チキンハートの武偵生活   作:シオシオクレソン

13 / 23
腹下りで駄文しか書けない…あれ?いつもか?
みなさんも消費期限にはご注意を。




「帰ってきたか誠実!頼む、白雪を止めてくれ!」

 

「えーっと…なにこれ?」

 

 買い物を終えて帰宅した誠実は、風呂場にて半裸のキンジと脱衣途中の白雪を目撃した。

 

「いったいこれは何があったんだ?」

 

「実は…」

 

「…はっ!?」

 

 キンジが事のあらましについて説明しようとする中、自身の直感がアリアの気配を察知した。十秒足らずでこの部屋に到達しそうだ。

 

(まずいぞこれは!このままいくと間違いなくやばい!)

 

 この状態を見たアリアがどうなるか脳内シミュレーションした結果、全員の不利益にしかならないことがわかった誠実。その間わずか0.2秒。

 

(くっそー!やるしかない!あれをやるしかない!)

 

 意を決して行動を起こすことにした。もうどうにでもなれと、半ばやけくそになって。

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

「どわあああああああああ!?」

 

 扉の前まで来ていたアリアの耳に、誠実の悲鳴が届く。

 

「ちょっとどうしたのよ誠実!」

 

 慌てて扉を開け放ち、室内に突入したアリアの目に、風呂場から這う這うの体で下半身を引きずる誠実の姿が映った。

 

「あ、アリア大変だ!手を貸してくれ!俺の手には負えない!」

 

「な、何があったのよ!?まさか魔剣(デュランダル)!?」

 

「いや、違う!だがやつよりも数段厄介だ!」

 

 狙撃科所属とはいえ、武術の心得がある誠実をここまでにする強敵。

 

「ゴキブリだ!馬鹿でかいゴキブリが現れた!」

 

「えっ、な、なんですって!?」

 

 その者の名は黒き絶望(ブラック・ディスペアー)、ゴキブリ。全人類の敵、ゴキブリである。

 

「ど、どうしよう!?」

 

 対G戦闘においてはまさしく歴戦の猛者である誠実に、これほどまでの深手を負わせるほどの相手だ。実戦経験がほぼないアリアでは到底太刀打ちできないだろう。

 

「落ち着くんだアリア!ベランダの倉庫からありったけの殺虫剤を持って来い!それまでは奴は俺が抑える!」

 

「そんな、アンタを置いていくなんて…!」

 

「俺は膝に洗濯機を受けてしまってな…しばらく走れそうにないんだ。だから早く行け…!」

 

「…うん!死ぬんじゃないわよ!」

 

「ああ…」

 

 アリアは知らなかった。ゴキブリは洗剤で死ぬことを。

 アリアは気付かなかった。これが己をだますための茶番であることに。

 アリアはわからなかった。これが魔剣(デュランダル)に対する挑発であることが。

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 誠実が捕え、殺虫剤を装備したアリアが、通常の三倍サイズの黒い彗星(ゴキブリ)(誠実の式神)にとどめを刺した後、体を張った猿芝居が功を奏したのか、キンジが東京湾に突き落とされることはなかった。が、新たな問題が発生した。

 

「なんなのよキンジのやつ!魔剣(デュランダル)が狙ってるのに花火大会だなんて!」

 

「いや、ノリノリで浴衣着ちゃってる奴のセリフじゃないぜそれ」

 

「べ、べつにいいじゃないの!前から着てみたかったとか、そんなんじゃないだから!」

 

 現在アリアは金魚のあしらわれた藍色の浴衣を着ている。一方の誠実は相も変わらず、防弾制服に大きなギターケースというスタイルを貫いているが。

 

「まあそれは別にいいとして、レキも来るって話だったけどちょいと遅い気がするぞ?俺たちがちょっと早かったせいもあるかもだけどさ」

 

「そうね、あのレキが遅れるなんてそうそうないし…」

 

「お待たせしました」

 

 二人があーだーこーだと話しているうちに、話題の中心になっていたレキが現れた。

 

「わーお」

 

 ところどころ白い花があしらわれた薄い青色の浴衣姿。ヘッドホンとドラグノフの入ったバッグすら一種の装飾品のようだ。

 

「アンタも浴衣着てきたのね」

 

「ええ。店の前を通りがかったところ、呼び止められまして」

 

「そっかー。よく似合ってると思うよ」

 

「ありがとうございます」

 

「それじゃあこのあたりを見張りましょ。誠実は白雪の近くを見張って、レキは向かいの島を警戒してなさい。魔剣(デュランダル)を見つけたら必ず呼ぶこと、いいわね二人とも!」

 

「言われるまでもないよ」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

(はー…春になったとはいえ、さすがに夜になるとさぶいなー)

 

 人ごみを避けつつ白雪とキンジの後をつけていた誠実。傍から見れば完全にやべーやつ、もしくは白雪のストーカーだが、本人の気配遮断能力によって通報は避けられた。仮にストーカー容疑で捕まったら、武偵三倍刑があるのでしばらく太陽のもとには出ることはかなわないだろう。

 

(それにしても…)

 

 白雪の携帯が、キンジが離れたところを見計らったかのようにメールを受信した。まるでどこかから見ているかのようだ。

 

(うーん…さすがに魔剣(デュランダル)の背格好がわからないからどうにもならんなぁ)

 

 変装していれば、本来の姿とは異なるため多少なりとも違和感を感じるだろう。だがそれは本来の姿と異なるため、つまり本来の姿がわかっているからだ。そもそも魔剣(デュランダル)は都市伝説とまで言われる存在だ。言い方は悪いかもしれないが、要するにツチノコやビッグフットなどと同列に語られるようなものだ。誠実ももちろん正体を知らないため、それが魔剣(デュランダル)かどうかの判別は不可能なのだ。

 

(とりあえずレキかアリアが見つけてないか後で聞いてみるか)

 

 そういうわけで魔剣(デュランダル)の特定は断念。再び白雪のストーキング、もとい護衛任務にもどった。

 

(そういや夕飯食べてないな…あ、弁当の献立どうしよう…)

 

 結局アリアもレキも、この日は魔剣(デュランダル)には遭遇しなかった。

 




誠実
結構適応力も演技力も高い。

キンジ
東京湾回避。

白雪
メールの中身はばれてないと思う。

アリア
誠実の猿芝居(迫真)に騙された。

レキ
浴衣着てきた。作者の文才ではかわいく表現できないのがつらい。

作者
マーライオン。しょくちゅうどくにはきをつけて。

誠実くんが使うライフルは何がいいですか?

  • SDMー R
  • SVー98
  • ウィンチェスターM1895
  • IMI ガリル
  • ブッシュマスターACR

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。