

成瀬の言葉に狼谷が思い出したのは小学生低学年の時の記憶。彼はきっと覚えていないだろうけど、その思い出は狼谷にとって宝物であった。

一投目を無事にストライクに取り、二投目を投げようとしている彼を見ながら狼谷は口を開こうとする。

だが、それは式守の掛け声によって防がれた。

 「ああ!! 狼谷さんのパンツが見えそう!!!」

 「なんだってぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

勢いよくグリンと振り向いた塩見は振り向いた状態でボールを投げてしまう。

当然のように結果はガター。

 「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 「あっはぁぁぁぁぁ!!!! 私の勝ち!! 敗者の叫びが気持ちぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」

式守の胸ぐらを掴む塩見、オロオロしている和泉、爆笑している犬束、猫崎、成瀬。呆れている八満と仲野を見ながら狼谷は小さく微笑する。

 「塩見くん、私にも一緒に遊んでくれる友達がこんなに増えたよ」

 




塩見 周
吹奏楽の中でも演奏力の高さに定評があるがサボり癖がある主人公。相変わらず狼谷さんを前にすると本能が優先される模様。ちなみに名前の読み方は『あまね』と読みます

狼谷さん
原作より友達が多いメインヒロイン。小さい頃に塩見くんと何かあった様子

式守さん
塩見くん煽りに定評がある式守さん

和泉くん
塩見くんと煽っている式守さんを見て嫉妬するわけでもなく「式守さんと塩見くん仲良いなぁ」とポワポワ笑っている

仲野 夢月
塩見くんの従兄妹。キチガイな母親を反面教師にしてマトモに育った様子

犬束、猫崎、八満
仲良し組

田中あすか、小笠原晴香、吉川優子、後藤卓也
塩見くんの部活の先輩や同級生




そんな感じで久しぶりに更新でございます。今回は原作のボーリング回に狼谷さんと成瀬、そして塩見くんの従兄妹である仲野夢月を放り込みました。

軽く触れられた狼谷さんが塩見くんに惚れた理由。今のところガッツリ書く予定はありません。

そして塩見くんの部活仲間は名前を考えるのが面倒なので響け!ユーフォニアムのキャラを放り込みました。でも舞台は京都ではない。

それと塩見くんの名前は周(あまね)くんになりました。これからもよろしくね!!
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