深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。 作:名無しの兵六
「ふぅ。」息を吐きながら書類仕事で凝り固まった肩をまわす。ミク達に召喚建造をお願いしてから、俺と霞少佐は執務室で書類の整理と処理を行なっている。間に昼食を挟んだが、それ以外に休憩は取っていない。
斜め右方向に机がある霞少佐は、疲れなど見せず、黙々と書類仕事をこなしている。姿勢よく仕事をこなしている姿は、美しいものがあった。そうやって、
「どうしたのよ。さっきからこっちを見て。私の顔になんかついてるの?」
「いや、手慣れているなぁと思ってね。」
「見惚れていました。」なんて正直に言ったら、また“クズ司令官”呼ばわりされてしまう。当たり障りのない返答をする。
「前の所属、横須賀鎮守府では、持ち回りで“秘書艦”があったから、そのおかげね。」
「そうだ、聞きたかったことがもう一つある。江田島では聞けなかったが、なぜ少佐は俺の様な新人提督の“初期艦娘”になろうと思ったんだ?」
書類にサインする手を止め、まっすぐに霞少佐を見て質問をする。霞少佐もこちらをしっかりと見て、
「あんたが、あまりにも危なそうに見えたからよ。“第2次首都圏防衛海戦”であんたは私をかばって死んで、生き返った。その後の戦闘の姿も、巨大な盾と、ビームライフルだっけ?あれを駆使して、敵の注目を自分に集め、護衛艦や艦娘たちに被害が出ないように立ちまわっていた。そのあんたの姿がとても危なっかしく見えたの。あんたが提督になるって話を聞いた時には、私が側で見守ってやらないと、あんたはまた誰かをかばって死ぬと思ったのよ。それが理由よ。」
「つまりは、俺のため?」
「まあ、そうね。あんたと国のためね。あんたがいなくなると国防戦力激減だし。」
「なるほどね。わかったよ。変な質問に答えてくれてありがとう。」
「どういたしまして。さあ、1500まで残り時間は少ないわ。さっさと残りの書類を終わらせましょう。」
「ああ、そうだな。」
その後は、黙々と書類仕事をこなして、1430までには本日分の書類が終わった。追加が無ければだが。霞少佐が「お茶を入れてくるわ。」と席を立った瞬間、俺の机の赤電話が鳴った。非常時の緊急出動要請時しか鳴らない電話だ。俺はすぐに受話器を取り、スピーカーボタンを押す。
「こちら、柱島泊地司令長官の湊准将。」
『横須賀鎮守府司令長官室、秘書艦の大淀中佐です。現在、徳島県室戸岬沖にて、海上護衛任務を遂行中の第11護衛隊のDD-152“やまぎり”より入電。“敵機動艦隊と接敵、艦娘艦隊が迎撃中。また、敵増援を確認。至急救援求む”です。呉鎮守府には既に・・・。』
「霞少佐!!俺が出る。呉の救援艦隊よりも俺の方が速い。あとは頼む。あっ、新たに召喚建造が終了した艦娘たちへの泊地案内も頼んだ。帰ってきたら戦勝会だ。それでは、大淀中佐、切ります。」
『ちょっと、ま・・・』
最後まで聞かずに、受話器を置き、工廠へと駆けていく。なぜか霞少佐もついてくる。
「霞少佐は、執務室で待っていてくれていいんだぞ。」
「上官の出撃なんだから、見送るわよ。ところで、どう行くつもり?」
「跳んでいく。」
「ハァ!?」
「跳躍を何回も繰り返し、四国を縦断して室戸岬沖まで行く。これが一番速い。跳躍中はブースターによる推進もできるしな。500km/h以上は出るそうだ。ミクが江田島で教えてくれた。」
「あんたって、ホント規格外ね。」
そうこうしているうちに、工廠に着いた。
「ミク!!召喚建造中にすまん。ミョルニルアーマーで緊急出動だ。“妖精さん”達、手伝ってくれ。武装は腰にロング・レンジ・ビーム・ライフル。左手にはガーディアン・シールド。右手にはMA5D アサルトライフル。M45D タクティカルショットガンは背面に。ん、そうだ。ガーディアン・シールドの中には弾倉と予備弾を頼む。左腰にはビーム・サーベル。右腰にはM6H ハンドガンだ。」
ミョルニルアーマーを装着しながら、指示を出す。ミクが召喚建造カプセルの前から離れ、他の“妖精さん”達に作業の指示をする。そして、工廠に着いて150秒後には出撃準備が完了した。海に面した出撃用の扉が開かれる。
「それじゃあ、霞少佐、ちょっくら行ってくる。」
「ええ、無理をしないようにね。それと、無事に帰ってきたら今度からは“霞”呼びでいいわよ。」
「はは、それはいいね。・・・湊 海斗出るぞ!!」
そして、俺は出撃した。まずは、海上でブースターを吹かし、500mほどまで上昇、その後推力を後方に集中して前進する。着地点は人家のない林や森、山の中だ。そうして跳躍を繰り返し、25分後には室戸岬沖まで来た。もう一度、高く跳ぶと戦闘の光が見えた。
落下しながら、アサルトライフルをガーディアン・シールドに収納し、腰からロング・レンジ・ビーム・ライフルを構える。敵の増援艦隊はまだ交戦距離に入っていないらしいが、戦艦ル級が2体いる。うち1体に照準を合わせ、引き金を絞る。発射されたビームが戦艦ル級の装甲容易く貫き、爆沈させる。そして、着水した俺は、ホバーにより浮きながらブースターを吹かし戦闘の真っただ中に突っ込んでいった。
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