深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。   作:名無しの兵六

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第61話 鈴谷とお出かけ②

 昼食休憩のために寄った長門市では、地鶏と地魚を出しているお店を選択した。焼き鳥や仙崎イカなどを堪能できた。鈴谷は、

 

「美味しいね。もっと食べたいな~。おかわりしてもいい?」

 

 と、焼き鳥を両手に持ちながらおねだりしてきたので焼き鳥の盛りをもう1皿頼んだ。それもあっという間に平らげてしまったけど。

 

 支払いをする時にお店の人から、

 

「いやあ、おいしそうに食べてくれてありがとね。軍人さん。それと、素敵な彼女さんね。」

 

 と言われたので否定するのもなんだかなあと思い、

 

「ええ、自慢の彼女ですよ。しかし、何故、私が軍人と?」

 

「テレビでよく見る顔だったから覚えていたのよ。お名前は覚えていないのだけど英雄さんでしょ?」

 

「・・・まあ、はい。」

 

「守ってくれてありがとね。今度来たときはサービスするわよ。」

 

「ありがとうございます。それでは、ごちそうさまでした。」

 

 と言って店を出たら鈴谷が顔を真っ赤にして俺を睨んできた。原因に心当たりがあったので、すぐに謝る。

 

「彼女なんてことにしてしまってすまなかった。」

 

「・・・怒ってないよ。さあ、早く次の目的地に行こうよ。」

 

 ふむ、怒ってないなら何なのだろう。乙女心の機微はわからんなあ。まあ、怒ってないのならばこのまま秋吉台まで向かうとするか。

 

 秋吉台は美祢(みね)市にある国定公園で、日本最大級のカルスト台地だ。四国カルストと福岡県北九州市の平尾台と共に日本三大カルストの1つでもある。

 

 カルストロードと呼ばれる県道242号を走っているとふと鈴谷が呟いた。

 

「綺麗・・・。まるで深海棲艦との戦争なんて無いみたい。」

 

「おう。こういうのもいいだろう?」

 

「うぇっ!?聞こえていたの!?」

 

「インカムがばっちり拾ったよ。」

 

「・・・恥ずかしい。私のキャラじゃないよね?」

 

「ん?そんなことは無いと思うぞ。鈴谷だって生きているんだから綺麗なモノを綺麗と思って思わず口に出すのは自然な事だろう。」

 

「ふ~ん。そう言ってくれるんだ。ありがと。」

 

 その後はカルスト展望台と大鍾乳洞“秋芳洞”を見てまわった。鈴谷はずっとテンションが高く。その姿を撮りながら俺も楽しんだ。

 

 秋吉台から岩国市街地へ向かい走行していると、鈴谷がポツリと、

 

「明日からまた日常かぁ・・・。ねえ、日常が戦争っておかしくない?」

 

 そう聞いてくるので、

 

「んなこと言ってもな、俺もお前さんも軍人だ。敵が攻めてくるなら戦わんといかんだろ。」

 

「でもさ、深海棲艦なんて一昨年までは影も形もなかったんでしょ?私達、艦娘なんか深海棲艦が現れてから確認されたわけなんだし、まるで私達が深海棲艦を駆逐する兵器・・・。」

 

「それ以上言うと怒るぞ。自分たちを兵器と一緒にするな。あれは感情の無い戦うための道具だ。」

 

「でも私達には艦だった頃の記憶があるよ?だったら今使っている兵器にも似たようなことが起こってもおかしくは無いんじゃない?」

 

「ならそんとき考えればいい。いいか、お前たち艦娘は深海棲艦と同等以上に戦うことができるというだけで権利も保障されている。ある意味、新人類みたいなもんなんだよ。」

 

「そんな生物学者みたいなこと言っていいの?」

 

「ハっ!個人の感想だ。んなごちゃごちゃしたもんは考えんでいいさ。勝手に学者先生達が判断してくれるさ。」

 

 そう言うと鈴谷は自分のヘルメットを俺のヘルメット後部にゴンゴンとぶつけながら、

 

「なんか難しく考えていた私が馬鹿みたいじゃん。」

 

 と言うので、俺は笑いながら、

 

「そうさ、難しく考えることは無い。今、生きている。美味い飯を食って、仲間と共に戦い、国を護る。そして、今日みたいに少しの息抜きをして英気を養い戦場へとまた向かう。それでいいじゃないか、兵士なんていうもんはさ。」

 

 と答える。

 

「それならさ・・・恋・・・とかしてもいいのかな?」

 

「おう、いいぞ。ただし任務に支障が無い範囲でな。」

 

「わかってるってば。その・・・ありがと。」

 

「?どういたしまして。」

 

 その後は、雑談をしながら移動しているとあっという間に岩国市街地に着き、夕食を食べて柱島行きのフェリーへと乗る。その中でふと思い出したかのように鈴谷が小声で聞いてきた。

 

「そういえば、私の胸の感触どうだった?ずっと背中に当たっていたでしょう?」

 

 俺はため息をつきながら、

 

「鈴谷、お前は胸部プロテクターを付けていて俺も脊椎プロテクターを付けていたんだ。わかるはずないだろ。」

 

 そう答えると鈴谷は顔を真っ赤にして、

 

「ならこうしてやるー!!」

 

 と俺に覆いかぶさって来た。それも丁度、胸が俺の顔に当たるように。かなり驚いたが、鈴谷の心音が伝わってくると次第に冷静になれた。鈴谷の両肩に手を置いてゆっくりと引き離し、

 

「好きな奴ができたらしてやるといい。感触は・・・その・・・かなりよかった・・・。」

 

 そう言うと、

 

「この鈍感!!」

 

 怒って船室から出て行ってしまった。しかし、鈍感だと?もしかすると鈴谷って俺のことが好きなのか?う~む、判断に悩む。

 

 泊地までの帰り道のタンデムはお互いに無言だった。艦娘宿舎まで鈴谷を送り届けると、

 

「ありがとね。おやすみなさい。」

 

 とササっと宿舎の中に消えた。俺は、VTRを停めた後にまだ電気のついている執務室に向かった。

 

 ノックして入ると執務室では霞と満潮が談笑していた。

 

「あら、お帰りなさい。」

 

「お帰りなさい。司令官。鈴谷さんはどうしたのよ?」

 

「ただいま。俺の携帯に連絡が無かったから何も無かったようで安心したよ。それで、鈴谷の事なんだが・・・。」

 

 霞と満潮に食堂で彼女に間違われたことや帰りのフェリーでのことを話すとジト目で、

 

「はあ、このクズ!!鈴谷さんの気持ちにちゃんと答えなさいな。」

 

「霞の言う通りね。司令官、あんたはこのまま逃げちゃだめよ。」

 

「しかし、上司と部下だぞ?それに鈴谷も他の男性とあまり触れ合ってないからだろうし。」

 

 そう言うと、霞がお茶を一口飲み、

 

「ねえ、司令官。扶桑さんや金剛さんを始めとした軽巡以上の艦娘達はみんな泊地内の男性隊員から声をかけられた経験があるのよ。その相談に初期艦娘である私の所に相談にも来ていたの。」

 

「それは初耳だ。」

 

「みんなから口止めされていたからね。」

 

「それは俺が頼りないからか?」

 

「その逆よ。みんなあんたに好意を抱いているの。あ、ちなみに私と満潮姉さん含む駆逐艦もよ。」

 

「はあ!?」




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