IS Another ZERO   作:XXI

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万時好事事には邪魔が付き物ってぇものですがぁねぇ?
と、落語見たくこんな言葉が浮かんできます。落語いいですよね落語。
中学生の時にタイガーアンドドラゴン見てから寄席に行きたいなぁ、なんて思っております。とはいってもそこまで数を知っているわけではありませんが。なお、一番好きなドラマは動物のお医者さん。
「ちはやふるかみよもきかずたつたかわからくれないにみずくくるとは」
とか、饅頭怖いに時そばが結構好きなお話です。


月に群雲、花に風

「何をやっているんだ、お前達は。軍事機密を堂々と曝して」

 

そう言ってやるが、止まる気配は見えない。

 

「退いて、一夏殺せない!」

「邪魔だてするとおっしゃるのでしたら、蜂の巣になって頂きますわ!」

 

何がこいつらをここまで駆り立てるのだろうか。

その意気込みも少しは軌道に現れてくれるとありがたいのだが。

せめてもの、俺の指示無しで先程のシルバリオ・ゴスペルを破壊出来る程度にはなってもらいたい所だ

 

「邪魔も何も、俺はただISを使うなと言っているだけだ。それから先は俺の知った事じゃない」

「ああ、もう鬱陶しい!」

 

甲龍が肩部の龍砲を俺に向かって発射。問答無用か。本当にお前、俺の話を聞いていたのか?

バーニアを吹かせて、それを回避する。訓練用の模擬弾を選択。目標を前方にいる四機に設定。

敵対対象確認、排除開始。

ミサイルを各個に向けて発射。レーゲンを除いてそれを回避する。

散開した四機のうち、動いていないレーゲンに対して銃を発射しながら接近。それを回避しながらこちらにワイヤーブレードを発射してきた。

それを潜り抜けると、ワイヤーを掴み引き寄せる。しかし、こいつも学習する。そうなる前にワイヤーをパージ。若干体勢が崩れかけた所へ、レールカノンを向けてきた。

上へイグニッションブースト。そして、フリーになった他の三機に対して牽制するために銃弾とミサイルをくれてやる。

AICへの対処として、ミサイルを二発ほど全く違う場所へと放り込む。

その間にそれから気をそらすように射撃。見事に防御反応を示してくれた。此方の思う壺。最早勝ちは揺るがない。

放ったミサイルは百八十度方向を転換すると、背後から着弾。

その衝撃に驚いている間に、俺はイグニッションブーストで加速、少し反り返った片刃のショートソードを呼び出し、首元へ突き付ける。

 

「ゲームオーバーだ。大人しく帰れ黒兎」

 

先ずは一機迎撃完了。次いで残りの三機を撃墜する。

残ったうち、能力的に別の二機に劣り、また尚且つ武装によって勝っているラファールを優先的に落とすのが無難、と言った所だろう。

が、今回の目的はこいつらの馬鹿騒ぎを止める事が目的だ。

 

「お前ら、いい加減に頭を冷やせ。こんな時間にわざわざ機体を使って騒ぎを起こすな」

 

言うが、興奮しきっている連中に話が通用するはずもなく。

この中で唯一冷静なはずのフランスでさえも俺の話を聞いていない。と言うか聞く気がないのだろうか。こればっかりは譲れない、とかなんとか。

そーかいならきっちりハチの巣にしてくれるよ。

俺はバーニアを吹かして、ミサイルを連射。逃げて回避しようとするが、その間に俺は銃を連射。龍砲やブルーティアーズのオールレンジ攻撃も回避しつつミサイルを連続発射。

ミサイルから逃げ切るなんて事は不可能だ。これで、二人目。

残りは近接戦で落とせばいいだろう。イグニッションブーストで甲龍に接近し、ブレードを喉元に突きつけ。もう片方の手でペイント弾を動きの止まったブルーティアーズを狙撃。

全機撃破。

 

「頭を冷やせ馬鹿ども。特に黒兎、お前は以前ISはファッションではないと言った事があった筈だ。そのお前が私的にISを使用してどうする」

 

と言うかドイツはこんな子供を佐官として使っているのかよ……。割と本気で、こいつの上官の頭の中身がプリンなんじゃないのかと疑ってしまうよ。

 

「何よ! あんただって二人の事殴ったじゃない!」

「俺があいつらの所為でどんな目にあったのかお前達は分かっていっているのか? だったら今度は本気でお前たちを殺しにかかるぞ。福音とほぼ同じ戦術で」

 

毎度毎度尻拭いをさせられて、揚句今度は死にかける羽目になる? 巫山戯た話だ。幾ら俺が連中を庇ったから、自業自得とは言えどもそうなる連中の未熟さに最早怒鳴り散らすだけの気力もない。

畜生に言う事を聞かせる為には、暴力以外の何がある?

 

「お前達と違ってこっちは死にかけているんだ。乳臭いガキのほれたはれたに付き合っていられるか! 大体なんだお前達は! 半分以上は軍に従事し、国家に忠誠を誓っている身分だろうが! それが自分の気に入る気に入らないで国家機密を私的に使用しているとは何事だ! 世が世なら即刻極刑だ! 間諜の容疑がかけられてもおかしくはないというのに! なんだったら今ここで俺が全員殺してやろうか? その機体もろともこの海の藻屑にでも変えてやろうか糞が!」

 

俺は肩で息をしながら四人にそうがなりつける。

我慢の限界だ。全く。本当にこいつらは、兵器を……。

前にも同じ事を考えた事があったな、本当に。

 

「分かったらとっとクソして盛りのついた豚見たくブヒブヒあの糞ガキの事でも考えながらオナって寝やがれ」

 

それだけ言うと、ISを解除して歩いて旅館まで帰る。平時だと言うのに、どうしてこんな戦闘を繰り広げなけりゃならんのだ。

面倒くさい、本当に。寝欠伸ひとつ、夜空を見上げる。

ああ、そう言えばあいつにも話を聞かなければな。自身の機体を制御する事も出来ないで。

じゃじゃ馬の手綱程度しっかりと握っていろと言うのだ。

今は大方寝込んでいる所だろう。しかし、搭乗者ありきの機体でよくもまぁ暴走をしたものだ。誰も疑問に思わないのだろうか。

ああ、もう。眠い、疲れた。寝る。

自室に戻るなりとさっさと布団の上に落ちる。

 

「……もう、朝?」

 

目が覚めるともう朝日が昇りかけている時間だった。

とはいっても、若干なりとも早い時間に覚醒してしまった。まだ完全に水平線に日がある状態だ。

昨日は少し眠り過ぎただけのようだ。もう完全に覚醒してしまっている。

同室の連中も眠り込んでいる。

起きぬけに、俺はこの数日で完成させる予定だった機体のパッケージを呼び出す。

名称A-10HF、ライトニングブレイカー。

恐らく俺以外の誰にも扱えないであろう、砲戦パッケージ。

その名のとおり、火力重視のパッケージ。全てを破壊する。ラファールの砲戦パッケージ、クアッドファランクスは、その重装備が故にもはや動く事が出来なくなっている。面制圧には多大な戦術的効果を発揮するパッケージではあるが、ただの固定砲台では、機動性に勝る機体には勝てはしない。

何より、圧倒的物量差を演出するにはあまりに物足りなさすぎる。

だからこその、このパッケージだ。

そもそも、俺の専用機は第二世代型。特殊な装備を整えているとはいっても、それはあくまでも機動性特化と言うだけの話。

ブルーティアーズや、甲龍などに比較してその特殊性は勝るとも劣らないものではあるが、しかしてそんなものは必要ないともいえるのだから。

パッケージリンク、同調率、良好。ガトリングを呼び出して、砲門を中空に向ける。バレルを回転。それと同時に一秒間、発射させる。

踊る銃弾。AICを慣性停止結界と言うのなら、これはまさに弾幕結界と言うべき代物だろうな。

これが二つ、おまけにエネルギー集束砲からミサイルが大量にある。

 

「本当に、こいつは空飛ぶ戦車だな」

 

自分で設計しておきながら、そんな事を思ってしまう。自惚れでも無く、本気を出したらレーゲンでも粉微塵に出来ると思っている。

そのくらいの火力をぶち込んだのだから。

圧倒的な物量による飽和戦。獅子は兎を狩るにも、全力を尽くすってね。

 

「随分と、派手なものだな」

「敵情視察か? 随分と俺の機体に興味があるみたいだな」

「当り前だ。それは一体何処の国の機体だ。誰が開発した」

「さてね? 機密事項なのでお答えできませんよ」

 

答える義務もない。

 

「なら、お前は福音のデータをどうするつもりだ?」

 

ほう、質問を変えてきたな。

 

「あんなガラクタのデータなんぞどうでも良いと思いませんか? 機体そのものが、ISF4に敗北したと言うのに」

「だが、最後に見せた機体、あれはISF4ではなかったな」

「…………」

「お前の機体も、白式と同じようにセカンドシフトしたのだろう。だが、あれはなんだ? シルエットそのものが変わってしまっていたではないか」

「知らん。たまたまそうなっただけの話だろう」

「シルエットそのものが変わる機体など、見た事がない。大きく形状が変化するが元の姿が残っている事が多いはずだ」

「十分、原形をとどめていると思いますがね?」

「骨格そのものが変化しているではないか」

 

食い下がるな。どうしてここまでそこに拘る。

何か、あるのか?

 

「どうでもいいでしょう。セカンドシフトをした結果ああなった。それ以上でも以下でもありませんよ。どうしてああなったのかなんて機体に聞く以外に方法はないでしょう」

「それもそうだな。だったらお前のフラグメントマップはどうなっている?」

 

そうか、それが目的か。

 

「提示はしませんよ。これも機密です」

「何、隠す必要性もあるまい。これからその機体は学園で整備する事になる。そうなれば、お前だけでなく、他の人間にも触れる機会が訪れると言うわけだ」

「……いずれは露見すると?」

「その時期が早いか遅いかだ」

 

言葉巧みだな。少しは知恵をつけて来たのかこの馬鹿力女。

確かにその理屈なら、俺の機体はある種、見世物状態になると言ってもおかしくはない。

が、前提が間違っている。

 

「俺の機体は俺一人で整備する。そばにだれかがいるなんて言う事はありえない」

 

機密に触れさせる事、それそのものが不可解極まりない状況だ。俺がそれほどの被弾をこれから先するとは限らない。

そもそも、今回の被弾の原因がこいつの弟が原因だった。

あれがなければ、あの甘さが俺になければ、あの判断でも墜ちないだけの実力があれば良いだけの話。

 

「覚悟は出来ているのか?」

「世界を壊す覚悟ならな」

 

それだけ言い残すと、俺はISを解除。そのまま旅館へ戻り朝食をとる。

本国からのA10用試作装備を格納。一足先に仕事を終わらせた俺はのんびりと、外へ出て連中が終了させるのを待ちわびる。

その前に目が覚めたとの連絡が入ったが、まだここまでは来ていないらしいな。

ポツリポツリと、バスに上っていく光景が視界の端に映る。やがて専用機全員が乗り込み、残すは数人と相成った。

そして、俺が待っていた目的の人物はそこに現れた。

予想通り、ブリュンヒルデ達と接触すると思っていたぞ。

そいつはバスの車内に入り、あろう事か織斑一夏にキスをしやがった。

まったく、ただでさえあの馬鹿の周りでは面倒な事が起こっていると言うのに。

また、バスの中で下らないラブコメが繰り広げられているなか、そいつはなにくわぬ顔で、降りてきた。

 

「随分と餓鬼にませたご褒美を与えたものだ。シルバリオ・ゴスペル、テストパイロット」

「あら、本名で呼んで下さらないのかしら? それとも、彼の次になってしまって拗ねているのかしら?」

 

テストパイロット風情がよく言った。

 

「おいおい、余計な火種は残してくれるな」

 

面倒だ、とブリュンヒルデはいう。冗談半分なのだろう。俺達に言うそれよりも、幾分か柔らかだ。

それに対してナターシャ・ファイルスは少しだけ笑って言う。

 

「想っていたよりも素敵な男性だったのでつい」

 

ついじゃねぇ。つい、なんて言葉で規律を乱すような真似をするようでは、二流以下だぞ。

こいつらも、学生気分か。

 

「……ナターシャ・ファイルス。随分と乱雑にしたが、良く動けるな。肉片にし損ねたが」

「さらっと貴方の口から怖い言葉が聞こえたけれど」

「本当に一夏に感謝するべきだな。あいつが仕留め損ねてたら、俺がお前を仕留める所だったからな」

 

俺が仕留める場合、ミサイルとガトリングでミンチになるまで永遠に撃ち続けるからな。最終は、コアの破壊だからな。

 

「ぞっとしないわね」

「お前の機体、一体何の目的があって開発された?」

「それを言えると思って?」

「そうだな。だが、お前の機体はどうせ、廃棄処分、は出来ないから封印処分か。そんな程度の機密、漏らした所でどうなる」

「あれに使われている技術は、軍用のもの。それを外部に漏らしたと言う事は、それだけで争いの火種になりかねないのよ」

「戦争屋が何を言っている。戦がなければ飯を食いっぱぐれる程度の雑魚が」

「それはお互いさまでしょう? 貴方も、戦場でしか生きていけないのに」

「ハッ、殺人狂は考える事が違うねぇ? 俺はただ、この空を飛び続けるだけだ。これからも、それは変わらない」

 

と言うよりも、俺をそんな目で見ていたのか。心外だな。

こうみえても、プライドに生きているつもりだったのだがな。

 

「そんな事はどうでもいい。今回の一件、原因は一体何だ?」

「……機密情報、と言いたい所だけれど」

「織斑千冬と、俺の前でそんな事が言えると思っているのか?」

 

犯人は分かっている。俺が知りたいのは手口だ。

方法や過程など下らない世迷言だ。

しかし、方法や過程がなければ結果は生まれない。

 

「推測されるにコアへのハッキングか。しかも、コアネットワークを介しての」

「凄いわね。探偵目指した方がいいんじゃない?」

 

ごたくはいい。早く話せ。

 

「あの子は私を護る為に望まない戦いに身を投じた。強引なセカンドシフト。コアネットワークの切断……あの子は私の為に世界を捨てた」

 

おーおー随分とお怒りのようだな。ま、自分の機体をいいように使われたら、幾ら俺でもこうなるな。

 

「たかが機体に随分とご執心のようだな」

「貴方ならわかると思うけれど?」

「所詮は消耗品だ。貴重だが、補充すればいいだけの話」

「……冷たいのね」

「分別が付いていると言ってほしいな。だからこその相棒だ」

「そう。でも、私は許さない。あの子の判断能力を奪い、全てのISを敵に見せかけた元凶を、必ず追って報いを受けさせる」

 

何よりも飛ぶ事が好きだったあの子から翼を奪った奴を赦さない、と意気込みその背中を向けるナターシャ。

まぁ、確かに。俺だったら、耐えられないな。

機械相手に意思があるとは思えないが。

そんな、アメリカ人に向かって世界最強の女は言う。

 

「余り無茶な事はするなよ? この後も、査問委員会があるのだろう。しばらくは大人しくしておいた方がいい」

「それは、忠告ですか? ブリュンヒルデ」

「アドバイスさ、ただのな」

 

それを聞いたそいつは言う。

 

「そうですか。だったら、しばらく大人しくしていましょう」

 

そう言うと、そのまま立ち去っていく。

と言うか、この後に査問委員会がある人間が自由に出歩いていいのだろうか。

本当にその辺はナァナァになっているな。

ま、その辺の規律は外部の俺が口を出すことではないのだが。

日差しが、痛い程に肌を刺す。

そう、これが俺達の夏の始まりだ。俺には二度と無いのかもしれない、平和な、夏の。

 




主人公が落ちないのは主人公がファイターパイロットでスキマニアだからです。
もう主人公の名前、スキ=マ・ニーアにしようかな? スキマニア=クグロフってのは定番ですし。
気づいた人がいるかもしれませんが、いくつか前の話で戦闘機のゲームをやってますので。
次回、夏休みです。でも、書く事と言ったら一つしかないです。
なんか主人公が特殊能力使い始めます。言及しませんが。因みに戦闘スタイルは銃剣鎚士です。
「受けてみろ、血に染まりし完全なる、骸殻の! 威力を!」
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