深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。   作:名無しの兵六

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第52話 艦隊戦

 赤城と加賀が攻撃隊を発艦し終わり、鳳翔の攻撃隊と合わせて南下して逃走中の深海棲艦打撃艦隊に向かわせ既に数十分。前進警戒しているスカーフェイス隊のおかげもあり、空襲の様子はよく把握できた。

 

 結果として空襲にて敵艦隊の全艦を撃沈。流石に流星改に彗星一二型甲の攻撃には耐えきれなかったか。

 

『こちらスカーフェイス01。深海棲艦と思しき艦隊を発見。IFF応答なし。』

 

「『こちら湊大将。1個艦隊のみか?距離は?』」

 

『はい、レーダーではそれのみです。距離は艦隊進路050の方角へ150kmです。』

 

「『近いな。わかった。引き続き警戒にあたれ。』牧原大佐、艦隊戦をやる。艦娘艦隊のみでだ。本艦と“くらま”は万が一のための援護に徹する。」

 

「了解しました。しかし、対空レーダーに反応が無いとすると、また打撃艦隊ですかね?」

 

「わからん。なにせ、標的は小さいからな。ま、兎に角、油断さえしなければいい。艦橋に上がる。」

 

「了解。」

 

 CICから出て艦橋に直接向かわず、格納庫へと向かった。理由は簡単、万が一のためにミョルニルアーマーを装着しておくためだ。ミョルニルアーマーを自分一人で装着していると、ミクがフヨフヨとやって来た。

 

「機関の改良は終わったのかい?」

 

「はいー。両艦とも終わりましたよー。海斗さんは出撃ですかー?装着お手伝いしますよー。」

 

「おう、手伝ってくれるとありがたい。それと、出撃ではないな。新たに敵艦隊を発見した。今度は艦載機による空襲ではなく、艦娘艦隊による直接攻撃を行う。だから、万が一のための保険だよ。これを着込むのは。」

 

「なるほどー、それですと、艦内を動き回るにはガーディアン・シールドとロング・レンジ・ビーム・ライフルは使えませんねー。SRS99-5 対物ライフルとM739 ライトマシンガン、M6H ハンドガンにビーム・サーベルぐらいになりますねー。」

 

「ああ、それで、充分だろう。ま、俺が出ないにこしたことはないがね。」

 

「そうですねー。はい、終わりましたよー。」

 

「あいよ。神経回路を繋いでっと、うし、各部異常なし。大丈夫だな。そんじゃ、艦橋に上がるか。ミクはどうする?」

 

「もちろん、ついて行きますよー。」

 

 そう言って定位置の右肩に乗る。俺がミョルニルアーマーで艦内を歩き、艦橋を目指しているとすれ違う乗組員全員がギョッとした顔をする。まあ、こんなゴツイ装備の人間が歩いているのだから、当然か。

 

 俺は“ゴンッゴンッ”と足音を響かせ艦橋に入る。航海長含め全員が一瞬だけ固まったが、すぐに自分の作業に戻る。俺は艦内電話を取り、CICへ連絡を入れる。

 

「『牧原大佐、目標の動きはどうだ?』」

 

『こちらに気付いた様子はありません。なお、これより敵艦隊を“エネミーα”と呼称します。』

 

「『各艦娘、“くらま”への伝達は任せる。以上だ。』」

 

『了解。』

 

 さて、エネミーαはどんな構成だろうか。そろそろ、偵察機の報告が入ってもいいものだが・・・。

 

『こちら加賀。偵察機が敵艦隊“エネミーα”を補足。構成は戦艦4重巡2。単縦陣で航行中。接敵を続けます。』

 

「『艦首はわかるか?』」

 

『待ってください・・・。わかりました。戦艦は全てタ級です。重巡はネ級です。全艦が黄金色の(もや)のようなモノに包まれているようです。』

 

「『上位種!?flag shipか!?』」

 

『そのようです。』

 

「『各艦隊の旗艦の意見が聞きたい。』」

 

『第2艦隊、霞大佐です。ミクさんを中心とした妖精さん達に強化された私たちです。やれます。』

 

『第1艦隊、金剛少佐デス。こちらもやれます。』

 

「『わかった。無理はするなよ。』『艦隊司令より全艦隊に通達。これより、艦娘艦隊は空母を後方に退避させエネミーαに接敵、攻撃し撃破せよ。空母は、“しらね”と“くらま”で護衛する。スカーフェイス隊は全周警戒。』」

 

 艦橋から眺めていると、俺の命令通り、艦娘艦隊から鳳翔、赤城、加賀の3空母が離脱し、“しらね”と“くらま”の間に入り単縦陣を作る。そして、艦娘第1艦隊と第2艦隊が艦列から外れ、それぞれ単縦陣を作りながら前進していく。俺は、その姿に敬礼をして見送る。艦橋にいる者も敬礼している。うん、良い関係が(きず)けているようだ。

 

 十数分後、通信が入る。

 

『第1艦隊、金剛デス。電探にエネミーαの反応有り。これより、観測機を発艦させ、弾着観測電探射撃を行う。』

 

『第2艦隊、霞です。こちらも扶桑が電探にエネミーαを捉えた。弾着観測電探射撃を行う。』

 

「『了解。被弾には気を付けろ。中破相当の損害を受けたら退避しろ。以上だ。』」

 

 そして、さらに数分後。

 

『第1艦隊、金剛、これより弾着観測電探射撃を行う。』

 

『第2艦隊、扶桑も弾着観測電探射撃を行う。』

 

 彼女たちが向かった海域をヘルメットのズームアップ機能を利用して見る。砲炎と砲煙が上がるのが確認できた。

 

『第1艦隊、金剛。エネミーα旗艦に夾叉(きょうさ)を確認。砲撃を続ける。』

 

『第2艦隊、扶桑。エネミーα3番艦と思しき戦艦に命中弾。砲撃を続行。』

 

『第2艦隊、霞大佐より報告。本艦を旗艦とし、天龍、龍田、島風、雪風による水雷戦隊を臨時編成。エネミーαに接近し砲雷撃を加える。』

 

『第2艦隊、愛宕。摩耶と共に水雷戦隊突撃のための支援砲撃を行う。』

 

 見える砲炎が激しさを増す。逆にエネミーαからの砲撃も始まったようだ。水柱が艦娘艦隊の近くに何本も上がる。その水柱を縫うように霞が率いる水雷戦隊がエネミーαに接近する。エネミーαは接近する水雷戦隊には副砲と重巡ネ級で対応するつもりのようだ。エネミーαの単縦陣の排煙が4本と2本に分かれるのが見える。

 

 その瞬間、ネ級の周囲に水柱がいくつも上がり命中弾もあったのか、艤装が燃え始めた。金剛、扶桑の戦艦副砲群と愛宕、摩耶の重巡による支援砲撃、さらに天龍、龍田による近接射撃のようだ。霞たち駆逐艦も砲撃を始める。しかし、酸素魚雷の有効射程内のはずだ。早く発射し、離脱すべきだ。

 

 だが、霞はさらに距離を縮める。エネミーα戦艦群との距離が1万mを切った時点で魚雷を発射するのが見えた。すぐに煙幕を張りながら、退避に移る。行きがけの駄賃とばかりに、最初に損傷を()っていたネ級に砲弾を叩き込みながら前進一杯で駆け抜ける。ネ級はついに耐え切れず機関部から爆炎を上げながら轟沈した。

 

 もう1体のネ級は前進してきた愛宕と摩耶に、手玉に取られている。さらには空からの援護が加わる。スカーフェイス隊だ。ガウスキャノンの射程内に入った瞬間に援護射撃を始めた。空に光が走るたびにネ級の艤装に穴が開いていく。ネ級は粘ったが最終的には愛宕と摩耶の放った酸素魚雷で吹き飛んで爆沈した。

 

 残ったのは金剛と扶桑、タ級4体の砲撃戦だが、高速で動きまわり、弾着観測と電探による砲撃を繰り返す2人にflag shipであるはずの4体は翻弄(ほんろう)されまくっている。さらに、眼下には霞たち水雷戦隊の放った酸素魚雷が接近している。

 

 最初に沈んだのは最後尾の4番艦だった。砲撃の標的になっていなかったほぼ無傷の4番艦だったが、酸素魚雷が連続で命中し高く水柱と爆炎が上がるのが見えた。水柱が消えたら、既にそこには何もなかった。

 

 さらに、魚雷は命中する。3番艦に2本、2番艦に2本、旗艦に1本だ。旗艦は魚雷の命中で体勢を崩したところに金剛の集中砲火を受け、炎に飲まれながら沈んでいった。3番艦も魚雷命中後に扶桑の放った砲弾が直撃し、爆沈した。

 

 最後に残った2番艦は逃走しようとしたが、すぐに追いつかれ、霞たち9人とスカーフェイス隊から集中砲火を受け、四肢をもぎ取られながら、それは、無残な最期を()げた。

 

『テートクへ、第1艦隊、旗艦、金剛より報告。エネミーαの無力化を確認。損害は各艦、至近弾による損傷のみ。補給後に戦闘継続可能デス。』

 

『艦隊司令へ、第2艦隊、旗艦、霞より報告。第1艦隊と同じくエネミーαの全艦撃沈を確認。損害も第1艦隊と同じく至近弾による損傷のみ。補給後、戦闘継続可能。』

 

『スカーフェイス01より、報告。近海に敵艦隊の艦影は無し。』

 

「『総員、よくやった。順次、帰還し補給を受けるように。』」

 

『『『了解!!』』』

 

「ふー、終わったな。俺の出番が無くて良かったよ。」

 

「海斗さん、緊張しっぱなしでしたもんねー。」

 

「仕方ないだろう?全く、疲れた。だが、全員無事に帰還するまでは油断できん。」

 

「そうですよー。勝って兜の緒を締めよ、ですよー。」

 

「うん、そうだな。しかし、俺以外にも艦娘と同等の活躍ができる人間がいればいいんだがなあ・・・。」

 

「海斗さんと同じような人ですねー。わかりましたー。」

 

「ホントにわかっているのか?ある意味人外だぞ?」

 

「海斗さんを甦らせるときに色々と覗きましたのでー。期待してくださいー。」

 

「ああ、わかったよ。期待させてもらおうか。」




見てくださりありがとうございました。

次回は近いうちに投稿します。
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