深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。   作:名無しの兵六

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第28話 出撃(四国沖夜戦・その1)

 ああ、クソ、歓迎会の時に、フラグみたいに「明日も平和ならいいのに」と思わなければよかった。0206、司令長官私室に備え付けられた赤電話が鳴っていた。2コール目で出て部屋の電気をつける。

 

「柱島泊地司令長官の湊中将です。」

 

『呉鎮守府司令長官の田之上中将だ。』

 

「深海棲艦ですか?」

 

『そうだ、うちの夜間哨戒艦隊が接敵した。四国沖だ。こちらも緊急出撃の準備を進めている。ヘリボーン艦隊は0220には離陸できるが、いかんせんチヌークは足が遅い。到着まで時間がかかる。通常艦隊と艦娘艦隊はいわずもがなだ。日が明けるまでに戦域に着けばいい方だろう。ということで貴官の出撃を要請したい。』

 

「了解。ちなみに敵の規模は?」

 

『接敵したのは水雷戦隊だそうだ。しかし、水上電探には、後方に多数の反応があるとのことだ。』

 

「先日、あれだけ沈めたのに、まだ、きますか。」

 

『敵も必死なのだろう。』

 

「では、出撃準備にかかります。0215には出撃できるかと。」

 

『頼んだ。哨戒艦隊の旗艦は重巡の那智だ。よろしく頼む。』

 

 そこで、電話は切れた。取り敢えず、ズボンと上着のみを身に付けて工廠に走る。工廠に着くと、明かりをつけ、

 

「ミク、緊急出撃だ!!ミョルニルアーマーの用意を頼む。武装はいつも通りで。」

 

「了解ですー。」

 

 寝起きのミクは目をこすりながらも、てきぱきと準備をこなしていく。海に面する出撃用の扉も開いていく。俺もミョルニルアーマーの装着をする。そして、ヘルメットをかぶろうとしたときに工廠のドアが開く。

 

「私も連れて行きなさい。」

 

 そこには、霞が立っていた。彼女は起き出してきた妖精さん達に手伝ってもらいながら、艤装をつけていく。

 

「よくわかったな。起きていたのか?」

 

「お手洗いに行くときにあなたの部屋の明かりがついたのが見えたからよ。」

 

「それは、また、何とも絶妙なタイミングだったな。」

 

「全くよ。あ、妖精さん。魚雷は両手両足に装備して、主砲はもう一つ手に持つわ。ヘッドセットは、・・・あった、ありがとう。」

 

「重装備だな。」

 

「あなたなら、この状態の私を抱えても跳んでいけるでしょう?」

 

「無論。」

 

「それじゃ、出撃しましょうか。」

 

「変なところ触らんようにするが、触ってしまったらすまん。」

 

「いいから、とっとと出撃よ!!」

 

「了解!!ミク行くぞ。」

 

 苦笑を浮かべながら霞をお姫様抱っこし、前回同様、太平洋まで跳ぶ。四国は人口が少ないが、それでも、人々の営みを感じる明かりがついていると綺麗だ。霞もそう思ったのか、「綺麗ね。」と呟く。俺は首肯(しゅこう)した。金曜日、いや、日付が変わっているから土曜日か。みんな夜更かししているのだろうと思うと、笑みがこぼれる。この一般市民の生活を守るためにも、今夜のうちに深海棲艦群を殲滅しなければ。

 

 太平洋上に出て南進をすると、明らかな戦闘光が確認できた。すぐに通信を入れる。

 

「『こちら柱島泊地司令長官の湊中将だ。呉鎮守府所属、夜間哨戒艦隊の旗艦“那智”は応答せよ。』」

 

『那智です。中将。』

 

「『あと、240秒で到着する。私と駆逐艦娘“霞”だ。我々は遊撃戦力として敵に当たる。そちらの状況は?』」

 

『敵水雷戦隊を撃破しましたが、現在は、後続の打撃艦隊と砲撃戦の真っ最中です。負傷者は小破相当が2のみです。噂に名高い“鬼神”の援軍、期待させていただきます。』

 

「『おうよ。存分に期待してくれ。そして、もう少し、持ち(こた)えてくれ。』霞、速度を上げる。着水後は自由戦闘だ。中破相当の損傷を負ったら連絡し後退すること。いいな?」

 

「了解。地獄を見せてやるわ。」

 

 そうして、飛翔速度を上げる。限界一杯の600km/hだ。

 

「『この通信に返答は不要だ。着水まで、10秒、9、8、7、6、5、4、3、2、着水!!展開し、攻撃を開始する。』行くぞ、霞!!」

 

「ガンガンいくわよ!!ついてらっしゃい。」

 

「おう。さあ、深海棲艦どもに“鬼神”の恐怖を(きざ)み付けてやろう。」

 

 センサーの反応が多すぎる。昨日の昼に1000体以上を沈めたばかりのはずだ。なのに、まだ、これほどいるのか・・・。敵の底が知れん。

 

『こちら第601飛行隊第2飛行班コールサイン“アスター01”。これより、航空管制を行う。』

 

「『アスター01。こちら柱島泊地司令長官湊中将。コールサイン“シエラ01”。最初に荷物が届くのはいつだ?』」

 

『空軍は第3、第6、第8飛行隊が既にスクランブルしました。最初にASMの射程に到達するのはおそらく、第6飛行隊になります。海軍は第1航空隊が順次スクランブルを行なっています。』

 

「『よし、なら深海棲艦群の後方に攻撃を集中するよう要請する。敵の今までの編成だと、後方に上陸用の輸送艦・補給艦がいる可能性が高い。航空管制は任せた。海上はシエラ01がやる。』」

 

『了解しました。シエラ01。』

 

「さて、霞、空の武士たちが長大な矢を放つまでは俺たちも存分に暴れるぞ。」

 

「ええ、あなたは早く那智さん率いる哨戒艦隊の援護に。この程度の敵なら私の練度で十分に翻弄(ほんろう)できるわ。」

 

「ならば、頼んだ。」

 

 そうして、俺と霞は別れ、それぞれに殲滅を開始した。俺は、那智が率いる哨戒艦隊へ、霞は深海棲艦群が北上しないように動く壁となっている。アサルトライフルで深海棲艦を沈めながら、哨戒艦隊のもとへと辿(たど)り着いた。

 

「すまん、遅くなった。」

 

「いえ、閣下。お早い到着ですよ。」

 

「負傷者は?」

 

「増えていません。」

 

「ならば、よろしい。さあ、逆撃をしてやろう。指揮権を一時預かるぞ。」

 

「どうぞ。」

 

「みな!!これより敵、深海棲艦群に逆撃を喰らわす!!自分たちが有利だと思っている奴らにその考えが間違いだったと思い知らせてやるのだ!!総員、突撃にいいぃぃぃ、移れええぇぇぇ!!」

 

 掛け声と同時に、ライトを最大出力で照射する。暗闇に浮かび上がり、動揺をする深海棲艦たち。流れをこっちにこのまま引き寄せてやる。




見てくださりありがとうございました。

次回は近いうちに投稿します。
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