深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。   作:名無しの兵六

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第42話 召還

 さて、真護叔父さんいや幕僚長閣下から伝えられた召喚日となった。幕僚監部には事前にミョルニルアーマーで来るということを伝えている。あまり、色よい返答は得られなかったが、まあいいさ。行きはミョルニルアーマーの飛翔能力で、帰りは配備されるCH-47JAに搭乗する。同行者は無し。希望者はいたが、「訓練しろ。」と言って黙らせた。霞も最上位者として泊地司令部に残ってくれた。

 

 さて、現在時刻は0955。吹きさらしの防衛省のヘリポートで出迎えを待っている。正確には“背広組”の出迎えをだが。“制服組”は前回と同じ森原少佐が迎えに来てくれていた。9月の終わりだから寒かっただろうに、10分前には来てくれていたらしい。

 

 1000になった。“背広組”は遅刻決定だな。森原少佐に幕僚監部へ案内するよう指示する。彼女は「了解。」と綺麗に敬礼して、先導として歩き始めた。途中のエレベーターで、最上階に上がってくるやつがあったが、無視だ無視。そのままエレベーターに乗り、幕僚監部の階で降りる。

 

 廊下にいる職員は“背広組”は会釈を、“制服組”は敬礼をして道を譲ってくれる。大将に昇進して良かったことだなこれは。そして、いつもの部屋に入る。前回と違うのは、森原少佐も一緒の点だろうか。

 

 幕僚長閣下に敬礼し、報告する。

 

「湊海軍大将。召喚命令に応じ出頭しました。」

 

 閣下は答礼をし、

 

「ご苦労。席に着きたまえ。皆もだ。」

 

 その言葉に俺と幕僚監部のお偉方 (俺よりも階級の低い者もいるが)、森原少佐が席に座る。

 

「さて、湊大将の柱島泊地には本日付けで輸送隊としてCH-47JAを2機配備する。受領して帰還すること。それと、DDH-143“しらね”とDDH-144“くらま”が指揮下に入る。質問はあるかね。」

 

「1点だけ。チヌークと2隻のDDHは泊地で改装してもよろしいでしょうか。」

 

「例の妖精さんの件かね。」

 

「はい、そうです。小官には彼女たちのさせたいようにさせるつもりですので。」

 

「国防戦力の増強に繋がるのであれば、許可しよう。」

 

「ありがとうございます。それと、お願いがあります。」

 

「何かね。」

 

「艦娘の霞中佐を大佐へ昇進させていただきたい。戦績は十分なはずです。DDHの両艦の艦長は大佐のはずです。艦娘の指揮権を彼らに(ゆだ)ねたくない。」

 

「その件は一旦預かる。」

 

「1週間です。」

 

「なに?」

 

「1週間で結論を出してください。これは要求です。それと、別に大佐でなくても准将でもよいですよ。艦娘初の将官にはなりますが。」

 

 「ううむ」と幕僚長閣下が唸っていると、

 

「湊大将!!貴官は何を考えているのか!!」

 

「ああ、統括官は何か問題でもあると言いたいので?」

 

「軍は貴官のおもちゃではない!!国民を守るための機関だ!!貴官は軍を何だと思っている!!幕僚長、彼の指揮権を取り上げるべきです。スタンドプレーが目立ちすぎます。」

 

「しかし、彼のおかげで、深海棲艦の大規模侵攻を防げた。」

 

「彼がいなくても、他の者たちがいます。まだ、海軍にはDDやDE、DDGにDDHも残っています。航空戦力もまだ十分にあります。米軍もいます。死力を尽くせば・・・。」

 

 あー、これだから現場をしらないやつは嫌いなんだ。キレた。

 

「死力を尽くせばだと!?だったら、軍人は何人死んでもいいってか!?」

 

 そう言って、統括官の座る席に迫る。室内にいた警備の憲兵が止めようとしてくるが、何の障害にもならない、彼らを引きずりながら統括官の席に迫る。

 

「おい、俺の質問に答えろ。お前は、軍人は死んでもいいと思っているのか!?」

 

「そ、それが、軍人の仕事だろうに!!それに、死ぬのは貴官たちが弱いからではないか!!それに、まだ、予備役もいる。戦死者、戦傷者の補充はきく。艦娘も失えば、建造すればいい!!」

 

 統括官がその言葉を吐いた瞬間、部屋の空気が一変した。今まで静観していた“制服組”のお偉方の目つきが鋭いモノに変わった。さすがに統括官もその空気を感じとったようで、目をキョロキョロと世話しなく動かしている。

 

「いや、悪かった。統括官に変わり、私が謝罪しよう。彼の言葉は言ってはならないモノだった。」

 

 そう言って、首席参事官が立ち上がり頭を下げる。

 

「口や態度はどうとでも取り繕える。貴方も統括官と同じなんでしょう?我々、軍人を物か数字としか思っていない。」

 

「違う!!」

 

「何がですか?貴方は統括官と同じ文民だ。前線に立ったこともないのに、なぜ違うと言えるのです。」

 

「・・・息子が、・・・息子が、護衛艦乗りだった。第1次首都圏防衛海戦でDEの“おおよど”に乗っていた・・・。“おおよど”が撃沈されたと聞いたとき、脱出できていると思っていた。しかし、奴らは、深海棲艦どもは脱出艇まで攻撃して、息子とその仲間たちの命を奪った。遺体も遺骨も見つかっていない。私は奴らが憎い。だが、悲しいことに私には力が無い。しかし、貴官の様な“英雄”が現れてくれた。貴官は奴らを何度も殲滅しくれた。その時、私は初めて息子の遺影に向き合い、“仇をとってくれる人が現れた。私はその人を全力でサポートする。直接ではないが仇をとってやれる”と言えた。繰り返すが、私は、君たち軍人や艦娘を物だとか数字で見てはいない。全員が1人の人間だと思っている。統括官もそうだと思っていたのだが、残念だ。そして、申し訳ない。」

 

 震える声でそう言って、再度、頭を下げる。幕僚長、真護叔父さんを見ると(かす)かに頷いた。事実のようだ。

 

「あー、大人げ無かったですね。首席参事官、(つら)いお話をさせてしまい申し訳ありません。皆様方にも統括官も、申し訳ありませんでした。」

 

「いや、私こそ心無い発言をしてしまい申し訳なかった。簡単には許せないだろうが、許してほしい。そして、幕僚長、先程の発言は撤回します。現場にいる、最前線で戦っている湊大将の意見です。一考してもよいかと。」

 

「そうかね。」

 

「はい、幕僚長。」

 

「わかった。それでは、この話はこれで終わりだ。首席参事官、気分が落ち着かなければ、落ち着くまで席を外してもよいが。」

 

「いえ、幕僚長。大丈夫です。」

 

「では、次の話しに移ろうか。湊大将、柱島泊地に提督を1人着任させる。面倒を見てくれたまえ。」

 

「了解。ちなみに、今はどこに?」

 

「すぐ近くにいるだろう。森原少佐だよ。」

 

「へ?」




見てくださりありがとうございました。

次回は近いうちに投稿します。
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