エイトビート   作:明日死ぬ

2 / 2
2話に合わせて、1話の内容を修正してます。


ヒステリックナイトガール

居場所がない奴ってのはどこにでも居る。

真面目そうな委員長も喧嘩に明け暮れる不良も人気のアイドルも総理大臣も、多分どこかで居場所を探している。ボクみたいなどうしようもない人間も、同じだ。

宇宙よりも広いネットの海で、どうしようもない僕らは引き寄せられる。

 独り言よりかはマシだろう? 

 

今日は違った。

 

「今日はやけに機嫌がイイね」

 

「聞いてくれ、俺は侍になったんだ」

 

「……え?」

 

 輝かしい姿だった。喜ばしいことだと思う、だけどボクは素直に祝福出来なかった。嫉妬か? 世の中の最底辺のボクが同類だと思った相手に? それもある。

 

「だったら、ここを出ていきなよ」

 

「何だよいきなり」

 

「……不死の身体を手に入れた君は転移(ジョウント)をリスクなしに扱うことが出来る」

 

転移(ジョウント)は原理は不明なのに出来ると思った人は出来る、不思議な力だ。これによりゲームのラグは残っているが人々は一瞬で行き来する歪な文化が形成され、争いが起こった。それを止めたのは侍だ。死なない侍は全ての暴力的な争いを無意味なものにしてしまう。転移(ジョウント)を下手に使うと宇宙や石の中に飛ばされてしまうから、常用している人は少ない。侍は不死という特性でこれらのデメリットを無視できる。だから侍だけは、敵対してはならない。目につけられたが最後、燃やされようが凍り付こうが追ってくる。

 

それだけ、侍というものは神聖視されている。

 

「こんなくだらないところでお喋りする身分じゃない」

 

「は? なんだよ身分って。くだらなくなんかないよ」

 

「今は自覚していなかもしれないけど、侍ってのは凄い存在で」

 

彼は中々解ってくれない。

 

「だったらお前も侍になればいいだろ」

 

「何を言っているんだ、大体君だって先端恐怖症だったんじゃないのか?」

 

「そうとも言えるしそうでないとも言える」

 

「何だよそれ」

 

 言い争っても、決着はない。ボクたちはそういう時、ラップで決める。侍に憧れたから。

VC(ボイスチャット)を開く。侍は己の身体からコードを出すらしい。イヤホンを耳に取り付けた時、自分が侍みたく思えた。

 

「じゃあ、先行はボクから」

 

推奨BGM(バトルビート) Keep It 100

 

「意志薄弱なクリミナルガールズ 半罪人は捧ぐ無機質なラブ

いつか自分を好きになるはず と履いたけどぶかぶかな黒スキニーパンツ

こんな風にイキり出す奴には罰を 死にたくなるけど覚悟もないよ

君はユビキタスな存在 スピリタスのような刺激的 だからボクとやったってクリティカル」

 

「偏在し全開で限界はない現在 天才の連載は健在これ善哉

繊細な剣先向けるジェダイ 見解の変化コペルニクス的転回  

天涯孤独でも咲かす椿 スイッチオン・見せてくFreakyなFlow

ゼンマイを巻くAT Lady! オトナチックになれない二人」

 

6Fの遅延を超えて刺さる言葉。

 

「俺の負けだ」

 

「侍なのに、かい? 散体は?」

 

「いや、お前の方が才能あるから」

 

馬鹿々々しい、侍になんかなれるわけないのに。

 

「サイファーやってたのは。俺たち二人、侍に憧れてたんじゃないのか?」

 

「……そうだよ」

 

「だったら」

 

「君とボクは違う」

 

「目と目合わせれば、分かり合えるよ」

 

「何を……」

 

いや、それで満足するならいいか。

ボクは昔から存在感が薄い、掲示板の名無しでしかない。何かの間違いでボクを見かけることがあっても、個人情報を晒すリスクは0だ。カメラを起動する。

 僕の顔を見た彼はすぐに消えた。

 

『やっぱり気持ち悪いって思われたんだ』

『そんなことないわ ナナシはかっこいいもの』

 

 独り芝居。君と話している時は、たった一人で居られたのに。

 

 

 

転移(ジョウント)

 

「腕が!」

 

欠損した腕がにゅるりと再生。侍という名の異形。

 

「思ったより早く着いた。俺たち、思ってたよりもずっと近くに居たんだな」

 

 確かにボクの部屋を認識すれば出来るかもしれないが、無謀だ。

 

「どれだけ掛かるかも判らないのに。宇宙で朽ちてたかもしれない」

 

「それでも侍なら何時かは着くだろ? 俺は今行かなきゃって思ったんだ」

 

「………………」

 

「やろうぜ、バトル」

 

推奨 BGM Don't you want me

 

「死屍を鞭打つ桐条美鶴 女帝も処刑の時刻と気づく

空は朧月 靄を大掃除 振るうほのおのムチ 作る常世の国

俺の体たらく? 変化ある? お前は掛かってるぜテンタラフー

結果泣いても喧嘩するだけ まずコンセントレイト 呆然としてんぞ?」

 

「don't be afraid 混乱してない 白と黒のボーダーライン

使い分ける斑鳩 乱すならば ひたすらに開き直り続ける二枚舌  

今井リサの弟みたく 自ずと消える定め  change the rules of the game

きらきら星目掛け BanG BanG BanG Dream! I don't wanna be friends」

 

「斑鳩使い分け陰陽変華 切らす腹その先は沈丁花 

お前が侍になって真骨頂 発揮すべきこれが俺の心情です

いざ忍転身 目指す新天地 お前をM&A やろうぜコンビで

let's to be continued play the game 秘伝忍法 絶華鳳凰閃」

 

「ボクは群れない剥けない膠も無い奴 人生も暗い 胸もないんだ

語り掛けてくる天使と悪魔と小柳  被害妄想が止まらない限り

いや小柳って誰なんだ お邪魔虫は消えてくれ 柳生十兵衛も切り裂く始末剣

脳細胞侵食する紅梅色 まがいもんの剣紅桜 アサシン岡田仁蔵 ならない評価対象」

 

侍同士のバトルじゃないから、武神は裁かない。

 

「ボクの負けだ」

 

「なら……!」

 

「侍になれるならなりたい、その気持ちは今も変わらない。でも、なれるとは思わない。それが答えだ」




魔改造タグはつけることにしました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。