とある炎剣使い達は世界最強   作:湯タンポ

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皆様お久しぶりです。湯たんぽでそ。


いや、本当に月日が流れるのは早いですねぇ。気付いたら5ヶ月ほど経っていました。

久しぶり過ぎて前書き何書けばいいか忘れました(笑)

さて、今回めちゃ遅かった分何時もより長いです。なので時間がある時にでもお読み下さい。

そして報告なのですが、現在最終話の執筆をしております。なので早ければ今月で今作は終わりとなるかもです。まぁ遅くても年内には終わる予定です。

それでは長くなりましたがどうぞ




第二十七話 テスト

 

 

 

 

「じゃんけんぽん、あっち向いてほーい!」

 

そんな声と共に俺の体は地面に叩き付けられる。クソッ!巫山戯た掛け声とは裏腹に、動きは完璧に達人レベルだ!

 

 

ドガッバキッベキッ

 

「がっ!?」

 

「ほらほら〜もっと早く動かないと僕の攻撃は避けられないよーん。」

 

 

奴の攻撃は腹立たしい事に俺がほぼ知覚出来ねぇ速度だ。気付いたら地面とキスしてる。

 

その上奴の攻撃は、一つ一つが喉や鳩尾、脇腹等の急所を的確に捉えてくる。

 

 

 

「ほいほいほいほい、(=͟͟͞͞꜆꜄・ω・)=͟͟͞͞꜆꜄꜆ソイヤソイヤ」

 

 

 

しかも奴の攻撃はただ殴るだけじゃ無ぇ、ジャブ、裏拳、ロシアンフック、掌底、ラリアットとかを打ってきたと思えば、回し蹴りや膝蹴り、かかと落としとかの蹴り技を撃ってくる。

 

正直、素人に毛が生えた程度の俺にはその程度しか技の種類は分からんが、実際はもっと多くの技を打ってきてる。

 

 

『変幻自在』まさにその言葉を体現するような攻撃―――正直言って勝てる道筋が全く見えねぇ……。

 

 

だがな…

 

 

「その程度じゃ…諦める理由にはならねぇんだよ…!!」

 

 

ドパンッ!

 

 

 

「ワッ(´⊙ω⊙`≡´⊙ω⊙`)アブネッ」

 

 

 

「何が危ねぇだよこんちくしょうが!掠ってもねぇじゃねぇかっ!」

 

 

 

そう言いながら俺は態勢を起こし距離を離した、がやはりその隙を奴が見逃す筈がねぇ!

 

俺が態勢を起こした時にはもう踏み込んでやがった!

 

 

「やっぱり君が一番見込み有りそうだよねッ!」

 

ドスッ!

 

 

やつはそう言って短刀…いわゆるドスを抜いて俺の腹を突き刺した。

 

その衝撃は凄まじく、俺の体が一瞬浮く程だった。

畜生が、見込があるって言いながら刺してんじゃねぇよ!

 

 

実力はこいつが確実に上だッ!このままうだうだやってもジリ貧……ならこれっきゃねぇだろ!

 

 

「ガアッ!」

 

 

ガシッ!

 

俺は血を吐きながらも奴の腕をつかみ、腹にドンナーを押し当てこう言った。

 

「捕まえたぜぇ!」

 

 

「ウッソだろお前」

 

 

 

ドパパパンッ!

 

 

 

ほぼ同時の三連射だ、これを避けられたら勝ち目はねぇと思っていたが……

 

 

 

「グッ!……やりますねぇ!」

 

 

まだ行けるじゃねぇか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________________

 

 

 

 

話は少し前に遡る。

 

 

あの後(二十五話参照)、奴に案内された俺達は、奴から事の説明等を聞かされる事になった。

 

 

 

「とりあえず、自己紹介がまだだったね。僕の名前は荒神朱雀、輪廻の……まぁ友人みたいなもんさ。気軽に朱雀とでも読んでちょ。」

 

 

 

みんな「……」(最後の語尾どうにかならんかったんか)

 

ハジメ「説明あくしろよ(やっぱこいつまともに話す気ないんか?)」

 

 

 

「……ゴホン、えー、じゃあ三行で纏めるね。」

 

 

 

今までで1番強い敵現れて輪廻まぢやばい。

 

輪廻くんぱわー封印されて勝てんかもしれんから君達をここに送ったじゃろ?

 

ようこそ 死ぬかも!?地獄のスパルタ修練場☆←今ココ

 

 

 

「馬鹿かお前は、そんなんで分かるわけないだろ、もう少し詳しく説明しろ。」

 

 

ハジメの罵倒が飛ぶ。

 

 

「えぇ....(困惑) しゃーないなァ、ほならボクがよう教えたるわ。」

 

奴は巫山戯た口調でそう言ったあと、こう語り始めた。

 

 

 

「君らがここに送られた理由は、まぁさっきも話したけど強くなってもらう為さ。

 

そんで今から君達には僕と戦ってもらう、あ、勿論僕は人数に対応するために分身して戦うけどね。

 

…とりあえず先ずはテストだ、君達が僕が直々に鍛えるに値するかを確かめさせてもらう。

 

じゃ、よーいドン。」

 

 

『は?』と 奴を除く全員がそう思っただろう、しかしそんな事を思えた内はまだ良かった、奴は本当に幾つかに分かれ、本気で俺達を殺しにかかって来た。

 

 

 

 

 

そして話は最初に戻る。

 

 

 

 

_

 

 

 

 

 

 

相打ちで当てたは良いがこっからどうする…?なんて考える暇すらねぇ!手を動かしながら考えねぇと殺られるッ!

 

 

本当に奴は隙がない!俺と奴では根本的なスピードが違う。

 

 

「随分と悠長に考え事してるみたいだね!」

 

 

チッ!不味い!

 

ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!

 

そう思いながらドンナーを連射するが全くあたらねぇっ!どんな反射神経してやがる!? 初速10kmはあんだぞ!?

 

「ここまで近づかれると二丁拳銃って邪魔だよね〜!」

 

クソッ後ろを取られたッ!?拳じゃ間に合わねぇ!!

 

俺が後ろを向く頃には目の前に冷酷無比な刃が迫っていた。

 

 

「じゃ、目に別れの挨拶しときや。」

 

 

奴がそう言って振るった閃光のような斬撃。

 

それが俺の右眼が見た最後の光景だった。

 

 

そして一瞬が経ち、右目があった所に灼熱が走った。右目は義眼だが、無駄な技術力によって擬似神経が組み込まれており、痛覚も感じるというわけだ。

 

 

「がァァァァァァッッ!!!」

 

俺は叫んだ、余りの痛みに。ヒュドラモドキに目を蒸発させられた時だってここまで痛みは酷くなかった。だがある意味当然だろう、俺は斬られる痛み、焼かれる痛み、神経毒に侵される痛み、溶かされる痛みを同時に味わったのだから。

 

 

「…秘剣 陽炎・髑斬……なんちゃって♪」

 

 

やつはそう言ってバックステップで一度離れようとするが…逃さねぇ!

 

俺は再び痛みによって叫び出したくなる気持ちを抑え、今の俺が出せる最高速度で駆け抜ける。

 

 

手に宝物庫から出した一振の日本刀を構えて。

 

 

 

「お返しだ!もう一発ぐらい貰っとけや!」

 

 

 

今の俺が出せる最大火力。主から預かった御業。

 

其れを全部奴にぶつける!

 

 

 

 

「これが俺の取っておきだ。」

 

 

 

空間そのものを破壊し、斬り伏せた全てのものを無へと帰す、神の一撃。

 

 

 

『斬無一閃』

 

 

「死んどけ!!」

 

 

 

その言葉を最後に、俺の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが俺のとっておきだ。」

 

 

 

ちょちょ、あの刀はまさか!? なんてものこの子に持たせてんだあの馬鹿! この子死ぬぞ!?

 

 

 

「ちょ!ちょっとタンマタンマ!それ使ったらキミ死ぬって!」

 

 

 

流石にこんな所で死なせる訳には行かないので、僕はこの子を止めたのだが………。

 

 

「ハッ! この位で死ぬ様な柔な鍛え方してねぇっつうの! それに俺が死ぬより早くテメェを殺せば良いだけだろうが!」

 

 

うんこの子見た目を裏切らない凶暴さだよコレ!? てか考え方めっちゃ脳筋じゃん!?

 

 

 

「死んどけや!!」

 

 

 

でも……

 

 

 

「まだ甘いね!」

 

 

 

その瞬間、朱雀の姿がブレ、気付いた時にはハジメの顎を打ち抜いていた。

 

 

 

「がぁっ!」

 

 

 

顎を打ち抜かれたハジメは脳震盪を起こし、視界がぐらついた後に意識を手放した。

 

 

 

「あやっべ、調整ミスって意識刈り取っちゃった☆」

 

 

 

 

「まぁいいや、取り敢えず家の中持ってこ。」

 

 

 

朱雀はそう言ってハジメの襟を掴み、そのままズルズルと屋敷まで引きずって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー

ーーー

ーーーー

 

 

 

 

「…………知らない天井だ…」

 

 

 

 

人生で1度は言ってみたいランキング17位を言った俺は、ベッドから上体を起こして足を降ろした。 その瞬間、耳障りな声が部屋に響く。

 

 

「アハハハ!起きて最初の一言がそれかい? やっぱ君面白いね。」

 

 

そう言って果物の乗った盆を持ちながら奴は現れた。

 

 

 

「……結局、お前が言ってたテストってのに合格したのか?」

 

ショリショリ

 

 

「うん、君は合格だ。 …って言っても君以外まだ合格者居ないんだけどねw 未だにみんな僕と戦ってるよw」

 

 

…どうしてコイツは人の神経を逆撫でする様な口調なんだろうか?普通に腹立つ。

 

 

ショリショリ

 

 

「……てか、お前さっきから何してんだ?」

 

「気になる?」

 

「気になる木になる。」

 

あれ?今ちょっと誤字ったような__

 

「ジャーン!兎の林檎〜!!」

 

「あぁ、あの病室で良くある………」

 

そこまで言って俺はやつの手元を見た。よく見るとそれはあの有名な皮が耳になっているタイプの兎では無く………

 

 

「何でてめぇそんなにクオリティ高ぇんだよ!!」

 

ガチのタイプの兎型だった。

 

 

「ま、食べてみなよ♪ ……そんな顔しなくたって毒なんて入ってないよw」

 

…怪しすぎるが、少し腹も減ったし食うか。 …こう言うのって食べる時微妙に勿体ない気がするよな。

 

 

シャクッ

 

 

 

「……こんな奴に出されたものを美味いと思ってしまった自分が憎い。」

 

「それはどういう事かな? ……まぁいいや、皆のテスト内容気になっちゃうでしょ〜? ので、モニターでバン!」

 

 

奴がそう言った途端、唐突にモニターが現れやがった。しかも妙に近未来感漂うオマケ付きで。

 

 

「絶対これ今の技術じゃ無理だろ。」

 

「(´・3・)bシー もう始まるよー(小声)」

 

 

殴りたいこの笑顔。 …まぁそんな事はさておき、林檎食べながら観戦するか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________________

 

 

 

 

ユエside

 

 

 

 

 

「 あははははは!!君が輪廻の嫁とかウソでしょw‪w‪w(ヾノ・∀・`)ナイナイw腹筋死ぬ‪w‪w‪w‪w‪w‪」

 

 

この男ッ!

 

 

「一度死んで……!【蒼天・散】」

 

 

空中に直径3メートル程の蒼き火球が幾つも生み出される。その数は三十は下らないであろう。

 

 

「あは☆そっちが魔法ならこっちも対抗しよーっと。

召喚(サモン)!【村雨】」

 

 

一体何に対抗しているのかは分からないが、彼は召喚魔法と呼ばれるもので二振りの日本刀を携えた蒼い髪の美少女を呼び出した。

 

 

「村雨、御身の前に見参致しました。如何様にもお命じくださいませ、我が主。」

 

 

「んじゃ、彼女を痛めつけてきてちょーらい☆」

 

 

「承りました。 …全ては我が主の為に。」

 

 

 

彼女はそう言うと刀をひと振りし、会話を待つ訳もなく近付いてくる火球を一刀両断して見せた。

 

 

そして、目を見開くユエに対しこう続けた。

 

 

 

「我が主に降りかかる火の粉は、全てこの村雨が斬り伏せます!

双刃村雨(ムラサメ)、いざ参る!」

 

 

(彼女は恐らく接近型。その上スピード重視のスタイルと見た。であれば回避しながらの魔法の連発は有効打になり得ない! ………なら仕方ない、此方も接近で打ってでるしかない! 接近戦は苦手だけど、輪廻にある程度は教わった。だからできる筈……!)

 

 

対するユエはそこまで思考を巡らせ、一振りの燃えさかる剣を手に生み出した。

 

 

その名は……

 

 

「魔剣【レーヴァテイン】」

 

 

全てを焼き滅ぼし、破壊し尽くす炎帝の魔剣。等と長々と語りたい所だが……

 

しかして、そんな説明をする暇もなく、村雨と呼ばれた少女はユエの懐へと潜り込む。

 

 

次の瞬間には彼女の刃がユエの首筋にまで肉薄し、薄皮一枚の所でそれを回避する。

 

 

(危なかったッ!あとほんの一瞬回避が遅れていれば細切れになってた!……でも、次は私の番!)

 

 

瞬間、ユエが炎剣を振り抜き、1秒前まで村雨がいた場所を焼き尽くす。

 

 

「……なかなかどうしてやりますね。……ですがこれは避けれますか!?」

 

 

勿論そんな攻撃で村雨を倒せる訳がなく、彼女は一瞬にしてユエへと迫る。無論ユエも魔法で迎撃するが、何分距離が近すぎて有効打には未だなり得ていない。

 

 

蒼海双裂閃 蒼淵(そうかいそうれつせん そうえん)!」

 

しかし、対する村雨はゴリゴリのインファイターであり、どれだけ距離があろうと詰めて細切れにする。それが彼女のプレイスタイル。…つまり、最初から村雨が圧倒的に有利なのだ、最初から。

 

 

だが……

 

 

「くっ!蒼龍斬!」

 

 

その程度で諦めて倒される女であれば、輪廻に認められるわけも無いし、ましてや魑魅魍魎の巣窟である輪廻の嫁達を纏め上げられる訳もあるまい。

 

彼女もまた、最強の一角を担っているのである。

 

 

 

そして、暫くは村雨が踏み込み、ユエがカウンターを仕掛ける。と言うパターンを幾らか繰り返し、体力の面で徐々にユエが優勢になっていた。

 

 

 

「……ハァッ…ハァッ……っく!……体力の消耗が激し過ぎる…!やはりお師匠様のようには行きませんか…。」

 

 

だがその程度では彼女は挫けない、もっと大きな挫折を何度も味わっている。 何度防がれようが幾らでも踏み込む。それが彼女の強さなのだ。

 

 

 

そうして彼女達は拮抗していた、が、彼女達にとって不幸な事に、ここには奴がいた。『最凶』と称される男が。

 

 

 

彼女達は睨み合っていたが、ほんの一瞬ユエの身体が硬直した。無論村雨がその隙を逃すはずも無く、刹那の時間で距離を詰め、その刀を振るう。 が、朱雀の声が響き首の皮一枚の所で止まる。

 

 

「村雨、もういいよ、後は僕がやる。」

 

 

「分かりました。」

 

鶴の一声の如く、その声が届いた瞬間に刀を鞘に戻し、朱雀の後ろへと控える。

 

 

 

さあ、『最凶』の真髄をみよ。

 

 

 

___________________________

 

 

 

 

 

 

「聞こえますか?今あなたの脳内に直接語りかけていますぺろぺろぺろぺろロリババア。」

 

「お前は殺す!」

 

 

「えなにこっわ。運転すると人格が豹変するタイプかしら…?ま、それは置いておいて………君さぁ、ぶっちゃけ弱いのになんで輪廻の正妻とか言っちゃってんの?」

 

 

(此奴っ!死ね!)

 

 

「蒼天!」

 

 

ユエが突発的に放った魔法を、朱雀は素手(・・)で掴み取り、そのまま消し去ってしまった。 此方を睨み付けるユエを傍らに朱雀は話し始める。

 

 

「そう、まさにこれ。中途半端に強いからこうなる。僕だったらこの火球に対応するルートは480通りあるし、君がせっせここの弱っちいマッチみたいな火を当てるまでに、僕は君を殺す方法を80通り以上持ってる。……さぁ、どうやって僕に勝つんだい?」

 

 

無理に決まっている。ユエはそう思った。何故なら、この男に自分が持てる力全てを放っても、かすり傷すら付けられないと先程の攻撃で悟ったから。

 

 

 

ユエがそんな事を考えた次の瞬間、朱雀が急に後ろを向いたかと思うと、背後に控えていた村雨に近づいて首を絞め上げ、そのまま持ち上げてこう言った。

 

 

 

「なぁ村雨、僕はさっき痛めつけろって言ったはずなのに、修行中でもない彼女との戦いで接戦してるの?中途半端に自分と実力が近い相手には初撃で決めろって彼奴にも教わったはずだろ?何やってんの?」

 

 

 

「あっぐぅ゛…゛っ申゛し訳゛!ごおっ!さ゛゛いま゛せ…ぇ…゛ぇんん゛゛全…゛゛…て……え!私……゛っの!失……゛゛…゛態…゛…゛…っで…す」

 

 

 

ドゴッ

 

 

 

理不尽過ぎる朱雀の怒りに対し、村雨は声にならない声を上げて必死に謝るが、朱雀はそれを無視して彼女の鳩尾に膝蹴りを叩き込んだ。

 

 

「がっ…ひゅ……か…ひゅ…」

 

 

そのあまりの衝撃に、村雨は横隔膜を刺激され呼吸困難に陥ってしまった。 その上朱雀は彼女の細い首をへし折る勢いで締め上げているため、呼吸など出来ようはずも無く、声を上げるどころか脳に充分な酸素を送ることすら出来無い。

 

 

「んな事分かってんだよ、てめぇ本当に何で怒られてるのか分かってんのか? ……良いか?お前の代わりは幾らでも居るんだ、てめぇを殺しても何も痛くねぇ。……散々お前も見てきただろ?僕の命令に応えられない無能が何十人も死んでいく所をさ。」

 

 

ミシミシ ギリギリ と、村雨から明らかに人体が出しては行けない音が出ており、白目を剥きかけているが、そんな事を気にした様子も無く(・・・・・・・・・・・・・・)-顔を近づけて睨み付けてそう言った彼は、先程ユエに向かって爆笑していた人物とは最早別人の様であった。

 

 

 

「あがっ……あ……ぅ…」

 

「返事すら出来ねぇ様なら今殺してやんよ!」

 

 

業ッ! ダッ!

 

 

そんな理不尽過ぎる事を言いながら、マジで息の根を止める寸前、村雨の首を絞めていた朱雀の手首から先が焼け落ち、同時に彼女の姿も消えた。

 

 

 

 

 

「……どういうつもりだい?何故先程まで殺し合っていた相手を助ける?」

 

 

そう、何故かユエが村雨を助けたのである。

 

 

 

「一応君さっきまで村雨と殺し合いしてたよね?いつの間にそんな助ける仲になったの?ていうかなんで助けたん?」

 

 

「うるさい!」

 

 

朱雀がユエに彼女を助けた理由を問おうとしたが、そんな言葉で一蹴されてしまった。

 

そしてユエはなおもペラペラと喋り出そうとする朱雀を遮ってこう続けた。

 

 

「なんで助けたなんて決まってる。私が助けたいと思ったから、助けた方がいいと感じたから!……もっと言えばその方が輪廻のためになると思ったから。そう思ったから私は自分の直感に従っただけ!」

 

 

そう叫ぶユエに朱雀は冷たく言葉を放つ。

 

 

「エゴだね。面倒臭いタイプのエゴイストだ。」

 

 

そんな冷淡な言葉に対しユエはこう語った。

 

 

「…確かに私は輪廻とその身内以外がどうなろうとどうでもいいし、それがエゴだと言うのもわかってる。……でも私は輪廻が好き、大好き、狂わしいほどに大好き。

 

…その大好きな輪廻が望むことなら何でもする。 誰が相手でも殺せと言われれば殺すし、足を舐めろと言うなら舐めるし、四つん這いで犬になれと言うなら犬になる。

 

殴りたい気分だと言うならサンドバックになるし、ヤリたいと言うなら幾らでもヤるし、どんな趣味だって合わせてみせる。 そして、死ねと言われれば死ぬ。

 

…その私のエゴを否定して邪魔する者は必ず殺して、私のエゴを突き通す!それが私の全てだから!」

 

 

ユエがそう言い切った瞬間、彼女の不死鳥が如き炎の翼が生え、手には片手剣であるレーヴァテインとは異なり、ユエの身の丈程ある両手剣を握っていた。

 

 

「【神剣 グラム】……その力を私に貸して。」

 

 

ユエのそんな姿に対し、朱雀は何やら納得したかのような顔をしてこう言った。

 

 

 

「………、………、そうか、そういう事か!……

お前がこいつらを育てろってのはそういう事か!」

 

 

クハハハ!と高らかに笑い始めた朱雀に、ユエが困惑しながらこう問うた。

 

 

「何……笑ってるの……。」

 

 

そんなユエの問いに対し、朱雀はこう続けた。

 

 

「いやなに、こっちの話さ。…それより、さっき君に弱いなんて言ったのは撤回するよ。あと、君も合格だ、ハジメ君の所に言ってご飯でも食べて待ってると良い。」

 

 

そして、ユエの困惑は解決されぬまま終わったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー

ーーー

ーーーー

 

 

病室にて。

 

 

トコトコトコ

 

 

「おう、ユエも終わったか。」(モグモグ)

 

何かを口にしながらそう話すハジメにユエがひとつ疑問を投げかけた。

 

 

「ハジメも終わった?それに、何食べてる?」

 

「麻婆豆腐定食。」

 

「まーぼー?」

 

「ああ、そう言ってもわかんねぇか。俺や主の故郷の料理だ。」

 

 

と、ハジメ達が話していると……

 

 

「やぁやぁ元気かい?僕は元気が有り余って村雨で10回ヤッてきたよ。」

 

 

……ヤバいやつが来た

 

 

「やっぱお前変態じゃねぇか」

 

「…セクハラ。」

 

「猿かよお前」

 

「……ん、発情した犬」

 

 

そして、登場数秒でボロクソである。

 

 

「ふ、ふふふ、そこまで言うならこれを見せてやる!」

 

逆ギレした朱雀がそう言って指を鳴らした瞬間、ハジメとユエの身体が宙に浮き、そのまま椅子に拘束されてしまったのである。

 

そして、先程までハジメがユエの試合を見ていたモニターで何かが映り始めた。しかも2人の位置はそのモニターがガッツリ見えるところである。

 

 

「おいてめぇ何しやがる!さっさとこの拘束を解きやがれ!」

 

「……何をする気!……もし私に手を出せば輪廻が必ず殺す!」

 

 

嫌な予感を感じ取った2人がそう騒ぐが、その程度で『最凶』と呼ばれた男は止まらない。

 

 

「有ったかもしれないifストーリーのビデオさ!120分あるからじっくり見なよー。 じゃ!僕は村雨の相手とテストの監督で忙しいから!バイビー!」

 

朱雀はそれだけを言い放って慌ただしく部屋を出ていった。

 

 

「クソ!行っちまった。 … …ユエ、何が始まると思う?」

 

「…分からない、でもろくでもないものなのは確か。」

 

「……だな。」

 

 

そしてふたりがそうこう言ってる間にビデオは始まりを迎えたのであった。

 

タイトルは………

 

 

 

 

『ifストーリー!もしユエを助けたのがハジメだったら!♂♀編!』

 

 

 

「ふざけんなぁぁ!おどれは何見せようとしてくれとんじゃボケがァ!」

 

「嫌ァァァァ!!誰かとめてぇぇ!!」

 

 

全てを察した2人がそう叫ぶが誰も反応するものは居なく、無情にも映像は進むばかりである。

 

 

 

『…ん、ハジメ、ここ気持ちいい?』

 

 

『ああ、良いぞ…ユエ。』

 

 

「「ああああああああぁぁぁ!!!!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう修行は始まってるよん、頑張って乗り越えたまえ若人達よ。……べ、別にあのビデオ見せたのは嫌がせだけじゃないんだからね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________________

 

 

 

 

さて、ユエとハジメが死んだ顔でビデオを見ている頃、

清水、シズエ、セリカの三人組は何をしているかと言うと………

 

 

 

 

「さあこれもお食べ。あ、清水君、桜餅とあんころ餅食べるかい?シズちゃんにはみたらし団子と水まんじゅうとどら焼き、あとはエクレアとシュークリームとなごやんと三色団子あげる。セリカちゃんはパンの耳でいいよね。」

 

「あ、ああ。」

 

「そ、そんなに食べられません。」

 

「なんで私だけパンの耳!?」

 

 

 

何故かお茶会をしていた。

 

 

いや、最初はこんな風にテストと言う名の死合をしていたのだが……。

 

 

 

『月の呼吸 壱ノ型 闇月・宵の宮 弐ノ型 珠華ノ弄月 参ノ型 厭忌月・銷り』

 

『業火 爆炎ノ太刀 二式!』

 

 

『援護してやる! 紫電十七連!ブレイズバースト!アイスブリザード!イクティンクション・レイ!』

 

 

 

『はーい、3人とも合格でおっけーよー』

 

 

((無傷………))

 

 

『じゃお茶会でもしよっか!』

 

 

『『え?』』

 

 

という訳で始まったのである。いや、何でそれで始まったのか意味がわからないが、まぁとにかくそんな感じで始まったのである。

 

 

 

「……あの。」

 

 

そうしてお茶会が始まって暫くすると、シズエが声を上げた。

 

 

「ん?どうしたんだい?あ、まだ菓子いるかい?」

 

 

「あ、いえ、そうじゃなくて……私たちこんな事してていいんですか? 他の人達は皆もう鍛錬に入ったりしてるんですよね? ……私は他の人に比べて弱いから、強くなれるなら早く鍛錬して輪廻さんの力になりたいんです!」

 

 

それを聞いた朱雀は流石にふざけるのはやめて、真剣な顔で煙草を蒸してこう言った。

 

 

「……まぁそーなんだけどさ、ぶっちゃけ君達3人に教える事って殆ど無いのよねぇ。

 

ハジメ君だったら新しい武器作るのとか立ち回りがどうこうで教えれるし、ユエちゃんなら新しい力の使い方だったりで教える事も出来るんだけど……。」

 

 

朱雀はそこで一度言葉を切り、再び煙草を吹かす。そして、続けてこう言った。

 

 

「……君たち三人は良く言えば完成されてるし、悪く言えば伸び代がない、そういう状態なのよ。自分達でも薄々気付いてるんじゃない?

 

……才能ってパンみたいな物なの。才能っていう生地を伸ばして延ばして、ある一時を過ぎると伸びなくなってきて挫折する、でもまだ何度か捏ねる、つまり才能の方向性を変えることでまだ生地は伸びる。ここまでは勝手になるんだ、才能って。だけど、ここからパンが出来るまでの工程って面倒臭いんだよ。才能で言えばそれが努力。

 

 

で、パンってここから二回発酵させるんだ、これは自分でできる努力を始めた時と極めた時。同じように膨らみ続ける。でもそれじゃ膨らみに限界があるし、何より食べれない。

そこで焼く、つまりは誰かに師事したり、誰かに教わって努力をし続けた段階だ。

 

んで、君達は絶賛その焼き上がった状態な訳。」

 

 

朱雀はそこまで言うと、新しい煙草を取り出してもう一度ふかした。

 

 

それを聞いた彼女達は暫く考え込むように黙りこくった後、代表してシズエが質問をひとつ投げかけた。

 

 

「……つまり、私達はもう強くなれないって事ですか?」

 

「……ん〜〜、強くなる手段が無いわけでもないんだけどねぇ。」

 

シズエのそんな質問に対し、朱雀はそう返して、続けてこう言った

 

 

「……どうしてもっていうんなら鍛えてあげてもいいよ?ただ、弱音吐いたら即叩き出すし、死ぬ程キツイけど……それでもやるかい?」

 

 

彼の言葉に、彼彼女達は当然の如くこう答えた。

 

 

「ああ、勿論だぜ!」

 

「強くなれるなら…!」

 

「当然だ。輪廻の隣に立つ女としてもっと強くならなきゃ行けないからな」

 

 

と。

 

そんな彼等に対し、朱雀はマカロンを食べて満足気にこう言った。

 

 

「よし!よく言ったね!いい子達だ、気に入った!良いだろう、君達を今の10倍の強さにして見せよう!」

 

 

そうして、彼らのテストは終わりを告げ、地獄の如き鍛錬が始まったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でもやっぱりもうちょっとお菓子食べてからにしない?」

 

「「「もういい(です)!」」」

 

 

 

……やっぱりもう少し掛かりそうかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「いやァ、君たち強いねぇー才能と伸び代の塊だわァ〜。」

 

そう言って高らかに笑う朱雀の周りにはボロボロになった少女たちが転がっていた

 

 

「くっ………強すぎる。」

 

「い、異常な程攻撃が速かったですぅ。」

 

「連携を組んでも妾達がかすり傷1つ付けることすら出来んとはの……。」

 

「あはは……これ余裕であのクソ野郎なんかより断然強いじゃん、いくらミレディちゃんでも無理ゲーかなー?」

 

「…僕達の連携がなんの意味もなさなかったね。」

 

「銃弾より速いナイフを避けるって身体能力どうなってんのよ……。」

 

「……皆を回復する暇すら無かったよ。」

 

 

彼女達は、いわゆるありふれ組である。念の為補足しておくが、上から雫、シア、ティオ、ミレディ、恵理、優花、香織である。

 

その彼女達がボロボロで転がっている理由は、まあ見ての通り戦った後なのである。

 

 

勿論彼女達は無策でただ突っ込んだ訳ではなく、雫 シア 優花の3人が前衛、ティオとミレディが中衛、恵理と香織が後衛に分かれ、連携を取って戦ったのだが、結果は秒殺。一通りの連携が終わった瞬間に後衛を潰され、中衛と前衛も一瞬でのされてしまったである。

 

 

 

そうして彼女達が横たわっていると、再び朱雀の声が響く。

 

 

 

「いやー弱かったねぇ〜君達。でも落ち込むことは無い、君達全員合格さ。 実際君達伸び代の塊なんだよ、だから鍛錬すれば問題なく強くできる。」

 

 

その言葉に安堵した彼女達だったが、次の言葉で驚愕する事になる。

 

 

「じゃ、今から始めるからね!さ、たって準備して、ホラホラ早く!」

 

 

 

「「「えっ!?」」」(全員)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________________

 

 

 

 

 

「ねぇ君達お喋りしようよ〜。僕割とお喋りだから話し相手が欲しいのよ。」

 

そんなふざけ度100%の朱雀の言葉に対し、銀髪の少女がピシャリと冷たい言葉を放つ。

 

 

「黙れ!貴方と話す事など何一つありません!さっさと死んで下さい!」

 

 

その銀髪の少女は、何を隠そう魂魄妖夢であり、その周りに居るのはレミリア達幻想郷組であった。

 

 

そして、何故初対面であるはずの彼女達と朱雀が何故こんなに険悪な状態なのか、それは時間を少し遡るとわかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話はハジメが病室で林檎を食ってた頃に戻る。

 

 

 

最初に彼と相対した彼女達は普通だった。

 

 

「やぁやぁ君たち久しぶりだね。あれから少しは強くなったかい?」

 

 

「え、えぇっと、私たち初対面ですよね?私は魂魄妖夢と言います。」

 

「私はレミリア・スカーレットよ」

 

「私はフランドール・スカーレット」

 

「その従者の十六夜咲夜と言います。」

 

「アリス・マーガトロイド、人形使いよ」

 

「私は古明地さとりと言います、所で貴方の心が読めないのですが……」

 

 

初対面のはずなのに、妙にフレンドリーで馴れ馴れしい朱雀に困惑しつつも自己紹介をするくらいには。

 

 

 

「……成程、敵の記憶を改竄して仲間にするとは、アイツもなかなかエグい事するなぁ〜。……でも面白そうだから弄っちゃお〜っと。」

 

 

しかし、朱雀がそう言って指を鳴らした途端、彼女達は豹変した。

 

 

「…貴方が全部仕組んだんですね!許せません、貴方は私達が今ここで殺します!行きましょう皆さん!」

 

 

「「了解!」」(全員)

 

 

そう言った彼女たちは、体制を組んで連携をとって朱雀を殺そうと踏んだが、無論それを易々とさせる訳もなく、彼女達は殆ど何も抵抗出来ぬままただ蹂躙されて行った。

 

 

「せやぁ!スペルカードはつ…」

 

「えい!……踏み込んでから技を打つまでが遅すぎる、これならカブトムシの方が強いんじゃない(笑)」

 

「カハッ!」

 

妖夢の剣を軽々と躱し、そんな事を言いながら蹴りを入れる。それを見たレミリアとフランは、同時に弾幕を放って攻撃するも、それも軽く避けられてしまう。

そこに咲夜のナイフによる投擲が入るが、それも難なく回避される。

 

「この程度かぁ、やっぱり弱いなぁ〜。もっと楽しませてくれないかな〜」

 

「クッ、舐めるなァ!!」

 

怒り狂ったレミリアが神槍を投げる。それは音速を超えて飛翔するが、朱雀はそれを片手で受け止める。

「うわっ!?危な!!流石にこれはちょっとビックリしたぞ……。」

「まだだぁ!!」

更に追撃で魔槍を投げて、それに追従する形で紅符『スカーレットシュート』を発動して放ち、逃げ道を塞いで行く。

だが、それでもなお朱雀の余裕は崩れなかった。

 

「まぁいいけどさぁ〜。僕に勝てると思ってんの?」

 

そう言いつつ彼は、両手から炎を生み出して、それを槍の形にして投げ返した。

 

「ぐあああああ!!!」

 

それはレミリアの両肩に深々と刺さり、彼女はそのまま地に伏した。

 

「お姉様!!」

 

「次は君の番だよ♪」

 

そう言って朱雀は今度は手から火球を作り出し、それをまるで野球ボールのようにフランに向けて放った。

 

「きゃあ!」

 

「妹様に何するんですか!」

 

咲夜はその時間を止めて何とか助けようとするも、「無駄だってば〜。」と言う声と共に、時は再び動き出した。そして次の瞬間、朱雀の手からは先程の火球とは比べ物にならない大きさの炎の塊が生まれていた。

それはまるで太陽のような輝きを放ち、熱波だけで周りの空気を揺らしていた。

 

それを見たアリスとさとりは、思わず奇襲の手を止めてしまった。

 

その上さとりはようやく読めるようになった朱雀の心を読み、朱雀がこれから何をする気かを悟ってしまい、完全に戦意喪失してしまった。

 

「ふむ、君たちはどうやらもう終わりみたいだね。じゃあそろそろトドメ刺すよ。」

その言葉を聞いて、全員が死を覚悟した。そんな中、唯一戦う意志を見せていたのは妖夢だった。

彼女は最後まで諦めずに刀を構えていたが、それは全く意味の無い行動だった。何故なら……

 

「まだやる気なのかい?でも僕はもう飽きたから終わらせちゃうね〜。」

 

朱雀はそう言って一瞬で距離を詰めると、妖夢の首筋に手を当てた。その瞬間、妖夢はその場に倒れ伏した。

その光景を見て、レミリア達は絶望した。

 

「君たちの記憶を消させてもらうよ?……あぁ、安心してくれて良いよ。多分明日には元通りになってるからさ。」

 

その言葉を最後に、彼女達の意識は途切れた。

 

〜 現在に戻る 〜

 

 

 

 

 

「はぁ、全く。君達も弱すぎだよね〜。こんなんで僕に挑んできたのかと思うと悲しくなってくるよ……。」

 

「黙れ……黙れ黙れ黙れェ!よくも私の妹と従者を……そして友人をもてあそんでくれたなァ!お前だけは絶対に許さない!私が必ず殺す!」

 

レミリアは憎悪に満ちた顔で叫ぶ。しかしその表情は、すぐに驚愕のモノへと変わる事になる。

 

「……へぇ、君は面白いね。僕の能力が効かないなんて。」

 

「……貴方の能力は、人の精神を操る事。……つまり貴方に操られた人は、貴方の思い通りに動く人形となる。……違う?」

 

「ざ〜んね〜ん☆全然違いま〜す。て言うか万が一それを当てられたとしてもなんの意味があるの?」

 

そう、例えレミリアが能力を知っていたとして、だからなんだというのだ。

レミリア以外が朱雀の能力によって倒された時点で、最早打つ手など無い。

 

「確かにそうかもしれないわね……。でも私には一つだけ、この状況を打破する方法がある。」

 

「……何それ?教えてくれるかな?」

 

するとレミリアはニヤリと笑いながら、こう言った。

 

「貴方を殺すことよ!」

 

彼女はそう宣言すると同時に、吸血鬼の真祖たる力を解放し、翼を広げて飛び立った。そしてそれと同時に、周囲に血色の霧を展開していく。

それはどんどん広がっていき、ついには辺り一帯が紅く染まる程になった。

 

「これで準備は整った。後は貴方を倒すだけだわ。」

 

「……それが君の切り札って訳か。なら僕もそれに応えようかな。」

 

朱雀はそう言って、手に巨大な炎を生み出す。その炎は次第に形を変えていき、やがてそれは龍の姿へと変化していった。

「これが僕の技の1つ、『紅蓮の業火』だ。この技を受けた者は、魂すら残さずに焼き尽くされる。さぁ、受けてみなよ。」

朱雀はそう言い放つと、炎の龍を解き放った。

それは真っ直ぐにレミリアに向かって飛んでいく。しかしレミリアはそれを冷静に見据え、右手を前に突き出した。

 

「神槍『スピア・ザ・グングニル』!!」

 

放たれたのは、今まで彼女が使っていたものよりも遥かに大きな槍だった。それは朱雀の攻撃を軽々と飲み込み、そのまま突き進んでいく。

だがそれでも、炎の龍は止まらない。次第に大きくなっていくその姿を見ても、レミリアの余裕は一切崩れない。

「残念だけど、私の勝ちよ!」

そして炎の龍は遂に朱雀に到達し、彼を呑み込んだ。

炎の熱量により周囲の気温は一気に上昇し、炎の勢いは更に増していく。

「どう、やったかしら……。」

レミリアの額からは汗が流れ落ち、その表情にも疲労の色が見える。

炎の熱気に当てられ、新たな力をも使ったのだ、相当体力を消耗しているようだ。

暫くして、炎は徐々に収まって行く。そして完全に消えた時、そこには無傷の朱雀が立っていた。

 

「……まさかここまでやるとは思わなかったよ。正直予想外だった。」

 

「どうして無事なの!?あれだけの攻撃を受ければ、流石に無傷ではいられないはずなのに!」

 

レミリアはその光景を見て驚愕した。

あの攻撃を食らえば、普通の妖怪ならば間違いなく灰すら残さず消し飛ぶであろう。仮に大妖怪であっても、そのダメージは計り知れないはずだ。下手をしたら殺せる程である

それにも関わらず、目の前にいる朱雀は傷どころか服さえも焦げていなかったのだ。

「ま、この程度で殺られるようじゃ幻想郷に全面戦争なんて出来ないさ。……じゃあ、そろそろ終わらせようか、僕もいい加減に飽きてきた。」

 

朱雀はそう言うと、今度は自分の番だと言わんばかりにレミリアに襲いかかった。

「くっ、来るな!」

レミリアは必死に弾幕を放つも、全て避けられてしまう。そしてついに、彼女の前まで辿り着いてしまった。

 

「さぁて、君はどんな声で鳴いてくれるかな?楽しみだな〜♪」

 

「う、あぁ……!」

 

レミリアは恐怖で動けず、ただ立ち尽くす事しか出来なかった。

そして朱雀が拳を振り上げ、彼女目掛けて振り下ろそうとした瞬間……「そこまでです!」

突然、その場に第三者の声が響いた。

 

「お姉様!大丈夫!?」

 

「……全く、手間をかけさせないでください。」

 

「もう、咲夜さんたら酷いですよ、レミリアさんは私達が復帰するまでの間耐えてくれたんですから」

 

「すいません、戦意喪失したフリをするのがなかなか難しくて……復帰するまで時間が掛かってしまいました。」

 

「まぁ、私は息をずっと潜めてたんだけどね、人形遣いの根気を舐めちゃダメよ。」

 

上から順にフラン、咲夜、妖夢、さとり、アリスである。

 

何故倒された筈の五人が此処に居るのか、レミリアは驚きで顔を染めながら質問した。

 

 

「貴女達!倒された筈なのにどうして!?」

 

 

 

「えっと、簡単に言えば『時間稼ぎ』ですね。私達の能力を応用して、皆が復活するまでの時間を稼いでいました。」

 

「本当はもう少し早く来たかったのですが、中々上手く行かなくて……」

 

「でもなんとか間に合ったみたいね。」

 

「後は任せて下さい、お嬢様。」

 

「この人は私達が倒すわ。だから安心して、お姉様!」

 

五人はそう言いながら、朱雀と対峙する。

その様子を見た朱雀は笑い声を上げ始めた。

 

「アハハっ!君達はホントにすごいねぇ、特に覚り妖怪の子。あれは戦意喪失したように見えて、どう反撃するか練ってたとはねぇ……いやはや、本当に君達の友情と信頼関係には脱帽だよね。」

 

朱雀は心底感嘆した様子でそう言った後、真剣な顔つきになりこう続けた。

 

 

「信頼し合えるなんて本当に………虫唾が走る!」

 

「「……ッ!」」

 

その言葉を聞いた途端、レミリアとフランの顔色が変わる。そして二人は同時に叫んだ。

「「私達から離れなさい!!」」

 

その叫びと同時に朱雀は二人に向かって突進してきた。

それを見ていたさとりとアリスは、すぐに迎撃態勢を取る。妖夢と咲夜は何かあった時の為に待機だ。

 

「さっきまでのお返しをさせて貰いますよ!」

「喰らいなさい!」

 

まずは二人がかりで弾幕を放つ。しかし朱雀はそれを難なく避け、逆に攻撃を仕掛けてきた。

 

「邪魔だよ、どいてくれないかい?」

 

「そう言われて退くわけ無いでしょう!」

「いいからさっさと倒れなさい!」

 

二人の放った攻撃が朱雀に迫る。だがその直前、彼は突如姿を消した。そして次の瞬間、さとりの背後に姿を現した。

 

「へぇ、今のを避けるんだ。やっぱり強いね。」

 

「くっ、速い!」

「……どうやら貴方はスピードに特化しているようですね。」

 

「うん、そうだよ。僕は速さに特化した妖怪なんだ。だからパワーはそこまで強くない。まぁ、それでも並の妖怪よりはよっぽどあるけど……やっぱりそろそろ使わせてもらおうかな!」

 

そう言った朱雀は、懐から全長45cm、刃渡り30センチ程のドスを出して抜き、軽く構えた。

 

「さぁ、始めようか!殺し合いを!」

「……来ます!」

朱雀はそう叫ぶと、今度は先程よりも速く動き出した。

「うわっ!?」

「ちょ、速すぎじゃないの!?」

「何なのよあれ!」

「くっ、これじゃあ狙い撃てない!」

「流石にこの速度は厳しいですね……」

あまりの速度に、他の者達も攻撃する事が出来ずにいた。

そんな中、レミリアは冷静に状況を分析していた。

(確かに奴の動きは凄まじい……だけど、所詮は直線的な動きしか出来ないはず。それなら見切れる!)

そして彼女は、朱雀の攻撃を避け続ける事を決めた。

 

「あらら?君は僕と同じでスピードタイプなのかな?」

 

「……だとしたら何だと言うのかしら?」

 

「別に、ただ同じタイプの相手と戦う機会ってそんな無いからさ……ちょっと楽しみになってきちゃった♪」

 

「ふん、私は全然楽しくなんて無いわね。」

 

「あー、つれないな〜。でもまぁ良いか!君が楽しめなくても僕さえ楽しんでいれば問題は無いからね!」

 

「……狂ってるわね。」

 

「その言葉は僕にとっちゃ褒め言葉さ♪」

 

レミリアはそう呟いた後、朱雀の猛攻を紙一重でかわし続ける。

その様子を見て、さとり達は驚きの声を上げた。

咲夜だけはレミリアの実力を見抜いている為、驚かなかったが……それでも驚いてはいた。

レミリアの回避能力は、咲夜のそれとほぼ互角だったからである。

彼女の能力、運命を操る程度の能力。それを応用して相手が次にどのような攻撃をしてくるのかをある程度事前に予測し、避けているのだ。

つまり彼女にとって戦闘とは、読み合いである。

しかし朱雀は違った。彼は、完全に直感だけで動いているように見えた。

 

「なんですかあの人!あんな滅茶苦茶な戦い方してるなんて信じられません!」

「えぇ、それにお嬢様とここまで戦える妖怪がいるなんて……」

 

さとりと咲夜がそう話す中、妖夢は一人疑問を感じていた。

 

(何故だろう……どうしてこんなにも胸騒ぎがするんだろう?)

 

その答えはすぐに分かった。それは、彼の狂気に当てられているからだ。

しかし本人は気づいていない様子で、ずっと悩み続けていた。

 

「う~ん……やっぱりおかしいなぁ。」

「……どうしたんですか、妹様。」

「いや、なんか違和感があってさ……何か変な感じがしない?」

「……いえ、特に何も。」

「そっか、私の勘違いかな。」

 

フランは首を傾げながら、再び朱雀の方を見た。すると、ちょうど彼がレミリアに向かってドスを突き刺そうとしている場面が目に入った。

 

「お姉さま危ない!」

 

フランは思わず叫んでしまった。しかしそれが逆に朱雀を調子付かせる結果となってしまった。

 

「アハハッ!これで終わりだ!」

「しまッ―――!」

 

レミリアは刺される直前、思わずフランがいる方向を向いた。

 

そちらを見ると、フランと咲夜が此方へ駆けつけようとしており、アリスとさとりは弾幕を準備していたが、両方とも僅かに遅かった、あと1秒反応するのが速ければ間に合っただろうが……。

 

 

レミリアは心の中で舌打ちをした。そして、もう駄目だと思い目を閉じた。

ドスッという音が聞こえたが、不思議と痛みは無かった。

恐る恐る目を開けると、そこには背中に刀を生やしている朱雀の姿があった。

 

「えっ……?」

 

レミリアは自分の身に起こった事が理解出来なかった。

ドスが体に突き刺さっているにも関わらず、何故か血が流れていなかった。

「あっ……あぁ……!体が……僕の体が無くなっていく!?」

朱雀は突如苦しみだし、その場に倒れ込んだ。

「一体……どういう事なの……?」

 

「ふぅ、何とか間に合いましたね。」

「全くよ、いきなり走り出すんだもの。驚いたわよ。」

「ごめんなさい……でも、何だか嫌な予感がしたもので。」

「う〜ん、私には分からなかったけどなぁ。」

そこに現れたのは、そういえば先程の面子の中に居なかった妖夢と、此方へ駆け付けていたフランと咲夜だった。

 

「一体何があったの?」

 

未だ混乱しているレミリアがそう問うと、体に刺さったドスを抜きながら妖夢が答えた。

 

「あの時、皆さんより早く気付いたんです、レミリアさんが刺されそうになっている事に。本当にギリギリでしたけど、間に合って良かったです!」

 

という事らしいが……まだ疑問は尽きない。

 

「じゃあ私が刺されても何も起こらなかったことと、彼奴がぶっ倒れた原因は?」

 

その疑問には少し遅れて来たさとりたちが答えた

 

「レミリアさんが無事だったのは、妖夢さんのお陰で威力が弱まったことと、私が防御術式を掛けておいたからです。彼が何故倒れたかは分かりませんが……備えあれば憂いなしって奴です。」

 

「そして、あの人が刺された瞬間に咲夜とフランが助けに行ったから……そういう事でしょう。」

 

「成程ね、それで妖夢はどうやって気付いたのかしら?」

 

「それは……その……勘……としか言いようがないですね。」

 

「……まぁ良いわ、助かった事は事実なのだし。感謝しておくわ。ありがとう。」

 

「い、いえそんな!当然のことをしたまでですよ!友達……ですから!」

 

顔を真っ赤にして答える妖夢を見て、レミリアはクスリと笑みを浮かべた後、朱雀の元へ歩み寄っていった。

 

「貴方、大丈夫かしら?生きてる?」

 

そう問いかけると、朱雀は顔を上げ、苦しそうな表情をしながら口を開いた。

 

「はぁ……はぁ……君は……いや、君達は…変な奴だね、敵の心配をするなんて……それにさっきまで殺意マシマシだったじゃん。」

 

「あら、それは誤解よ。私は別に最初から殺す気なんか無かったわ。ただちょっと痛い目を見てもらいたかっただけ。」

 

「それ……同じ意味じゃない?」

 

「いいえ、全然違うわ。だって、今から貴方を殺すつもりなんだもの。」

 

「へぇ……僕を……殺せるのかい?」

 

「勿論よ。さて、遺言はあるかしら?」

 

「そうだねぇ……うん、あるよ。」

 

「そう、なら聞かせてくれる?」

 

朱雀はニヤリと笑うと彼女……いや、彼女達全員に向けてこう言った。

 

 

 

「ああ…………そう。……僕ね………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

分身の1つとして、君達とやるお芝居は結構楽しかったよ」

 

グシャッ!

 

そう言った彼は、何処からか飛んできた岩の下敷きになり、物言わぬ肉の塊へと変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「……………え?」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






そう言えば朱雀君イメージ図です

普通

【挿絵表示】

怒怒バージョン

【挿絵表示】

Picrewの「いろんなタイプの男の子」でつくったよ! https://picrew.me/share?cd=GsXOuIdq4A #Picrew #いろんなタイプの男の子

あと村雨ちゃん

【挿絵表示】

Picrewの「妙子式2」でつくったよ! https://picrew.me/share?cd=eYzslRREYo #Picrew #妙子式2


という訳で、ここまで読んだ皆さん、まずはお疲れ様です。今回初めてAIをちょこちょこ使いながら書いてみましたが如何でしょうか、そもそもAI使って良いんですかね?そんなにガッツリ使った訳じゃないんですが……まぁ、それはおいときまして、前書きでも言った通り、遅くとも今年でこの作品はおわります。


ですが、私自身まだまだ駆け出しで、作品をまだまだ生み出したいという欲がございます。

少しづつでは有りますが、自分でもやはり始めた頃よりは上手くなってるんじゃねえかという気がしなくも無いです。将来的にはゆっくり茶番劇とかで自分の作品を元にした奴とか作ったりしたいので、まだまだこんな所で挫けて居られません!少なくともあと十年はネット小説家(笑)として活動するつもりですし、まだまだしたい事は沢山あります。執筆活動もその内の一つです。

最後に、これからももっと創作活動を活発にするつもりですが、無論自分の作品が人を選ぶこともわかってますし、どんな批評でも受け付けるつもりです(でも人としての常識は持ってね)
ですから、少ないとは思いますが、この作品、私の作品が好きな方は応援いただけると幸いです。更新頻度はカスですが生暖かい目で見守ってやってください。


あと感想くれると嬉しいので更新頻度が上がります。「仕方ねぇなぁ!」って思った方はぜひ感想、評価ポチだけでもいいのでお願いしますm(_ _)m

では。



4

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