チキンハートの武偵生活 作:シオシオクレソン
「頭痛がする…は、吐き気もだ…!な、なんてことだ…この誠実が、気分が悪いだと…?」
「そりゃああんなに強くしたらそうなるよ」
「なんでそんなになるまでほっといたんだよ!」
ブラドの件がすべて片付いたあと。尋問科の顧問である綴梅子につれられ、温泉旅館へ研修に行くことになった。しかし―――
「だ、大丈夫誠実くん?」
「…大丈夫じゃ、ないです…」
この通り誠実は自己暗示の強烈な副作用と乗り物酔いに悩まされていた。もはやアドレナリンだとかエストロゲンだとかそんなチャチなものじゃないもっと恐ろしいものの片鱗を味わっている状態だ。
「おい武藤、もっと揺らさないで運転できないのか?そろそろ誠実が限界だ。このままだと車内でリバースするぞ」
「無茶言うなよ。これでも丁寧に運転してるんだ、これ以上に丁寧に運転なんてできっこない」
「…仕方ないな。誠実、吐け。吐けば楽になる」
「あ、もう…だめ…オロロロロロ!」
しばらくお待ちください。
◇◇◇
「うえぇ…」
到着するも未だ復帰せず。
「まったくマーくんったらー」
「いったい何をしたらそんなことになるんだ」
やさしく声をかけ、背伸びをしながら背中をさする理子と、後遺症ガン無視で突っ込んでいった誠実に呆れているジャンヌ。
「たまには、見栄も…張りたいよ…おえっ…」
「うぅ…俺より重傷だった理子が…ピンピンしてるのに…うおぇ!」
誠実はこんな状態なのに強制的に参加させられた。自由参加とはいったい。
「無駄話はそのへんにしとけー。これから研修をする宿に向かう。村の人にはくれぐれも失礼のないようにな」
「失礼云々の前に、吐瀉物と大量の武器を携帯してる奴はどうすオロロロロロロ…!」
「そのへんに捨てとけ」
「はーい、じゃあねマーくん♪」
「オロロロロロ!(特別意訳:この恩知らずー!お前の昼飯だけ日の丸弁当にしてやるー!)」
◇◇◇
「つ、ついた…」
「よう誠実、遅かったじゃねえか!もうみんな風呂入っちまったぞ?」
「そうかい…で、なんでコブ作ってんの…?」
「覗きに失敗して落ちた」
「アホちゃいます?」
まだ復帰できていないにしては的確なツッコミだ。
「…それにしても、この宿…嫌な感じがするな…」
「そうか?」
「まあただの勘だから、気にしなくてもいいよ」
その勘は当たっているのだが、それを本人が知る由はまだない。
◇◇◇
「…え?記憶がない…?」
「そうなの。理子はこれ研修だと思うんだけど…ってすごい震えてるけどどうしたの!?」
「ややややっぱりこの宿なんかいるよぜったい幽霊いるよだって心霊現象おきてんジャンやっぱりおれの勘は間違ってなかオロロロロロロ!」
臆病と嘔吐が合わさり最弱に見える。実際戦闘では役に立たないだろう。
「なあ誠実、武藤見なかったか?」
「ままままさか剛気も巻き込まれオロロロロロ!」
「あーあ…。どうかしたのキーくん?」
「理子もいるのか…。一緒に部屋に戻る途中に急にいなくなったんだ」
「オロロロロロ!(特別意訳:これは確実に何かいるぞ!破魔札どこやったっけ…)」
「理子も一緒に探してあげるよ~♪」
「やめろくっつくな!」
「おぇ…とりあえず、結界張っておこ…」
それでももともとバックアップに長けている誠実は、何かしておかなければならない。というよりは何かしなければ恐怖に押しつぶされそうなのだ。
◇◇◇
「先生まで…」
キンジたちの目の前には、吊るされた二人の姿がある。
「やっぱりマーくんが言った通りなのかも…」
「誠実が言った通りってどういうことだ?」
「マーくんはこれを幽霊の仕業って言ってたの!マーくん陰陽師だから何とかできるかも!」
「でも誠実は車酔いで全然使えないじゃない!どうすんのよ!」
頼みの綱の誠実はいまだダウン。
「どうしよう…私で除霊できるかわからないし…」
「話は聞かせてもらった…」
「え、マーくん!?」
「アンタ、体は大丈夫なの!?」
「はは、大丈夫だ問題なオボボボボボ!」
「やっぱりダメじゃないの!」
「大丈夫だ、除霊の儀式くらい問題なくできオロロロロロ!」
不安だ、とても不安だ。
「ナウボウおえっ!アラタンノウオロロロロ!」
「やっぱりダメじゃない!」
詠唱途中に嘔吐してしまうあたりかなりの重症だ。
「タラヤヤ・ノウおえっ!マクシセンうえっ!ダ・マカバサラおえぇぇぇ!」
「マーくんもうやめて!」
終わらない詠唱。迫りくる幽霊。はてさてどうなりますことやら。To Be Continued (続かない)
後遺症と乗り物酔いの二重苦の誠実くん。だめそうです。
作者が腹下りで苦しんでた時に思いついたネタでもあります。
誠実くんが使うライフルは何がいいですか?
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SDMー R
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SVー98
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ウィンチェスターM1895
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IMI ガリル
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ブッシュマスターACR