深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。 作:名無しの兵六
さて、演習が始まり、170秒。残るは戦艦が金剛。空母が赤城、加賀、飛龍、瑞鶴、翔鶴、鳳翔。重巡が青葉、鈴谷、熊野。軽巡が大淀、天龍、龍田。駆逐艦が吹雪、満潮、島風、雪風。計17名だ。空母勢がこんなに残っているのは脅威だな。
というわけで、空母から仕留めよう。発艦作業している空母勢のところまで一気に距離を詰める。金剛、青葉、天龍、龍田、大淀、吹雪、満潮、島風、雪風は実戦を経験していることもあって、冷静に防御陣を固める。
ただ、護るべき空母たちがパニックを起こした。飛龍、瑞鶴、翔鶴が発艦作業を中断して、逃走に転じたのだ。これは、実戦ではしてはいけない。特にあの“尻尾付きの欲張りセット野郎”がいたら、いい的になってしまう。
だから、ここで地獄を見てもらおう。防衛艦隊をブースターの加速で振り切り、恐怖を顔に貼り付けて逃げる3人に追いつく。
「追いついたぞ。」
そう告げると、3人とも高角砲に機銃をしっちゃかめっちゃか撃ってきた。まあ、抵抗をする気力がある分、良しとするか。3人ともにショットガンでペイント弾を撃ち込む。そして、最後に瑞鶴に撃ち込もうとしたとき、
「爆撃隊、提督さんを爆撃してぇ!!」
と叫んだ。上空をみると九九式艦爆が爆撃体勢に入ったのが見えた。咄嗟に3人をガーディアン・シールドで覆う。投弾された爆弾が爆発する音が響く。ようやく、爆撃音が消えた時には、霞が大声で演習の中止を命じていた。
「演習中止!!中止よ!!全員、武装から弾薬を抜きなさい。空母は艦載機を収容すること。上官命令よ。」
霞がこちらを見て頷く、俺も頷き返す。
「瑞鶴、なぜこんなことをした。瑞鶴自身も翔鶴も飛龍さえもいるのに、なぜこんな自爆まがいのことをした。一歩間違えれば、大惨事だったんだぞ?」
瑞鶴は涙を流しながら、
「ごめんなさい。ごめんなさい。」
と繰り返していた。どうしたもんかと思っていると、霞と金剛、赤城に加賀がやって来て、「後は私たちが。」と言ってくれたので、瑞鶴を彼女たち4人に任せ、俺は、残りの艦娘たちと工廠へと向かった。工廠に着いても重い空気がみんなの間に漂っていた。
工廠に着き、ミョルニルアーマーを外すなり、艤装を外した龍田が聞いてきた。
「瑞鶴さんはこの後、どうなるのかしら~?」
「どうなるとは?」
すると、龍田は鋭い目つきで言った。
「解体をするの?」
「しない。する理由が無い。あの、自爆まがいの攻撃もパニックに陥ってしたものだと思っている。訓練と実戦を積めば大丈夫だろうと俺は信じているよ。」
そう答えると、いつもの“ぽわん”とした雰囲気に戻り、
「なら、よかったわ~。さあ、みんなでお風呂に行って、このペイントを洗い流しましょうね~。」
そう言って、艦娘寮へ向かって行った。先程までみんなの間に漂っていた、重い空気も霧散して、みんな、口々に今の演習の感想を言いながら寮へと向かって行った。俺は、明石と工廠妖精さんに交じって、艤装を綺麗に洗い流す作業を
最後の艤装を磨いていると、霞を先頭に金剛、加賀、赤城、そして瑞鶴が戻ってきた。瑞鶴の目の周りが真っ赤になっているのは、見なかったことにしてあげよう。俺は、瑞鶴の前に立ち、
「艦娘を続けられるか?」
「提督さん、私を許してくれるの?解体しないの?私はいていいの?」
「ああ、許すし、解体もしないし、瑞鶴、お前は
そう言うと、瑞鶴は涙を流し始めた。おっとぉ、こういう時は世のイケメンたちはどうしているんだ?取り敢えず頭を撫でるか。すると、声をあげて泣き始めた。霞が背後から「抱きしめてあげなさい」と言ってきたので、その言葉に従い、抱きしめる。すると、俺の胸に顔を
「後は任せましたよ。提督。」
「提督、瑞鶴は
「あなたにあとは任せたわ。」
「テートク、アフターケアは大切ネー。」
霞たちがそれぞれ、小声で
「瑞鶴、再度聞くから辛いと思うが、今日の演習でなんであんな自爆まがいの攻撃をした?」
そう聞くと、瑞鶴は俺の胸に埋めた顔を上げて、目が合う。俺は撫でるのをやめた。
「怖かったの・・・。」
「怖かった?何がだい。」
「ペイント弾で真っ赤に染まっていくみんなを見て、提督さんに殺されるかと思ったの・・・。ダメだよね、私。実戦でも無いのにその様子を見ていただけで取り乱すなんて・・・。」
「ダメじゃないさ。逆に実戦に出る前に知れて良かった。」
「じゃあ、やっぱり、私は解体・・・。」
「しないって言っているだろう?訓練をしよう。ペイント弾は全て赤で。そうして、徐々に慣れていこう。」
「慣れることができなかったら?」
「フムン。まあ、秘書艦や艦載機による近海哨戒をしてもらうかな。仕事はいくらでもあるんだから。」
「私、便利屋じゃないんだけど。」
「知っているさ。5航戦、幸運艦の“瑞鶴”だろ。艦の時代は最期までよく頑張ったな。」
そうして、頭をまた撫でる。瑞鶴は笑顔になりながら言う。
「くすぐったいわ。でも、嫌いじゃないかも。」
「そうかい。それならよかった。」
アフターケア成功かな?そう思っていると、「提督さーん」と言って抱き着いてきた。
「もっと、撫でてよ。」
「ああ、いいとも。」
そう言いながら、瑞鶴を抱きしめながら、彼女の頭と背中を撫で続けた。「んふふ~。」と上機嫌なようだ。なんか、猫を相手にしている気持ちになってきたぞ。
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次回は近いうちに投稿します。