深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。 作:名無しの兵六
統合幕僚監部だけではなく海、陸、空の各幕僚監部にも霞と共に作成した要望書を送りつけた。使送便とFAX、メールの3つでだ。気づかなかったとは言わせてなるものか。
んで、陸軍からは追加のMS艤装のジム・スナイパーⅡを配備してくれる礼としてその程度は簡単に融通できると返事が来た。空軍は新型機が欲しいとねだってきたので、ミクの力を借りてFFR-31“シルフィード”とFA-1“ファーン”の仕様書と必要資源を書いたモノを送ったら食いついた。これで、特級射撃徽章持ちと高G耐性のあるパイロットの確保は完了っと。
我が海軍は結構渋っていたが真護叔父さんが統合幕僚監部にも働きかけてくれたみたいでなんとか“おおすみ”を確保できた。
結果を霞と喜んでいるとミクがやって来て、
「ドックの増設と岸壁設備を整えておきましたー。それと空いている敷地内に短いですがアレスティングワイヤーとカタパルト付きの滑走路を作りましたー。これで通常の滑走路を造らずに“メイヴ”を陸上でも運用できますよー。それと、ジム・スナイパーⅡの艤装も1個分隊用意できましたよー。」
「早いな。」
「お急ぎのようでしたのでー。それと、“おおすみ”を改装するための耐熱甲板、電磁カタパルトと波動エンジン、対空パルス・レーザーも準備できていますのでー。」
「ありがとう。流石だな。」
そう言って甘味の入ったいつもより少し大きめの巾着袋をミクに渡す。頭をぺこりと下げ執務室から退出していった。霞にミクとの話しの内容を伝えるとかなり驚いていた。
「もうそこまで準備していてくれるなんて流石ね。」
「全くだ。ああ、そうだ。明日は休日だから鈴谷とツーリングに行ってくる。約束した日から大分遅れてしまったがな。」
「あら、そうなのね。気を付けて。私との約束は忘れてないでしょうね?」
「もちろん。ちゃんと厳島に連れて行くさ。」
翌日、朝一の定期船で岩国市街地へと向かう。泊地ができる前は高速船のみだったが泊地への大型資材運搬のために中古のカーフェリーを政府が引っ張ってきて補助金を出しながら運行している。
そのカーフェリーに鈴谷とタンデムしている状態で乗り込む。船員の誘導に従ってVTRを止める。エンジンを切って先にバイクから降りる。タンデムシートは前席よりも座面が高い位置にあるので鈴谷の手を握りながらゆっくりと降ろす。
「泊地の門から港までの短い距離なのに凄くドキドキしちゃったよー。」
鈴谷はそう言いながらヘルメットを外してその独特な髪を潮風になびかせる。
「ふむ。そんなに速度は出していなかったんだがな。海上を移動する時の方が速かったかもしれんぞ?」
「てーとくはさー、“さーきっと”だっけ?それで地上をそれなりの速度で走るのにも慣れているんだろうけど、こちとらバイクに乗ったのは初めてなんだからね。目標物が無い海上とそこらへんに物がある陸上とでは速度の感じ方も違うってもんよ。」
船室に繋がる階段を上りながら鈴谷と会話を続ける。
「そういうもんかね。俺はあんまし感じなかったけどな。あ、そう言えば鈴谷、お前さんバイクに乗ったのは初めてと言いながら、バンクさせるときはこっちに合わせてくれていたじゃないか。運転しやすかったよ。バイク初心者は逆方向に体を動かす人が多いからバランスをとるのが大変なんだけどな。」
「えへへ~。実は夕張のバイク雑誌の中にタンデムの仕方を特集してあるのがあって、夕張から借りてイメトレしていたんだよね~。鈴谷褒められて伸びるタイプだから、もっと褒めて褒めて~。」
「あいよ。人目があるからこんぐらいな。」
そう言って頭を撫でる。「ありがとね。」と言いながら笑顔を向けてくる。喪男には眩しすぎるな。船室に入り、席に着くと私用タブレットを取り出し、今日の行程を説明していく。
「岩国市街地に着いたら高速道路を使って角島へと向かう。その後は西に向かい長門市で昼食休憩をとって秋吉台へと向かう。そして岩国市街地で早めの夕食を摂り柱島へと帰島する。スムーズにいけば移動の時間は8時間かからないと思う。」
「それじゃ、いま0630着の便だからその角島と秋吉台では観光に時間がさけそうだね。昼食とか夕食は考えているの?」
「んー、一応はな。チェーン店ではなくその土地のお店にするつもりではあるよ。ご期待に沿えればいいけどな。」
「うん、うん!!期待しちゃうよ!!あ、そうだ。私、別に名産品とか特産品が食べたいとかは無いからね。美味しいモノなら何でもいいよ!!」
「そう言ってくれるとハードルが下がって助かるよ。」
行程の説明を終え雑談へと移行する。鈴谷は目を輝かせながらタブレットに映る目的地や食事の写真を眺めている。それを微笑ましく思いながら明日以降の予定を頭に浮かべ手帳を開く。明日には“おおすみ”が到着しそのままミク達妖精さんの改装工事を受ける。3日後には陸軍と空軍から要請した人員が到着する。訓練は陸軍のMS艤装訓練の方についてはジョンソン上級曹長が行なうが“メイヴ”の方は搭乗員たちに体で覚えてもらうしかないか。
そんな風に考えながら手帳を見ていたら、港への到着アナウンスが聞こえてきた。タブレットを操作しながら笑顔を浮かべている鈴谷に声をかけVTRのもとへと向かう。ジャケットを羽織りグローブを付け、ヘルメットを被る。インカムのスイッチを入れて鈴谷がタンデムシートに跨るのを手伝う。彼女がしっかりと着座したのを確認して俺もVTRに跨る。接岸し、ランプが降りていく。誘導員の指示に従ってフェリーから降りる。
「さてと、そんじゃあ行きますか。」
「行っちゃおー。」
鈴谷の返答を合図に港から最初の目的地“角島”へと出発する。道中の高速道路ではインカム越しに雑談をしながら流れていく風景を楽しんだ。国道435を通りもう少しで角島という所でふと鈴谷が聞いてきた。
「そういえば、この2,3日は工廠の妖精さん達が動きまわったり、新しくドッグを造ったり、敷地内にカタパルト造ったり、霞大佐と何かしていたよね?何していたの?」
「ああ、うちの泊地でも中東方面への遠征艦隊を出して欲しいと上から言われてな。ま、その対応といったところだ。」
「へー、人選とか決まっているの?」
「そこまで詳しくは決めてないが、赤城と加賀、扶桑は決定だな。それと、天龍と龍田も。」
「重巡と駆逐艦は?整備は妖精さんがいるとしてさ。」
「そこが問題なんだよなぁ。残留戦力で航空戦力は鳳翔、飛龍と蒼龍、翔鶴と瑞鶴がいるから問題ないとして、直接打撃力の要である戦艦が金剛のみになるから5人の重巡のうち誰を編入するか悩みどころなんだよ。駆逐艦は人数が少ないし。」
「それじゃあさ、少し時間があるなら私と熊野の練度を上げて航空巡洋艦に改装して、扶桑さんも練度を上げて航空戦艦に改装してから遠征艦隊に編入したらどうかな?水上機をたくさん積めるから哨戒や対潜能力の底上げができると思うんだけど。」
「まあ、確かに。そうすれば駆逐艦の人数の少なさも補えるか・・・。というか鈴谷は自分が航空巡洋艦に改装できるのを知っていたのか?」
「ん~、今後も踏まえて霞大佐や明石さんから聞いていたの。情報は大事だからね~。でも、練度を上げていけば軽空母にもなれるなんてビックリしたよ~。」
「まあ艦種が全く変わるものな。驚くのも仕方ないさ。」
「それで、打撃力は金剛さんは勿論だけど青葉さんと愛宕さん、摩耶ちゃんを改装して対処するしかないんじゃないかな。」
「そうなるよなぁ・・・。おっ、角島大橋が見えてきたぞ。」
「おお、ホントだ。大きいねぇ。」
「このまま橋は渡らずに手前でちょっと県道を外れて脇道に入るからな。そこからなら橋を真正面からよく見えるんだよ。まぁ、別に橋のすぐ脇に展望台もあるんだがな。」
「いいじゃん、いいじゃん。その脇道に行ってみようよ。」
「了解。」
脇道へと入り角島と角島大橋の両方がよく見えるところで停まって降りた。ミニ三脚を取り出しデジカメをセットして鈴谷と記念撮影をする。撮影した画像をデジカメのモニターで確認し、VTRに跨り角島大橋から角島へと向かう。
「青い空に青い海!!気持ちがいいね~。」
「ああ、そうだな。艤装をつけて海上を移動するのとは違う良さがあるだろう?」
「ホントに。ああ、艦娘に生まれ変われて良かった~!!」
そんなやり取りをしながら角島を楽しみ昼食休憩のために長門市へと向かう。
見てくださりありがとうございます。