深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。   作:名無しの兵六

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第69話 おおすみ大改造

 初の船団護衛任務を終え、柱島泊地に帰還してから会議を開いた。出席者は“おおすみ”艦長の出原中佐、ガルーダ隊隊長の八島中佐、第1特機中隊の中条大尉、艦娘艦隊旗艦の鈴谷、そして俺とミク、書記を買って出てくれた霞の7人だ。

 

「さて、皆、疲れているところ申し訳ないが、記憶が新しいうちに情報を共有したいと思い、招集させてもらった。今回の船団護衛任務での問題点を挙げて欲しい。」

 

「よろしいでしょうか?」

 

 八島中佐が手を挙げる。

 

「今回、我々ガルーダ隊は全機が“おおすみ”に搭載され運用されましたが、整備班のほうから格納庫が狭く作業がしにくいという不満点が上がりました。また、出撃する際もエレベーターに乗せるまでが神経を使ったという意見もありました。我々、パイロットは哨戒飛行時間を長くとるために空中給油機が欲しいと感じております。また、個人的意見ですが、航空管制用の艦橋設備を充実させていただきたいとも思いました。以上です。」

 

「ふむ、わかった。次は誰かね?」

 

「では、我々、第1特機中隊より要望です。まず、出撃用のカタパルトをメイヴ用とは別に設置していただけないでしょうか?メイヴ用は1基ですが、我々の大きさならば艦橋の前に2基ほど設置が可能ではないでしょうか。ジム・スナイパーⅡ自体は復路にてミクさんを始めとする妖精さん達に改良していただけたので不満はありません。以上です。」

 

「それでは、次に“おおすみ”を代表して小官から述べさせていただきたいと思います。以前の改装により、速力、防御面、索敵面は大幅に向上しましたが、折角、ソナーを装備しているので魚雷を装備できないかお聞きしたいです。」

 

 出原中佐の意見を聞いてミクを見るとサムズアップしていたので大丈夫なのだろう。

 

「わかった。ミクと相談して、“おおすみ”本体の武装面強化を図る。最後に鈴谷少佐。」

 

「はい。小官達が思いましたのは、迎撃速度です。柱島泊地の艦娘は機関を改造しているとはいえ、60ノット(約111,12km/h)が精一杯です。提督や第1特機中隊の展開速度と比べると約3分の1でありますので、ヘリボーンができるように1個艦娘艦隊を輸送できる艦載ヘリコプターの配備を求めます。」

 

「貴官らの意見はよくわかった。霞准将、記載のほうは問題ないかね。」

 

「問題ありません。」

 

「よし、では解散とする。皆、お疲れ様でした。」

 

 敬礼をして退出するみんなを見送る。残ったのは鈴谷とミク、霞だ。

 

「どうすんのよ。“おおすみ”を再改造しないといけなくなったわよ。」

 

 霞の言葉に反論ができずにうなだれる。

 

「まぁまぁ、遅かれ早かれ、こうなっていたと鈴谷は思うけど?」

 

「鈴谷さんはコイツに甘すぎです。」

 

「鈴谷は霞准将も随分と甘いと思うけどなぁ。だって、提督不在の間の書類をほとんどさばいていたんでしょ?」

 

「そう言われると、まぁ、私にも甘い所があるのかなとは思います・・・。」

 

 なんか変な空気になったので、話題逸らしにミクに話しかける。

 

「なぁ、ミク達妖精さんが考えている“おおすみ”の改造案はどんな感じなんだ。ホワイトボード使っていいからさ。」

 

「はいー。えーっとですね。まず艦体を6分割しますー。右舷前方、左舷前方、右舷中央、左舷中央、右舷後方、左舷後方ですねー。それで、全幅・全長の拡大をこのくらいしますー。全幅は50.2m拡大して76m、全長は120m延長して298.0mとなりますー。高さはいじりませんー。」

 

 そう言いながらホワイトボードに数値を書きこんでいく。いや、これ、DDHの“ひゅうが”型よりでかくね?ニミッツ級の背中が見えてくる大きさじゃねぇか。霞と鈴谷もポカンとしてミクの書く“おおすみ”改造案を見ている。

 

「もちろん、武装面も強化しますー。対空パルス・レーザーを増やすのは当たり前として、近接防空ミサイルのRAMを搭載しますー。それと、VLSを設置して対艦・対潜攻撃能力を付与しますー。余裕があれば船底に収納式の魚雷発射管も設置したいと思いますー。」

 

「うん、武装面はそれで終わりかな?」

 

「はいー。一応はこれで様子見ですねー。設備面ですが、中央エレベーター1基、舷側エレベーターを4基としますー。メイヴ用、ようは航空機用のカタパルトは2基に増設しますー。第1特機中隊と海斗さんのためのカタパルトも設置予定ですー。このあたりですねー。艦橋は航海・作戦用と航空管制用の2基を設置しますー。機関も次元波動エンジンの増設を行い機関出力を上げますー。多分、広島県の電力くらいなら賄えるんじゃないでしょうかー。」

 

「そいつは凄いな。で、いつからとりかかる?」

 

「今すぐにでも、と言いたいところですが、皆さんの私物等あると思いますので、それを移動させてからですねー。私は工廠に行ってきますー。」

 

「わかった。すぐにとりかかろう。」

 

 俺は、霞と鈴谷にミクの言ったことを伝える。2人ともすぐに了承してくれた。霞が出原中佐を始めとした“おおすみ”乗組員と第1特機中隊員達に。鈴谷がガルーダ隊員と艦娘達にそれぞれ私物の移動の命令を伝えに行く。さっきまでの変な空気は吹っ飛んだようだ。

 

「しかし、何万tになるのかね、これは。」

 

 改めて俺はミクの書いたホワイトボードを見ながら呟く。基準排水量はニミッツ級の74,000tを超えないだろうが、それでも、日本海軍の最大級艦になるのは確実だ。

 

「さて、追加のヘリコプター隊を上にねだるかねぇ。」

 

 背伸びをしながら執務室に向かう。できれば、ガルム隊と同じ陸軍第1ヘリコプター団隷下の第1輸送ヘリコプター群第106飛行隊からCH-47JAを引き抜いて、ミク達に改造させることができれば一番なんだが。

 

 SH-60Kも悪くはないが、積載量はCH-47JAが絶対によい。あの扶桑や金剛の戦艦艤装を装着しながら載せることができるからなぁ。それに今、近接戦闘パッケージの拡大版として、艤装の小さい艦娘向けにミョルニルアーマーやMS艤装を基にした中・遠距離用の戦闘パッケージも開発中なんだよなぁ。防御力も底上げするから戦艦艤装並みの大きさになりそうだというのがミクの意見だからな。

 

 とりあえずは上申書という体裁で上にかけあおう。端末を立ち上げて作業に入る。上申書が出来上がる頃には、霞が戻ってきた。

 

「すまんな、小間使いさせて。」

 

「別に。伝令も立派な任務の一つだと思っているから。」

 

「ああ、確かにそうだな。言い方が悪かった。」

 

「気にしてはいないわ。で、何か書類を作っていたんでしょう?原本は使送便で送るの?」

 

「ああ、そのつもりだ。ま、メールでも送るけどな。機密性は低いから。」

 

「へぇー、どんな内容なのよ。」

 

 霞が書類をさばきながら上申書の内容を聞いてきたので、掻い摘んで中身を教える。

 

「ふーん、いいんじゃないかしら。でも、短期間でこんなに融通してもらうと他の鎮守府から嫌みを言われそうね。」

 

「なあに。霞たちのおかげで泊地立ち上げからの短期間で充分過ぎるほどの戦果を挙げているからな。それに各鎮守府の司令長官とは人脈があるから心配無用さ。」

 

「それならいいけど。それじゃ、使送便に持っていくわね。」

 

「ああ、お願いする。」

 

 一仕事終え、背もたれに体重を預け少し楽にする。そろそろ、交代制で秘書艦を霞以外の艦娘達にもお願いするべきかな。戦闘での練度も上がってきていることだしなぁ。そんなことを考えていると、扉がノックされる。

 

「司令官、青葉です。」

 

「入っていいぞ。」

 

「失礼します。」

 

 青葉がコンデジを首からぶら下げて入ってきた。

 

「何かあったか?」

 

「いえ、“おおすみ”がどうも大改造されると聞きまして、その様子を取材したく許可をいただけないでしょうか?」

 

 少し悩む。ま、ミクが許せば大丈夫だろう。青葉に「少し待ってくれ。」と言い、工廠に内線をかけて明石にミクがいるか確認をする。まだ、いるようなので明石に今からそちらに行くことをミクに伝えてもらう。

 

「よし、そんじゃ、工廠に行ってミクの許可を貰おうか。ああ、俺としては問題ないから安心してほしい。」

 

 そう言って、青葉と共に工廠に向かう。

 

 工廠に着くと、ミクはミョルニルアーマーとスターク・ジェガンの整備の指揮を執っていた。俺に気づくと、「休憩ー。」と他の妖精さん達に言って来てくれた。

 

「海斗さん、どうかしましたかー?」

 

「いや、作業の途中にすまないね。実は、青葉が“おおすみ”の改造作業現場を見て、できれば撮影して泊地新聞の記事にしたいらしいんだよ。その許可を、と思ってね。」

 

「大丈夫ですよー。ただ、明日、“おおすみ”がドック入りしたらすぐに始めるので、時間は大丈夫ですかー?丸1日の作業になりますよー。」

 

「ああ、明日は青葉を含む船団護衛任務に就いた艦娘は休養日だ。しかし、1日ですむのか?あの大規模な改造が。」

 

「勿論ですー。工廠の皆にも手伝ってもらうので大丈夫ですよー。それに、早く完成した方が海斗さんも色々と動きやすいかと思いましてー。」

 

「ありがとう、ミク。」

 

 ミクに礼を言い、青葉にミクが許可してくれたことを伝えると、とても喜んでもらえた。そして、改造が1日で終わるであろうことにかなり驚いていた。気持ちはわかる。

 

 翌朝、朝食後に“おおすみ”のドック入りが行われた。その様子も青葉はカメラで撮る。乗員が下船するとミク達妖精さんが集まり始めた。

 

「それじゃあ、みんな頑張ろうねー」

 

「「「「「はーい。」」」」」

 

 ミクの声掛けで作業が始まる。溶断機らしきモノを持った妖精さん達が“おおすみ”を改造設計図の通りに切断していく。10分少々で終わってしまった。6分割された“おおすみ”は盤木を継ぎ足され、その上に置かれる。その後は、事前に準備してあった資材に妖精さん達が集まる。

 

 皆、俺達から見たら「それは無理だろう。」という量の資材を増設する部分に配置していく。その作業で30分ほど。そして、また溶断機らしきモノを持った妖精さんが増設部分に加工していない資材をあて繋げていく。すると資材が変化し、“おおすみ”に合うように曲部などが構成されていく。

 

 1時間ほどでその作業が終わり、船体は完成した。最後に、武装面と設備面、内部の配線・配管。波動エンジンの増設をおこなったが、昼食前には新生“おおすみ”が誕生した。

 

 俺は夢でも見ているのか?




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