チキンハートの武偵生活   作:シオシオクレソン

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深夜テンションで書き上げました。


追跡

「…ん?」

 

 のんきに門のあたりを歩いていた誠実の耳にエンジン音が届く。

 

「誠実!ついてきてくれ!」

 

「へ!?ちょまああああああああ!」

 

 バイクに乗ったキンジに襟首を掴まれ強制連行。これは痛い。

 

「待て待て待て待て!襟首つかまないで!痛い痛い痛い!あとズルズル引き摺られてかかとが削れていくぅ!」

 

「靴なんて買い直せばいいだろ」

 

「この靴デリンジャー仕込めるように自分で改造したやつだから予備そんなにないんだよ!それとレキさんなんてかっこうしてんの!?下着姿で外出て来ないで!?」

 

 己を連れて行くキンジの後ろのレキ。下着姿でも平然としている。

 

「緊急時ですので」

 

「緊急時云々じゃなくて俺の精神が削られてしまいますわ!頼むから着て!?なんか着て!?俺の予備のジャージでよろしければ後で着て!?ブレザーオンリーじゃ絶対寒いでしょ!あと俺が連れて行かれる理由を説明していただけますか!?」

 

「女子更衣室に侵入したコーカサスハクギンオオカミの追跡をしています。捕獲を手伝ってください」

 

「女子更衣室に侵入したコーカサスハクギンオオカミの追跡!?待って待って情報が多すぎて思考がカオスなんだけど!?いや待てこの辺あたりまえだけどオオカミの生息地じゃないし飼育してる動物園もないよね!?金持ちの道楽で飼ってたのが逃げ出したのかな!?」

 

「いや、あの動きは明らかに訓練されていた。おそらく何者かが意図的に解き放ったものだろうな」

 

「絶滅危惧種を軍用犬代わりにするとか正気の沙汰じゃねぇ!?これはもしかしてあれですか!ブラドが送り込んだ刺客とかいうオチですか!?」

 

「可能性は高いな」

 

「ああ何たることだ!もう今日は厄日だ!」

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 誠実たちがいるのはコンクリートがむき出しになった建設中のビル。例の狼がここに逃げ込んだのをレキが確認した。

 

「ブカブカだな」

 

「仕方ないでしょーが、結構身長差あるんだから」

 

 今レキが来ているジャージは明らかにサイズがあっていない。それもそのはず、誠実との身長差はおよそ30センチ。そりゃそうなるわ。

 

「狙撃には問題ありません」

 

「おおありだよ。袖丈詰める時間ないから安全ピンでごまかすけどそのままなんてダメだからな!」

 

 そういってギターケースから安全ピンを取り出し、チクチクとジャージにさし始めた。誠実のギターケースの中は一体どうなっているのか。

 

「さて、これでよし」

 

「…なあ二人とも、麻酔弾は持ってるか?」

 

 キンジが問いかける。どうやらオオカミを殺すのはためらわれるようだ。

 

「俺は持ってるけどドラグノフにもベレッタにも口径合わないぞ」

 

「仕方ありません、通常弾で仕留めます」

 

 レキは表情を変えず、そう宣言する。

 

「まあ通常弾でも殺さずに行動不能にする技はあるからキンジが憂いてる事態にゃならんと思うぞ」

 

「そうなのか」

 

「俺にでもできるんだからレキもできるだろ?」

 

「ええ。どうやら考えていることは同じようですね」

 

「そのようで」

 

 ギターケースからライフルを取り出しながら、そうつぶやいた。

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

「ところでキンジ」

 

「どうした誠実?」

 

「なんでレキと一緒にオオカミを追っかけてきたんだ?」

 

「…ノーコメントだ」

 

「まさか女子更衣室で覗きしてて、ばれた後にオオカミがやってきてそのままってことはないよねー」

 

「…ノーコメントだ」

 

 ばれている。明らかにばれている。

 

「キンジィ」

 

「な、なんだ?」

 

「今日のご飯は抜きだ。雑草でも食べるがいい」

 

「はあ!?」

 

 思わず声を荒らげたものの、例のオオカミは出て来ない。

 

「出て来ないってことはあれだな、罠仕掛けてんな」

 

「ずいぶんと賢いオオカミだ」

 

「それはそうと数十m先の足跡が途切れてる。たぶんそれが罠だな」

 

 相変わらずの目の良さで罠かどうかを判断した。

 

「追い立ててレキに仕留めてもらうか」

 

「お前は撃たないのか?」

 

「2km以内ならレキの方がうまいし、仕方ないよね」

 

 そういいながらM9銃剣を装着したM4カービン(クリス)を構える。

 

「なら俺が先に行く。援護は任せたぞ」

 

「任されるのはいいが別に倒して―――」

 

「やかましい」

 

「ア、ハイ」

 

 違法改造のベレッタM92Fを構えてキンジはじりじりと距離を詰めていく。

 

「ガウッ!」

 

「来た!」

 

 鉄筋コンクリートの柱の陰からオオカミが飛び出しキンジを襲いにかかるも、キンジにうまく躱され足にワイヤーをくくりつけられる。

 

「かわいそうだがここまでだな」

 

「いやキンジ邪魔だしもうすでに逃げそうなんだけど!」

 

 もちろんオオカミの方もただで終わるつもりはないらしく、自らワイヤーを外して逃げ出した。

 

「ああそっちは…」

 

 オオカミが逃げ出した方向、そちらはレキが狙っている。

 一発の銃声ののち、オオカミの姿が見えなくなった。

 

「レキが外した…?」

 

「いや、あれは頸椎のあたりを掠めて圧迫して動けなくするっていうとんでもない技だよ。あの距離でやるとはさすがはレキ」

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

「もうまもなく動けるようになるでしょう。逃げたければ逃げなさい。ただし次は私の矢があなたを射抜く」

 

 レキは無表情ながらも、筆舌に尽くしがたい威圧感を発しながらオオカミを見つめる。

 

「主を変えなさい。今から私に」

 

 オオカミは抵抗するでもなく、レキの言葉に素直に従った。

 

「それで、この子どうするんだ?」

 

「飼います」

 

「え、飼う?女子寮で?」

 

「はい」

 

「餌どうすんの?カ◯リーメイト食わせるわけにもいかないだろうし」

 

「魚肉ソーセージを与えます」

 

「栄養が偏るでしょうが!ちゃんとしたもの食わせてあげなさい!」

 

 やはりオカンか。(確信)




誠実
強制連行。戦闘ではあまり見せ場がなかった。

キンジ
覗き魔。盗んでないけどバイクで走りだす。

レキ
オオカミ生け捕り。ところでブカブカのジャージ着たレキってかわいいと思いませんか?

コーカサスハクギンオオカミ
これが後のハイマキであることはまだ知らない。←


質問とかがあったら感想でお答えしますね!

誠実くんが使うライフルは何がいいですか?

  • SDMー R
  • SVー98
  • ウィンチェスターM1895
  • IMI ガリル
  • ブッシュマスターACR

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