チキンハートの武偵生活 作:シオシオクレソン
理子と誠実の出会い、ついでに誠実の母親も登場します。
「おーい、マサー!まったく、どこに行ったんだ?」
腰まで伸びた黒髪を揺らしながら、広大な屋敷を歩く。彼女の名は妻鳥
「おーい、マサー!」
「はいはいお呼びでしょうかMy Mother!」
天井板を外して降りてきた、この陽気な少年の名は誠実。山田家十七代目当主の座が約束されており、また、歴代きっての剣才の持ち主でもある。
「どこから出てきてるんだお前は」
「天井裏からデース!」
「まあいいか」
両方ボケだと収拾がつかないので非常に困る。
「よろこべ、マサ。お前に妹ができたぞ」
「へー、やっとっすか。毎日毎日オアツかったのに全然デキないもんだから僕心配してたん―――」
「フンッ!」
「スヴェルドロフ!?ヤクザキック断固反対!鳩尾直撃コースでしたけど!?」
「気にするな」
「はい」
危うく死ぬところだったがすぐに黙った。
「妹と言っても義理のだ」
「義理のってことは…」
「そうだ」
この屋敷では孤児を引き取って陰陽師や剣士の育成をしている。事実ここに住む陰陽師のほぼ全員が、元孤児だ。
「欧州でコウモリの親子に捕えられていたのを見かけて、連れ帰ってきたんだ」
「欧州でコウモリの親子に捕えられていた!?どゆことなん!?母上何してはるん!?」
「とりあえず連れてくる」
◇◇◇
「連れてきたぞ。ほら、あいさつしな」
「…うん…」
真誠が連れてきた少女は目も当てられない程にみすぼらしかった。
「えーっとこんにちわ。お名前聞いてもいいかな?」
「りこ…」
「りこちゃんか。素敵な名前だね」
「うん…お母様がつけてくださったの…」
目の前の少女の衰弱具合に、さすがの誠実も神妙にならざるをえない。
「母さん」
「なんだねマサ」
「なんでこないなってるん?」
「前に言ったコウモリの親子の仕業だ。一応ボコボコにしておいたが、また関わって来るかもしれんな」
「まあこの屋敷に強襲かけるほど馬鹿じゃないでしょ」
この屋敷には幾重にも結界が張られており、物理的にも魔術的にも侵入はほぼ不可能。それに仮に侵入に成功したとしても、大量の式神に袋叩きにされるのがオチだ。無謀にもほどがある。
「ま、いっか。ご飯作って来るよ。りこちゃん、なにか食べたいものある?」
「え、でも…」
ぐぅ~。
「ははは、
◇◇◇
「ほら、たんとお食べ」
「え…?これ、たべていいの…?」
目の前に置かれた大量の料理。これほど豪勢な料理はいつ以来だろうか。
「もちろん!そもそも僕は君のためにこれを作ったんだ、食べてくれないと困っちゃうよ」
「まったくだ。おかげで私が忠実さんに作るものがない」
「そもそも大雑把なせいでほかの使用人さんからも止められてるじゃないですかやだー!」
「なーんーだーとー?」
「いでででで!やめちくりー!アイアンクローはやめちくりー!」
哀れ誠実。地雷原でモトクロスをして見事に踏んづけてしまったようだ。
「…ふふ、あはははは!」
そんな愉快な様子を見て、虚ろだった表情が一転。笑い出した。
「「…ははははは!」」
つられて二人も笑い出す。広い屋敷に笑い声が響いた。
◇◇◇
『なんてことがあったな』
「ほんとなつかしいわー」
『あのころは私のことおかあさんって呼んでたし』
「俺のこともおにいちゃんって呼んでたなー」
「もう、二人ともやめてよー!いまの理子がかわいくないみたいじゃん!」
『「いや、今もかわいいと思うぞ」』
「そ、そうかな…?」
『「そうそう」』
誠実
まだ陽キャだったころ。
理子
ブラドのもとを逃げ出す前に連れて行かれる。
真誠
九代目山田浅右衛門こと
据
山田家に伝わる処刑術の一種。罪人の動きを封じ、そのまま斬る。罪人以外には効果がない。
保刀
山田家に伝わる試刀術の技の一つ。刃を傷つけず、なおかつ鮮やかに斬る。
礼
処刑術の一種。人を斬る罪悪感、抵抗、その他もろもろを抑え込む自己暗示。なお誠実はこれを副作用が出るまで強くしなければまともに斬れない模様。
誠実くんが使うライフルは何がいいですか?
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SDMー R
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SVー98
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ウィンチェスターM1895
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IMI ガリル
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ブッシュマスターACR