深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。   作:名無しの兵六

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第35話 改二

 幕僚監部への電話を終え、時計を見ると、1500を過ぎていた。体を伸ばし、席を立ち、食堂に向かう。なんか甘いモンでも食おう。

食堂に着くと、休憩のためか、艦娘のみんながいた。

 

「やあ、みんなも休憩かい?」

 

「ええ、そうよ。初日から飛ばし過ぎて無理させても意味ないでしょう?練度は上がるかもしれないけど。あなたが急げって言うなら急ぐけど。」

 

「俺はそんなこと言わんよ。ただ、上(うえ)がな。幕僚監部に連絡したら、CH-47JA2機とDDHの“しらね”と“くらま”が配属されるらしい。長距離の護衛任務を任される可能性がある。」

 

「今の練度だと無理ね。」

 

「キッパリ言うな。霞は。」

 

「命がかかっているもの。」

 

「そうだな。」

 

 そんな会話をしながら、席に着きながらチョコレートパフェを伊良湖に頼む。他のみんなは、羊羹とお茶か。霞だけは季節のフルーツパフェを食べている。俺の視線を感じたのか、霞は、

 

「みんなが間宮さんの羊羹が食べたいというものだからね。ちなみに、今、全員2本目よ。ちなみに私のパフェは1杯目。」

 

「間宮さんの羊羹がこんなに食べられるなんて、鈴谷、幸せだよ~。」

 

 鈴谷の言葉に霞以外のみんなが頷く。

 

「なら、満足のいくまで食べるといい。ただ、晩飯が入るぶんの腹は空けとくように。後悔するぞ?」

 

「まだ、昼食よりもおいしいモノが食べることができるってこと?」

 

「まあ、新しく着任したみんなの歓迎会だからな。豪華だぞ?先任の者に聞くといい。しかし、連日、歓迎会ばかりだな。」

 

「いいじゃん、いいじゃん。鈴谷達をのけ者にしないでよー。」

 

「のけ者にする気などないのだが・・・。」

 

「はい、提督。ご注文のパフェですよー。」

 

 伊良湖がよいタイミングでパフェを持ってきてくれた。スプーンを手に取り、パフェを一口分すくい、鈴谷に差し出す。鈴谷はキョトンとしていたが意味が分かったのか、笑顔でパクついた。

 

「っ~~!?美味しい!!パフェってこんな味なんだ~。鈴谷、感激~。」

 

 そんなに喜ぶものだから、霞以外のみんなに1口ずつあげていたら、俺の食べる分はほとんど無くなっていた。まあ、いいか。みんな、羊羹以外の甘味も覚えたのだから。

 

「まだ、世の中には美味しい甘味は沢山あるぞ。折角、人の身体(からだ)を手に入れたのだから、いろんな体験をするといい。申請してくれれば費用は出すぞ。」

 

 そういうと、みんな顔を見合わせた。ふむ、まずは世の中にどんなモノがあるかを知ってもらわないといけないな。共用パソコン数台と複数の情報誌を取り寄せよう。福利厚生は充実させなければ。

 

「そういえば、あなた、これから時間ある?」

 

 パフェを食べ終わった霞が聞いてきた。俺が頷くと、

 

「演習しましょ。みんなには見学してもらうの。いいでしょ?」

 

「ああ、いいよ。やろうか。霞は実弾で、俺はペイント弾だな?」

 

「ええ、それでやりましょう。」

 

 というわけで、霞と1対1の演習をすることになった。工廠でそれぞれ艤装と装備を着ける。俺は、MA5DアサルトライフルにSRS99-5対物ライフル、M6Hハンドガン。霞は61cm四連装酸素魚雷発射管4基に12.7cm連装砲に10cm連装高角砲。ちなみに霞の機関は缶とタービンを交換してある。

 

 工廠から出て、お互いに距離を取る。約1km。審判役は大淀。そして、岸壁には艦娘たちと手空きの憲兵たち。十分なギャラリーだ。

そして、大淀の号砲と共に演習が始まる。

 

 俺は、対物ライフルを構え、向かってくる霞に撃つ。すぐに1マガジン撃ち尽くす。命中弾はかすったのが2発のみ。他は全て避けられた。しかし、勢いは殺せた。ふむ、霞は腕を上げているな。

 

 アサルトライフルに持ち替え、突撃を開始する。霞はそれぞれの連装砲を水平撃ちしてくる。それをすべて避ける。当たらないとみると、魚雷を放り投げて、空中で撃ち抜き爆発させ、俺の逃げ道を塞ぐ。だが、残念。頭上が空いている。跳躍しブースターを思いっきり吹かし、霞の背後に着水する。

 

 霞は振り返りながら、連射してくる。俺は、ブースターを全力で吹かしながら、攻撃をかわし、接近する。250mの距離をきったら、すぐにアサルトライフルの三点射を繰り返す。霞の身体に艤装にペイント弾が付着していく。

 

 霞の表情がゆがむ。それでも、俺は、射撃をやめない。霞もだ。しかし、これで、決着だ。下方にブースターを吹かし、海水を巻き上げ、視界を霧で覆う。その間に、視界を奪われた霞に近づき、ハンドガンを突きつける。

 

「負けたわ。全力で動いたけど、まだまだね。」

 

 霞が負けを認め、俺の勝利となった。霞はスッキリとした顔をしている。切り替えが早いのは彼女の長所だと思う。工廠へ戻る道中に、ミクが出てきて、

 

「海斗さん。霞さん、改二になれますよー。今の演習で練度が達しましたー。」

 

「本当か?ミク。」

 

「本当ですよー。」

 

「霞!!改二になれるそうだ。」

 

「はあっ!?ホントなの?」

 

「ミクがそう言っている。本当だ。」

 

 そういうと、霞は、喜色を浮かべ、「なら、早く工廠に戻らないとね」と船速を上げて工廠へ向かう。俺は、一足先に工廠に着き、ミクと明石、工廠妖精さんに改二の準備をさせる。準備が終わる頃には、全身ペイント弾だらけの霞が工廠に着いた。とりあえず、ペイント弾を洗い流してくるように指示を出す。いそいそと、風呂場に向かう。さて、艤装の方の汚れは、俺が落としておくか。

 

 霞が上機嫌で工廠に戻ってきたのは、20分後だった。すでに、改二への準備は済んである。霞は、艤装をつけ改造用のポッドの中に入る。明石とミク、工廠妖精さんが手順通りに事を進めていく。数分後、「終わりましたよ。」という明石の言葉とともにポッドが開く。

 

「改装された朝潮型駆逐艦、霞よ。もちろん、ガンガン行くわ。ついてらっしゃいな。」

 

 出てきてそう言った霞は、艤装も変わり大人びた感じだ。特に背とか伸びたんじゃないだろうか。まあ、とりあえず、この言葉は言っておかないとな。

 

「改二、おめでとう。これからもよろしく頼む。」




見てくださりありがとうございました。

次回は近いうちに投稿します。
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