深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。   作:名無しの兵六

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第12話 出頭

 はい、俺は今、統合幕僚監部にいます。目の前には怒り心頭といった感じの幕僚長と呆れた顔の幕僚幹部。幕僚長が口を開く。

 

「呼び出された理由はわかっているな。」

 

「さて、何のことだか、小官にはわかりかねます。何せ、朝食後いきなりチヌークが来たと思ったら、今ここにいるという状況ですので。」

 

「1人で出撃するなと連絡入れたはずだ!!なぜ、また出撃した!!」

 

 ダンッと机を拳で叩きながら聞いてくる。

 

「国防のためです。日本国の領土と領海、人命を守るためです。」

 

「その命の中には貴官は含まれないのかね。」

 

「一度死んだ命です。惜しくはありません。」

 

「残される部下の気持ちを考えんのかね。」

 

「新しい司令長官なり提督が着任すれば落ち着くでしょう。彼女たちも軍人です。」

 

 俺の返答を聞いた幕僚長は「ふう」と息を吐き、椅子に体重を預けた。

 

「それで、今回の戦果は、戦艦が43、重巡が76、軽巡が78、駆逐が121、補給艦・輸送艦が152。それに、空母と軽空母が合わせて87か。また、随分と沈めたな。」

 

「今回は、夜間戦闘でしたからね。空母艦載機を警戒せずにすみましたから、意外と楽でした。しかし、敵の編成からは、明らかに橋頭保(きょうとうほ)の確保を目的とした艦隊群だったと小官は愚考(ぐこう)します。」

 

「そうだろうな。我々もそう考えていた。」

 

「小官としては、もう一度、このような艦隊群が現れると考えております。」

 

「ほう。聞こうじゃないか。」

 

「はい、四国方面あるいは近畿方面です。先日、室戸岬沖にて海上護衛部隊を救援した際に交戦した敵艦隊ですが、これは威力偵察のための艦隊だったのではと考えました。首都圏防衛海戦のときも今回の佐世保鎮守府防衛戦でも、深海棲艦は1個あるいは2個艦隊を事前に派遣しています。そして、そのどれもが逃げずに最後の1体が沈むまで戦っております。そして、必ずと言っていいほど、電波を飛ばしていたこともわかっています。よって、小官は四国方面、あるいは近畿方面に近いうちに大規模な深海棲艦の侵攻があると予想しております。」

 

「まて、なぜ敵が電波を出していたと知っている。情報部しか知らないはずだ。」

 

「小官には頼れる相棒がいますので。」

 

「“妖精さん”か・・・。」

 

「はい。名を付けまして“ミク”と呼んでおります。」

 

「“ミク”漢字で書くと“未来”か・・・。」

 

「はっ。本人にも気に入って(いただ)けました。」

 

「フムン。それでミクさんはどこにいるのかね?私は“視える”人間だが、見当たらないな。」

 

「“技術研究本部を見てくる”と言って、飛んでいきました。一応、通信機を携帯していますので、呼び戻しましょうか?」

 

「いや、いい。何か意味があるのだろう。好きにさせておきたまえ。さて、今日、貴官を呼び出したのは叱責(しっせき)のためだけではない。湊准将、少将に昇進だ。」

 

 そう言って幕僚長は少将の階級章をもち立ち上がり近づく。俺は敬礼し、少将の階級章

を受け取る。

 

「それと、艦娘を4人連れていけ。吹雪型駆逐艦の2番艦“白雪”と4番艦“深雪”。天龍型軽巡洋艦2番艦“龍田”。赤城型正規空母1番艦“赤城”だ。」

 

 そう言いながら、4人の詳細が書かれた資料を渡される。

 

「は?」

 

「“は?”ではない。この4人とも横須賀鎮守府にて召喚建造された。しかし、横須賀鎮守府の司令長官の長野大将をはじめ各提督は、すでに4人とも配属済みだ。今までは、既にその艦娘が配属されている提督のもとに同じ艦娘が重複して召喚建造されることは無かった。されるとしても艤装のみで、これは解体や近代化改修に・・・。提督課程を受けた貴官には“釈迦に説法”だったな。まぁ、今回、長野大将が召喚建造したら、この4人が顕現(けんげん)した。そして、口々に貴官のもとに配属してほしいと希望した。」

 

「面識はありませんが。私の名前を出したのですか?」

 

「いや、“新しく出来た柱島泊地の司令長官の指揮下に入る”と言ったそうだ。」

 

「それは、また奇怪な・・・。いや、もしかすると、顕現されたのは昨日ですか?」

 

「そうだが、どうした。」

 

「小官も昨日、4人の艦娘を召喚建造しました。軽巡“大淀”、工作艦“明石”、給糧艦“間宮”、“伊良湖”です。この4人はミクの力によって召喚建造しました。つまり、狙って顕現(けんげん)させたのです。しかし、純粋な戦闘艦は大淀のみでしたから、ミクが何らかの働きかけをしたのかもしれません。」

 

 そう言いきると、ふよふよとミクがやって来て俺の右肩に座った。幕僚長と“視える”お偉方の視線が俺の右肩に(そそ)がれる。

 

「よくわかりましたね。確かに私が“妖精ネットワーク”で、日本で最大規模の鎮守府、横須賀鎮守府の工廠妖精のみんなに頼みました。あの時の柱島泊地の戦力は海斗さんと霞少佐、大淀少佐のみでしたから、早急に戦力を整えようと思いまして。」

 

 Oh・・・。やってくれましたよ。この頼れる相棒は。この中でミクの声が“聞こえる”のは俺だけだ。ミクが言ったことをそのまま言うと、幕僚長をはじめ全員が頭を抱えた。




見てくださりありがとうございました。


次回は近いうちに投稿します。
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