IS Another ZERO   作:XXI

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ごめんなさい。やっぱり次で主人公の機体が登場します。
詳細なスペックなんかは提示できませんのであしからず。
というか、他の機体のスペックデータも曖昧なのに、スペックデータなんて作れるわけないじゃないですかやだー。
ISの性能ってイメージに依存する所が大きいと思います。
因みに主人公機の名称は既存の兵器からもじります。さて、最初の機体の名前はなんでしょーか。
わかる人いるかな?


灰色の黒兎

それだけ言うと俺はさっさと立ち去る。

追求されるような事は言っているけれど、追求されるのはごめんだからな。

ま、ひねくれていると言う事だ、俺も。

随分とひねくれて、物の見方がおかしくなっているのは言うまでもない事だ。

今更、歪まされてしまった価値観を修正しようとは思わない。

歪んだものは一生そのままだ、自分で自分を律することが出来ないのと同じように。

 

「歪んでしまったパズルは……」

 

一人、またごちてしまった。

いけないな。ここに来てから、独り言が増えた気がする。

それだけ、俺が気をもんでいると言う事か。

……なぜ、俺が気をもむ必要性があるのだ? いや、何故自分が彼らの心配をしなくてはならないのだろうか。

どうでもいい事か。

溜息を吐きながら、午後の授業を終えると何の気が向いたのか、訓練場へと足を運んだ。

少しばかり予感がしたのだろうな。

馬鹿は馬鹿でしかないと言う事を。

そしてその予想は大当たりだと言う事を知る事になる。何せ、アリーナから戦闘音が聞こえるのだから。

この音はブルーティアーズ、もう一つは甲龍だろう。

そして聞きなれないもう一つの発砲音。

逸る鼓動を抑えながら、俺は走った。

予想通りだった。そこにいたのはイギリスと中国と、そして黒兎だった。

しかし……これは……。

俺は言葉を失ってしまった。そこにあった光景に。

なんだ、これは。一方的な、暴力じゃないか。戦いにすらなっていない。

AICにより、相手の攻撃は一切通用せず、ただ殴られているだけ。

よける必要がないから、攻撃に神経を集中をする事が出来ると言うわけか。

防御と攻撃か、なるほど。よける必要性がない機体、か。

一方的な暴力にISが強制解除。しかし、それでもなお彼女たちへの攻撃を止めない黒兎。

なぁ、どうしてだ? どうして世界は変われないんだ?

ISを部分展開。そしてセシリアと鈴音の首を縛っていたワイヤーを刀で切断。

 

「……何のつもりだ?」

「それは此方の台詞だ。お前はなぜ私の邪魔をした?」

「質問をしているのはこの俺だ。何故、攻撃を続けた」

 

刀を右手に持ったままそう尋ねる。背後には力なく倒れ込み、呻き声をあげる二人。

拙いな……いくらISの絶対防御、生命維持があると言っても、限界がある。

まぁ、そんな事は今、どうでもいいか。

 

「知れたこと。敵は殺す。それだけだ」

「そうか」

 

ああ、わかってしまったよ。こいつは黒(シュバルツェア)なんかじゃない。

 

「所でお前、機密を易々と漏らす奴をどう思う?」

「重罪だな。処刑に値するぞ」

「I bet you too do. bunny」

 

足元に配置しておいたグレネードが爆発。

それにまぎれて、俺はISのブースターを展開。後退して二人を小脇に抱えると、そのまま一度離脱。

被害が及ばないピットの物陰に隠すと、再び黒兎と相対するためにISを全身展開。打鉄でどうにかなる相手だとは思えないが、やるしかない。

 

「それで?」

 

煙が晴れると、そこには無傷のレーゲンがいた。

成程、とっさに防御したという訳か。

 

「お前は随分と自分の機体を曝したな。あの二人を相手に出来たのも、おそらくはその機体に仕込まれた特殊能力、AICに依る所が大きいだろう。成程、自分の実力と機体のスペックを勘違いする馬鹿が多いらしいな、お前達IS乗りは」

 

事実を述べる。尤も、これは俺がここに至るまでに感じたことであるが。

中には自分の身体能力に頼る人間もいるだろうが。

 

「それで? と聞いたのだ。私に戦いを量産機風情で戦いを挑もうと言うのか?」

 

せせら笑うなよ。

興奮するじゃないか。

 

「量産機か。そうだな、お前たちから見たらそう映るのだろうな」

 

お前たちが屈服する瞬間が、跪く瞬間が。

イグニッションブーストをかけて、急加速。ウサギ風情が、猛禽類に勝てるとは思わない事だ。

予想通り、よもやの事態に反応が出来ていないな。

すれ違いざまに一太刀くれてやるが、そこは流石に軍隊の階級持ち。体勢を僅かにそらす事によって、回避しやがった。

連続して瞬間加速をかけてやる。

連続した急激な加速。どこかのど素人のような直線的な加速ではない。

予想通り、俺が攻撃を仕掛ける前に、AICを展開したのだろう。

手をかざした先からどの程度がAICの力場なのか、確かめるために鞘をまず投げてやる。

それは確かにそこで停止した。

成程、機体の前面、手でかざしてから自分の機体にダメージが及ばない程度がそれの範囲か。

成程、上手く使えばゴルト程度にはなりそうだ。だが……。

そうは、問屋がおろさないのが空戦だ。

イグニッションブーストの速度のままバレルロールをしてその範囲から回避。そしてイグニッションブーストを逆噴射、機体制動が比較的行いやすいからたすかる。何せ機体制動に一番の体力を使ってしまいかねないからな。

反応しきれていない背後から刀で切りつけ、そのままイグニッションブーストでAICの力場から逃げ出す。

残念だったな。空戦で正面から、と言うのはまずあり得ない。

後ろから、相手を狙い打つ。ただそれだけだ。

 

「くっ! 貴様……!」

「正々堂々と、でも言うつもりか?」

 

ワイヤーブレードとのろまな砲ではでは俺を捕まえる事は出来ないよ。

少しの間この戦術を繰り返していると、視界の端に此方へ俺と同じ刀をもって走ってくる女の姿が見えた。

……つくづく規格外だと思う。

そいつは俺の刀を防ぐ。

 

「成程、生身でも強いとはな。お前、本当に人間か?」

 

茶化してやる。生身でISの攻撃を防ぎきるなんて、女の細腕で出来る芸当じゃない。

 

「で? 邪魔をしたのは何でだい? あくまで学生の模擬戦に」

「模擬戦をやるなとは言わない。だが、アリーナのシールドを突き破られては、教師として黙認出来ん」

「理由がすさまじいな。駄目教師。アリーナを破壊してでも止めに入らなければならない事態が発生したと考えないのか? だったら、お前たちの怠慢だな。それ以前に、こういった場所であると言うにも関わらず、教官の一人も配置していないのは、安全体制の不備を指摘せざるを得ないが」

「貴様はそんな事を言う為にいたのか?」

 

馬鹿馬鹿しい。貴様の戯言に付き合う気はない。

 

「いいや? だが、何故俺が出張らなければならない事態になったのかくらいは理解して頂きたいな。ブリュンヒルデ」

「織斑先生と呼べ。この戦いの決着は、学年別トーナメントでつけてもらおう」

 

成程な。まぁいい。此方としても打鉄ではエネルギー切れで動けなくなるという結果以外に見えなかったからな。

 

「命拾いをしたなぁ、黒兎」

 

ISを解除して俺はそう言ってやる。

今度は、確実に殺してやるよ。黒兎。

一瞥すると俺はそのまま、その場を後にする。向かう先は、保健室だ。

 

「二度目だな、貴様とここで会うのは」

「貴方は……」

「お前性格直ってないな。どうせ、挑発したつもりが挑発されてそれに乗っかってしまっただけだろ」

 

図星ですって面してんじゃねーよ。

 

「そっちのちんちくりんも、似たようなもんだろ。雑魚どもが。この程度が専用機保有者とはな。聞いてあきれる」

「な、なによあんた! だったらあんたはどうなのよ!」

「俺はそこの蒼い機体にラファールで勝利した。回文教師には打鉄で勝利。お前達は敗北した相手だがな」

 

と言うかよくもまぁ、一機相手に二機で落とされるな。しかも量産機相手に、カスタム機で。

まぁ、無事そうでなによりだ。ガキの喧嘩には俺も興味はないが、喧嘩ではなく殺し合いを始めてしまうのだからな。

と言うか、こいつらは兵器を扱っているという自覚が足りないのが残念だ。と言うよりも頭の螺子がどこか飛んでいると思う。

 

「いい加減に俺が説教をしなくてはならない状況らしいな。いいか? お前達は兵器を扱っている。殺し合いをする道具を扱っているんだ。それこそ、一機で圧倒的な戦力差を発生させる兵器だ。それだけの兵器を兵器を扱っている自覚があるのか? それ以前にお前達は、専用機と呼称されるエース仕様の機体、しかも実験機を扱っているんだ。それを使っている以上、確かに敗北はあるのかもしれない。だが、多くの戦術データを取り、機体をさらにバージョンアップさせるという大義名分は一体何処へと言ったと言うのだこの馬鹿どもは。只勝ちたいから、などと言う下らない理想ならゲームでもやっていろ」

 

まくしたてると、二人とも居心地の悪そうな眼でいた。

だが、同時に中国娘は、何処か不服そうな眼で反論を試みてきた。

 

「でも、専用機を持たない貴方に……」

「言われたくないだと? 自分の責務もまっとうできていないお前にそれを言う資格があると言うのか? それ以前に、俺の仕事は男性IS操縦者として臨床データを把握しろ、だ。十二分に俺は俺の職務を果たしている。生憎だが俺も暇な身分ではないのでな」

「暇な身分じゃない? だったらどうしてこんな所にいるのよ。一夏みたいに専用機も与えられないで」

「おいおい、議論の方向が崩れてきているぞ?」

「いいえ、今はこの方向で間違ってないわ。私は私。あんたの論理が正しいのは理解した。でもね? あんたが私たちにそんな説教を垂れる事の方が今は不可解なの」

 

……どうやら只のあほの子ではないらしいな。

成程俺の正体が気になるか。

 

「あたしは、転校してきたからあんたの事を入学当初から知らないけど。それでもあんたは異常よ。あんたセシリアに勝ったって言うじゃない。しかも、ただ勝ったってだけじゃない。あんた、自分からは三分間一切の攻撃をしていなかったそうじゃない。威嚇すらないまま、ISの攻撃……しかもビットのようなオールレンジ攻撃を回避するなんて。しかもそのあとにはビットをすべて破壊した揚句に反撃を許さないまま撃墜? これが男の、ましてや素人のすることかしら」

 

と言うか今まで何故誰も疑問に思わなかった。

 

「まだあるわ。あんたはあの不明機相手に専用機でもないのに、突っ込んでいった。そしてあんたは言ったわ。『死にたいのなら』って。そのあと、無人機が攻撃しようとしてきた時の反応も凄まじく早かった。刀を投擲で腕に直撃? 挙句の果てには何のためらいもなく機体を破壊した? あんた、あの機体がどうして無人機だって分かったの?」

 

おいおい、このちんちくりん見た目に反してやたらと鋭いぞ? これは少し危ないな。

 

「これでだんまりとかあんまりだからさらに追及するわ。私たちが二人掛かりで倒せなかったレーゲン。あれを圧倒したのはどうして? 私たちの戦闘を見ていた上で対処法が分かった、って言うのなら納得はいく。けれどね、わかったって言うのと、実際に試す事が出来る、と言うのは異なるわ。おまけにあんたが使っていたのは打鉄だったじゃない。唐突な部分展開イグニッションブーストの連続使用、そして使用中の機体制動。どれをとってもあんたは素人とは言い難いわ。あんた、何者?」

 

合格点、か。いいだろう。自力でそこまでたどり着けるとはな。

だが、そこの青い金色は違うな。只の雑魚か。

 

「面白いな。逆に俺がお前に問いたいよ。何もんだ?」

「あたしはあたし。中国代表候補生、鳳鈴音よ」

「ラーズグリーズ。俺は、ラーズグリーズを追い求めている。世界の歪、境界線上に立つ人間。空の欠片を取り戻す為に」

「何よ……それ」

「共産圏の人間よ。空から世界を見た事があるか?」

「…………」

「そこから何が見えた? 一体それは俺達に何をもたらした?」

「それが、あんたの事? ラーズグリーズなんて知らないわ」

「時代は変わる。それでも、変わってはならないものもある。お前達はそれを忘れた」

「だからあんたがそれを修正するっての? どこかの悪役見たく?」

「俺にそんな力はない。それを為し得るのは、俺達だ。かつて、ひとつの危機に集った英雄たち。そして死神だけだ」

 

死神、悪魔、そして鬼神。彼らの事を俺は知らない。けれど、彼らが目指していたものを俺は知っている。

 

「実にお前は合格点だ。隣で愕然としている金髪より実に優秀だ。お前みたいなのが手元にいてくれると実に助かる」

「生憎ね。私は物じゃないの。それに世の中にいる無意味な女尊男卑の連中と同じにしてくれないでほしいわ」

 

ふん、なおさら余計に欲しい人材だな。

戦場に出れば女を振りかざし、その有用性について口先をしっかりと動かす連中とはわけが違う。

成程、機体の事もそれをあらわしているのかも知らないがね。

 

「さて、少しはご褒美だ。龍、お前にはその機体の本来の使用方法について教えてやる」

 

青色はもう少し練習だな。

 

「お前達はもう少し煽りに対しての抵抗を身につけた方がいいな。そうでなくては、死ぬ事になる。ま、何にせよ現状での機体の使用はやめておけ。変な癖がつくらしいからな。むしろ、俺はこういった状態での起動で、よい結果が得られると思うがね」

 

俺はそれだけを言い残すとその場から立ち去る。

これ以上いると、妙に勘の鋭い小娘から俺の任務にまで口出しをされる可能性がある。

この小娘風情に俺の事を知られるのはひどく不愉快だ。

さて、後日行われると言うトーナメントだが、どうやらタッグマッチらしい。

……俺に対してのあてつけか?

ここにいる連中では俺の援護はおろか補給役にもならないぞ。

おまけに申請もようやく通った事だし、俺の専用機がようやく使えるようになった。俺が、俺の為だけに作り上げた専用機。

世界でたった一機の俺だけの専用機。

もう、これで誰にも追いつかせない。

俺だけが彼らに追い付き、追い越し、そして次の世代へ全てを託せるように。

まぁ、適当に相手がつくだろう。

と言うよりも、ようやくISをようやく弄り始めたばかりのからどころか孵化もしていない卵をよくもまぁ大舞台に引きずりあげたものだ。

おままごとでも見るつもりか? それともゲーム大会にでもするつもりか?

全く、お笑いだ。

 

「ねぇ、まだ相手決まっていないの?」

 

おいおい、素晴らしい勇者だな。あれだけ派手に立ちまわったチンピラ生徒に声をかける女がいるなんてな。

ましてや他の連中を見下しているような発言をする人間をパートナーにしようなんてな。

 

「ああ、確かに。決まっていないな。足の重りの重量は」

 

どれだけ相方にダメージを与えずにクリアするか、だもんな。

苦笑いを浮かべる相手生徒。名前も覚える気はない。

 

「だったらさ、私をパートナーにしてくれないかな?」

「何が目的だ?」

「へ?」

「何が目的だ? と聞いている。尤も、目的も何もないとは思うだろうが……いや、あるな。学内で二人しかいない男子生徒を相方にする、と言う目的が。そんな程度の低俗な目的だろうが、生憎だが俺からしたらどうでも良い事だ」

「……あの、私……」

「好意を向けられるのは素直にうれしい。だが、その好意が所詮自身のランクアップを目的に考えられている、と言うのは気分のいいものではないな」

「そんなつもりは……」

「女性優位社会で気でも違った人間が多いからな。悪いがこのくらいの疑心暗鬼は許してもらおう。そうでなくとも、こちらは男性データを狙う人間が後を絶たなくて辟易しているんだ。ハニートラップの可能性だって否めないのだからな」

「ごめん。やっぱり誘ったら悪かったかな?」

「ああ、出来る事なら公正な結果で選ばれた人間がいいな。身の潔白を証明できるとなおありがたい。此方は重要な情報を保有している可能性を含めて行動をしている。それゆえに、だ」

 

流石に、これには辟易したのか女子生徒の顔が引きつって見える。

 

「これが機密を扱う人間の基本だ。相手の事を疑い自身の保有する情報が漏れないように行動をする。どこかの黒兎はそれを欠いているがね」

 

皮肉交じりに俺はそう言ってやった。

こいつらに間違いなく他意はなく、純粋に俺と組んでもいいと思っていたに違いない。

だがそれだけでは『俺』と言う存在の情報が悪意をもった第三者に行きわたる可能性がある。

それはなるべくならば阻止しなくてはならない事態だ。

 

「もしかして、君って軍人だったりする? ボーデヴィッヒさんの事も知っていたし」

「何故、そう思う?」

「だって、さっきの言葉とか特にそんな感じだし。それに、セシリア達を普通に倒してたしさ」

 

うかつだった。少しはでに動き過ぎていたらしい。

気づかない方もまぁ、どうかしていると思わざるを得ない戦歴のような気もするが。

 

「近い、な。近いものだが、生憎俺は軍人じゃない」

「じゃあ……」

 

その次の言葉に俺はわずかながらに動揺してしまったと思う。

流石に彼女たちの口からその言葉が聞こえてくるとは思わなかったのだ。

 

「もしかして、傭兵?」

「っ……そう、だな。似たような、ものだ」

 

そう言うと俺はそれ以上口を開くことをやめた。

口を開けばぼろが出てきてしまいそうだった。それ以上の言葉は憶測を超え、確信へと近づける危険性をはらんでいたのだ。

そして、時は流れてトーナメント当日。

何の因果か気合いを入れたとたんに、俺の運気って言うのは下がっていくらしい。

全く、俺の女神ってやつは俺に働いてほしいのか、それとも休んでほしいのか。

とはいっても、何の因果か俺の試合は奴らの試合の後となっていた。

 

ラファールリヴァイヴカスタムと白式のコンビ。二機での戦闘。

対するのはシュヴァルツェアレーゲンと、打鉄。

正直に言ってしまって状況は一夏たちに有利だ。何せ、兎達は連携を知らない。

それに引き替え、連中は連携を行っているからな。いかな高性能機と言えどもコンビネーションが出来なければ雑魚にすぎない。

数と言うのは、それだけで勝敗に大きく関わる物なのだから。

流石に序盤は押され気味だな。デュノアがのののののの相手をしているからだろうが、墜ちてしまえば。

もうあいつに勝ち目はない。サシでの勝負で俺に圧倒されていたんだ。

機体の性能差が無いに等しい専用機同士での戦闘。

なら、その優位性は攻略法を見つけてしまえば、皆無となる。

そして今までそれに頼り続けてきた結果と圧倒される事によって発生する焦燥は動揺を発生させ、隙を生み出す。

決まったな。

これで二人の勝利は確定的なものとなった。

先日、俺が見せた戦闘が参考となったようだ。

やれやれ、軍の少佐、しかも専用機持ちがこの程度だとは。

がっかりだ。

そしてその時は訪れる。

 

「なんだ?」

 

口に出して異変を確かめようとする。

ダメージを受けた機体が急激な変化を見せる。

まるで粘土細工のように、機体がラウラを飲み込んだ。

 

「まさか……あれは……!」

 

愕然とした。あれは使ってはならないものだった。それだけは許されない。

 

「ヴァルキリー・トレース・システム……!」

 

VTS……人間を道具のように扱う禁断のシステム。

それは国際条約で禁止されたシステム。それが積まれているのは、どうしてだ!

結局連中は、また戦いを引き起こそうと言うのか! 灰色共め!

これは機体のスペックと人間の能力を強引に強化させる事が出来るシステムだが、反面搭乗者の意思を受け付けない、完全なAI機となる。

しかもその動きは歴代優勝者の動きをデータ化したもの。

搭乗者の癖など、強引に打ち消してしまうふざけた代物だ。

現在の人間であれを扱える人間なんていない。

俺は即刻機体を起動し、アリーナへと降りる。

全く、こいつとの初陣がこんな舞台になるとはな。

きっちりと落とし前をつけてくれる。後でこのシステムを持ち込んだ連中は、後できっちりと灰にしてくれる。

灰色は灰色らしく白に染まれ。

 

「シュヴァルツェア・ハーゼ、リーダー。メージャー、ラウラ・ボーデヴィッヒ。今すぐに機体を停止せよ。貴公の機体には国際法で禁止されているシステムが含まれている。即刻に機体を停止し、こちらに此方に機体を提出せよ」

 

応答は、なし。

意識レベルの低下、そして機体の損傷率が上昇した所為か。

 

「あれは……千冬ねぇの!」

 

成程、トレースされたのはブリュンヒルデのデータか。

あいつへの依存が形に現れたのか。

 

「これよりラウラ・ボーデヴィッヒを敵対対象として識別。交戦開始〈エンゲージ〉」

 




さて、黒兎さんは原作どおり飲み込まれてしまいました。
途中の英語は単語を差し替えただけなので正しいかどうかはわかりません。
多分あってると思います。相棒って名詞だよね?
というか生身でISの武装を受け止めるちーちゃんは化けものだと思います。
体重×速度×遠心力=剣の破壊力に等しいですから。
いや、てけとーだけど。割と近いとこだと思うよ?
まずは受け止める腕力。
女の人って、S&WM500だったか、デザートイーグルだったかを撃って骨折る人もいるんですよね。
因みに50口径というのはハーフインチ、12.7mm弾の事です。比較対象として、ライフルの銃弾は5.56mm他です。ライフルでこのハーフインチを使うと、一昔前なら戦車を貫けるって話です。今は無理ですけど。
さらに脚力。どうやったら、地面に女の小さな足がめり込まなくて済むの?
というか全身の筋肉がやばいと思いましたまる
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