深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。 作:名無しの兵六
マラッカ海峡の入口であるアダマン海で始まった海戦は数的不利の状態で始まった。実戦経験のある艦娘は瑞鶴、夕張の2人、この世に顕現したばかりの北上、大井。そして、特機2個小隊のスターク・ジェガンだ。
現在、羽佐間中尉率いる特機第1小隊が夕張との合流を目指している瑞鶴たち3人を敵からの攻撃から守る盾となっている。まぁ、盾と行っても反撃の為の槍も持っているんだが。
ちなみにジョンソン上級曹長のスターク・ジェガンと増備された特機のスターク・ジェガンはジェガンR型を基本とするようにアップデートされた。そのため、装甲厚の強化、機動力の向上等により、戦艦の主砲まで耐えられるようなった。まぁ、対MS用徹甲弾やビーム兵器は難しいらしい。んなもん、深海棲艦は持ってないから問題ないがな。
そんで、そのMS艤装を纏った特機2個小隊が海域に顕現したばかりの北上と大井を抱えて後方へ退避中の瑞鶴を正に
ヘッドカメラから送られてくる映像はまさしく死力を尽くすの一言につきる。艦載機には頭部バルカンで、戦艦級、空母級には肩部ミサイルとハイパー・バズーカか弾切れのバズーカと肩部ランチャをパージしてビーム・ライフルで、隙間を縫って瑞鶴達を追撃しようとする駆逐級にはビーム・サーベルで両断して戦場の主導権を握ろうとしている。巡洋艦級?ビーム・サーベルで両断か蹴りで頭部を吹き飛ばしてるよ。
そして、忘れてはいけない空の守護者である6機のメイヴだ。すでにミサイルは自衛用以外は撃ち尽くしているが、20ミリガトリング砲で艦載機と装甲の薄い補給艦・輸送艦を襲撃している。オマーンでの戦闘のあと投下ポッドを懸架しても他の大型ミサイル等を装備できるようにしたのは良い改修だった。そのおかげで、夕張と艦娘艤装、特機2個小隊を空輸しても継戦ができた。新型の通常ミサイルと合わせて大活躍だな。
瑞鶴のヘッドカメラからの映像に目を向けると、どうやら無事に夕張と合流できたようだ。
『夕張、待たせてゴメン。』
『大丈夫ですよ。こちらも準備が終わったところです。北上さん、大井さん、この姿では初めましてですね。柱島泊地所属の夕張少佐です。よろしくお願いしますね。』
『よろ〜。』と北上。
『よろしくお願いします。』続いて大井。
『さて、早速ですがお二人の治療を行いましょう。まずは大井さんからですね。このポッドに入ってください。』
夕張が指さしたのは艦娘用の投下ポッドで先ほどまで夕張の艦娘艤装が入っていたものだ。ちなみに瑞鶴はもう一つの投下ポッドから艦娘艤装の弓と矢筒、飛行甲板を取り出して、妖精さんの力を借りて装着し始めている。もちろん、飛行服も脱いで道着とミニ袴の正装の上に近接戦闘パッケージを装備しなおしている。高機動パッケージは脚の艤装を中心に追加装備されている。
『こっちのポッドも空いたわ。北上さんはこっちに来て。そして、背中の艤装を外して、ポッドに仰向けで寝そべって。』
『はいは~い。』
瑞鶴の、ヘッドカメラには被弾した北上がポッドに近づき、瑞鶴の手を借りながら仰向けに寝かされる様子が映っている。
『今から高速修復材を軟膏にしたものを塗るからね。しみないから大丈夫だから。』
そう言って、北上の服を脱がそうとしたので、俺はカメラからの転送映像を暗転させるように命令する。戦場なのだから、怪我の処置に服をめくり肌が見えても問題は無いが、出来るだけ艦娘達のプライバシーは尊重したいからな。完全な緊急時は勿論除くがね。今は、戦場といえども後方に位置する場所であるからそれくらいの配慮があってもいいだろうさ。
『ねーねー、なんで軟膏なの?』と北上。
『あー、色々と試したのよ。小型の液体瓶に入れたり、スプレーにしたり。それで、修復が必要なところだけに塗れるから一番無駄が少ないのが軟膏型だったのよ。塗るのに時間はかかるけどね。でも、母港や母艦以外で使うならこれが一番よ。』瑞鶴が答える。
『おお、確かにそうだね。機銃弾を受けてた一番砲だけが綺麗になっていくよ。肌も、出血が止まったし、服は破けた所がもとに戻ってる。ビックリだね〜。』
瑞鶴、夕張、北上、大井のやりとりをBGMに5分ほどスターク・ジェガンの戦闘映像を眺めていると、
『ガルーダ3、ジョーカー・フューエル。』
『同じくガルーダ4、ジョーカー・フューエル。』
最先発のガルーダ3、4の宣言が入ってきたので、帰艦を命じる。2機とも『了解。』の返答をすると同時に戦域から高速で離脱を開始した。
格納庫へ補給の準備をするように伝えて、瑞鶴へ通信を入れようとしたとき、C.I.Cから通信が入る。
『敵潜水艦と思しき水中音を探知。方位040。単艦。』
その通信と時を同じくして『こちら吹雪少佐です。水中探信儀に反応がありました。方位は040から045。一杯のみです。』
すぐに吹雪に命じる。
「『吹雪少佐は輪形陣より抜けて、敵潜への対処にあたれ。』『漣少佐と潮少佐に緊急出撃。対潜兵装にて敵潜の探査と撃破にあたるようにせよ。』」
吹雪には通信で、漣と潮には艦内放送で命令を出す。ここで敵潜が出てくるか。一杯だけとなると単なる偵察か輸送船団への攻撃かわからんな。護衛艦隊は探知できたのか?
「護衛艦隊にも、警戒するように情報を・・・。」
言いかけて口を閉じた。護衛艦隊から飛翔体が発射され、敵潜がいるであろう海面上で推進器を切り離しパラシュートで落水するのが見えた。アスロックだ。宮口の野郎、情報共有もせずに撃ちやがった。
すぐに通信機で吹雪を呼び出す。
「『吹雪、見えたと思うが護衛艦隊がアスロックを撃ちやがった!!至急、退避しろ。誘爆に巻き込まれるぞ!!』」
『!?了解しました。退避行動にうつります。』
しばらくして吹雪が爆雷投射地点と予定していた場所から高く水柱が上がる。吹雪の退避が早く済んでよかった。すぐにC.I.Cから捕捉していた水中音が消滅したことの報告が上がる。俺はそれに返答しながら、こんごう艦長の佐伯大佐を通信で呼び出す。先の攻撃が誰の指令の下で行われたか確認するためだ。まぁ、功を焦る宮口のバカ野郎のせいだろうがな。
「『佐伯大佐、先程の攻撃は宮口の指令か?』」
『はい、閣下。』返答が短い。これは、
「『宮口がすぐそばにいるんだな。』」
『はい、閣下。』
俺はため息をつきながら、
「『宮口にかわってくれ。』」
さて、これから年上の部下(正式な部下ではないが)を叱らないといけないとか、気が滅入るな。
読んでくださりありがとうございます。