チキンハートの武偵生活   作:シオシオクレソン

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読者が悲鳴を上げるような暗号が作りたい(ドS)
まあ暗号出せる内容にならんのですがね!


銃弾

 

 

 

 雨の降りしきるこの日、東京武偵高校行きのバスがジャックされた。

 

「ねえキンジ」

 

「なんだ?」

 

「あれなに?」

 

「ああ、あれは誠実のルーティーンみたいなもんだ。触らぬ神に祟りなしだ、ほっとけ」

 

「…」

 

「お前ならできる絶対できるお前はやればできるんだ誠実お前はできるそうだ俺はできるんだ!よし!」

 

 女子寮の屋上には何やら話し込んでいるなにやら話し込んでいるキンジとアリア、ドラグノフを抱えて体育座りしているレキ、そしてガラスに映った自分に激励の言葉を送っている誠実の四人がいた。なにこれカオス。

 

「よーし、覚悟完了!ところでアリア、今回のバスジャックは前のチャリジャックと同一犯だと思うんだけどあってる?」

 

 唐突に元に戻った誠実を特に気にすることもなく、会話を進める。

 

「ええ、この事件は間違いなく武偵殺しの仕業よ!」

 

「ちょっと待て、武偵殺しは捕まったんじゃないのか?」

 

「いいえ、捕まったのは偽物よ。真犯人はまだ逮捕されてないわ。まあそれについて詳しく話す暇はないから。今はバスの車内にいる全員を救助すること、それだけを考えていなさい!」

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 誠実たちはジャックされたバスへ向かうため、二組に分かれて車輌科(ロジ)が手配したヘリに搭乗している。

 

「見えました」

 

「ああ、うん見えますね。窓際に指定の制服着てる人が見えるよ」

 

『おまえら視力どうなってんだよ』

 

「左右ともに6.0です」

 

「俺もそんなもんだね。スナイパーは目が命なんだぜ」

 

 かなり離れた地点で走行するバスの乗客の服装を目視で確認するという離れ業。レキはともかく、誠実だって一応狙撃科のSランク。できない道理はない…たぶん。

 

『はぁ…それよりまわりに何もないのか?』

 

「今のところ確認できません」

 

「まあ近づいてきたところでレキに撃たれて終わりだろうね」

 

『それに関しては同感だな』

 

 レキの目に入った時点で標的はほぼ確実に倒される。それは彼らの中でも常識だ。なんだったら見えてなくても撃ち抜きそうだ。

 

『そろそろ行くわよキンジ!』

 

『え!?ちょっと待てよ!』

 

 そういってアリアがバスへ飛び降りた。一方のキンジは置き去り。

 

「ほらキンジさっさと降りろー。パートナーを一人で行かせるなー」

 

『わかってる!』

 

 軽口をたたく誠実にせかされたキンジはワイヤーを伝ってバスの屋根に降りる。二人の武偵を降ろしたヘリは、バスがトンネルに入るため距離を取って上昇する。

 

「…なあレキ」

 

 自身が苦手とするレキとの会話を試みる。任務中なのだからと頑張って勇気を出したようだ。

 

「どうしました誠実さん?」

 

「なんでバスの後方がボロボロかわかる?」

 

 誠実が見つめる先にあるバスは、後ろが異様にボロボロになっている。

 

「おそらくサブマシンガンで撃たれたのでしょう。武偵殺しはUZIや爆弾を使った手口が多いと聞きます」

 

「だよねぇ…じゃあ撃ったやつはどこ行った?」

 

「後退したのでは?」

 

「まあそうかも知れないね。バスに爆弾仕掛けてるなら戦略としてありだろう。で、その後退したやつはどこ行った?」

 

「…そういうことですか」

 

 彼らは気が付いてしまった。武偵殺しが待ち伏せしている可能性に。

 

「やるとしたらこちらが援護できないトンネル内部かな?」

 

「おそらくそうでしょう。あちらがトンネルを出るまでは手が出せませんから」

 

 誠実は思わずため息をついた。バスはすでにトンネルに入っている。

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

「アリア、アリア!クソッ!」

 

 頭から血を流すアリアは、キンジの声にこたえない。

 

(まさか二台もいるなんて…!)

 

 トンネルの内部では、二台のUZIを載せたルノーが待ち伏せていた。一台は退けたものの、もう一台の攻撃によってアリアは左手と頭部を負傷し、気絶。このままでは二人纏めて蜂の巣だ。

 

(あの二人もトンネルの外だから援護射撃は出来ない…そもそもあっちがこっちの状況についてわかってるかも定かじゃない!)

 

 まもなくトンネルから出るとはいえ、すぐにあちらからの援護があるかどうか。

 

「頼む!来てくれ!」

 

 キンジの切実な願いは―――――届いた。

 

 トンネルを出てすぐ、バスの左に接近してきたルノーのタイヤが破裂した。

 

『おーいキンジ!現状はどうなってる!?』

 

 無線から聞こえてきたのはルームメイトの声。見上げるとドラグノフを構えるレキと、AR-10を掲げてヘリの側面から身を乗り出している誠実の姿があった。どうやら誠実が狙撃したようだ。

 

「アリアが頭を撃たれて負傷した!」

 

『そうか、頭揺らすなよ!』

 

 ヘリが降下し、バスのほぼ真横までくる。

 

『私は一発の銃弾、銃弾は人の心を持たない』

 

 レキの詩のような言葉が聞こえる。

 

『私は一発の銃弾、銃弾は人の心を持たない。ゆえに、何も考えない。ただ、目的に向かって飛ぶだけ』

 

 ドラグノフの銃口が火を噴き、付けられた爆弾を撃ち落した。ポチャリと水に落ちた音の後、巨大な水の柱が上がった。

 

『え?爆発デカすぎない?あれ戦車吹っ飛ぶよね!?絶対配分間違えてるよ!バスじゃなくて別の何か吹っ飛ばす気だったのかな!?』

 




誠実
今回かなり冴えてた。自己暗示しないとやってけない。ちなみにしばらく活躍しない予定。

レキ
まだ銃弾。銃弾じゃ飛んでって終わりじゃん。作者はそう思った。

アリア
アニメ声な原作ヒロイン。今回は飛び降りてもらいました。

キンジ
原作主人公。ヒスってたらどうにかできたかも。

誠実くんが使う拳銃は何がいいですか?

  • マテバ2006M
  • コルト・パイソン
  • トーラス・レイジングブル
  • RSH-12
  • ドッペルグロック

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