深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。   作:名無しの兵六

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第57話 戦力増強?

 鹿屋航空基地からは新たな敵艦隊の発見の報は無く、作戦指揮室で森原艦隊と霞艦隊が柱島へ戻ってくるのを、映像と輝点で確認する。帰還するまでの時間森原中佐と共に今回の海戦を振り返る。

 

「今のところ森原中佐の艦隊に必要なモノは、中・遠距離での打撃能力だな。最大火力がジョンソン上級曹長と龍驤少佐のみでは心許無(こころもとな)いだろう。ああ、決して電少佐達を出撃させるのが悪いと言っているわけではない。駆逐艦は対潜・対空戦闘もこなせるからな。それに、弾数制限は厳しいが魚雷も持っている。充分に戦艦を沈めることができる。ようは今後の中佐の艦隊戦力の増強を早めた方が良いということだな。」

 

「仰りたいことは理解できます。しかし、狙った艦娘を召喚建造などできません。」

 

「確かにそうだ。俺はミクの力を借りることによって戦力を整えている。中佐にも同じことができるとは思っていない。まあ、気長に召喚建造をするしかないさ。」

 

「そうですね。ジョンソン上級曹長のようなイレギュラーは今回のみにしてほしいです。とりあえず戦艦が欲しいですね。閣下の指揮下には金剛少佐と扶桑少佐がいますが用兵はどうでしょうか?」

 

「ふむ、金剛少佐は高速戦艦で主砲が4基、扶桑少佐は速力は劣るが主砲が6基で、それぞれの特色があり用兵もそれに合わせたものを考えていたが、演習でも見てもらった通り、ミク達が機関や装甲をいじったおかげで、2人とも高速重戦艦とも言える存在になってしまったから、俺の用兵は参考にならんぞ。」

 

「“しらね”と“くらま”についてはどのようにお考えですか?私が使用しても良いものでしょうか?」

 

「そこは問題ないが両艦とも武装面・防御面を強化し過ぎたせいで艦娘の出番を奪うぞ。勿論、ある程度のまとまった敵を相手にするなら別だが。」

 

「ならば、他の鎮守府同様に艦娘を運用するのが最善でしょうか?」

 

「さてな。最善かどうかは俺は答えられん。なにせ戦争だからな。何が起こるかわからん。ただ、参考にするのは大いに良いと思う。」

 

 その後は、龍驤少佐の航空攻撃の正確さや駆逐隊の活躍、そしてジョンソン上級曹長の艦娘とは異なる三次元の戦闘に接近戦を録画された各人の映像を見ながら振り返った。

 

 ある程度の時間が経ち、森原艦隊と霞艦隊を出迎えるために工廠まで森原中佐と共に向かう。なぜ、ヘリパッドのある格納庫ではなく工廠へ向かっているのかというと、ミク達妖精さんの働きにより工廠近くにヘリパッドが新たに設置されたからだ。この短時間でよくやるよ。報告を聞いた時は、思わず明石に内線で確認してしまった。

 

 工廠ヘリパッドに着いてからしばらくすると、南の空に2機のチヌーク改の姿が見えてきた。グングンと近づいて来て、1回工廠をフライパスしてからゆっくりとヘリパッドへ進入する。タッチダウンすると同時に後部ハッチが開き、艦娘のみんなとジョンソン上級曹長が降りてきた。う~む、美少女達の中にスターク・ジェガンがいると異質だなあ。まあ、ミョルニルアーマーを装着する俺が言うのもなんだけどね。

 

 電少佐達は森原中佐の前に整列して帰還報告を始める。先に艤装を外させて入渠した方が良いと思うがね。こちらは、艦隊指揮官の霞と旗艦を(つと)めた金剛のみが残り、残りのみんなは入渠に行った。霞と金剛が敬礼しながら報告を行う。

 

「報告します。閣下から指揮権をお預かりした旗艦金剛以下6名の作戦指揮を終えました。今回の任務の主目的である森原中佐指揮下の艦隊の援護ですが、飛龍と蒼龍に直掩機を出撃させるのみで(おも)だった戦闘行動はありませんでした。しかし、出撃をしたため疲労回復も兼ねて念のために入渠するように指示を出しました。以上です。」

 

「艦隊旗艦、金剛が報告しマス。我が艦隊の損耗は無しデス。援護目標の森原中佐指揮下の艦隊にも目立った損傷はありませんデシタ。以上デス。」

 

「よろしい。両名ともよくその(にん)を果たしてくれた。大佐たちも入渠するように。報告書は明日までに提出すること。以上だ。」

 

 そう言って、答礼をする。これで、一応のお堅い上官と部下のやり取りは終わりだ。俺は姿勢と口調を崩し、

 

「まあ、何とか無事に帰ってきてくれてうれしいよ。霞も金剛も手間をかけたな。」

 

「手間というほどでは無かったわ。ただ、あんたの代わりに艦隊指揮を執るというのはなかなか難しいものね。常に広い視野を持っていないといけないし、情報も聞き漏らさないようにしなければならない。正直なところ旗艦を(つと)めたほうが楽だと思ったわ。」

 

「ワタシはいつも通りだったから、ノープロブレム、デシタ。」

 

「ん、そうか。だが、霞は来月から将官になるのだから全体指揮をできるようにならなければな。金剛にはこれからも旗艦としての活躍を期待させてもらう。すまんな、引き留めて。入渠にいきなさい。」

 

 2人とも返事をして、工廠で艤装を外して入渠に向かう。森原中佐達のほうを見てみると、そちらも話しが終わったみたいで、電少佐達が工廠内で艤装を外している。ジョンソン上級曹長のスターク・ジェガンは俺のミョルニルアーマーの横に固定され、装甲のロックが解除されジョンソン上級曹長が出てくる。UNSC海兵隊の野戦帽を取り出して被り、葉巻を(くわ)える。森原中佐が渡したやつだ。

 

「中佐。ここは火気厳禁でしたか?」

 

「いいえ、この区画は大丈夫よ。でも早速吸うのね。」

 

「まあ、自分も演習以外の初めての海上戦闘で新兵のように緊張していたようです。葉巻は自分にとって精神安定剤のようなものですから。」

 

「あら、歴戦の上級曹長でも初めては緊張するのね。」

 

「からかわんでください。中佐。まったく、閣下も笑っていないで何とか言ってくださいよ。」

 

 おっと、俺に話しを振るか。

 

「中佐、からかうのもそこまでだ。上級曹長、怪我はなかったか?」

 

「はい、閣下。あのスターク・ジェガンはとにかく頑丈でして、敵の対空砲や副砲の直撃などものともしませんでした。衝撃もそれほど大きくありませんでした。演習の時の模擬爆弾や主砲の模擬弾をくらった時のほうがよっぽど衝撃がありましたよ。」

 

「ふむ、確かに。結構な煤がついているが弾痕は無いようだな。よろしい。まあ、ゆっくり一服しておくといい。森原中佐はどうする?建造でもするかね?」

 

「そうですね。今回の作戦成功報酬資材の結果次第でしょうか。」

 

「全ての資材を1,000ずつ渡そう。」

 

「そんなに!?よろしいのですか?」

 

「まあ、初陣のご祝儀みたいなものだ。それにウチは資材に関してはプラントのおかげで自給自足ができるからな。気にしないでいい。」

 

「ありがとうございます。早速、建造します。」

 

 そう言って、森原中佐は敬礼をして明石のもとへ向かう。ジョンソン上級曹長も敬礼して工廠から出て行く。さて、俺も執務室に戻ろうかね。

 

 執務室では既に入渠をすませた霞が業務を行なっていた。

 

「早かったな。ゆっくりでよかったんだぞ。」

 

「中央にあげる報告、2個艦隊分でしょ?早く済ませとこうと思ったのよ。」

 

「森原中佐からの提出はまだだが?」

 

「だから先に私の指揮した分を終わらせて、すぐに中佐の報告書をチェックできるようにしておくのよ。」

 

「そうか、そんじゃ、俺も残りの仕事をしますかね。」

 

 そう言って、霞と2人で黙々と業務をこなしていると、ノックの音が響く。時刻は既に16時を過ぎている。「どうぞ。」と声をかけると、「森原中佐、入ります。」と森原中佐が入室してきた。

 

「今回の戦闘詳報の作成が終わりましたので、お持ちしました。」

 

「メールでもよかったんだぞ。まあ、ご苦労だった。書類は預かってチェックをしたのち上に報告する。不備があった際は、内線でいいか?」

 

「はい、お願いします。小官はこれから工廠に向かいますので、すぐに出ることはできないかもしれませんが。」

 

「携帯に転送されるように設定してあるなら問題ない。工廠というと召喚建造が完了したのか?」

 

「はい、先程、明石少佐より連絡がありまして。」

 

「ふむ、ならば、私も見ておきたいな。霞大佐、戦闘詳報のチェックを頼めるか。」

 

「ええ、お安い御用よ。新しい仲間によろしくと伝えておいて。」

 

「了解した。では、中佐行こうか。」

 

 森原中佐と共に工廠へ向かう。しかし、建造開始してから終了までの時間が短すぎる。戦艦ではなく重巡だったのだろうか?まあ、工廠につけばわかることだ。

 

 工廠には明石と夕張の他にジョンソン上級曹長がいた。なんでも、自分の装備であるスターク・ジェガンの(みが)きなどの簡単な整備を行なっていたらしい。確かに帰還時よりも綺麗になっている。まあ本題はそこではなく新しい艦娘なのだが、明石と夕張の目が泳いでいる。問い詰めると、またミクがやらかしたらしい。

 

 ということは、建造時間が短いが出てくる艦娘は重巡以上の可能性があるということか。森原中佐に向かって頷くと彼女は頷き返し、建造ポッドの前に立つ。明石の操作でポッドが開く。

 

「私が、戦艦長門だ。よろしく頼むぞ。敵戦艦との殴り合いなら任せておけ。」

 

 その挨拶と共に長門型戦艦1番艦長門が森原中佐の指揮下に入った。これで戦力増強になったな。ん?そういえばなぜ、夕張は装備室の扉の前から微動だにしないんだ。明石も最初は夕張と並んで立っていた。怪しいな。

 

「夕張少佐、すまんが装備を確認しておきたい。装備室を見せてもらえないだろうか?」

 

「だだだだだダメです!!あっ・・・、その・・・、さっき荷崩れを起こしまして、中は大変なんです!!だから閣下でもダメです!!」

 

「ならば、片付けを手伝おう。こちとら人の何倍もの力があるからな。」

 

 そう言って、(かたく)なに退()かない夕張を腕力にモノを言わせ抱きかかえてどかし、装備室の扉を開ける。

 

「なんだ・・・、これは・・・。」

 

 そこにはプロト・スターク・ジェガン、ジェスタ、ジェダ、グスタフ・カールというRGM系列が存在していた。俺は逃げ出そうとしていた明石と夕張を捕まえて問いただす。

 

「やったのは、またミクだな?」

 

 2人とも高速で頷く。

 

「ミク、出てこい。そこにいるのはわかっているんだ。」

 

 そう言うとミクがミョルニルアーマーから出てきた。俺はため息をつきながら明石と夕張を解放し、ミクに説明を求めた。

 

「エイヴリー・J・ジョンソン上級曹長のスターク・ジェガンは確かに高性能ですが、海斗さんのミョルニルアーマーのようにシールドがありませんー。ですので、敵の攻撃を受け続けると装甲の劣化が起きますー。最悪、破壊されちゃいますねー。もちろん、その前に修復をしますが、戦況によっては追い付かなくなる可能性がありますー。そのために予備として作成しましたー。」

 

「理由はわかった。理解もできた。だが、今後は勝手に作成しないこと。それを約束してくれ。」

 

「海斗さんがそれを望むなら、いいですよー。」

 

 そんな疲れたやり取りを終え、工廠から執務室に戻る。森原中佐は長門に泊地の簡単な案内をしにいった。執務室に入ると、霞から、

 

「なんかあったの?凄い顔しているわよ。」

 

 そう言われたので、工廠であったことを話す。霞は驚きながらも冷静に、

 

「戦力増強になったのなら良かったじゃない。前向きに考えましょう。」

 

 まあ、確かにそうなんだが。まあ、考えるのも疲れたし、さっさと戦闘詳報をFAXで幕僚監部に送って、コピーを取って原本は使送便封筒に入れて送る。戦闘映像はメールとDVDに出力して送る。これで、今日の仕事はお終い。終了!!

 

「霞、飯食いに行くぞ。それと、長門の着任祝いをしてやらんといかん。」

 

「間宮さんと伊良湖さんなら了承してくれたわよ。」

 

「仕事が早い秘書艦で助かるよ。」

 

「お褒めの言葉、ありがとう。」

 

 その後は、長門1人だけの着任ということで小規模な着任祝いをして、就寝した。そして、翌日の朝、私用の携帯にかかってきた統合幕僚長の真護(まもる)叔父さんからの電話で目が覚めた。

 

「おはようございます。叔父さん。朝早くからどうしました。」

 

「おはよう。海斗君。ま、私は君の送った戦闘詳報と戦闘映像のおかげで寝てないんだが。ああ、で本題だけども、実は陸軍からMS艤装を融通してくれないかと言われてね。どうにかならないだろうか?」

 

「へっ!?」




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